2008年06月11日
【新條まゆ先生!】「バカでも描けるまんが教室 」は侮りがたいです!
【本の概要】
◆今日お届けするのは、今、巷で話題の「恐怖のキラーパサー」新條まゆ先生のご本。この辺の経緯をご存じない方は、このサイトでまとめをご覧頂くとして・・・。
雷句誠の小学館提訴に対する各所の反応まとめ:雷句誠が小学館を提訴まとめ
◆私がマンガに疎いのはしょうがないとしても、どうも小飼 弾さんも新條先生のことはノーマークだった模様。
これすご! - 渡しの個人主義実践編:404 Blog Not Found
どの本を小飼さんがお買いになられたかわかりませんが、先に記事にされると焼畑になってしまうので、ひと足早く知った私が自分が買った本だけでも記事にしてみるテスト(汗)。存じ上げなかったけどこれでファンになりました。早速何冊かAmazonに注文しました。今後ともファンタジスタなキラーパス、よろしくお願いします。
本書は、一応マンガ家志望の人向けの指導書なんですが、ぶっちゃけ「マーケティング」や「ブランディング」の本としても読みどころがあります。
そしてブロガーであるアナタにとっても読むべき内容が(汗)!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
新條まゆのバカまん
立志編
修行編
怒濤編
野望編
新條まゆヒストリー
<スペシャルインタビュー>
少女まんが家志望者に・・・新條まゆ先生のバカまん道
ツッコミE塚のこれだけは言わせる!!SP
【ポイント】
◆今回も、ポイント抜粋に不向きなので、感想込みで。■自分なりの"売り"を持つ
◆新條先生によると、まんが家に一番大事なことは「目的意識がどこまで強いか」。ここに「売れるまんがを研究しているA子」と「元気な女の子が大好きなので、元気な女の子を描かせたら誰にも負けない自信があるB子」がいたとします。
二人とも、まんが家としてのデビューには近いものの、デビュー後売れるのは、確実にB子の方なのだとか。
対象はちょっとアレですが、こういったこだわりは、武器として持っておきたいところです。目的意識とは、つまりどのくらい好きでそれを描いているかということだ。
新條の場合はそれがすべていい男のためにあった!!
いい男を表現するためのストーリー展開
いい男に見せるためのコマ割り・・・(中略)
数々のこだわりと数々の伝説を残すほどのいい男キャラへの情熱・・・すべては愛ゆえです!!
それはいつしかまんが家として売れるために最も重要な、作家の"売り"へと昇華していくのである!!
■長所を見出す
◆デビュー前に先輩まんが家さんのアシスタントを務めていた新條先生は、休憩中ほかのアシスタントさんたちと、まんが雑誌を見ながら、連載作家の悪口を言っていたそう。それに気づいた、先輩まんが家さんのお言葉。
この言葉に「目からうろこ」だった新條先生は、それ以降、まんがの見方が変わりました。あんたたち!!自分のことは棚に上げて、なにエラソーに批判してんのよ!!
いい!?これだけは肝に銘じとけ!!
あんたたちが文句を言ってるまんが以下のものしか描いてないから、あんたたちはデビューできないのよ!!
どんな新人でもいいところを見つけて、そこからなにか吸収できないかと考えた。人の悪口を言うのは簡単。しかしそこからは何も学べない。
◆えー、このあたりは、本を読みつつも途中で見切っている私にとっては、耳が痛かったり(汗)。
できる限りよいところは見つけるよう、努力したいものです。
同じように、著者志望の方も、本を読む際には、「何か吸収できないか」を意識してみるとよいかもしれません。
■自らの弱点を知り、それを打破する
◆新條先生は、普通の女性とは異なり、「好きになったら即告白で当たって砕けろ精神」という「男前な性格」なのだそう。それゆえ、少女まんがで重視されている女性主人公の「モノローグ」(主人公の独白)が大の苦手。
そこで新條先生は考えました。
こうなったら女心をちまちまと描写しなくていいようにさっさと両思いにして、アレやコレやと大事件に巻き込んでやる!!
◆するとこれが「今までとは少し違う」個性になって目立ったのだとか。
このキャラ設定も、新條先生が普通にモノローグができていれば生まれなかったハズ。物語の主人公は女の子だが、話の主導権を握るのは男キャラ。よく動きグイグイ引っ張り主人公に考える余地を与えない!!
すなわち新條の売りとなった超強引男キャラ
弱点を売りにするとは、げに怖ろしや!
■自分の武器を探す
◆新條先生にとって最優先すべきは、「かっこいい男を描く」こと。そこで連載していた「少コミ」の第一線のまんが家さんの描く男性を研究します。
その連載陣の中で北川みゆき先生と高田りえ先生がかっこいい男を描いて人気だった。
北川先生は王子様のように優しくて完璧な男の子・・・
高田先生は無口で硬派でクール。
いくら売れてるからって、同じような男の子を描いても人気は出ない。どうすれば・・・。
◆そこで上でも挙げた「強引男」が生まれます。
だったら新條は「強引」な男を描こう。
強引な男を描いている作家は1人もいない。
しかもただ強引なだけなら誰でも描ける。とにかくサディストなくらい強引でひどい男。でもそれは愛ゆえの行動。
ひとつの雑誌に同じような作品はいらない。それと同様、同じようなタイプの男キャラはいらないのだ!!
◆こういった、自分なりの「ポジション」というか、「武器」「売り」を考えるのは、クリエイティブなお仕事の方はもちろんのこと、ブロガーにとっても大事なのではないか、と思う自分。
例えば、「書評ブログ」について言うなら、私は「勉強本」で一点突破したような感じがします。
それで一旦ポジションができると、同じようにスキルアップ項目である「ビジネススキル」関連の本についても、信憑性が増すというか。
◆ただ、私の場合は狙ってやったわけではなくて、アクセス数や、はてブの数、さらにはアマゾンアソシエイトの売上等から判断して、徐々に方向性を固めていったんですけどね(笑)。
あまり読む本を狭めてしまうのはどうかと思いますが、ひとつの戦略として、考えてみてもよいのではないでしょうか?
■時代を先読め!!
◆新條先生のヒット作、「快感♡フレーズ」を実は読んだことがないので、お話が「バンドネタ」だと言うのは、本書を読んで初めて知りました(汗)。快感♡フレーズは、たまたま来たバンドブームに乗れたわけじゃない!!
マーケティングリサーチと世の中の流行りすたりのサイクルを考えていた。
時代の流れに乗っかるようではもう遅い。そこそこ売れるかもしれないが、大ヒットには至らない。
"時代の流れを先取りする"それはつまり、読者が求めているものが何かを感じとること。
雑誌に足りないもの、世の中に足りないもの、男の子に足りないもの、女の子に足りないもの。
それらすべてを材料にする、ケーキ作りのようなものなのだ。
最後に自分の売りを生かしたスパイスやエッセンスを入れる・・・このエッセンスを持っているかいないかで、ケーキの出来が大きく違うのだ。
◆このあたりは、思いっきりマーケティングのお話ですね(笑)。
さらに続きます。
リアルビジネスの世界にも通じるお話(笑)。
そのエッセンスは、人それぞれの秘伝・・・。他の誰とも違うものを自分で作らなければならない。
そして・・・出来上がったケーキは、おいしい以上に自分が大好物のケーキでないといけない。なぜなら、好きなケーキじゃないと、食べてすぐに胸やけをおこしてしまうからだ。
そして・・・作り手はいつも食べる人のよろこぶ顔を思い浮かべ作る。なぜなら!!そのケーキを買ってくれるお客様がいて、売ってくれる従業員がいて、ケーキを置いてくれるお店があるからだ。
そして・・・そのお店はケーキの売り上げにかかっている!!それこそがプロの世界!!
マーケティングリサーチをおこたらず、常に新しいブームを作るべく努力をし・・・その作業を楽しく行うのがヒットの秘訣なのだ。
◆ちょっと大事なところなので、引用しまくってしまいました。
なかなか上手い比喩ではないでしょうか?
たとえこのブログが黒背景に蛍光色拡大文字乱用で、胸焼け起すものであったとしても、読んでくださる読者の皆様には、本当に感謝しております・・・。
【感想】
◆そもそも今回の一連の騒動がなければ、新條先生のことも全然存じ上げなかった私(汗)。ですから、新條先生のスタイルがどのくらい特殊なのかも、当初はピンと来ませんでした。
ところが、本書を読んでいくにつけ、「プロ意識」ですとか、「自分のやりたいことと求められていることとの折り合いの付け方」といった点で、「この人只者じゃない(汗)」と思ったわけで。
ただ、ポイントでは挙げませんでしたが、編集さんに「描きたいものを描きたかったら、同人誌でも描いてろーー」と言われたこともあるようなので、初めから「マーケットイン」のスタンスというわけでもなかったようです。
◆本書は、「まんが家志望者向けの本」とはいえ、描画のテクニックのようなものは最小限(?)に抑えられていて、その分、新條先生の実体験や考えたこと等の戦略面にポイントが置かれています。
ゆえに、フツーにまんが家になりたい人にとっては、ちょっとオススメしにくいというか(そんな方はこのブログを読みませんか(笑))。
逆に、本書で論じられているのは、「どう描くか」ではなく、「何を描くか」。
「モノを生み出す」必要がある方なら、読んで損はないハズです。
もちろんブロガーも(笑)!
◆なお、本書の扱いは、アマゾンの分類でもわかるように「コミック」。
上記のポイントも、基本的に全て「まんが形式」で展開されています。
それゆえ、本書に含まれる「まんがのテクニカルな記述部分」は、確かに分かりやすいものの、むしろ個人的には「新書でマーケティングやブランディングを語って欲しい」ような。
◆また、新條先生の経歴もすこぶる面白い(笑)!
まんがのネタにもしているという、過去の男性遍歴は、いい男ばかりでお見事ですし、生活のために勤めたキャバクラでも週6日働く人気キャバ嬢になったとか(汗)。
作品以上に本人の方が面白そうなヨカン!
今ならお安く出回ってますぜ(笑)!
【関連記事】
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「クリエイター・スピリットとは何か?」杉山知之(2007年05月05日)
「パーソナルブランディング」 ピーター・モトンヤ (著) 本田直之 (訳)(2005年06月09日)
【編集後記】
◆さて、冒頭の小飼さんの記事で、新條先生に「バトンを渡された」と言われている(笑)、久米田先生。その後:まゆたんブログ
せっかくですので、作品をご紹介して、来週の連載を待つことにしましょう(笑)。あとのことは久米田先生に任せるとして・・・
ご声援ありがとうございました!
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私も新條さんのブログは読みましたが、
まさかsmoothさんの記事に出てくるとは意表を突かれました。
今日の記事を読み、非常に刺激されました。
>リアルビジネスの世界にも通じるお話(笑)。
イタイ内容ですね。
ちょっと実物の漫画で読みたくなりましたので、
静かにアマゾンアッタク … です。(笑)
アマゾンアタックありがとうございます。
でも、記事になさっても皆さんクリックしないと思いますよ、多分(笑)。
もっとも私がリアル編集者だったら、是非ともビジネス書or新書の執筆を依頼したいくらいの「波乱万丈な半生」と「考え抜かれた戦略」でした。
ただし、この本もまんが家志望の人には「色々な意味で」難しすぎるような(笑)。
逆に土井さんのセミナーとかで講師してもらう方がいいのかも(笑)。
欲しいです。そういう意味では自己啓発書とか置いてある古本屋って宝の山です……
それでは、次の記事も楽しみにしております。
あら、まゆ先生の作品を読まれている方が(笑)。
私はまだ一つも読んだことないんです。
ヨメの目もありますし・・・。
自己啓発書は昔から基本的なところは変わりませんから、古本屋めぐりはお徳ですよね(笑)。