2008年05月10日
【論理的な話し方】「ロジカル・コミュニケーション」安田 正
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日【編集後記】でご紹介済みの一冊。2007年1月の本なのに、某書店では熱烈プッシュされていたので、手に取った次第です。
アマゾンの内容紹介から。
結構薄い本ですが、かなりタメになりましたよっ!「あなたの話はワカラナイ!」と言われて自信をなくした人でも大丈夫!
ビジネスの場で、自分が言いたいことの半分も言えない、ほとんど伝わらない......そんな人の救済バイブル。本書を読めば、話すべきこと、伝えるべきことが論理的に話せるようになり、相手にきちんと伝えることができるようになります。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
1 「話がうまく伝わらない」のは、口べただから?
コスト削減のキーファクターはコミュニケーション力アップにあった!アナタの話、サッパリわかりませ〜ん!
国際社会で求められるスキルは語学力よりもコミュニケーション力である 現地ですぐに溶け込める人、ダメな人 ほか
2 「話の設計図」を使えば、論理的コミュニケーションができる!
不動産仲介会社営業のA氏の事例 口べたで、話がわかりにくいと言われてしまうんです
商社勤務のB課長の事例 自分としてはわかりやすく話しているつもりなので、何が問題なのか見当もつかないんです! ほか
3 なぜ、日本人は論理的に話すのが苦手なのか?
日本人に共通する「話し方の問題点」とは?
なぜ、日本人にはそんな問題が起きてしまうのか?
4 「論理的に話す」ためのアウトライン・トレーニング
新任管理職研修プログラムの変更の提案―「どうして新任管理職研修のメニューを一部変更しなければいかないのか」と考える。話は大きく2つに分かれる。
ATM混雑解決の提案―「K支店はどんな状況で、どうすべきなのか」と考える。「問題」→「対策」と捉えてみる。 ほか
付録 論理的に話すための25の整理パターン
【ポイント】
■コミュニケーションスキルの重要性⇒海外赴任経験者アンケートの集計結果によると、「国際社会で求められるスキル」の第1位は「コミュニケーション力」で、「語学力」は6位に過ぎない
⇒海外の現地スタッフには日本式あうんの呼吸など全く伝わらない
■話の設計図のつくり方(アウトライン化)の手順
●話を大きく分けると何個になるのかを考える
⇒「共通性があったらひとくくりにする」
●それらにラベル(名前)をつける
⇒バランスを考える
⇒名前は話の組み立てを明示するものであり、話が横道にそれたり、曖昧になるのを防ぐ
●理解しやすい順番でラベル(名前)を使って話の予告をする
⇒話の全体を予告することは、後で自由気ままに論点や主張を変えられないことを意味するが、どんな価値ある情報であっても、聞き手に伝わらないのでは意味がない
■日本人に共通する「話し方の問題点11」(抜粋)
●結論がハッキリしない
⇒そもそも自分の立ち位置を明確にしない傾向がある
●曖昧な表現を好む
⇒趣旨がつかみにくい表現や、どうにでも受け取れるような表現をよくする
●話の内容が連鎖的に変わる
⇒日本語は接点さえあれば全体的な整合性をあまり考えないことを許される
●重要な内容と瑣末(さまつ)な内容が混在する
⇒欧米のロジックのテキストに必ず出てくる「情報の階層化」という概念が、日本語ではあまり重要視されていない
●話の先の展開が予想できない
⇒日本語は結論を最後に話す、細部から話を始めるなどの特徴があるため、聞き手は話の展開が予測できない
⇒または予測していても、全く違っていたということもよくある
■日本人にそのような問題が起きる理由
⇒アメリカの文化人類学者、エドワード・T・ホールによると、「コミュニケーション能力の優劣の問題」というより、「文化的な違い」である
⇒日本は、コミュニケーションの「共有基盤」(「言語」「知識」「価値観」等)が濃密である、「ハイコンテクスト文化」
⇒そのため、子どもの頃から、言葉として明瞭に主張しなくとも「通じる環境」で育ち、そのような環境を前提とした教育を受けている
⇒結果的に、「論理的な話し方」といったことに対する重要性をあまり認識することもなく、そのスキルを身につける必要性も高くない
⇒ただし、そのコミュニケーションは、ハイコンテクストを共有しあった者どうしでしか、その効率性を保てない
■ハイコンテクスト文化を持つ日本人のためのコミュニケーション・スキル
⇒ローコンテクスト文化である米国のやり方(「ディベート」「プレゼン」「ロジカルシンキング」)をそのまま日本人に当てはめてもダメ
⇒「話の設計図」を書いて「情報の構造整理」をするのが、日本人にあった方法
⇒具体的には「私の話のポイントは○つあります」と言うこと
<例>
「まず価格のことですけど、一度会社に持ち帰って検討することは可能ですか。それから、締め切りのことですが、もう少し延ばしていただくことは可能でしょうか。それと、できたら・・・・・・」
↓
「私のポイントは2つあります。1つは価格のこと、2つ目は締め切りについてです」
【感想】
◆最後の最後に簡単な例を引用してみましたが、本書は実は事例というか、演習が満載です(汗)。その分、抜き出す部分がいつもより若干少なめですが、決して本のクオリティが高くないわけではありませんのであしからず。
2章では「話の設計図」を説明するために、「話が整理されていない」「話が長い」「伝える順番がおかしい」といった問題を持つ方々の事例について、順を追って整理していく様子が説明されています。
これがなかなか目からウロコ(汗)。
◆そもそも、改善前の文章を読んで
「こんな話し方している人なんていっぱいいるけど、これってマズイの(汗)?」
と思ってしまった私は、「問題大アリ」のヨカン(汗)。
今までリアルで私と話をしていて「わかりにくい」と思われた方がいらっしゃいましたら、ここでお詫び申し上げます。
○| ̄|_ 正直スマンカッタ ←土下座
◆ただ、「日本人に共通する話し方の問題点」を読んで思ったのが、普通に生活していたとしたら、わかりにくい話し方をしていてもしょうがないんじゃないか、と(自己弁護)。
少なくとも私のサラリーマン時代は「あうんの呼吸」で仕事やってあたり前。
それこそ、「言ってる意味がわからない」なんて面と向かって相手に言ったら、自分の方が「ニブイ」と宣言するようなものでした。
・・・今になって考えてみたら、帰国子女の先輩が異動してきて、私を含め部内の人がみなその人と話が通じなかったのも、こちら側に責任があったのかも。
◆なお、本書は図解本でもないのに、いい意味でカラー満載で、これも理解を深めるのに役立っています。
上記で挙げた第2章の事例の解説部分がコチラ。
こんな感じで、ほぼ全編に渡って、カラーの挿絵やイラスト、図が収録されています。
個人的には、この辺が結構ツボだったんですが(笑)。
◆また、付録の「論理的に話すための25の整理パターン」も、こんな感じで目にも鮮やか(笑)。
具体例がないのがちょっと残念(一部は本書内の事例と同じ)ですが、これらに全部事例をつけて解説したら、それこそとんでもなくぶ厚くなったかと(汗)。
その代わり、収録事例と同じく「アウトライン化作成の手順」は全てに付されていますので、これは活用しがいがあります。
◆正直に申し上げて、自分が本を読むだけ読んでも、あまり実践してないことはわかっております。
ただ、本書の内容はホントにマスターしたいな、と(汗)。
薄い本ですがマジでオススメ!
【関連記事】
【祝・掲載!】成功するコミュニケーション術 達人のテクニック(2008年03月08日)【謝罪】「一分間謝罪法」を読んでみました(2008年01月21日)
「絶妙な「聞き方」の技術」宇都出雅巳(2006年11月07日)
「絶妙な話し方の技術」 橋川硬児 (著)【マインドマップ付き】(2005年10月06日)
【編集後記】
◆アマゾンを見ていたら、今日の記事の本の著者である安田さんの別の本を発見。思わずアマゾンアタック敢行←大げさ(笑)。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「コミュニケーション」へ
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
それに加え、過分のお褒めを頂戴し、恐縮しております。
今後ともご期待にお応えするように努力致します。
ご支援、ご指導の程よろしくお願い致します。
追伸:ライティングの新しい本を3週間前にダイアモンド社から出版いたしました。
本書もご一読いただけましたら幸いです。
著者様直々のコメントありがとうございます。
ご本、出てすぐではなかったのですが、リアル書店で見つけて拝読させて頂きました。
わかりやすくてとても良かったです。
また、新刊のご連絡ありがとうございます。
リアル書店にて確認させて頂きます。
今後ともよろしくお願いします。