2008年06月16日
【感動!】「最後の授業」ランディ・パウシュ
【本の概要】
◆本日お届けするのは、先日「美女二人に激プッシュ」された一冊。アンディ・パウシュ教授の「最後の授業」です。
すでにネット上では、その講義の日本語字幕付き動画が一部で話題になっていますが、正直、本の出来はその動画に負けない、といいますか、動画をご覧になられた方なら、「感動モノ」であることは間違いないです。
動画では泣かなかったアナタでも、この本の内容には抗いきれないと思われ!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
はじめに
第1章 最後の講義
第2章 僕はこうして夢をかなえてきた
第3章 僕を導いてくれた人たち
第4章 夢をかなえようとしているきみたちへ
第5章 人生をどう生きるか
第6章 最後に
謝辞
カーネギーメロン大学について
訳者あとがき
著者・訳者紹介
【ポイント】
■講義までの道のり◆実は今回のパウシュ教授の講義は、教授の癌転移による余命宣告より前に決まっていたものでした。
キャンセルすることもできたのですが、教授は講義することを選択します。
しかし奥さんは大反対。
さらに都合の悪いことに、講義の前日には大学のあるピッツバーグまで移動しなくてはならないのに、その日は奥さんの誕生日なのでした。「自分勝手だってことはわかっているの」と、ジェイは言った。「でも、私はあなたのすべてがほしい。あなたが今回の講義のために費やす時間は、すべて失われた時間になるのよ。子供たちと私から時間を奪うのだから」
「一緒に祝う最後の誕生日なのに。私の誕生日に、そばにいてくれるつもりは本当にないのね」
◆教授は、なぜそうまでしてこの講義をするのか考えます。
そして奥さんにこう言ったのでした。
「傷を負ったライオンは、まだ吠えられるかどうかを確かめたい」と、僕はジェイに言った。「威厳と自尊心の問題だ。虚栄心とは少しだけ違うんだ」
◆さらにもうひとつ別の動機が。
奥さんから「伝えたいことがあるなら、リビングでビデオカメラを回せば」と言われて、なおも教授はこう言います。「DVDにしてもらおう。子供たちが大きくなったら見せてくれ。ぼくがどんな人間で、どんなことを大切にしていたか、彼らが理解しやすいように」
これにはさすがに奥さんも笑って、講義をすることに同意してくれたのでした。「親が子供に何かを話すときは、第三者の保証があると効果的だよ」と僕は言った。「講義を聴く人たちにタイミングよく拍手をさせて、笑わせることができたら、子供たちに話す内容にも威厳が加わるじゃないか」
そう、ここに幼い子供たちへのメッセージをも「最後の授業」として残すことが決まったのです!
■講義の内容について
◆教授は講義の内容について、ある考えがありました。
教授は考えます。癌の話に終始したくはなかった。僕の医学的な冒険談は別の話で、それについては僕自身、すでに何度も考えてきた。(中略)
死ぬことに関する話を期待する人も多いかもしれない。でも、僕の講義は「死ぬこと」についてではなく、「生きること」についてでなくてはならなかった。
病院の待合室でこのことを考えていて、答えにたどり着いた教授。「僕にしかないものは?」
この問いに答えることが、講義で語ることを見つける手助けになりそうだと思った。
教授はその場でノートパソコンを開き、事務局にメールします。これまでの実績がどうであれ、僕が愛するものすべては、子供のころからの夢と目標に根ざしている。そして、夢や目標のほぼすべてを実現してきた道のりに。僕らしさは、すべての夢の具体的な中身としてかたちづくられ、46年間の人生を定義しているのだ。
「遅くなって申し訳ありません。タイトルは以下のとおりです。『子供のころからの夢を本当に実現するために』」
■夢と障害について
◆第2章「僕はこうして夢をかなえてきた」の扉ページの裏側には、教授の子供の頃の夢が列挙されています。
今回の講義では、これらの夢を教授が「いかにかなえてきたか」について、ユーモアをまじえて解説してくれます。・無重力を体験する
・NFLでブレーする
・ワールドブック百科事典を執筆する
・カーク船長になる
・ぬいぐるみを勝ちとる
・ディズニーのイマジニアになる
もちろん全てがすんなり実現できたわけではなく、実現には教授の熱意や努力がありました。
それについての教授のお言葉を。
その象徴として、講義では頻繁にレンガの壁の画像が登場しますので、動画をご覧になる際には、チェックしてみてください。夢をかなえる道のりに障害が立ちはだかったとき、僕はいつも自分にこう言い聞かせてきた。
"レンガの壁がそこにあるのには、理由がある。
僕達の行く手を阻むためにあるのではない。
その壁の向こうにある「何か」を
自分がどれほど真剣に望んでいるか、
証明するチャンスを与えているのだ。"
なお講義内容に関連することについては、YouTubeの動画を観て頂くとして、以下、動画にはない、本書独自のコンテンツから、特に教授の処世訓のような部分を抜き出してみることにします。
■時間管理術のコツ(抜粋)
●時間をお金と同じように明確に管理する
⇒見当違いの細かいことに時間を費やさない(「手すりの裏側をどんなに磨いても意味はない」)
●計画はいつでも変えられるが、計画がなければ変えることもできない
⇒「やるべきことリスト」は効果がある
⇒いちばん役に立つ「やるべきことリスト」は、大きな仕事を細かいステップに分けること
たとえば僕はローガン(次男)に、一個ずつ物を拾いながら部屋を片付けなさいと促している。
■グループでうまく活動するコツ(抜粋)
●共通点を見つける
⇒共通点から始めれば、異なる部分の問題にもはるかに取り組みやすくなる
●全員が発言する
⇒大声や早口でしゃべっても、内容がよくなるわけではない
●代案として問いかける
「Aをするべきだ、Bではダメだ」ではなく、「BのかわりにAをしたらどうかな?」と言ってみる
■何を言ったかではなく、何をやったかに注目する
◆これは教授が自分の娘さん(まだ1歳半)に伝えたい言葉。
教授の女性同僚から聞いたものだとか。
女性の方、ご留意を(笑)。「自分に言い寄ってくる男性がいたら、気をつけることは簡単。彼の言うことはすべて無視して、彼のすることだけに注意すればいいの」
■適切な謝罪の3つの要素
1.自分はまちがったことをした
2.あなたを傷つけたことを申し訳なく思っている
3.この状況を改善するためにどうすればいいか
■誠実であれ
◆「自分の言った約束は守りなさい」と両親に教わった教授の「嘘」に関するお言葉。
人はさまざまな理由で嘘をつく。たいていは、少ない努力で何かを得られそうに思えるからだ。でも、短期的な戦略の多くは、長期的には非効率的だ。嘘をついた人の大半は、その場で切り抜けたと思っている。でも実際は、嘘をついても終わりではない。
■自分に値しない仕事はない
◆最近の若い世代の「特権意識」に対する教授のお言葉を。
底辺から働き始めることに不満を感じている、多くの学生に向けたものです。
教授曰く「郵便を仕分けできない(しようとしない)なら、ほかの仕事ができるという証拠がどこにあるのか」。「郵便を仕分けする仕事に決まっても、心から喜ぶべきだ。仕分け室に行ったら、やるべきことは一つ。郵便の仕分けの達人になることだ」
■すべての瞬間を楽しむ
◆ダイジェスト動画にも使われているフレーズから続く、教授の力強いお言葉を。
僕は「楽しまない」方法を知らない。僕は死にかけていて、僕は楽しんでいる。残された毎日を楽しんで過ごすつもりだ。それ以外に人生を生きる方法はないから。
これは、A.A.ミルンの童話『くまのプーさん』に登場するキャラクターに当てはめて考えるとぴったりだ。自分は陽気なティガーか、それとも根暗なイーヨーか。僕がどちらを選ぶかは、言うまでもない。(中略)
僕は、自分のなかのティガーを逃がすつもりはない。墓石にどんな言葉を刻んでほしいかとだれかに訊かれて、僕はこう答えた。「ランディ・パウシュ――末期癌の宣告から30年生きた」
ここに誓う。その30年に、僕はたくさんの楽しみを詰めこもう。30年に届かなくても、残されたすべての時間に楽しみを詰めこもう。
【感想】
◆既に、日本語字幕付き動画をご覧になってらっしゃる方ならお分かりだと思いますが、この「最後の授業」においてパウシュ教授は、最初から最後まで、全く「ウエットになることなく」講義を進めてらっしゃいます。それは講義の最初の方で宣言していることからも明らかではないかと。
曰く「癌の話はしない、家族の話はしない、精神性や宗教の話はしない」・・・と言いながらも続くフレーズがこう。
会場大爆笑。ただし僕は死を前に改宗しました。
・・・マッキントッシュ派に。
◆以後も「笑い」を交えながら、時にはまじめに、時には感動的に、講義は続きます。
ただ、アマゾンのセールスページを読んだり、ダイジェスト動画を観た方が、日本語字幕付き動画を観ると、「笑い」のシーンばかりで、もうちょっと「涙を流すような場面」があってもいいんじゃないか、と思いかねないことを私は懸念していました。
というか、私がちょっぴりそうだったんですが(笑)。
◆しかし、そういう方もご安心下さい!
実は、本書の第6章「最後に」では、教授の「子供たちへの想い」や、「奥さんへの想い」が綴られていて、ここだけは涙なくしては読めません。
ひとつには、教授と私の年齢がほとんど変わらず、かつ、お互い30代後半になってから結婚したため子供の年もほとんど同じということで、いちいち自分に当てはめてみたらどうなるか、を考えていた、というのはあると思いますが。
◆自分が家族と過ごす、何気ない日々。
ただ家族揃って買い物に出かけたり、公園に行ったりするだけのこと。
たったそれだけのことでも、どんなに恵まれていて、かつ贅沢なことなのか。
単に、それがいつまでも続く日々だと思っているからこそ、有難みを感じ得ないだけなのだと、しみじみ思いました。
◆もちろん教授は、講義を通して、私たちに同情して欲しかったのではなく、テーマである、「夢をかなえることの大切さ」を訴えたかったことは間違いありません。
ただ、本書はその講義の「舞台裏」を明らかにすることによって、講義自体をより深く、より鮮やかにしてくれるものです。
教授の着ているポロシャツの意味。
教授と奥さんのなれそめ。
妊娠7ヶ月、1325グラムで生まれてきた長男ディランのこと。
実はレンガの壁があった、カーネギーメロン大学の博士号の取得。
舞台で教授と抱き合った奥さんが、教授の耳元でなんとささやいたか・・・。
全てが本書を読むことで、明らかにされます。
◆本を読んだ時点で、まだ動画を観ていなければ、きっと観たくなると思いますし、本を読む前に動画を観ていた人なら、もう一度観返したくなること必至。
本と動画で感動は2倍以上になりますよ!
【既にアップされた感想など】
◆私に先立ち、すでにブログで本書の感想をお書きになっている方もチラホラいらっしゃいますのでご紹介。最後の授業 - ぼくの命があるうちに:たつをのChangeLog
◆たつをさんの記事を読んで、本に付いている動画が、YouTubeにアップされたものだけでなく、「新世代のプログラミング教育環境」である「アリス」の解説動画もあることを知りました(汗)。講義では「話さない」と言っていた
病気や奥さんや子供たちなどのプライベートの話。
奥さんとの出会いから結婚までの話は非常に参考になりました。
もちろん、画質もYouTubeよりいいですし、やはりDVD付きの方がお薦めですかねー。
一つ気が付いたのですが、よくDVD付きの本って、ソフトカバーがほとんど(価格が高くなるため)で「本がめくりにくい」、ってあるじゃないですか。
本書の場合ハードカバーなんで、DVDが付いていても、全然気になりません。
考えてみたら当たり前なのかもしれませんが、これははじめての経験でした(笑)。
最後の授業の読後感想:お礼状ブログ【運が開けるお礼状・人生夢達成塾 】
◆そうそう、自分の夢をかなえるだけでなく、人が夢をかなえることのお手伝いをする、というのも、この講義の大事なテーマでした。本の中で、スピルバーグのスターウォーズの次回作で仕事をしたいという学生の話、
その当時は、スターウォーズの続編が作られるなんては考えられていなかったのに、
やりたいと思って夢を持ち、そのためのスキルを磨いておけば、
チャンスはやってくるのだなぁ・・・って。
彼は、ランディ先生が、それを教えてくれたから、今の自分があると、見学に行った学生に話しているのです。
ここも、読んでいて、なんだか、涙が出ちゃいました。
あやうく言及し損ねるところでしたよ。
心月さん、ありがとうございました!
【編集後記】
◆昨日勝間和代さんからご紹介を受けて、このブログへのアクセスが急増しております。本の売上の方も、「ハリポタ」急追中。
果たしてあの怪物が抜けるのか(汗)?
ご声援ありがとうございました!
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わざわざハワイからこの本の
激プッシュメールが来ました。
良かったですよ今日ご紹介
頂いて。
当然ここで予約して帰ります
それでは、また。
ぜんぜん内容は違うのですが、湿っぽい場面なのに笑いを交えていて、それがまた泣けるというか。
かなり参考になると思いました。
そういえば、ハリポタ六巻読んでませんでしたし。
それでは。これからもがんばってください。
他の記事も楽しみにしています。
昨年の11月頃からブログを拝見させていただいており、日々の読書の参考とさせていただいております。東洋経済での記事読みました。私もインプットを高めるためにアウトプットをと思い、へっぽこな書評ブログを始めました。今後とも大きな目標として、smooth様のブログを楽しみに拝見していけたらと思っています。突然のコメント失礼致しました。
子供のころからの夢のかなえ方、素敵な話ですね。グループでうまくやるコツも今の日本の学校で教えたらいいなと思います。試験もグループ制にすればお互いの良い点を認め合えるのにな、と思いました。
いつもいつもお買い上げありがとうございます(涙)。
某作家さんのメールは、私も頂きました。
現地でも話題になっているんですね。
>神楽坂 奏さん
本はストレートに泣けちゃいます。
てか、そういう本にしたいと教授は意図してないと思いますが。
そうそう、ハリポタ抜いて勝間さんが1位になりましたね(笑)!
スゲー。
>hideさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
ブログも拝見しました(ついでにクリックしておきました(笑))!
そこはかとなく私のブログに似たテイストのような・・・(笑)?
ですから「へっぽこ」なんて言わないで、自信持っていきましょう!
今後ともよろしくお願いします。
動画をご覧頂くと、いかに教授が「壁を乗り越えてきたか」がわかりますよ!
グループ制といえば、以前土井英司さんのクリエイティブセミナーで、お互いを評価しあって、ボロボロになった記憶が(汗)。←打たれ弱い(笑)
昨年からついこの間まで病床の身でしたので(笑)パウシュ教授の講義は非常に感銘をうけましたし、共感できる部分が多々ありました。
たとえ明日を知れない身であったとしても、今を全力で生きる事が次につながるのであり、それが家族をはじめとする他の人達へのメッセージであると思います。そんなことを教えてもらったビデオでした。ポチッとさせていただいた本が届くのが楽しみです。
私も目標をクリアするために、自分の状況を嘆くのではなく、今出来る事をしていこうと思います。
私も闘病中のSioさんをブログで拝見して、かげながら応援してました。
自分でも「今の家族との平凡な日々」がいつまでも続いてくれたら、それだけでも十分だな、と思っちゃいましたね。
感想お伺いするのを楽しみにしております。
>ボサノバさん
ハイ、読んでおりました。
ボサノバさんも、もうお読みになったのでしょうか?
DVD見て、読みました。
>◆自分が家族と過ごす、何気ない日々。
〜(中略)〜
しみじみ思いました。
記事もこの部分には、しみじみしたものを感じました。
本を読んだ感想としては、痛く心揺さぶられました。
(程度のことしか書けないです。)
ただ、読めて良かったとホントに感じました。
(トラックバックもさせていただきました)
私のようなノウハウマニア(笑)の場合、この手の本は敬遠しがちなのですが、この本は私も読んで良かったと思いましたね。
子供怒るときも、ふとこの本の内容を思い出してみたり。
でも昨日もカミナリ落としまくりの自分(ちょっと自己嫌悪)。