2008年09月14日
【非常識勉強法】「ごく普通の人でも難関資格に受かる非常識勉強法!」石井和人
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、ガチな勉強本。著者の石井和人先生のご本は、以前、こちらの作品をご紹介済みです。
(当ブログでの記事:【公認会計士】「新 公認会計士試験 非常識合格法」石井和人)
◆さすがにタイトルに「公認会計士」と入っていたら、置かれるのも専門書コーナーですし、普通の方の目に触れることもなかったかと。
それが今般、「社会人向けの勉強本」として、「ビジネス書仕様」に生まれ変わりました(私も八重洲ブックセンターの2階で購入しましたし(笑))。
公認会計士試験で話題となった、あの「非常識合格法」がいよいよ「常識的」になるのかも(?)!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 〈忙しい社会人〉だからこそ、難関資格にチャレンジしよう!
第2章 戦略的な〈アプローチ法〉で〈ごく普通の人〉が続々合格!
第3章 働きながらの短期合格を可能にする! 〈スケジューリング&時間活用法〉
第4章 この〈モチベーション維持術〉で無理なく勉強が続けられる!
第5章 必要範囲だけを短時間で固める! 〈教材&資格学校〉利用法
第6章 仰天するほど効果バツグン! 効率的な暗記を実現する〈スピーチ法〉
第7章 本試験5分前まで使える〈試験対策テクニック〉
【ポイント】
■社会人であることの有利・不利
●有利(抜粋)⇒実務経験がある
⇒学生の受験生とは犠牲にするものの重さが違う特に士業の難関資格においては、実社会で必要とされる知識が求められます。
●不利
⇒時間のやりくりが大変
⇒実務経験がかえって足を引っ張ることがある
資格試験に受かるための知識と、実務で必要とされる知識は必ずしも一致しないことがあります。「こんなものをなんでやるんだ」と批判的な目で見ないで、「試験に合格するための勉強なんだ」と割り切ることが大切です。
■採点のカラクリとは
⇒難関の資格試験では、難しい問題が出題されると、平均点が大きく下がってしまうので、これを避けるために、できのよい問題の配点を高くし、逆にできの悪い問題の配点を低くすることによって、平均点を調整する⇒よって、多くの人が解けない難問では、配点の調整をされる可能性が高いので、できてもできなくても、点数に差がつかない
⇒配点が低くなる可能性の高い細かい知識を身につけるために、必要以上の時間をかけて勉強する必要はない
⇒逆に基本的な内容に絞り込んで勉強していくことが、合格への近道
■合格必要得点配点範囲アプローチ法
⇒出題範囲の中から多くの受験生が正解できると思われる基本部分を抽出すること⇒その基本部分を徹底的に勉強して、確実な知識にしておき、その部分に関する問題が出題されたら必ず正解できるようにしておくこと
図の卵全体が試験の出題範囲に当たります。そして黄身は、勉強すべき基本部分に相当します。配点が高い可能性があり、落としてはならない基本的な問題に関係する部分です。そして、その周りの白身の部分は、細かくて難解な部分です。範囲が広く、勉強に時間がかかる割にはリターンが少ない部分です。
この"卵の黄身"の部分を特定して、その知識を完璧にする勉強が重要なのです。これを、私は"合格必要得点配点範囲アプローチ法"と呼んでいます。
■何度も落ちる人の共通パターン(抜粋)
●試験に出るかどうかもわからない"卵の白身"の部分を一生懸命に勉強してしまう人⇒黄身の部分は基本的な内容の勉強なので、やっているうちにだんだんつまらなくなる
⇒白身の部分は難解なため、そこを勉強していると頭が良くなった気がして、自己満足にひたることができる
●自分はもう黄身の部分を正確に理解していると勘違いしてしまう人
⇒何年も受験勉強を続けていると、本当は正確に理解していないにもかかわらず、「基本的な部分はもうわかっている」と思い込んでしまう
⇒これで落ちると、さらに手を広げて白身の部分を勉強してしまう
■資格学校のメリット(抜粋)
⇒「どこまでが"卵の黄身"に当たるのかを教えてもらえる」⇒「解答パターンや記述の仕方を教えてもらえる」
⇒独学で目指せるかどうかは、「独学用の教材が書店に豊富に揃っているかどうか」で判断する
■スケジュールの立て方(抜粋)
●合格への最短ルートを設定する⇒資格学校が挙げる最短期間を目標にする
⇒最短期間を目標にすると、最初の挑戦で合格できなくても、結果的には比較的短い期間で合格する可能性が高くなる
●基礎的な資格を中間目標にする
⇒公認会計士試験、税理士試験における簿記検定試験等
●3回以内での合格を目指す
⇒基本的には常に一発合格を目指すべき
⇒3回受験してダメでも諦めたくないのであれば、自分の受験スタイルの全てを変えてみる必要がある
■「間に合わない」ではなく「間に合わせる」
⇒資格試験に受かるためには自分で決めたスケジュール通りに勉強していく覚悟が必要⇒著者の教えている資格学校では、答練などの課題の提出率と、試験合格率が比例しており、カリキュラム通りに勉強すれば合格でき、勉強しなければ合格できない、ということが数字で証明されている
⇒試験に受かりたいのなら、「できない」ではなく「やる」、「間に合わない」ではなく「間に合わせる」しかない
■"コマーシャル勉強法"でスキマ時間を活用
⇒1分間でキーワード1個覚える場合と、1時間でキーワード60個を覚える場合を比べてみると、1分間で1個覚えたキーワードの方が、しっかりと記憶に残っているもの⇒細かく数が多いものを覚える場合には、まとまった時間にまとめてやるよりも、テレビCMくらいの短い時間で細切れに勉強したほうが効果的
■インターネットは受験生の"時間泥棒"
⇒試験の合格を目指して勉強している間は、ウェブサイトの閲覧を意識して封印し、合格という目標に邁進すべき⇒ネット上のウェブサイトや掲示板には、試験や勉強に関して信憑性のない情報や有害な情報が多い
■分厚いテキストより薄いテキスト
●難関資格は基礎資格と違う⇒分厚いテキストを使っている専門学校は基本的にはオススメできない
⇒試験で必要なのは、曖昧な記憶ではなく、確実な記憶であり、そのためにはテキストの制作者がリスクを負って、合格に必要な部分だけを選び出す必要がある基礎的な資格の試験では、いわば試験範囲の全てが"卵の黄身"となるために、むしろ、多少厚くても試験範囲全てを網羅したテキストのほうがよいかもしれません。しかし、難関資格試験の試験範囲はいずれも膨大であり、短い学習期間でその範囲を全てカバーするのは現実的には困難です。
●テキストが厚くなりやすい事情
⇒テキストを執筆する講師はページ数に比例して原稿料をもらえる
⇒テキストに載っていないことが本試験に出ると資格学校や出版元にクレームを言う受験者がいるため、制作者側には、責任回避のためになんでもかんでもテキストに詰め込んでおこうとする傾向がある
⇒分厚いテキストであれば、本試験で出題されるズバリ的中の数が多くなるのは当然
■どんどんテキストに書き込むべし
⇒サブノートは作らず、テキストに直接書き込んで、とにかくテキストだけで完結するようにしておく⇒できれば合格者のテキストを見せてもらい、その人のマーキングの仕方、書き込みの仕方などを教えてもらう
不思議なことですが、講師を何年もやっていると、受験生のテキストを見ただけで「この人は合格できそうだ」「この人はまだ難しいかな」などと感じることができるようになります。合格者のテキストには、まさに"合格のノウハウ"が詰まっているわけですから、それを参考にさせてもらいましょう。
■効果的な暗記を実現する"スピーチ法"
●スピーチ法とは?⇒「テキストなどの内容について暗唱すること」
⇒黙って目で文字を追うだけでなく、文字を言葉にするので、視覚情報だけでなく、耳から音声情報が同時に入ってくる
⇒声を出すためにのどや舌、横隔膜などを活発に動かすため、黙読しているだけの場合よりもずっと多くの肉体的な刺激がある
●スピーチの種類
⇒「基本スピーチ」「定義スピーチ」「解答スピーチ」「マスタースピーチ」
⇒詳しい内容等については、一応ネタバレ自重しておりますので、本書をご覧下さい(汗)!
【感想】
◆上記でご紹介した「新 公認会計士試験 非常識合格法」は、完全な「公認会計士仕様」だったため、勉強法もモロに会計士試験向けのものでした。ご紹介した記事では、当ブログの読者さんのことを考えてかなり中和(笑)していますが、実物の方は、会計士受験生を除けばよほどの勉強本マニアでないと、なかなか買おうとまでは思わないタイプの本かと(汗)。
ただ、その内容は他の資格試験にも使えるものでしたし、今般、そのエッセンスが多くの方の目に触れるというのは、勉強本マニアとしては喜ばしい限り。
◆特に「合格必要得点配点範囲アプローチ法」の考え方は、ある程度のレベルの資格試験であれば、必須だと思います。
私は資格試験は税理士試験しか受験したことがない(簿記を除く)ので、難易度については今ひとつわからないのですが、本書に「主な難関資格取得への勉強時間の目安」という表があり、そこに列挙されていた資格は次の通り。
「公認会計士」「税理士」「弁理士」「中小企業診断士」「社会保険労務士」「司法書士」「行政書士」「不動産鑑定士」「ファイナンシャルプランナー1級」「CFP」
これらの資格試験(やそれに匹敵するレベルの試験)を狙う方であれば、本書のコンテンツは、1度は目を通しておきたいところです。
もっとも、もうちょっと難易度の低い資格試験を考えている方や、普通に勉強をされている方にとっても有用な、細かなテクニック(「動機のビジュアル化」「お手軽自己暗示」等)も収録されており、背伸びするツモリで本書を読まれても良いかもしれません。
◆また、前回の記事でも割愛した「スピーチ法」については、一般書となった今回でもかなりのページ(というか1章丸々)を割いているので、公認会計士試験以外の試験でも、有用なのだと思います。
ちなみに税理士試験では、理論(と呼ばれる条文をまとめたもの)を丸暗記する必要があり、今では信じがたいのですが、私のこの頭にも(笑)、試験前日とか当日には、「理論テキスト1冊分」が丸々収まっていました。
そしてその暗記する過程においては、ひたすら「覚えては口でブツブツ言って」を繰り返しており、ある種の「スピーチ法」を実践していたわけです。
「暗記」するには、こうした「暗唱」が必要であり、ゆえに、ある程度の分量の内容を暗記する必要がある資格試験を受験する方も、やはり「スピーチ法」については知っておいて頂きたいですね。
◆なお、石井先生の所属する「クレアール会計士アカデミー」のスタイルは、大手の資格学校とはちょっと違ったスタイル(薄いテキスト等)をとっており、それが故のポジション・トークの部分も、あらかじめ考慮した上で本書をお読みください。
本書も「時間がない社会人が難関の資格試験を受ける」ことを前提としているので、逆に、余るほど時間がある学生さんにとっては、分厚いテキストを思う存分活用する、というやり方もアリだと思われ。
また、「薄いテキストだとどうしても不安」という方だと、最後まで信じ切れないと思いますので、やはり本書のやり方は微妙かもしれません(汗)。
それでもパレートの法則バリに「費用対効果」を重視するのも、当然アリです(笑)!
効率よく難関試験を突破したい方に!
【関連記事】
【強力!】「必ず合格する“成川式”勉強法!」成川豊彦(2008年02月15日)【記憶ハック!】「一発記憶!勉強術」椋木修三(2007年11月26日)
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【勉強】「最短!勉強法」後藤武士(2007年08月07日)
【スタディ・ハック】「最短で結果が出る超勉強法」荘司雅彦(2007年07月02日)
【編集後記】
◆最近のムスコかなり似てます(笑)。
ご声援ありがとうございました!
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この記事を読ませていただいた限りでは、ガチガチの資格試験対策本のようですね。
タイトルには「非常識」と書いてありますが、「極めて常識的」なことを書いているような気がするのは、勉強本マニアだからでしょうか・・・。
勉強本ときいて出てきました (^^;
会計士は無理ですが、ちょうどいま中小企業診断士の勉強をしているので、ぽちっとさせっていただきました。
たしかに、資格の学校は上手に利用したほうがいいですね。しかし、スケジュール通りにこなすだけで精いっぱいです。とほほ…
ま、結局のところ、「マンガ読んでないで勉強しろ!」っていうのは、高校の時と変わっていないかもしれません(爆)
はじめまして、コメントありがとうございます。
ご指摘の「極めて常識的」という点、確かに私も感じました。
ただこれは推測なんですが、例えば税理士試験の場合、上記の理論(厳密には「個別理論」と言います)を1科目100ページ分くらい丸暗記して本試験に望むんですよ。
そんで普通、合格レベルに余裕で達するような人は、ランクで言ったら一番出なさそうなEランクとかまでガッチリ押さえてるんですよね。
出る可能性は低いものの、出てしまったら1年間の苦労が水の泡になりかねないので。
一方、本書のスタイルで行けば、多分C,Dランク位まででカットしちゃってるんじゃないか、と。
そして確かに学校全体として、覚える範囲を狭めているのだとしたら、「常識的」ではないと思います。
これはもちろん、資格試験の種類や税理士試験でも科目によって違うので一概には言えませんし、実際にクレアールの授業内容も知らないので、あくまで私の憶測であることをご了承ください。
>Sioさん
お買い上げありがとうございます(涙)。
本書のスケジュールを見ると、中小企業診断士は「2年で合格を目指す」そうですよ!
私もかつてはガチな資格試験勉強してましたが、今はそれとは縁遠い生活をしておりますので、Sioさんの頑張りには頭が下がります(汗)。
たまにはマンガくらいいいのでは(笑)?
わたしもいまテキストや練習問題を音読しながらMP3プレーヤーに録音して、また聞き返したりしていますので、この本のスピーチ法がとてもとても気になります。
わたしは専業主婦ですが、2歳・4歳児を育てながらの勉強だと、意外とまとまった時間がとれません。計画をたててやってますが、なかなかこのプランを消化するのが大変ですね。
はじめまして、コメントありがとうございます。
FPも大変そうですね(涙)。
私自身が苦手な分野なので、なおさらそう感じます。
本書のスピーチ法は、ガチで丸暗記するのに適したやり方だと思います。
FPもそんな感じでしたら、参考になるかも。
ちなみにウチのヨメも、4歳1歳の子供抱えて、大学院の勉強を毎晩夜中の3時過ぎまでやってます。
その分、私もこんな時間にブログ書けるのですが(笑)。
お勉強頑張ってくださいね!
今後ともよろしくお願いします。