2008年06月15日
【強力!】「勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力」勝間和代
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 1390
【本の概要】
◆お待たせしました(色々な意味で)!今日ご紹介するのは、お待ちかね勝間和代さんの新刊。
既に小飼 弾さんがご紹介されているのはご存知の通りです。
型の力で肩の力を抜け - 書評 - ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力:404 Blog Not Found
ここ最近、小飼さんに「先を越された」と言わしめていたワタクシですが、ただでさえ読むのも書くのも速い方が、献本され次第書いてしまわれては敵いようがありませぬ(涙)。
◆それにしても、本書のぶ厚いことよ!
中身が濃いのはいつも通りとしても、「Google化」をさらに上回る327ページ。
おまけに、お約束の(?)「お薦め本(&サイト)リスト」、さらには「フレームワークのテンプレート」がついて、どちらもフルカラーという太っ腹ぶり。
お薦め本リスト
↓
相変わらずコストパフォーマンスが高いです!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 「ビジネス思考力」を定義する!
第2章 ビジネス思考の基礎となる7+1の力
第3章 一つめの力 論理思考力
第4章 二つめの力 水平思考力
第5章 三つめの力 視覚化力
第6章 四つめの力 数字力
第7章 五つめの力 言語力
第8章 六つめの力 知的体力
第9章 七つめの力 偶然力
最後に
巻末 お薦め書籍・アイテム・URL 50
【ポイント】
■ビジネス思考力(=ビジネス頭)とは?⇒ビジネスを遂行する上で、日常的に役に立つ、他の人より一歩先行くために必要な基礎的なものの考え方
⇒業務上の判断を行う際に、知っていると楽になる、ものの基本的な考え方や発想のしかたのテクニックの集まり
⇒ビジネス思考力を鍛えるもっとも重要な点は、実践による仮説策定→実行→検証のプロセス
■知識のレベルで思考を止めない!
⇒知識で終わっていることは借り物の知識であって、理解→応用→分析→統合を経てはじめて自分の血となり肉となる
■フレームワークとは?
⇒現状を観察する方法を構成する仮定、概念、価値、慣行の集まり
⇒何かの概念や考え方を自分なりに束ねて整理して、考えやすくするもの、覚えやすくするもの
■基本的なフレームワーク21選(抜粋)
●空・雨・傘
⇒情報を事実→解釈→行動に分解して、思考を深める
●採用者分布曲線
⇒新製品は、イノベーター、オピニオンリーダー、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードの順に普及するので、そのときどきに戦略の重点を変える
●SWOTマトリクス
⇒戦略を立てる際に、自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を分析して、意思決定の際の参考にする
◆本書に付されている「フレームワークのテンプレート」の画像を。
■書籍の知恵をフレームワークで整理する
⇒ページ数360ページもある「急に売れ始めるにはワケがある」の内容をひとことで示すと、以下のフレームワークになり、この内容だけをフレームワークとして残しておけば、もうそれで本の読み方としては必要十分
1.少数の目利きに影響を与えること
2.その内容が記憶に粘ること
3.ちょっとした「こと」が行動変化を手助けすること
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
(参考記事:【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル)
■論理思考力を身につけるための3つの基本テクニック(抜粋)
●MECEに分類する
⇒MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)とは、「漏れなく、ダブりなく」ということ
⇒何かを考えるときには、最低限、2×2のマトリックスに整理する
●ピラミッド・ストラクチャーで展開する
⇒MECEの結果を元に、課題を細かく展開する(ロジック・ツリー)
⇒思いつきで行う予想と、MECE+ピラミッド・ストラクチャーに基づく仮説設定では、その分析結果の精度が異なる
■論理思考力を身につけるための4つの実践方法(抜粋)
●日常の業務に即した練習問題をひたすらやってみる
⇒具体例:
「事業・製品別分野の優先順位づけ」「当社の必要とする人材」等々を2×2のフレームワークに当てはめてみる
●日常的に観察から仮説をつくる習慣をつける
⇒具体例:
「NANAはなぜブレークしたのか?」:日々の生活から起きていることを観察しよう!!
■水平思考力を身につける
●水平思考力(ラテラルシンキング)とは
⇒直感や想像、新しいものの組み合わせなどから、解の仮説をイメージする方法
⇒ロジカルシンキングが絞り込む思考法だとすると、ラテラル・シンキングは広げる思考法
●水平思考力をみにつけるための実践方法(抜粋)
⇒出てきたアイデアは、なるべく市場で試してみる
本のタイトルは、ある意味、ラテラル・シンキングの賜であり、そういった考え方を学ぶための宝庫でもあるのです。
⇒アイデアがうまくいかないときにこそ、失敗から学んで早く修正する
「よい失敗」の回数が多いほど、成功につながるスピードが速まる
■視覚化力を身につけるための3つの基本テクニック(抜粋)
●画像が持つパワーを理解し、効率的な情報処理方法として活用する
⇒数字だけの表をグラフにするだけで、情報の処理能力が格段に上がる
⇒「フォトリーディング」の速読以外の効用(ネタバレ自重(汗))
●「デザイン」の力と意味を身につける
⇒パスモやスイカのタッチパネルが手前に傾いているのはなぜか?
■数字力
⇒数学・算数ができるということが大切なのは、それにより、知らないことでも推測ができるから
⇒人に対する話を通じやすくするために、その補助手段として、もっともコストをかけずに工夫できることとして、なるべく数字に落とし込んでコミュニケーションするようにしている
⇒数字というのは、「絶対値というより相対感で測るための、コミュニケーション・ツール」だと割り切って、実用的に使った方がよい
数字が得意な人は、だいたいどのくらいかと全体感で数字をとらえますが、数字が苦手だという人に限って細かい数字にとらわれ、枝葉末節に入りがちです。
でも、数字は覚えるものではなく、なんとなくイメージで把握するもの、数字こそ感性でつかむものだと理解してください。
■言語力を身につけるための3つの基本テクニック
●言葉に落とす習慣をつける
⇒なんとなくわかった気になっているということと、実際に言葉に落とせるということには、雲泥の差がある
●比喩を意識する
私たちは言葉を使って、意識層の中でコミュニケーションしているわけですが、ほんとうにコミュニケートしたいのは、相手の無意識層の中にある過去の経験値です(スキーマとかいろいろな言い方をします)。そうすると、新しい言葉や新しい概念を相手の心にすっと落とすための比喩の力が重要になってくるわけです。
【感想】
◆本書の帯にはこうあります。日頃、私は帯の内容はあまり意識しておらず(「売るため」の煽り文句が多いため)、本書の場合も、読み終わってから初めてこのフレーズに気が付きましたが、「まさにその通り!」「私が、何をどのように考えているのか、読者のみなさんが何を身につければ、同じことができるのか、再現性のある方法として、この本にまとめてみました。」
◆私たちは、メディアや著作、さらにはブログで勝間さんの言動を目にすることが多いものの、水面下で「何を意図してそうされているのか」、まではわからないことが多いのではないでしょうか?
本書はそういった勝間さんの舞台裏を、ご自身の言葉で説明してくれている、というありがたい一冊。
今までの勝間さんファンのみならず、最低限、これから本を売りたい著者さんなら要チェックであることは確かだと思います。
「テーマの選び方」から「タイトルの付け方」まで、線引きまくること間違いなし(汗)!
◆また、本書のテーマであるフレームワークを体現するかのように、本書の構成自体も見事なフレームワーク。
3章から9章にかけて、「ビジネス思考の基礎となる7つの力」について言及されていて、そのそれぞれの章の章立てが、
「〜力をわかりやすくいうと」
「〜力を身につけるための3つの基本テクニック」
「〜力を身につけるための4つの実践方法」
という形で統一されています。
これがまた、内容の「把握しやすさ」を高めているという。
◆そして本書の特徴とも言えるのが、徹底した実践主義であること。
上記からもわかるように、各「ビジネス思考の基礎となる力」ごとに、実践方法が4つも列挙されているわけです。
それに関して、勝間さんは「はじめに」でこう言われています。
なるほど、納得。したがって、読者の方に目新しいコンセプトはないかもしれません。すでにやっていることが多いと感じるかもしれません。けれども、ぜひお願いしたいのは、この本を読んで、「やり方がわかる」から「武器として使いこなせる」に変身してもらうことです。
私もそろそろ「口だけ」から脱皮ですかね(笑)。
◆ただ、実際問題として「本業ではなかなか試しにくい」という方は多いと思います。
そういう方でも、例えばブログをやっているのなら、「アクセスを増やす」ですとか、「ブログランキングの順位を上げる」というテーマを掲げて、それに対してアプローチしてみてはどうでしょうか?
勝間さんも「言語力」のところでブログを薦められていますが、まさにブログはリアクションが測定できるため、PDCAサイクルを実践できる、よいツールではないか、と。
まだブログを始めたことがない方は、この機会に試されてみることを私からもお薦めします(・・・とどこかでどなたかに言った記憶が)。
◆ところで、最近痛感したのが、自分の言語力のつたなさ。
先日取材を受けた際に、上記のポイントで挙げたような内容(「なんとなくわかっているのと言葉に落とせるのは違う」ということ)を言おうとして、うまく表現ができなかった・・・って、そんなところで実践してどうする自分(涙)?
ついでに言語力で言うなら、最近「比喩使いが上手いな」と思ったのがこちらのご本です。
(参考記事:【時間畑】「LIVE HACKS! [ライブハックス!]」大橋悦夫)
◆冒頭でも申し上げたように、本書は分厚いご本ではあるものの、読みながら頭がすっきり整理されていく感じがしました。
事例も勝間さんご自身のものを中心に、興味深いものばかり。
今までの勝間さんのご本の中では「最も腑に落ちました」。
というワケで、当然「激オススメ」でございます!
【勝間さんのお薦め書籍より】
◆巻末のお薦めリストから、まずは当ブログにて記事にしているものを。(参考記事:【面接パズル】外資系企業がほしがる脳ミソ―採用試験の定番! 問題解決力を試す60問)
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
(参考記事:【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル)
(参考記事:【水平思考】「イノベーション・シンキング」ポール・スローン)
(参考記事:【ダイエット】「いつまでもデブと思うなよ」岡田斗司夫)
◆次に勝間さんが「特にお薦め」されているものを。
その他盛りだくさんですので、ぜひこのリストはご覧下さいませ。
【関連記事】
【勝間流】「勝間和代にインディペンデントな生き方を学ぶ」セミナーに参加してきました!(2008年06月05日)【勝間さんの秘密?】『出版戦略セミナー「最短で累計100万部を達成した戦略とは?」』に参加してきました(2008年05月01日)
【祝100万部突破!】勝間和代さんの「著書総計100万部突破記念&祝賀パーティ」にお邪魔してきました(2008年03月24日)
【回顧録】勝間さんの新刊について思うこと。(2008年02月29日)
(注:この記事で、「はてブトルネード」の経過に触れられています)
【知的生産】勝間和代さんのセミナーに参加してきました(2008年01月18日)
【会談】アルファブロガーさん&ベストセラー作家さんとお食事してきました(2007年12月17日)
アマゾン1位著者とお会いしてきました!(2007年04月25日)
【編集後記】
◆最近、すさまじい勢いで未読本が溜まっております(汗)。中でも問題なのが、最近出た本ではなく、過去に出ている本。
関連書籍等でひっかかって買ったものの、急いで記事にする必要もないので、「買ったきり積読」状態です。
あぁ、それなのに、新刊も買いまくっている自分・・・(涙)。
ご声援ありがとうございました!
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さすが!怒濤の紹介文ですね。私もマインドマッパーの末席をうろうろする事になりましたので(何か変な言い方ですが (^^; )届いたら気合いをいれて読みたいと思います!!
どうすればフレームワーク力がつくのか、読むのが楽しみです (^^)
いつもながら、すごすぎます。ありがとうございます。
おかげさまで、激オススメ、とてもうれしいです。
これからも引き続き、よろしくお願いします。
小飼さんもsmoothさんも
即行動に移されているところが
素晴らしいです。
しかもこの速さで内容の濃い丁寧な書評されていて、見習わなくては…
大変参考になりました!
私も手に入れて書評書き終わったら
トラックバックさせていただきますね!
たとえ「御社の社員」さんには勝てても「御社の社長」様には勝てませぬ。
素晴らしい本を送り出された干場社長の手腕には、感服致します。
ありがとうございました。
>Sioさん
最近のご活躍には目を見張るものがあります!
この調子で道を究めて頂きたいです。
今回は分厚いご本ですが、他人に薦めたくなる一冊ですね(笑)。
Sioさんの感想もお待ちしております!
>勝間さん
個人的には「イチオシ」ですね、ハイ。
でも「父」として「新インディ」は裏切れないという(笑)。
サイン会のご報告も楽しみにしております。
>hiroさん
hiroさんの記事も丁寧に作られていて素敵だと思いますよ(応援しました(笑)!)。
今回は、小飼さんから2日遅れなので、その分頑張ったツモリです。
そしてトラバもお待ちしております!
すぐに、本屋さんに行きたいと思います。収入入ったばかりですが、すぐに消えそうな勢いです。
フレームワークとかすごく使えますし。(ただ、まだGoogle化の100冊全部読んでいませんが……レバレッジも買いたいですし)
それでは。これからもがんばってください。
他の記事も楽しみにしています。
はじめまして! ディスカヴァー編集部の三谷と申します。
このたびは、早々に、しかも「激オススメ」とご紹介くださり、ありがとうございました。
少ーしだけですが制作にかかわったものとしましては、これ以上の喜びはありません。
それにしても、smoothさんのご紹介文、いつも「こう書けばいいのか!」と勉強させていただいております。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
ここはぜひ、本屋に走ることなく、アマゾンアタックを(笑)。
いえいえ、冗談です。
ぜひ、書店でこの「分厚さ」を実感してください。
>ディスカヴァー三谷さん
はじめまして!
御社の干場社長には、非常にお世話になっております(汗)。
こちらこそ感謝感謝です。
そして、私の記事はいつも「長すぎ」なので、参考にしないで下さいマセ(笑)。
今後ともよろしくお願いします。
はじめまして♪
勝間さんのブログから参りました。
smoothさんの書評で、「フレームワーク力」の本について、さらに理解を深めることができ、とても勉強になります。
「言語力のつたなさ」、私はものすごく感じています!-_-; 勝間さんの講演会についてブログに書いた時も、ちょっと表現がおかしいかな、と何度も書き直しました。でも実践あるのみだと思い、これからもがんばろうと思います。
これからもsmoothさんの記事で勉強させていただきます。(英語学習の書評もとても役に立っております)よろしくお願いいたします!
はじめまして。
コメントありがとうございます。
講演会で「生勝間さん」を体験なされたとのこと。
これでどんどん加速されること間違いナシですよ!
あのくらい飛ばしている人を見ると、自分が多少エッジ効かせてても気が付かなかったりしますし(笑)。
これからもお互いブログも頑張りましょう!
お役に立てる記事が書けるよう、日々精進して参ります。
今後ともよろしくお願いします。
この本の感想を書いたのですが、
smoothさんが何故あの速さでこれだけ書けたのか不思議でなりません(笑)
トラックバックの調子が悪くまだ反映されていないようですが、
トラックバックさせていただきました。
記事拝見しました。
やはりご満足いただけたようで(笑)。
そして私の場合、この記事の投稿時間は、いつもより6時間近く遅くなっております。
そんだけ大変だったワケなんですがー(汗)。
トラバの件もそちらにコメントしましたので、よろしくお願いします。