2008年06月24日
【コンサル思考】「戦略コンサルタントに学ぶ3倍速仕事力」岡島悦子(監修)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、最近やたらと登場することが多い「コンサルタント」さんに焦点を当てた一冊。著者の岡島悦子さんは、以前どこぞでお名前を拝見していたな、と思っていたら、やはりこのイベントでした(笑)。
勝間和代・渡辺千賀・岡島悦子、怒涛のパネルディスカッションご案内:ヘッドハンター 岡島悦子のインサイト
実際、このセミナーは私も非常に参加したかったのですが、「女性限定」ということで、
◆さて、その岡島さんが今回取り上げられたのは、コンサルティングファームを経て、今は別の会社で成果を挙げている若手ビジネスパーソン11名。
皆さん若手ですし、知名度的にはそれほど高くはない(失礼)ものの、その仕事ぶりや実績は「さすがコンサル出身」と思わせるモノがあります。
果たして、コンサル的な仕事力とは如何に?
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
巻頭提言 3倍速で結果を出すのが戦略コンサルタントの仕事力
株式会社プロノバ 代表取締役 岡島悦子
大切なのはパッションとロジック。物語の力が人と会社を動かす
ライフネット生命保険株式会社 取締役副社長 岩瀬大輔さん
店舗運営を成功に導いた「文章力」と「数値化思考」
株式会社ポケモン 宇都宮崇人さん
仕事の「最大化・最適化」を常に意識して行動する
株式会社グロービス/グロービス経営大学院 君島朋子さん
創業時、コンサル思考で立てた経営戦略は今も生きている
株式会社リサイクルワン 代表取締役 木南陽介さん
ビジネスのあらゆるシーンで「付加価値の創出」を意識する
マイクロソフト株式会社 佐藤恭平さん
自分の五感をフルに働かせてつかんだファクトから仮説を導く
オイシックス株式会社 代表取締役 高島宏平さん
「フレームワーク思考」が会議や議論を活性化する
株式会社バンダイ 高橋尚哉さん
追求すべき価値があるのは「本当に実現できること」だけ
PEファンド 長田志織さん
定量化のスキルが判断能力と説得力を高めた
クラシエ製薬株式会社 原田佳実さん
参謀役のコンサルタントがベンチャー支援には不可欠
株式会社RCF 代表取締役社長 藤沢 烈さん
ロジックは必要最低条件。人に動いてもらう力こそが武器
株式会社経営共創基盤 松岡慎一郎さん
【ポイント】
◆今回はインタビュー集なので、引用中心で。■岩瀬大輔さん
●「ファクト」を提示する
たとえば企業規模が大きくなればなるほど、企業をとりまくステークホルダーは多くなり、「しがらみ」のようなものも増えます。(中略)
そういう企業を変えるためにはどうすればいいか。丹念に集めた「ファクト」を力強く提示することです。
●自分の立場に置き換えて考える
またBCGでは、常に「So What?(だから何?)」というフレーズを意識するよう指導されました。たとえば何かの本を読んで内容に感心したとしましょう。このときに、ただ感心して終わってしまっては意味がありません。そこに書いてあったことを「現在の仕事にどう結び付けられるか」「自分の行動にどう反映できるか」というふうに、自分の立場に置き換えてかんがえるのです。
◆「東大卒」、「司法試験合格」、「ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)を日本人では14年ぶりに優等賞(成績上位5%以内)で卒業した」という、スーパーマッチョな岩瀬さん。
BCGでの経験から、ネット直販の生命保険会社を立ち上げるまでのお話は、かなり刺激的です。
また、上記の「ファクト」とともに重要視されているのが「物語性」だそう。
「物語」と言えば、私のお友達の平野の本でも(笑)。
■宇都宮崇人さん
●文章力を身につける
また、他人に読んでもらうものですから、ロジカルであることも大前提です。つまり、一人前のコンサルタントになるには、高度な文章力を身につける必要がある、ということです。
◆色々なところで紹介されている、このバーバラ・ミントさんのご本。
でも宇都宮さんはこの本を紹介した直後に
『ただ、正直なところ、本を読んだだけでは文章力は身につかないというのが僕の実感です。やはり「ひたすら書き続ける」という実践的なトレーニングを積むのが一番だと思います。』
と、身も蓋もないお言葉が(汗)。
・・・やっぱり実践あるのみですか・・・。←当たり前
■木南陽介さん
●「ファクトベース」で考える
◆またも出ました「ファクト」。物語を「ファクトベース」で考えられるようになったのは、マッキンゼーにいたからだと思います。(中略)
たとえば、テレビのニュースで、どこかの工場が黒煙を上げた事故を見ると「大変だ」と騒ぎ出す。でもそういう事故は、事業を長くやっていればある確率で起こりうることです。本当に大事なのは「被害額はいくらか」「原因は何か」「どう対策するか」などです。(中略)
たくさんのファクトを「これは小さい」「これは重大だ」と分けていって、一番経営にインパクトのある本質的なものに収斂させていく、という思考法は身につきましたね。
参考までにマッキンゼーさんのサイトから。
確かに「事実」と「意見」がごっちゃになっていることって、よくあります(・・・って私だけ?)。ファクトベース
徹底的に事実を見定める
日々めまぐるしく変化する事業環境の中で、過去の経験や勘だけを頼りに判断することは非常に危険です。そのためには、経験知や暗黙知ではなく、市場の変化や顧客の視点など、さまざまな観点からファクト(事実)を収集し、分析する必要があります。ファクトを正しく捉える――これこそが、私たちのサービスの基本です。(後略)
これからは、それが「事実かどうか」を意識して思考したいものだな、と(汗)。
■佐藤恭平さん
●「論点」を設定する
◆なるほど、「仮説」の前に、まず「論点」があるわけですね。クライアントからある経営課題の改善を求められた場合、最初に行う作業は「仮説設定」だと考えられがちです。もちろん仮説も大事ですが、その前に「論点」を設定することも重要。「そもそも問いは何なのか」を明確にし、その論点に対して「どこに問題が潜んでいるのだろうか」「こういうことではないか」と考えること、これが仮説です。
確かに「問いが正しければ、問題は半ば解決したようなもの」という話も聞いた記憶が。
ということで、「初めに論点ありき」と、覚えておきます。
■高島宏平さん
●仮説のある・なし分けられる
◆オイシックスの代表取締である高島さん。「仮説がない状態」と「何でもいいから仮説がある状態」というのは、大きく違います。(中略)
仮説を作るときのポイントは、「できるだけショートカットする」ということです。(中略)
逆に、すでに仮説がある課題に対しては、自分の仮説に依存し過ぎないようファクト・ベースで考えることが大切です。「好きか・嫌いか」という問題ではなく、「正しいか・正しくないか」で考える、これがファクトベースの思考法です。
マッキンゼーにいらした2年間を「ハード」ではなく「非常に楽しく過ごすことができた」と言い切れるのは、並みの人ではございません(汗)。
他にも、「食品のネット販売」という「前例がない事業」を行うオイシックスを軌道に乗せることができたのも、
という一節は、「目からウロコ」でした。「何をやったらいいかわからないときに。何からやっていいかがわかる」という、コンサル時代に学んだスキルがあったから
■高橋尚哉さん
●前提を疑う
◆確かに思考が停止していると、目の前の前提条件を何の疑いもなく受け入れてしまいそう。そもそも人は変化を好まない保守的な生き物ですから、常識という前提条件を何の疑いもなく受け入れてしまいがちです。でも、その前提条件を疑ったり取り払ったりしなければ進歩は生まれません。だから私は課題を見つけたり戦略を立案したりするときに、そうした前提条件を疑うことを心がけるようにしていました。
また、「過去の成功体験」も、なかなか覆しにくいところ。
実はこのブログの運営方法についても、とある方からアドバイスを受けた際に、過去の自分なりの「小さな成功体験」みたいなものをなかなか捨て去りきれなかったことがありました。
ちなみに、テンプレの背景が黒なのは、今さら白にすると、手打ちタグの「拡大蛍光色部分」を全部手修正しなくてはならないので、今さら変えられないだけであって、成功体験とは関係ないです(汗)。
■長田志織さん
●ミーティングでポストイットを活用する
◆これはハックネタとしてもなかなか秀逸かと。もう一つおすすめなのが、巨大な模造紙を壁に貼り、メンバーに大きなポストイットに問題点を書き出してもらい、そのポストイットを模造紙に貼りつけながら会議をする方法です。こうしてあらゆる問題を全部挙げてみてから、「一番の原因は何でしょう?」といったことを、みんなで考えて合意形成していくわけです。これは簡単な方法ですし、納得感を共有するのに効果的です。
そういえば、先日の小宮さんのご本でも、「ディシジョンツリーをポストイットで作る」やり方が出てきたばかり。
なるほど、コンサルさんはポストイットをこういうやり方で活用されてるんですね。
【感想】
◆文字量の関係上、全員ご紹介できなかった上に、それぞれの方についてもワンポイントだけでしか紹介できずスイマセンでした。本書はムック本だけあって、「●●さんのコンサル後の仕事」「現職ではコンサル思考をこう生かしている」といったキモとも言える内容を、一人一人の方ごとに図解しており、立ち読みするなら、そこだけでもパラパラ見れば、ある程度の概要は把握できそうです(笑)。
ただ、せっかく論理的に話されているであろう、登場された皆さんの生のコトバを伝えたくて、引用中心にしてみた次第。
◆最近立て続けにコンサルorコンサル経験者の方の著作を拝読し、その思考法はなんとなくイメージできていましたが、いざ大手のコンサルティングファームで叩き上げてきた方のお話を読むと、それを実践するのは並大抵のことじゃないということがよくわかりました。
そもそもコンサルティングファームの社員さんは、採用の時点でふるいにかけられた「優秀な人材」であることに加え、さらに「現場で訓練」されているわけですから、日々の生活が即実践。
本書の表現を借りれば
・・・って、それは本読んだだけでは敵いません罠。自分が土地勘もなく、周囲に情報も見当たらないような業界を急に担当するときでも、一週間後にはその業界のプロになることが求められます。
◆しかし私たちは、必ずしもこの方々のようなハイレベルな次元でのパフォーマンスを求められているわけではありません。
日常業務においても、コンサル思考を活用できるシーンは必ずあります。
最低限私なら、「ファクトベースで考える」(本書で結構繰り返し出てきましたし)ことは意識するつもり。
◆本書は、コンサル経験者の現場での生の声を汲み上げることによって、理論をいかに実践に落とし込んでいくかを、事例とともに解説してくれる一冊と言えます。
一人の著者さんの、理路整然としたコンサル思考の本もいいですが、こういう手軽にエッセンスを吸収できる本もまたいいかと。
お値段も安いですし、ムック本の割には得るところは多かったですよ!!
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【編集後記】
◆今日のご本に関連して。当ブログではお馴染みの勝間和代さん、本田直之さん、さらには石田 淳さんという、私がリアルでお食事したことがある方が3人も登場されているという一冊。
既にゲット済みであります!
ご声援ありがとうございました!
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身の回りにコンサルタントが多い環境にいますが、やはりファクト>仮説>検証>フィードバックのループで仕事してますね。
勝間さんの著書でありましたが、今は普通のビジネスパーソンにもこういうコンサルタント的な能力が求められる時代になったのかもしれませんね。
いつもブログ楽しく拝見させてもらってます。
コメントありがとうございました。
フォトリーダーじゃなかったんですね。
多読されてるし、マインドマップされてるみたいだったので、勘違いしてしまいました。
すいません。
多読にフォトリーディングは必ずしも必要ではない。これも最近の私の結論です。
昨年までは「勉強」ブームでしたが、おっしゃるとおりここ最近は「コンサル」「実践」といったところが盛り上がっている気がします。
私も乗り遅れないようにしないと(笑)。
>flowrelaxさん
いえいえ、そもそもタイトルからして実践しなくなりつつある「マインドマップ」と入っている紛らわしいブログなもんで、お気になさらず(笑)。
flowrelaxさんのブログでも書かれていたように、小飼さんもフォトリーではありません。
とんでもなく本を読んでいると、あのようになるのかな、と理屈的にわかりつつある今日この頃です。
段取りよくやれば、作業スピードは速くなくとも、帳尻が合うかと思っているワタクシ(汗)。
ITおやじさんは、経営される側ですから、判断のスピードも要求されますよね。
大変だと思います・・・。