2008年05月28日
【Apple】「スティーブ・ジョブズ神の交渉力」竹内一正
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、アップルのスティーブ・ジョブズの交渉力にスポットを当てた一冊。何でも、1年半前に出たこの単行本に「加筆・修正し、再編集したもの」の新書版だそう。
出た当時買おうか買うまいか迷っていたワタクシと致しましては、リアル書店で見かけて「コレ幸い」と即ゲット(笑)!
ジョブズの「神」ならぬ「悪魔ぶり」(笑)を堪能させて頂きました!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
1章 「言い方」は「言い分」より交渉を支配する―ジョブズの「情報支配」vs凡人の情報秘匿
2章 弱い味方は潜在的な敵方である―ジョブズの「非情」vs凡人の温情
3章 妥当な案より「不当な案」で交渉を動かせ―ジョブズの「無謀」vs凡人の無難
4章 最善の説得術は棍棒でたたくことだ―ジョブズの「攻撃」vs凡人の防衛
5章 楽観は考えなしだが、悲観は能なしだ―ジョブズの「遠交」vs凡人の近攻
6章 失敗と思わなければ決定的失敗ではない―ジョブズの「リベンジ」vs凡人のリカバリー
7章 「待ち」は勝ちの重要な一部をなす―ジョブズの「緩急」vs凡人の性急
【ポイント】
■ジョブズのプレゼンの秘密(抜粋)
●じらし⇒相手が知りたいことをちらりと見せたり、隠したりしてじらす
●起伏
⇒一本調子を絶対に避け、ときに静かに、ときに荒々しく話す
そう、ジョブズは製品を熱く語るのだ。ビジョンを信念で包んでしゃべるのだ。ここが並みの社長や政治家たちと根本的に違う。
■「気難しさ」という戦略
⇒気難しさに辟易する記者がいる一方、バリアを超えて信頼関係を築けた少数の記者は、無意識的にジョブズの忠実な報道官になる■年棒1ドルの舞台裏
⇒1996年にアップルに復帰したジョブズは年棒を1ドルとし、マスコミからの話題をさらったが、これは「お金が目的でCEOをやっているのではない」と世間に思わせるための錦の御旗だったその旗は、ジョブズが両刃のリーダーシップを強引に振り回すときに必ず起こる逆風を防ぎ、相手をひれ伏せさせるのにもってこいだった。
■現実無視の効用
⇒ジョブズは新製品の開発などでも、不可能なスケジュールを平気で口にできた⇒よくいえば開発現場からの積み上げ算ではなく、マーケットがほしがる日からの逆算ともいえる
「現実になど自分の決意の邪魔はさせない」のだ。たいていの人は現実を踏まえ、実現可能なスケジュールを立てるが、それでも、さらに遅れるのが普通だ。それに対し、ジョブズは、現実などはなから無視する。時間的制約などなんとでもなると考えるのだ。
■ジョブズが恐れた「おバカの爆発的増大」
⇒ジョブズは、才能あふれる選ばれた一握りのプロだけを集めたいと考えていたが、会社の規模が大きくなるにつれて、「無能な人間」が増えることを恐れていた「一流の人間だけで会社をつくれば、みんなが一流の人間を雇おうとする。だが、そこに二流が一人まぎれ込むと、そいつが同じ二流を集め始めるから、またたく間に会社が二流と三流だらけになってしまう」
■会社を処分したがらないジョブズ
⇒ジョブズは不振のピクサー買収の話が「フォーチュン500」に名を連ねるような企業から二度も来たにも関わらず、二度とも拒否している「やりがいというのは、会社をつくったり、株式を公開したときだけに感じるものではないんだ。
創業は親になることと同じような経験だ。子供が生まれたときはそりゃあメチャクチャうれしい。でも、親としての本当の喜びは、自分の子供とともに人生を歩み、その成長を助けることだと思う。
ネットブームを見て問題だと思うことは、会社を始める人が多すぎることじゃなくて、途中でやめてしまう人が多すぎることなんだ。会社経営では、ときには従業員を解雇しなければいけなかったり、つらいことも多い。それはわかるよ。でも、そんなときこそ、自分が何者で、自分の価値はなんであるかがわかるんだ」
■自分の内なる声を聞け
⇒スタンフォード大学でのスピーチからスティーブ・ジョブス スタンフォード大学卒業式辞 日本語字幕版「君たち、人生の時間は限られている。他人の人生を生きてこの限られた時間を無駄にしてはいけない。世間の常識などという罠にはまってはならないよ。他人の意見という雑音に、自分自身の内なる声をかき消されないようにすることが重要だ。そしてもっとも重要なことは、自分の心と直感に従う勇気を持つことだ。心と直感は本当になりたい自分を知っている。それ以外のものなんてのは二のつぎだ」
【感想】
◆いやー、今まで何冊かアップルorジョブズ関連の本を読んでましたが、本書でのジョブズが一番強烈でした(汗)。一つには、製品やブランドにフォーカスしているのではなく、ジョブズの交渉方法に主にフォーカスしていること。
ご存知の方も多いと思いますが、ジョブズの交渉方法は極めてハードですから、万が一、本書で「スティーブ・ジョブズという人物」を知った方なら(ry
あんまりにも強烈過ぎて、むしろそうじゃない部分を多めにしてみたという(汗)。
◆もちろん、ジョブズの素晴らしさですとか、才能やセンスについても言及されているものの、どうもそれらが、「あこぎな(?)交渉法」のフォローにしか読めないのが何とも(笑)。
本来、上記のポイントでは、「いかにジョブズが交渉を有利に運んだか」について書くべきなんでしょうけど、フォローなしでジョブズがやったことを書いたら、どんな記事になるのやら(汗)。
それ以前に、まず「他の人が真似できないスタイル」である以上、「再現性」という観点からは、「重要」とはなりえない気がします。
◆逆に、そんな交渉でも通用してしまう(?)、「自分」や「自社製品」に対する信念は、見習いたいところ。
もちろん、その「信念」の前提となる、「仕事への尋常でない取り組み方」も同様です。
私もこのブログに対して、そこまで入れ込められるかどうか・・・(って、本業は(ry)。
◆そして、上記で動画のリンクを貼り付けた、あの有名なスタンフォード大学でのスピーチについても、著者の竹内さんは、こう解釈されています。
・・・さすがにちょっと深く読みすぎだと思うんですが(爆)。これは若い学生たちへのメッセージだが、深く読むと、ジョブズ自身の決意を示す挑戦状とも思えてくる。自分は今の成功でまだ満足はしていないぞという意欲だ。
挫折や死の恐怖を味わうことで、たいていの人は謙虚さを身につけるものだが、ジョブズの場合、そうではない。さらに内なる声に正直に生きることを誓い、自分の考えや行動により自信を深めている。立ち止まる気などさらさらない。
◆なお、ジョブズのステキな面(笑)を味わいたい方には、こんな本を。
◆アップルというかジョブズのファンなら必携の一冊。
とにかく写真やデザインがカッコイイので、知ってるフレーズでも心にグサっと刺さってきます。
「1つもアップルの製品を持っていない」ワタクシでも、買って満足(笑)。
◆「iPod」について書かれた本は多々あれど、この本が一番ディープなのではないか、と。
著者がジョブズと「ツーカーの仲」だけあって、裏話も盛りだくさん。
技術系の方からマーケッターの方まで知的好奇心が満たされることウケアイです。
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【編集後記】
◆突然ですが、SHM-CD(スーパー・ハイ・マテリアル CD)ってご存知でしたか?聴き比べ2枚組CD、うそのようなホントの高品質:BARKS ニュース
というワケで、上記サイトで紹介されていたこのCDを予約してみました。特別に専用のデッキなどを買う必要もなく、今あなたが使っているそのプレイヤーのままでこれまで聴いたことのないような高音質を体験できるという、ウソのようなホントのシロモノ。信じられない?
「2枚組み1000円」「初回限定生産」の文字に踊らされましたが何か(笑)?
ご声援ありがとうございました!
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ジョブズ恐るべし、ですね。
まさに「信念の人」って感じがしました。
ジョブズは一度、もの凄い挫折を経験しているので、目もくらむ実績でも、ちょっと共感できる部分がありますね。
5月26日のダンコーガイさんのエントリーにも書かれているように、しょぼい学歴や職歴だったり、失敗や挫折を重ねている方が感情移入できるんですよね〜
いや、ジョブズになれるかどうかは別として(爆)
スティーブ・ジョブズ。何かと話題の多い人ですね(笑)
好き嫌いはあると思いますが、彼の作り出す商品が世界中の消費者の心を捉えていることは確かです。
大ヒット商品を続けて開発するために、どんな考え方をしているのか、どんな哲学を持っているのか、この本を読んで研究してみたいと思います。
単純に面白い本だろうとは思いますが、奥の深い一冊でしょうね!きっと言葉の一つ一つに彼の経験と知恵がつまっているだろうと思います。
早く読んで絶句してみたいです(笑)
確かに「恐ろしい」っす(汗)。
こういう人とはよほど自信がない人でないと働けないかと。
>ゆきんこさん
ジョブズは考え方というか、ビジョンやセンスは真似したいんですが、この交渉の仕方はまさに「諸刃の剣」。
正直、参考にはなりにくい可能性が(汗)。
>スタンリー・グッドスピードさん
スイマセン、商品開発とかそういう関連であれば、この本よりかは、上記の「iPodは何を変えたのか?」の方が単純に面白いと思います(汗)。
今日の池田信夫先生のブログで、もっと面白そうな本が紹介されてましたが、洋書だからなー(涙)。
確かに「悪魔的」な交渉術ですね。分析は出来てもマネは難しいかもしれません。
ちなみに、池田先生のところで紹介されていたのは邦訳でてますね。
「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」ジェフリー・S・ヤング (著), ウィリアム・L・サイモン (著), 井口 耕二 (翻訳) です。
あのJobsのコメンスメントのスピーチ、
"Stay Hungry, Stay Foolish."
は超有名ですね。Jobsが原稿を見てスピーチをするのは、知る限り、これしかありません。私も当時聞いたときはガツンとやられました。いまもiPod touchの中に入ってます (^^;
池田先生のところでご紹介されていたのって、「Inside Steve's Brain」って本なので、まだ邦訳は出てないのでは?
洋書の発売日も先月になってますし。
「偶像復活」の原書って「Icon」ですよね(汗)?
あれ?それとも中身は一緒とか?
深く考えないで、先ほど「偶像復活」をとりあえずアマゾンアタックしてしまいますた(汗)!
それと、私がジョブズのスピーチを生で見たのは、このスタンフォードのヤツが初めてだったので、「あれ?原稿見ない、って聞いたのに見まくりじゃん」と思ったという。
なるほど、他ではやっぱり見ないんですね。
勉強になりました!
Google リーダで池田先生の所のトップの本の絵がでてきてないんですよね(何か設定があるのかもしれませんが…)。うっかりはやとちってしまいました…
おっしゃる通りICONの方が該当の邦訳です。絵がでている方はまだ邦訳はでていませんね。混乱させてしまい、本当にすみません。失礼いたしました<(__)>
ご存知かもしれませんが、iTunes Store で Jobs のMacWorld のスピーチがダウンロードできますね。日本語は付いてないのが残念ですが… "Jobs, MacWorld" でポッドキャストを検索するといくつかでてきます。ご参考まで。
いえいえ、お気になさらず(笑)。
丁度ジョブズ本を読みたいと思ってましたし。
そして、日本語がついてないと、私の場合、かなりキツイっす(涙)。
でも、原稿見ないで喋りまくってるんでしょうね〜。
一度見てみたいなぁ(実はiTunes使ってないんです(汗))。