2008年09月05日
【和田版「ドラゴン桜」?】「受験のシンデレラ」和田秀樹
【本の概要】
◆今日お届けするのは、ニタさんにオススメ頂いた、一種の勉強本。とはいえ、通常の勉強本とは違い、「物語形式」であり、しかも著者が、あの和田秀樹さんという作品です。
なお、本書は和田さんが監督された映画のノベライズ化ということで、映画ではカットされている受験テクも盛り込まれているそう。
◆アマゾンの内容紹介から引用します。
ヒロインが受験するのが「東大」ということで、大学受験、しかも東大に特化している部分もありますが、勉強本オタクの私としては十分楽しめました。毎年、東京大学に何人もの合格者を送り込み、「受験界のカリスマ」と呼ばれるようになった五十嵐透。富も名声もすべて手に入れ順風満帆の人生だったが、ある日突然がんで余命1年半と宣告される。五十嵐はコンビニで偶然出会った高校中退の貧しい少女・真紀の存在にひかれ、自分の持つすべての受験テクニックを注入して彼女を東京大学に合格させようとする。マスコミでも注目の精神科医・和田秀樹が自らメガホンを取った同名映画を、彼自身の筆で小説化。東大合格の受験テクニックとがん緩和ケアの情報もたっぷり詰った著者渾身の書き下ろし。
まさに『和田秀樹版「ドラゴン桜」』です!
いつも応援ありがとうございます!
【ポイント】
◆本書では主人公の五十嵐が、生徒である真紀に指導する際に使う、京大式カードに書かれた「受験の要領」が90超登場します。その中から「なるほど」と思ったものを抜粋。
なお、引用部分は五十嵐の発言です。
■自分のスタートレベルを知れ
ほとんどの受験生は、自分のスタートレベルがわからないまま無理して受験勉強を始めるから自滅するんだ。
■予習より繰り返しの復習
相当記憶力がよくない限り、人間なんてものは1回やっただけで覚えるものではない。でも、1回復習するだけで、定着度が違う。そして、それでも間違ったところをもう1度やる。(中略)
1回目に1時間かかって、結局復習せずに3割しか覚えられなかったところが、10分復習するだけで7割になる。1時間で30点と1時間10分で70点だったら、どっちが得か考えればわかるだろう?
■数学は暗記である
答えを覚えろと言ってるんじゃない。やり方を覚えろと言ってるんだ。いろいろな問題のやり方を知っているということは、それだけ考える道具が多いってことなんだ。数学ができないというのは、たいていは計算ができないのか、考える道具が足りないのかのどちらかだ。
■受験勉強は常に時間と得点のコスト・パフォーマンスを考えろ
受験勉強は、かけた時間分だけ点がとれたやつが受かるし、時間をかけた割に点につながらないやつが落ちる。だから完全主義者の連中は、勝手に落ちて行く。
◆また後半部分になると、五十嵐ががんで病院にこもりきりになるため、いちいち細かい解説がなく「要領だらけ」になってきます。
でも大事なのもわんさかあるので、選りすぐって・・・。
■試験では最初の問題から解くな。できる問題を探して、それから手をつけろ
■カンニング・ペーパーを作るつもりでまとめを作れ。暗記すべき重要なポイントが見えてくる
■試験直前の1日は、スピードが倍、効率が倍、有効な勉強時間が倍になるので、8日分に使える。ペースを落とさず、ここから逆転合格を狙え
■試験の1ヶ月前からは、入試の開始時間の3時間前に起きる習慣をつけろ。試験開始時には、脳が全開状態になる
■気分がめげたら、合格したあとの自分をイメージしろ。やり方が正しく、自分を信じて勉強を続けられれば、必ず合格の最低点はとれる
【所感】
◆和田先生は、今までもたくさんのご本を出されてきましたが、物語形式ってあったんでしょうかね・・・ってあまりに著作が多すぎて、調べる気にもなれない自分(汗)。いずれにせよ、本書の最大の特徴は、小説であること。
しかも、かなり大胆に「勉強法」という「コンテンツ」を盛り込んでいることではないか、と。
◆そして、この「物語に勉強コンテンツを付加する」というスタイルで過去ヒットしたのが、『ドラゴン桜』。
実際に和田先生は、『ドラゴン桜』に触発されたのだとか。
確かに「貧しい家の少女が東大を目指す」という設定は、『ドラゴン桜』の水野直美とかなり似ていますね(汗)。
◆ただし、そもそもの「受験勉強法のコミック企画」というもの自体は、和田先生もずいぶん前から出版社に打診していたそう。
和田先生の不朽の名著、「受験は要領」をまとめたこの本も、反響はあったようですが、結局実現はせず。
その分、和田先生は本書に賭けるものがあったのかと。
◆また本書では、「勉強法」以外に、もう一つのテーマが含まれています。
それが「がん緩和ケア」。
主人公の五十嵐はがんで余命を宣告され、それもあって真紀を指導するのですが、「最後まで人生を生き抜く」ことの大切さを、本書では五十嵐の生き様を通じて読者に伝えようとしています。
和田先生が参考にされた本が、本書でもちょこっと登場していましたので、ここでご紹介を。
◆なお、アマゾンのレビューで指摘されているいくつかの点、特に本書におけるストーリー展開の強引さ(主人公二人の再会の場面等)は、私自身が、基本的に小説を滅多に読まないこともあってか、あまり気になりませんでした。
うーん、でも小説を読みこなしている方だとどうなんでしょね(笑)?
ただ、受験の予定のある方なら、90超ある「受験の要領」のうち、自分に関係あるものを、本書と同じように京大式カードに書き写すだけで、ぶっちゃけ、本代はペイすると思いますけどね(マジで)。
私は最後まで一気によんじゃいましたよ!
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【編集後記】
◆今日は勉強本の記事、ということで、安河内先生のあのベストセラー、「できる人の勉強法」が文庫化されたというお話も。もし、単行本の方をお持ちでない方なら、オススメ。発売たちまち28万部突破となったベストセラー『できる人の勉強法』(2006年)を、大幅に加筆・修正してまとめた待望の文庫版!
勉強法のエッセンスのみを凝縮してまとめ、著者のふだんの講義をもとに、図解を入れてビジュアルに新編集。
また、かなり図解化されているようなので、単行本をお持ちの方も要チェックで。
ご声援ありがとうございました!
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ご紹介ありがとうございます。
なるほど〜、この辺がポイントだったんですね(納得)。
ホント、一気に読ませる、何かがあります!
いつも読ませていただいております。
私もsmoothさんのように毎日レビューが書けたらなぁ〜と思いながら、挫折している今日この頃ですorz
将来は公認会計士になっているハズデス。
本のご紹介ありがとうございました。
色々な意味で面白かったです(笑)。
自分が付属上がりなんで、イマイチぴんと来ないところもありましたがー(汗)。
それにしても、ずい分長い夏休みでしたね(笑)。
>しみっちゃんさん
はじめまして!
コメントありがとうございます。
レビューは毎日「完璧」を目指したら絶対挫折しちゃうと思いますよ。
出来る範囲で続けられるような仕組みづくりが必要かもしれませんね。
今後ともよろしくお願いします!