2008年07月17日
【女ギーク?】マイクロソフトを飛び出して億万長者になった、私
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、米国amazon.comで第1位を獲得した、ある「女性起業家」の自叙伝。女性の起業家のお話は今までもいくつかありましたが、本書の主人公であるクリスティーン・コマフォード・リンチの特徴は、女性SEであること。
アマゾンの著者紹介から引用します。
クリスティン・コマフォード・リンチ Christine Comaford-Lynch
CEOを5回も務め、いくつもの会社を株式上場に導いた起業家。
マイクロソフト、ロータス、アドビ、アップルでSEとしてのキャリアを積み、IT業界歴は20年以上。
フォーチュン1000にランクインする大企業のうち700社、中小企業300社にコンサルティングを行ってきた。
IT戦略・中小企業対策について、ホワイトハウスの顧問を務めたこともある。
◆かといって、ガチガチの堅物かと言うと全くそうではなく、ビル・ゲイツとお泊りデートをしたり、オラクルのラリー・エリソンともお付き合いしたのだとか。
うーん、ひょっとしてこの方、ギークキラーの女ギークなんですか(汗)?

【目次】
第一章 思い込みを捨て、新しい一歩を踏み出そう
第二章 MBAなんかなくたって、実力で勝負すればいい
第三章 悩みのタネ=儲けのタネ
第四章 億万長者とのデートで学んだ大切なこと
第五章 失敗しても、何度でも起き上がろう
第六章 人脈は強い味方になる
第七章 自分の人生、自分で決める
第八章 社長の仕事はお金を集めてくること
第九章 すべてを思い通りにするなんて無理
第十章 幸せになりたければ、人助けをしよう
【ポイント】
■新しい一歩を踏み出すには?
⇒ほとんどの不安は錯覚の一種だし、特別なものでもない⇒不安はたいてい無知からきているから、くよくよ悩んでいないで行動を起こしてみること
■セルフイメージを上げる
⇒知っておかなければならないのは、人はいつも言葉以外のメッセージを発していて、周囲はそれに反応しているということ私は「成功したかったら、成功者のようにふるまおう」という考え方が好きだ。
■高校中退でマイクロソフトに入社するための3つの作戦
●裏口から入る⇒派遣会社経由で契約社員として入る
●正面玄関から入る
⇒正社員に応募する(ただし、どうしても面接を受けるために「男性」として書類応募した)
●通用口から入る
⇒OS部門のトップに電話して、ウィンドウズについての意見を述べる
●結果
⇒派遣会社経由で面接を受け、採用される
他に方法がなければ、裏口や通用口から入ってもかまわない。正面玄関は出るときに通ればいい。私はスキルに自信があったし、3つの作戦を実行すればどれかは成功すると信じていた。やる気があればなんとかなるものだ。
■実行力を身に付けるための10ステップ(抜粋)
●ゴールを具体的にイメージしよう⇒ゴールを決めるときは、「何を」「いつ」達成したいかを具体化するのがポイント
●「やる気をくじく」相手は遠ざけよう
⇒相手が「エネルギーを吸い取る」タイプかどうか分からなければ、一緒に過ごした後で、どんな気分になるかを試してみる
●たえず軌道修正しよう
⇒人は誰でも間違いを犯すが、正直に認めれば、同じ間違いを繰り返すことが少なくなり、すばやい後始末もできる
●成功したら、自分にご褒美をあげよう
⇒がんばって何かを成功させたら、自分にご褒美をあげよう
■人脈を活用する
⇒「相手に何かしてもらおう」じゃなく「相手に何をしてあげられるか」を考える投げたボールはいつか自分に返ってくる。助けた相手からとは限らないけれど。そう、因果は巡る。間違いない。
■成功している人の連鎖反応
エネルギー → 人脈(人付き合いにエネルギーを注げば、人脈ができる)
人脈 → アクセス(人脈ができれば、情報にアクセスできる)
アクセス → 影響力(情報にアクセスできれば、影響力が増す)
そして影響力が増せば、成功できる。成功している人は皆、この連鎖反応がよく分かっている。
■最強の4タイプを揃える
⇒リーダーは「ファンタスティック・フォー」、つまり最強の4タイプを揃える・先見の明があって、はっきり物が言える人
・リーダーシップがある人
・実行力がある人
・調整力がある人
■リーダーとは?(抜粋)
●自分より賢い人間を雇う⇒リーダーは自分が万能でないことを知っているから、自分より頭の切れる人間で周囲を固める
●盾となって部下を守る
⇒トラブルが起きたら、自分が盾となって反撃し、社員や部下を守る
●難題から逃げない
⇒難題に挑むことで人は成長する
■会社の外から資金を集める4つのポイント(抜粋)
●ポイント1:いくら必要か?⇒必要だと思う額より大目に集めること
⇒株の売却は慎重に
キャッシュは安いが、株式は高くつく。いったん会社の1部を売り渡したら、そう簡単には買い戻せない。会社の価値が低い駆け出しのうちは、小口の資金をいくつも集めた方が得策だ。
●ポイント3:誰(どこ)に資金を出してもらうか?
⇒信頼できる相手に出してもらうこと
⇒相手探しに時間をかけること
「生きた」金と「死んだ」金、あなたはどちらが欲しいだろうか?「生きた」金とは、密に協力してくれる出資者が出してくれる資金だ。こうした出資者は、見込み客や業界の有力者、マスコミ関係者を紹介し、事業をバックアップしてくれる。一方、「死んだ」金とはただの金であって、人脈などのプラスアルファはない。
あなたが起業したばかりで人脈がなければ、ぜひ「生きた」金をつかもう。すでに豊富な人脈があって資金だけが欲しいのなら、「死んだ」金でも問題ない。
■見返りを期待しない
⇒「〜してくれたらいいのに」というのは、単なるエゴ私は手のひらを下にして手を差し出していた。つまり、与えるのではなく、つかもうとしていたのだ。本当は手のひらを上にして――つまり見返りを期待せずに与えるべきなのに。
人間関係においても同じことが言える。見返りを期待しない人からは温かさが伝わるし、見返りを期待する人はガツガツした感じがする。どちらの姿勢が心の通じ合う関係を生み出し、両者にとっての利益をもたらすか。よく考えて欲しい。
【感想】
◆アマゾンの内容紹介にとあって、どんだけ「型破り」なのかと思ったら、確かにえらく型破りでした(汗)。世の中には「型破りな」人がいます。
「何か大きなことをしたい、プライベートを大事にしながら成功したい」という思いから、
常識破りの生き方を選ぶ、という人たちです。
この本の著者がまさにそういう「型破りな」成功者なのです。
そもそも、最初に会社を設立したのも、マイクロソフトでの成り行き。
国税の問題で、自分も含めて「契約社員の身分から派遣会社に登録を促される」という会議の席で、「派遣会社にぼられるくらいなら会社を立ち上げよう」と、「派遣会社設立」を決意。
派遣会社の人間もその場にいるのに、皆に向かって「私も派遣会社をやっています。うちの会社で皆を雇います」と、まだできてもいない会社に同僚を勧誘したツワモノです(汗)。
◆他にも、オフィスで『ヴォーグ』誌でゲイシャの写真を目にして
と決意するキレっぷり(汗)。よし、私がアメリカ人芸者の第1号になってやる。芸者マーケットを席巻し、アメリカン・ゲイシャ株式会社を作ろう。フランチャイズ展開も悪くない。上場してがっぽり儲かったら、マイクロソフトなんて辞めてやる!
結局、4ヶ月も芸者修行した後になってから花柳界のことを初めて知って、アメリカン・ゲイシャ株式会社が「愛人紹介業者」になってしまうことに気づき、この野望(?)は断念。
それでも、「芸者修行をとおして、営業スキルにも自信がついた」と言うのですから、くじけてません(笑)。
◆ところで、「女性起業家」としては、当ブログで以前ご紹介したこの本を思い出される方もいらっしゃるかも(右の本は、タイトルが違いますが文庫化されたものです)。
Amazy |
(参考記事:「大きなケーキは人にゆずろう」バーバラ・コーコラン)
バイタリティは確かに似たところもありますが、今回ご紹介したクリスティンの方が、かっとんでますし、その分(?)恋愛に関してはピュアな感じ。
◆何といっても冒頭にも挙げたように、マイクロソフト在籍中にビル・ゲイツとちょっとしたお付き合いもあったようで、第4章ではそのデートでのエピソードが描かれています。
個人的には、若き日のゲイツのオタクぶり(?)が結構ほほえましかったり(笑)。
ゲイツの自宅に招かれた際の二人の会話から。
オタクキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!「そうそう、ぼくはパズルを解くのがすごく速いんだよ」
助かった、話題が変わった。「ホントに?」
「ああ。キッチンにあるパズルは、これまでの最短記録が7分なんだ。7分。信じられる?ぼくなら4分以下で解ける。やってみせようか?」彼はキッチンへ手招きした。
オタクはこうした特技で、人の気を引こうとするものだ。そういう私も立派なオタクだから、げっぷでアルファベットが言えるという特技があるんだけど・・・ここで披露するのはやめておこう。
てか、「げっぷでアルファべット」は、まずいでしょう、「女性」以前に「人」として(汗)。
◆また、ラリー・エリソンから、自宅でインターネット(まだ全く普及していない時点で)のデモを見せられた時のエピソードもなかなか面白かったです。
・・・何だか古きよき時代って感じがしますね(笑)。億万長者にもいろんなタイプがいるらしい。ビルは気を引くためにジグソーパズルを解いてみせようとした。ラリーはソフトウェアのデモを見せようとしている。彼はテレビの電源を入れ、例の装置のボタンを押した。
「この端末をつなげれば、普通のテレビがインターネットへのアクセスポイントになる。見ててごらん、すごいから」
画面は黒いままだ。彼はボタンやケーブル、電源をあれこれいじった。
「よし、これでいい。見ててごらん、ホントにすごいから」
やっぱり、画面は黒いままだ。
「う〜ん。どこか調子が悪いんだな。昨日はうまくいったのに・・・」
「きっとすごいんでしょうね。ラリー」
◆本書はこんな感じで、全体的にはウィットに富んだテイストです。
ただし、「スキャンダルに巻き込まれて800万ドル損失した話」ですとか、「末期がんになった父との最後の2ヶ月間」といった、心の奥深い部分での葛藤や痛みといった描写もあり、その振れ幅の大きさが、本に厚みを持たせていると感じました。
なお、私自身にSE的素養がないため、クリスティンの会社の製品(「GUIガイドライン」とか)の位置づけがイマイチわかりにくかったのがちょっと残念だったかも。
逆に、モロSE系の方なら、私より深く本書が楽しめるかもしれませんね。
映像化されてもおかしくないタイプの面白さでした!
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【編集後記】
◆えー、今やロックなんぞ聴かなくなって30年近く経つワタクシですが、何となく読んでみたいのがこの本。ていうか、最後にライブに行ったロックって、ブロウ・モンキーズ・・・は、ソウルですか(汗)。

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人生こうでなくっちゃ。いざとなると女性の方が振れ幅が大きいと言うか、肝が据わっているというか、ぶっ飛び方も半端じゃなさそうです。
同じくぶっ飛び人生を歩みたい私としては、読まねば〜。
この人もすごいですが、なんだか周りの人もただもんじゃないですね。いろんな意味で(汗)
こういう人が成功するんだなという新しい例で、とっても新鮮です。これは買いっす。
真面目さとお笑いが上手い具合にブレンドされた好著だと思いますよ(笑)。
でも、ビルダーナースさんには、ここまではかっとんで欲しくないような(笑)。
>LuckyUSさん
本としては純粋に面白いです。
ただ、再現性については、局地的だと思いますね〜。
キャラあってのやり方かもしれませんし。
でも、映画化されたら観てみたいです(笑)。