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2008年08月04日

【速読】「すごい速読術」斉藤英治




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、「王様の速読術」でお馴染みの、斉藤英治さんの文庫本。

サブタイトルが「ひと月に50冊本を読む方法」となっているので、てっきり徳間書店から出た「月に50冊読める速読術」が元ネタかと思いきや、本書の終わりには

1998年8月に日本実業出版社より単行本として刊行された書籍を編集、文庫化したものです。

とあるので、どうも、「カンタン・スラスラ べんり速読術」の文庫化のようです。

ちなみに、「iPod」についても言及されているので、単なる文庫化しただけの本ではなく、どうも中身にも手が加えられている模様。


◆さて、「王様の速読術」が、「メンタルブロックを外す本」だとしたら、本書は「速読テクニックのオンパレード」(本書の「エピローグ」にも「まず、本書で、ひと通り32種類の精選速読技術の理論学習を体験していただきます」とあるくらい(汗))。

実際、随所に「トレーニング」やら「訓練記録表」等があるので、かなりガチの予感がします(汗)。

本気で速読を身に付けたい方なら、ちょっと見逃せないかも!


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【目次】

第1章 速読術を始める前に
 あなたは旧式の読み方をしていないか
 読書スピードを妨げる四つの習慣 ほか

第2章 すぐに使える日米精選速読術
 ビジネスパースンなら速読術は不可欠
 欧米型速読理論1 科学的実験で明らかにされた視点移動の法則 ほか

第3章 全脳バランス速読術トレーニング編
 1回3分、1日15分、1週間でこなす速読トレーニング
 トレーニングを始める前に ほか

第4章 月50冊読むための実践速読術
 三系列読書法なら月に50冊ラクラク読める 
 第一系列(速読系の読書)―「書店は最新情報の発信基地」 ほか


【ポイント】

■現代人が犯す3つの過ち(抜粋)

「1語1語を同じ調子で読まなければならない」

「1語1語正確に理解しなくてはならない」

 理解できないことがあれば、学校の先生から何度もやり直せといわれた。とくに文学的文章の詳細な読解に偏りがちな教育を受けた人は、なかなか読み飛ばすことができない。


■視点移動の法則

⇒フランス・パリ大学の科学者ジャバル氏の研究

「人が本を読むとき、目は1字1字を確認しつつ読んでいるのではなく、ちょうど速写カメラのように、文字列のある点に視点を固定して一定の範囲を読み、始点を移動させて、また次の範囲を読む。視点を移動する間は読んでいない」

⇒速く読むための条件

◇1停留点あたりの文字視界範囲をできるだけ拡大する
◇ページあたりの停留点の数をできるだけ少なくする
◇停留点から停留点までの移動を速くする



■キーワード法

⇒文章を決定的に左右する重要語だけを選んで読んでいく

⇒通常、名詞動詞であることが多く、日本語の場合、たいてい漢字カタカナ(外来語の場合)

 これに対して、英語はわずか27文字のアルファベット羅列で構成されているため、キーワードが探しにくい。それでも欧米人は必死になってキーワードを探して読んでいるのだから、キーワードが探しやすい日本語を日本人が速読しないのは実に損な話。つまり、日本語とは速読しやすい言葉なのだ。


■メインアイデア法

⇒欧米には「1パラグラフ=1メインアイデア」という原則がある

⇒通常、80%の確率でパラグラフの中の最初のセンテンスにメインアイデアが入っているという


■スキミング

⇒単一技術ではなく、各人の体得した各種速読技術を総合した技(アート)

 スキミングのスキム(skim)とは、上澄みをかすめ取るというような意味で、スキムミルクといえば、ご承知のとおり、牛乳の上澄みの部分をかすめ取ったものだ。

「飛ばし読み」「斜め読み」と違い、全体をくまなく見る


■スキャニング

視線をすばやく移動、走査させ、その全体像をつかみながら、目的の情報を検索すること

⇒普通の本にスキャニングを応用するコツは、読書目的を明確にすることであり、それによって、いくつかの言葉、またはテーマに、自分の関心がぐんと高まる

スキミングとの違いは、スキミングが全体・概要をつかみながら、要点を把握していくのに対して、スキャニングは全体を見るが、他のものには目もくれず、自分の目的のみを検索していくこと


■ニラ・バントン・スミス氏による5つの文書パターン認識(抜粋)

●経験共有型

⇒一般的に文章もやさしく、自分に話しかけていくような流れなので、一気にスラスラ読むことができる


●質疑応答型

⇒著者の狙い(メインアイデア)がはっきりしていて、その質問に示されているので、他のことを考えるまでもなく読み進める


■2-8の法則

「本の中の2割をうまく探して読めば、いまの自分に必要な情報の8割が獲得できる」

処理時間が2割(5分の1)になるから、時間あたりの処理スピードは5倍になる


■ジャスト・イン・タイム方式の読書への応用

⇒ダラダラと読み進めるのではなく、読書量読書時間を明確に設定して効率を高める


■速読でインプットを増やしてアウトプットも増やす手順

⇒速読によって、読書の「量」(範囲)「質」を増やし、インプットを増やす

⇒ブラックボックスの中で目的をもたせる

⇒実績や成果が出やすいアウトプットのしくみを整える

⇒ブラックボックスの中の環境を良くする

(詳しくは本書を)


■書店でできる実践速読トレーニング

●第一段階「素読」

⇒手に触れないで素通りしながら読む


●第二段階「触読」

表紙、帯、裏表紙、まえがき、あとがき、目次等を眺めていく


●第三段階「速読」

7〜8分で本の真ん中あたりに来るのが目標

エチケットとして守ってほしいこと(抜粋)

1.本を折り曲げたり汚さない。取り扱いは慎重にすること
4.買いたい本は立ち読みをした書店で買ってあげること


【感想】

◆冒頭でもご紹介した「王様の速読術」の人気の秘密の1つが、帯にも書いてあったように「脳の使い方だとか、目の動かし方、特殊な技術などを一切使いません。」という部分にあるのだとしたら、本書はある意味真逆です。

何たって、「トレーニング」「記録づけ」がこんな風に推奨されているという(汗)。

●視点移動トレーニング

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●1/3行読み(その後1/2行、1行、3行、5行、半ページ、1ページとハードになる)

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●速読訓練要領/速読訓練記録表

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要は、ガチ「速読本」ということですね(笑)。


◆これは2年前に比べて、世間的にスキルアップ熱が高まった結果、ある程度深掘りした内容でも受け入れられると判断したせいかもしれません。

何たって、「マインドブロックを外すだけ」でよかったハズが、しっかり「トレーニング」ですから(笑)。

もっとも、キチンとトレーニングをしなくとも、本書に書いてあるテクニックを駆使すれば、従来より速く読めるようになるのは十分可能です。

特に、「キーワード法」「メインアイデア法」「スキミング」「スキャニング」あたりを、知識として知っておくのと知らないのとでは、かなりの差がつくかと。


◆なお、特に上記ポイントでは取り上げませんでしたが、「コラム」として、さまざまな著名人の「読書家スタイル」が紹介されているのも、本好きにとっては嬉しいところ。

登場するのは、芥川龍之介、大沸次郎、サマセット・モーム、毛沢東などなど。

具体的な「速読のやり方」とは違うんですが、他人のスタイルを垣間見るのも、参考になるハズ。


◆また、「書店でできる実践速読トレーニング」のところで、エチケットについて言及されているのが微笑ましかったというか(笑)。

そうです、「本はキレイに読みましょう」&「読んだところで買いましょう」

私の場合は、「速読」ではなくて「選書」のためによく書店に行きますが、様々なテクニックを駆使しているところは斉藤先生と同じかも。

いや、同じ書店に週に2,3回行っても、新しく入った本以外は、あまり変わってないんですけどね(汗)。


◆本書は、「王様の速読術」とかぶるコンテンツもありますが、細かいテクニック等がお好きな方なら、きっと満足していただけるかと。

特に、「1冊30分」では満足できない方なら、本書で「かため読み」の練習(もちろん、事前に「視野拡大トレーニング」等も必要ですが)をすると良いかもしれません。

文庫本であるがゆえに、かばんに入れて持ち歩いてトレーニングするのも可。

本好きにとっては、かなりお買い得な1冊です!




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【編集後記】

◆今日はアマゾンキャンペーンのお知らせなんぞを。


「私が一番受けたいココロの授業」アマゾンキャンペーンのお知らせ

7/31(木)〜8/11(月)に、
「私が一番受けたいココロの授業」を
購入していただいた方には、次の特典がつきます!!
1.比田井和孝 授業動画(30分程度の予定)
2.比田井和孝 講演録(PDF)
  「心を育てる〜その人を、信じる心が人を育てる〜」
  …社会人向けにお話した、感動講演です。
3.まとめて50冊以上購入された企業・学校等の団体、
  比田井和孝が無料で出張授業に行きます!

いや、何がいいって、著者の比田井さんの笑顔がいいですよね〜(笑)。

何か癒し系


◆なお、その比田井さんの笑顔は、こちらでも動画でご覧になれます(笑)。

書籍「私が一番受けたいココロの授業」のご案内(ページの真ん中あたり)


この本は、長野県のある専門学校で、今も実際に行われている授業を、話し言葉もそのままに、臨場感たっぷりと書き留めたものです。
授業の名は「就職対策授業」。
しかし、この名のイメージからは大きくかけ離れたアツい授業が行われているのです。
「仕事は人間性でするもの」という考えに基づいたテーマは、「人として大切なこと」。

真剣に学生の幸せを願い、生きた言葉で語る教師の情熱に、あなたの心は感動で震えることでしょう。
そして、この本を読み終えたとき、あなたは「幸せな生き方」の意味に気付くはずです。

このたった一度の授業が、あなたの人生を大きく変えるに違いありません...。

・・・私のようなオサーンでも感動しちゃいそうですね(笑)。


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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは!

アメリカの大学の勉強に必要な物と言えば、大量のリーディング・アサインメントに耐え得る速読技術だと言う噂ですが、こういうのが必要なのかと…(汗

その技術としてスキミングやスキャニングというのは良く言われていますが、こういう本を見ると、マジでトレーニングせねばならんか〜と思います (^^;
フォトリーとはまた違う技術もありそうで、興味津々。

私はスキミングとかスキャニングは日本語ではだいたい出来るのですが(フォトリーというわけではなく)、専門書や英語の本はなかなか難しいです。

#英語ではかなり苦戦しています。出来ないのは、ひとえに実力がないが故ですが(爆)
Posted by Sio @ Sio's Gadget Blog at 2008年08月04日 18:12
               
smoothさん、こんばんは!

>要は、ガチの「速読本」ということですね

なるほど。トレーニング入門書みたいな感じなのですね。本好きとしては目が離せない一冊になりそうです。

>買いたい本は立ち読みをした書店で買ってあげること

確かにごもっともで極力そうしているのですが
目移りしちゃうと莫大な量になりAmazonアタックしたくなる…という悲しい性が(T_T)
Posted by hiro@平凡会社員の「多読」成功術 at 2008年08月05日 00:55
               
>Sioさん

本書を読んで、いかに日本語が速読向きなのかよくわかりました。
自分なりにスキミングもスキャニングもしてますが、私も多分、英語だと出来ないと思います(汗)。

そして、新ブログはさっそくRSS登録しますた!
無理しない程度に頑張ってくださいね!

>hiroさん

この本は文庫本ということもあり、コストパフォーマンスは高いと思いますよ!
機会があれば、ぜひご覧頂きたく。
そして立ち読みしたら、その場で買うとしても、ネット(例えばウチ(笑))で見たら、「アマゾンアタック歓迎」。←アサマシ(笑)
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年08月05日 02:13