2008年07月15日
【習い事】『「新・家元制度」顧客獲得の仕組み』前田 出
【はじめに】
◆今日ご紹介するのは、神田昌典さんのオーディオセミナーに登場した時点において、そのビジネスモデルの斬新さで話題騒然だった前田 出さんのご本。前田さんは、「押し花」「ビーズ」といった、従来からある手芸関係のインストラクター事業で大成功を収めた方です。
上記のアルマックのサイトでも神田さんの熱烈な推薦文がありますが、一応アマゾンの内容紹介から、神田さんのお言葉を。
私は本書を読むのは初めてですが、上記のオーディオセミナーは、それこそ耳にタコができるくらい聴きました(笑)。「本書内容を理解した途端、経営者・経営幹部、そしてアントレプレナーたちは、自分の事業の器の小ささに愕然としてしまうでしょう。いままで広告宣伝や営業活動を通じて、売上を増やそうと考えていたビジネスが、幼稚園レベルに思えはじめるはずです。
本書内容を十分理解・実践すれば、事業を安定的に成長させられるだけではなく、社会的に非常に大きな影響力を持つことは間違いありません。
それゆえに、私から、あなたへのお願いがあります。
本書を「儲かるから」という理由で、手に取らないでください。
ぜひ「利益の先に、何があるか」を感じてください。そして、事業を通して成し遂げられる、社会貢献の具体的ビジョンが見えている方・見ようとされる方のみ、本書をご活用いただくようにお願いします。
やる、やらないは別にしても、ビジネスモデルを考えることが好きな方なら必読です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
■巻頭の言葉
世の中を変えることになる、読者のみなさまに………経営コンサルタント 神田昌典
・一歩一歩山を登るのではなく、頂上から降り立つモデル
・ほとんどの商品・サービスが、コンテンツ産業・教育産業化していく時代
・この標準化をめぐる作業が、いま水面下で、急速に進行しています
・短期間で、日本人の文化レベルが大幅アップする!
■著者はじめに
■第1章
ほとんどコストをかけずに、3万5000人を集客する5つの秘策
・1 ピークアウトした業界に参入し、いきなり2000人の先生をつくる
・2 インストラクター事業のビジネスモデルは、どこから生まれたのか?
・3 押し花をクラフトから文化・アートの領域へ
・4 金メダリストの願いをかなえた押し花ビジネス
■第2章
2万4000人の先生をつくった「新・家元制度」顧客獲得の仕組み
・1 No.1になる秘密は「先生」が「先生」をつくるモデル
・2 「好きを仕事に!」する6つの報酬体系
・3 頂上は高く、裾野は広く
■第3章
数万人が押し寄せる百貨店・美術館で、先生をブランド化する方法
・1 なぜ、百貨店の催事場で展示会を開催するのか?
・2 動員力のカギを握るのは、「認知率と反応率と同伴率
・3 百貨店の売上を上げる仕組みを提案する
・4 イベント会場は最高の営業拠点
・5 先生をブランド化する具体的な方法
■第4章
一挙にお客を集める7つの法則
・1【法則1】ブランド力……冠をつくれ
・2【法則2】口コミ力……女性の口はテレビより強い
・3【法則3】継続力……会員継続率96%!究極のリピーター制度
・4【法則4】同伴力……1人のスターより100人の「先生」
・5【法則5】購入力……主婦「先生」は幸福な小金持ち
・6【法則6】アート力……美術館でのコンクールは夢の実現
・7【法則7】行動力……好きなことなら2泊3日でも
・8 男性には、なぜ「7つの法則」が当てはまらないのか?
■第5章
どんなビジネスにも使える! 一気に業界No.1になる仕組み
・1「どんなビジネス」でも、「どんな成長カーブ」のときでもOK
・ 2「検定はNO! 認定はOK」の深い理由
■第6章
112年ぶりの公益法人制度改革!
いまこそ「新・家元制度の仕組み」をつくるとき
・1 112年ぶりの公益法人制度改革で、登記だけで一般社団法人、一般財団法人がつくれる
・2 新・家元制度「ボディマネジメントコーチ認定講座」で見るインストラクター事業のつくり方
【ポイント】
■「新・家元制度」とは?⇒「家元制度」自体、優れたビジネスモデルであり、過去の納税番付でも、家元が何人もランクインしている
⇒「新・家元制度」では、社会的な意義のある検定・認定制度を立ち上げて、標準化された技能や知識を教えるインストラクターを養成する
■ほとんどコストをかけずに集客する5つの秘策(抜粋)
●ターゲットは「生徒」じゃなく「先生」
⇒「ただ習いたいだけ」の「生徒」は募集せず、自分の好きなことを学んで先生になろう、好きなことを仕事にして収入を得ようという目的意識を持っている人だけを募集する
●イベントで人を集め注目度を上げる
⇒イベントで大切なのは、最高の「晴れの場」であり、成功したイベントはインストラクター事業のショールームとして機能する
●10年後にも定番と言われる「教科書」をつくる
⇒体系化したマニュアルを標準の指導時間で区切り、1つひとつを指導マニュアルとしてパッケージ化することまでが、インストラクター事業で目指すべき標準化
⇒カリキュラムを提供したカリスマが関わらなくても指導・評価できる仕組みを作り上げる
■「好きを仕事に!」する6つの報酬体系(抜粋)
●その1「お金」
⇒先生方は、指導料・講習料より、むしろ教材販売で多くの収入を得ている
⇒指導料を受け取りながら、自分の事業を手伝ってくれるアシスタントやスタッフを自分自身で育てられる
●その2「ボジション」
⇒「○○先生」と呼ばれる喜びは、お金よりも大きい
■百貨店の催事場で展示会を開催する意味
⇒主婦相手であれば、交通アクセスが良いことは必須
交通アクセスが悪くて、しかも他に魅力のない会場にお客様を呼ぼうとするより、すでに百貨店まで来ているお客様に「このイベントを見に行ってみよう」という気持ちにさせるほうが、よほどハードルが低いのです。
⇒展示会に来場するお客様の40〜50%は、百貨店が毎月請求書と一緒に送るイベントのチラシに興味を持って、買い物ついでに来場した百貨店の顧客
⇒百貨店側も、最上階の催事場から降りてくるお客様が、下の階で買い物をすること(「シャワー効果」)を期待している
■動員力のカギを握る要因
⇒一般的に告知力の大きさ(「何万枚チラシを配布した」等)が動員力を決めると思われがちだが、実際には「認知率」「反応率」「同伴率」がカギを握り、これらは自分たちでコントロール可能
⇒認知率、反応率が70〜90%ある1万人の会員組織を持っていれば、認知率、反応率が1%しかない100万部発行の雑誌媒体を持っているのと同じ
■先生のブランド化
●コンクール
⇒「新・家元制度」のようにフラットなインストラクター制度だと、資格は1つしかないので、コンクールのように、自分の実力で上のポジションに上がっていく場を作る必要がある
⇒コンクールでは日本一は一人だが、佳作や各賞を受賞した先生は地域で一番を宣言できるので、教室の生徒さんやカルチャー教室に対してアピールできる
●4つの証明証(抜粋)
⇒「賞状」
⇒「受賞作品を百貨店で展示」はじめてのカルチャー教室に営業に行くときに、他の先生との差別化に使います。
一番大きいのは、生徒募集の広告に受賞を賞状で示せば、ビジュアル効果は抜群です。
■一挙にお客を集める7つの法則(抜粋)
●器(組織)に冠をつける
⇒組織につける冠でポイントとなるのは、社団、財団などの公的な団体からの認定や監修をもらえるかどうか
⇒組織に冠をつけるということは、資格を取った人が先生として活躍するためのバックボーンとなる
⇒先生に冠をつけるには、上記の「先生のブランド化」の仕掛けそのもの
●口コミ力
⇒女性には「群れる・語る・誘う」という習性があり、これがイベントでの集客を成功させる大きな要因
⇒最近は携帯メールが普及し、主婦が気軽に利用できる連絡手段が登場したことで、主婦のネットワーク力、口コミ力は大きなパワーを持つようになっている
●同伴力
⇒安いギャラで、200人を集められるタレントはなかなかいないが、20人の先生が、4〜6人の友人や生徒を連れてきて、200人集めるのはそれほど難しくない
⇒大切なのはスターを呼ぶことではなく、参加者1人ひとりを主役にすること
■正しいコミュニティの作り方
⇒ほとんどの人は、器と冠をつくったら、すぐにコミュニティを作ろうとするが、標準化や検証、結果を飛ばしてコミュニティを作っても、中身のない組織になってしまう
⇒さらに多くの人が犯す間違いは、すぐに会員に商品を売り、自分たちが儲けようとすること
会員は、インストラクター事業にとって先生です。
私たちが会員に販売するのは、商品ではなく教材です。もちろん、会員に教材を売ってもらう仕組みをつくったうえで、会員から求められる商品を売ることはあってもいいと思います。
でも最初から、商品を販売する仕組みをつくるためのインストラクター事業では、何のための組織かわからなくなり、せっかくつくった組織はあっけなく崩壊してしまいます。
【感想】
◆一時期、『「美しいビジネスモデル」とは何ぞや』というネタが私の周りでブーム(?)になっていたことがありました。もちろん、「正解はコレ!」というようなものではなく(もし正解があれば皆やるはずですし(笑))、色々な意見があったのですが、その中でも秀逸だと言われていたのが、俗に言う「家元制度」。
本書では具体的なお名前は特に書かれていませんが、「納税番付」とか言われたら、「なるほどね」と思われる方も多いかと(笑)。
ちなみに、こういった「人に何かを習う仕組み」がビジネスとして成立するのは、どうも日本の独自性にあるようで、諸外国だと、途中からどんどん「オリジナリティを追求」してしまうので、難しいのだそう(笑)。
◆さて、本書でうたわれている「新・家元制度」は、従来の「家元制度」の良いところに加えて、特に「公益法人制度」にまで踏み込んでいる点が、特徴的です。
この辺は、会員さんや生徒さんを「安心させる」という点では、非常に大きな意味を持っていますし、さらに「メディア露出」や「催事場利用」等の場面でも効果があると思われ。
本書の第6章では、その辺のお話も結構細かく載っているのですが、本業とも若干関わってくる関係上、コメントは差し控えさせていただきます。←ヲイ(汗)!
参考までに、本書にも記載されているサイトを。
「公益法人制度改革の概要」
◆実際に「新・家元制度」をやるかどうかは別としても、集客のお話などは、非常に参考になりました。
特に上記でも挙げた「同伴力」。
これでフト思い出したのが、大昔に知り合いのDJに呼ばれた、クラブ(踊る方(笑))でのイベントでの出来事。
◆ご存じない方のために、簡単にご説明しておきますと、クラブでイベントをする場合、通常主催者は、箱の所有者にフィーを払って時間借りをしています。
つまり、基本的に集客力があった方が、イベントとしてはペイするわけで、主催者は集客力のあるDJを好みます。
もちろん、名が知れている有名DJであれば、身内ではなく、その人目当てで人が集まったりするのですが、そうでない場合には、ノルマとまではいかなくとも、ある程度友人・知人に声をかけるのがお約束。
しかし、DJひとりで何十人も呼べるわけがない上に、大体1セット45分〜60分程度で交代する以上、DJできる人数も限られるわけです。
◆ところが、その時呼ばれたイベントでは、やたらダンサーのショータイムが多くて、45分DJタイムがあったら、次の30分以上がショータイム(通常は、ショータイムがないイベントがほとんどです)。
この1回30分のショータイムに何組くらいのチームが参加しているかというと、多分、5〜6組。
何せ、DJと違って1セットで5分も踊れませんから(激しすぎて(笑))、次から次へと新しい人(チーム)がステージに登るワケです(汗)。
しかも、1チーム最低でも3人くらい(多いところだと8人とか)いますから、それぞれが身内呼んだら、何人集まってるんだというお話。
いつか自分がイベントを主催するなら、絶対ショータイムを入れようと心に誓ったワタクシでした(マジで)。
・・・って、いつのまにかビジネス書読んでますが、何か(笑)?
◆なお、上記ポイントで挙げた「一挙にお客を集める7つの法則」は、実は「女性には有効」ですが、必ずしも男性には効果があるわけではないそう。
本書では「なぜ男性には当てはまらないのか」についても言及されているのですが、ぶっちゃけ「身も蓋もない(涙)」理由なので、お知りになりたい方は本書を。
同じく、「検定と認定では、根本的にビジネスモデルが違う」というお話も、すごく深かったものの、これまたブログで公開するには際どすぎるので自重(汗)。
何やかんやで他にも自重しまくった一冊でした。
「場のビジネス」「スクールビジネス」に関心のある方なら、必読!!
【関連記事】
「究極のマーケティングプラン」ダン・ケネディ(著)、神田昌典(監訳)(2007年04月16日)「クチコミの技術」コグレマサト,いしたにまさき(2007年03月28日)
「クチコミュニティ・マーケティング」日野佳恵子(著)(2006年09月08日)
「これ、知ってました?集客に、お金はかからないのです。」藤村 正宏 (著)(2006年05月21日)
【編集後記】
◆昨日のお買い物。女性の書く「成功本」ということで、鬼が出るか蛇が出るか・・・(汗)。
ご声援ありがとうございました!
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家元の本ですが、amazonのレビューがちょっと胡散臭かったので買い控えていましたが、今日のエントリーを拝見し、背中を押されてしまいました!
余談ですが、日経アソシエに登場していましたね。黒の背景は雑誌に載ると結構目立ちますね。
ではでは。
手元にあるのに読んでないこの本。
先を越されてしまいました(汗)
やっぱビジネスモデルを考えるのも
面白いですよね。「家元」って言葉も
古いが故に耳なれず、新しく聴こえると
いうマジックかも。
大変興味深い本ですねぇ・・・
読んでみたい!
またまた気になる本のご紹介ありがとうございます!
もちろん『マイクロソフト億万長者』のほうですが(笑)。
いつも【編集後記】で「ちょっとだけ顔出し本」の方が妙に気になるのは私だけ(汗)?
本日書店でおもむろにAssocieをパラ読みしてたら、「マインドマップ的読書感想文」を発見!
書評ブログ1点もので紹介されてました。土井さんのメルマガと肩を並べて紹介されてましたよ。
って当然smoothさんはご存知なのでしょうけど、明日あたりAssocieのお話でしょうか?
>ゆきんこさん
背中押してしまいましたか(汗)。
お買い上げありがとうございます。
アソシエの件は、明日、てか数時間後に(笑)。
>LuckyUSさん
神田さんのCD聴いてる人の間では、話題だったんですよ。
ただCDだと記事に出来なかったので、今回の書籍化は嬉しかったです。
>イヴォンヌさん
ご無沙汰しております。
イヴォンヌさんが反応される、というのも面白いような(汗)。
>具太郎さん
さすがいいところに目をつけますね。
ただ、あの部分は、基本的に読んでない本なので、中身はわかりませんよ(笑)。
>hikaruさん
というわけで、数時間後に簡単に記事にします。
これおもしろそうですね!
感想のダンサーの話でウロコを落としてしまいました!すごい☆
Associeに掲載されたんですね!
すごいですね。見てみますね。
なぜにこんな時間にコメントを(笑)。
私は今から寝ますよ〜。
ダンサーのお話は、ノルマのある演劇とか、バンドのライブにも似た感じですね。
そしてアソシエの件はもうすぐ記事にしますので、ご覧下さい。