2008年07月05日
【10の戦術】「これで売上げは倍増!ウザい客に買わせる技術」
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、週末であるにもかかわらず(?)セールス関係の一冊。本文中やたらと出てくるタフな客、「SOB」とは、「がんこな(stubborn)」「たちの悪い(obnoxious)」「けんか腰の(belligerent)」の頭文字をとったものだそう。
・・・って、「訳者あとがき」で「ホントは"son of a bitch"の意味でしょ?」みたいに突っ込まれているんですが(汗)。
◆ただし、タイトルとはうらはらに、書かれているセールステクニックは、きわめて王道的なもの。
そう言えば先日読んだこの本にも、「営業力の高い人はどんな企業に入っても通用する」と書いてあったばかりでした。
私もたまには本業がらみで頑張ってみますかね(笑)?
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 イヤな客の「10の真実」を理解しよう!
第2章 タフに、シャープに、成長して飛び立とう!
第3章 「できる」だけでなく「違う」存在になろう!
第4章 セールスプロセスから「争い」をなくそう!
第5章 イヤな客の「四重の脅威」を克服しよう!
第6章 問題の芽は小さなうちに摘み取ろう!
第7章 なじみ客のカルトをつくり出そう!
第8章 「今日買おう!」という気にさせよう!
第9章 イヤな客の心を読もう!
第10章 見切りをつける覚悟ももとう!
【ポイント】
■イヤな客の10の真実(抜粋)
⇒あつかいにくい客は「3つの不安」を感じている⇒相手を言い負かすためでなく、理解するために耳を傾けるSOBたちは実は心の中で、セールスパーソンに対していろいろな不安を感じている。最大の不安は次の3つだ。(a)時間をムダにされるのではないか、(b)ほんとうにわかっているのか(ほんとうのプロなのか)」、(c)信用できるのか。
⇒SOBには「持ち上げ」作戦で
⇒気むずかしい客ほど、購入を断ってもまた声をかけられたがっているわけ知り顔のSOBには、さらにこんな言葉も殺し文句になる。「私などよりも商品知識がおありのようです。もしも転職をお考えでしたら、優秀な逸材として大歓迎です」
自動車セールスの場合、初めて販売店に来た客に対するセールスの成功率は約12%なのに対し、客をもう一度販売店に呼び戻すことができた場合には成功率が66%にもアップする。
■心がまえをよくする9つの方法(抜粋)
⇒ネガティブな人たちや環境にはかかわりをもたない⇒自分でコントロールできることに主眼を置く
⇒「すべて自分のため」ではなく、人のためになることもする
⇒客の「ノー」を自分個人への「ノー」と受け止めない
■セールスプロセスにおける争いを防ぐ13の方法(抜粋)
⇒プレゼンテーションで過度の誇張は避ける⇒競合商品をけなさない
⇒客側のだれに対しても同じ態度で接する
⇒たとえ自分のほうが正しい場合でも、客とは言い争わないとくにありがちなのが、女性や子供、高齢者に対して見下したように話すこと。そうした人たちも購入決定に影響力をもっているので、セールスプロセスの早々に彼らを敵に回したらもうおしまいだ。
⇒客はあなたを、身だしなみや服装で判断する客が何かまちがったことを言ったら、あるいはあなたには賛成できないことを言ったら、こんなふうに応じればいい。
「ええ、そういう考え方もあります。では、こうお考えになったことはおありでしょうか……」
⇒ごまかしは一切禁物であり、客との間には「ウソも方便」は当てはまらない
⇒商品・サービスの価値を説明する段階に入るまで、値引きの話は持ち出さないこと
SOBは、早々に話を最大限の値引きにもっていこうとすることが多い。それに乗ってしまうと、あなたは価値について説明することがないまま、自分が初めに示した価格をただ言い張るだけの立場におちいってしまう。
■相手が競合商品を持ち出してきた場合の効果的な対応(抜粋)
●相手の購入理由、つまり最大の関心事を見きわめる⇒自分の商品をこれでもかとアピールする前に、落ち着いて相手の購入理由を性格に把握する
●相手の最大の関心事に合わせてプレゼンテーションする
⇒こちらの商品が、相手の最大の関心をもつ点に関してどのような特長をもっているのか、にプレゼンテーションの的を絞り込む
それ以外の面での比較は、そもそも相手にとって無意味であり、それどころか意図的に関心をそらして買わせる戦略と受け取られかねない
■けんか腰の客を上手にあしらう6つの方法(抜粋)
⇒相手の文句に対しては、必ず「すいません」と言ってから答えること⇒相手の怒りの対象にあなたも怒りを示す
⇒たらい回しは厳禁たとえば、こう言えばいい。
「私だって頭にきますよ」「あってはならないことです」「まったくひどい話ですね。よくお怒りを抑えていらっしゃると思います」
客がいちばん嫌うのは、堂々めぐりの状態に置かれることだ。そんな目にあわせると、怒りの火に油を注ぐことになる。
■マリオットホテルに学ぶ顧客ロイヤリティー
⇒「問題は何もなかった」という宿泊客の89%が、「またマリオットを利用するだろう」と回答⇒「問題があって解決されなかった」宿泊客のうち69%が、「またマリオットを利用するだろう」と回答
⇒「問題はあったが解決された」宿泊客のうち94%が、「またマリオットを利用するだろう」と回答
つまり、一時的な問題があったにもかかわらず、ほぼ全員がまた利用したいと言っているのだ。このアンケート調査は、1つの大きな教訓を私たちに教えてくれている。すなわち、問題がまったくない場合よりも、問題があって適切に処置された場合のほうが顧客ロイヤリティは高くなるのだ。
ミスはだれにでもあり、時としてエラーが起こる。最大のポイントは、その後の処置にこそある。小さなうちに問題の芽を摘み取るべきなのだ!
■将来の顧客のパイプラインをつくる3つの方法(抜粋)
●セールスをした顧客の全員に客の紹介を依頼する⇒これを習慣として身につけ、もし依頼を忘れたとしたら、慢心の表れと思うこと
⇒セールス完了直後は、顧客は一番上機嫌なので、そのときに紹介依頼をすること
●過去の顧客たちとのつながりを維持する
⇒セールスが終わっても、相手を過去の顧客として切り捨ててはいけない
⇒少なくとも年に2回か3回は電話でフォローアップするとともに、毎月あるいは四半期ごとにニュースレターを送るべき
そうしておけば、相手がまた購入を考えたとき、あるいは相手の友人や知人が購入を考えたとき、まずあなたのことを思い出してもらえるだろう。要するに、多数のセールスパーソンがひしめき合っているなかで、あなたは自分をプロとして際立たせることができるのだ。
■相手の話の行間を読む4つの例(抜粋)
⇒相手のSOBが他の商品・サービスのことをまったく口にしない場合は、実際に無関心であることが多い⇒あなたの商品・サービスについて、相手が否定的なことも肯定的なことも言わない場合、それはその商品・サービスが相手に合っていないことを示している
■セールスに失敗した後の「7つのステップ」(抜粋)
●理由をつきとめる⇒フィードバックを今後のサービスに活かせば、失敗の代償をその何倍もの見返りへと変えることが可能になる
●時間をくれたことに礼を言う
⇒考慮の対象として時間をさいてくれたことに感謝する礼状を出すだけで、他の99%のセールスパーソンとは別の存在になれる
●客の紹介を求める
⇒前述のステップを実践すれば、セールスを失敗した相手から、客の紹介を受けられる可能性はかなり高まる
【感想】
◆あまり営業本を読まない私が、たまーに気まぐれで(?)買ってみると、こういう濃い内容にブチ当たってしまう、というのは、何かの運命なんでしょうか(笑)?既読本とかぶったり、ジョー・ジラードの本からの引用があったり、と必ずしも「目からウロコだらけ」というワケではなかったのですが、それでも付箋は貼りまくり。
今回もポイントはかなり端折っております(スイマセン(汗))。
◆私自身は、あまりタフなお客だとは思っていないものの、相手の店員さんの対応いかんによっては、プンプンと怒り出してしまいそうになるのもまた事実。
本書は元からタフな客の対応だけでなく、フツウのお客さんをSOBにしないような対応までフォローしており、こういうのは、むしろ、上司の方が読んで部下に指摘して頂きたいところ。
そもそも店員さん自身だって、自分で気がついていれば、そのような対応を取ることもないハズですし(笑)。
◆「過去の顧客とのつながり」というお話を読んで、未だ事務所のロッカーの扉に貼ったままのこの薄型のマグネットを思い出しました。
確かコレ、5年以上前に、「花粉症に効くかも」と思って通販で買ったサプリメントの小包に、一緒に入っていたもの(私の管理番号は白く消してあります)。
結局あまり効かなくて(笑)、その商品は翌年以降買わなかったのですが、今後何かしらサプリメントを買おうと思ったときに、確かにこういうマグネットあったら、「あー、あの会社あったっけ。どうせ住所知られているし」、とファーストチョイスする可能性は高いかと。
◆また、例えば「生命保険」などは、一度加入したら、当分次の購入機会はないのでしょうけど、皆さんまめに葉書やメールを下さいます。
もちろんこれは、「紹介」につながるものですから、当然と言えば当然(Kさん、全然お客さん紹介できなくてスイマセン(汗))。
本書においても、著者のアンダーソン氏が自分自身の体験談として、「大金をはたいて海辺の別荘を購入した」にもかかわらず、礼状一つも出さない不動産会社の担当者のお話を紹介しています。
えー、今さらですが、お中元のお礼状をしこしこ書いているワタクシ(汗)。この不動産会社の担当者は、ロイヤリティーの高い顧客の刈るとをつくり出す努力を怠っている。それによって彼は、どれだけのリピートや顧客紹介を失っていることだろうか。もしあなたもその努力をしていないとしたら、損失について考えたことがあるだろうか。セールス後のフォローアップの努力には計り知れない効果がある。あなたの評判が思わぬところにまで広がる可能性があるのだから。そして逆に、あなたの無神経さによる悪評もまたどこまで広まるか知れない。
◆なお、今回のポイントでは挙げませんでしたが、『「今日買おう!」という気にさせよう』という8章あたりは、一般的な「セールス」、それも結構タフなスキルのお話だったりします。
他にも自分が過去、セールスを受けたときのことを思い出して、「あー、なるほどこういうことだったのか」とか思うところもチラホラ。
接客を受けるとついつい買ってしまう人も、事前にこの本を読んでおけば、未然に防げる・・・かも(笑)?
売る人、買う人、きっと得るところがある一冊!
【関連記事】
【セールスハック】「トップセールスの頭の中」田中 徹(2007年12月25日)【営業】「セールスバイブル」ジェフリー・ギトマー(著)和田裕美(監修)(2007年10月13日)
【セールス】「無敵のエリア密着型セールス」小原健志(2007年08月10日)
「読むだけで驚くほど見込み客が集まる本」神尾えいじ(著)(2006年08月16日)
「御社の営業がダメな理由」藤本篤志(著)(2006年07月08日)
「新規開拓必勝マニュアル」 梅宮和男 (著)(2006年03月08日)
【編集後記】
◆発売はまだちょっと先のお話なんですが、「はじめての課長の教科書」でお馴染み、酒井 穣さんの新刊のアナウンスを発見!『あたらしい戦略の教科書』が出ます。:NED-WLT
とオモタら、既に小飼 弾さんは書評記事を書いてました(爆)!
何があたらしいか? - 書評 - あたらしい戦略の教科書:404 Blog Not Found
ここまで時間差がありすぎると、逆に先んじる意欲も無くなります罠(笑)。
ご声援ありがとうございました!
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いつも楽しく拝見させていただいております。
本のタイトルの「うざい客に買わせる技術」ってのが気になりますね。
個人的にはウザいお客様には、買ってもらわなくても結構な感じもしますが・・・
セールについてとても為になる情報ありがとうございました^^
まぁー正直なところ・・・いなくはないですよねぇ(笑
コメントありがとうございます。
この本、タイトルでちょっと損してるような気がしますね。
書かれていることは結構まともなので。
今後ともよろしくお願いします。
>ITおやじさん
そうですか、いらっしゃいますか(汗)。
私もどこかの店でそう思われたりして(汗)。
結構小心者なので、「泣き寝入り」多いんですがー(笑)。