2008年04月26日
【自分ドメイン】「会社を替えても、あなたは変わらない」海老根智仁
【本の概要】
◆今日お届けするのは、一種の「自分ブランディング」的な内容のご本。タイトルからは分かりにくいのですが、本書は「会社の事業計画書」の書き方を応用した、「個人の事業計画書」の書き方の徹底指南書です。
◆アマゾンの内容紹介によると、対象読者は以下の通り。
思い当たる方は、どうぞ記事をご覧下さい!●日々の仕事に追われ、ものごとを深く考える余裕がない人
●自分の将来が描けないで、自分探しの迷路に迷い込んでいる人
●転職や資格を取得しさえすれば、すべてうまくいくと思っている人
●会社や新規事業を軌道に乗せたいと考えている経営者およびリーダー層
●会社の事業計画書さえも本格的に書いたことがない新米経営者

【目次】
第1章 一本の木から事業計画をイメージする―「事業計画」の全体像
事業計画が、他の「計画」と決定的に違うところ
一本の木から事業計画をイメージする ほか
第2章 老舗和菓子屋の事業計画書を書く―「事業計画」の実践
老舗和菓子屋が生き残るためには
経営者の「思い」は? ほか
第3章 制作会社の事業計画を劇的に変える―環境の変化に適応する
儲かる会社と儲からない会社の事業計画書
制作会社の経営環境とは? ほか
第4章 安易な目標だけでは一歩も成長できない―「個人の事業計画書」を書く
会社が勝つ条件と、人が人材市場で勝つ条件は同じ
自分ドメインを設定する ほか
終章 あなたの人生はあなたが経営している―自分を見つめるための「事業計画」
自社の苦しい時代の環境分析
苦境を打開した事業ドメイン ほか
【ポイント】
■会社を替えても、あなたは変わらない
⇒「目標や夢」を達成できないのは、一言で言うと、「目標の設定の仕方が間違っているから」⇒「転職する」ことだけで自分が成長すると信じている人が多いが、それは大きな勘違い
⇒大事なのは「本質=幹」であり、「事業計画」の考え方を応用した、会社の幹づくりならぬ"個人の幹づくり"が本書のテーマ
■セブン・イレブンの事業ドメイン
⇒セブン・イレブンのCMコピー「開いててよかった」のひと言に込められた3つの要素は以下の通り⇒当時のセブン・イレブンにおいては、これがまさに会社の「幹」であり、彼らはこの「幹」を大きく成長させていった1.対象とする市場はどこか(顧客は誰か) → ひとり暮らしの若者
2.その市場(顧客)のニーズは何か → 時間的利便性、距離的利便性
3.自社の強みは何か → 日用必需品に絞った徹底的品揃え
■事業計画書作成の流れ
⇒最初に経営者の「思い」がある⇒その「思い」を事業として実現するために、「環境分析」をして「事業ドメイン」を設定
⇒そこから「成長戦略」「競争戦略」を構築して、具体的な戦術に落とし込む(本書では、「老舗和菓子やの事業計画書を書く」という具体的な事例で作業を行っていますが、割愛(汗))
■事業計画書の見直し
⇒事業ドメイン通りにやってうまくいかないときは、小手先で処理しようとせず、つねにひとつ前の段階に戻る⇒逆に言うと、順番を追ってきちんと事業計画書を作成していれば、その順番を逆にたどってチェックできるので、軌道修正がしやすい
⇒「枝葉」の部分にあたる具体的な施策をあれこれ変えるのではなく、大元の「幹」が間違っていないかを定期的にチェックする
■事業計画の代表的な3つの失敗
⇒環境が大きく変化しているにもかかわらず、戦略の変更ができていない⇒規制緩和や法改正など、経営に影響を与える外的要因を見落とした
⇒周辺環境を分析しきれていない、もしくは、環境の把握の仕方が間違っている
■「自分ドメイン」の要素
⇒1.対象とする市場(人材市場)はどこか⇒2.その市場(人材市場)のニーズは何か
⇒3.自分の強みは何か
■<実例>保険セールスマン市場の「環境分析」と「自分ドメイン」
●自分ドメイン⇒具体的には年収2000万円以上を稼ぎ出すセールスマンになることを想定
1.対象となる市場はどこか(顧客はだれか)
→ 忙しくて家族および自分のケアができないエグゼクティブ市場
2.その市場(顧客)のニーズはなにか
→ 家族と自分にふりかかる心配事を軽減したい
3.自分の強みはなにか
→ 心の内面までケアする
●自分オペレーション(日々やること)(抜粋)
・保険をはじめ、資産形成や資金運用についての知識を身につけて、一人一人の顧客への最適なアドバイスができるようにする
・顧客は忙しい人たちなので、時間をとらせないよう、報告事は定期的にメールで行う
・顧客は保険の内容を自分で随時チェックできない人たちなので、代わりにその状況をつねに把握しておく
●個人の成長戦略
⇒「生涯のライフコンサルタント」を目指す方向に
⇒既存の顧客に対して、新しい製品やサービスを提供していく『新商品開発戦略』を行う
●個人の競争戦略
⇒この「自分ドメイン」が、保険業界の人材市場において、本当に競争優位かどうか、ポジショニングマップで検証
⇒縦軸に「顧客本人中心―顧客家族中心」、横軸に「保険商品そのものによるケア―心の内面ケア」とする
⇒「顧客本人中心に保険商品そのものによってケアする」というポジションには、昔ながらの生保レディが位置する
⇒「顧客家族中心に保険商品そのものによってケアする」というポジションには。外資系やネット保険が位置する
⇒それらに対し、この人の場合は「顧客家族中心に心の内面をケアする」というところに属し、現状ではライバルがおらず、競争優位性が維持できていることがわかる
【感想】
◆今まで、「SWOT分析」やら、「ポジショニングマップ」といったコトバを見ると、脊髄反射的に避けていたワタクシですが、本書は最後まで興味深く読むことができました。一つには、事例が面白かったこと。
特に、最初の「老舗和菓子屋の事業計画書」の事例は、この手の分析モノとしては、かなりのヒットでした・・・って、今まであまり追ってなかったんですが(汗)。
◆ちなみに、もう一つの事例である「ウェブ制作会社の事業計画」の方が、むしろ、このブログの読者さん的にはツボかもしれません。
ただ、私は自分がウェブ方面に疎いもので、事例のSWOT分析の脅威と機会がピンと来ませんでした(汗)。
この辺も興味のある方は、各々お手にとって頂ければ、と。
◆なお、「自分ドメイン」とも関わってくるのですが、「ブログドメイン」というか、私もこのブログについて、本書の内容を参考にして、戦略を練っていこうと思っております。
例えば、「成長マトリックス」において、「新規市場」として、今まであまりビジネス書になじみのなかった、女性層をターゲットとする。
そして、「新規商品」として、「恋愛関係」の書籍も取り扱う。
ということで、こんな本はどうでっしゃろ(汗)?
ぶっちゃけ、私のようなオサーンが、電車の中でカバーつけないで読んでたら、ちょっとマズイような(爆)。
◆なお、タイトルに関連して、終章には著者の海老根さんの、こんなお言葉が。
転職に限らず、キャリアアップや、起業を考える人にとっても有意義な一冊。転職する暇があったら、「自分ドメイン」を一から考えなさいといいたい。
まずは、目先のことを追いかけるのをやめて、自分は、このとてつもなく広い人材市場にいるのだということを意識してほしい。少しでも楽で快適なところを探そうとキョロキョロする前に、どう生きていくか、生き方を描いてほしい。
そして、その生き方が正しいかどうかを自分で判断する習性を身につけてほしい。
これが、私からのメッセージです。
マジで勉強になりました!
【関連記事】
【伝説】『「伝説の社員」になれ!』土井英司(2007年07月10日)「あなたが年収1000万円稼げない理由」田中和彦(2007年02月20日)
【マインドマップ書評】「20代 仕事筋の鍛え方」 山本真司 (著)(2005年09月20日)
「パーソナルブランディング」 ピーター・モトンヤ (著) 本田直之 (訳)(2005年06月09日)
【編集後記】
◆リアル書店で見かけて気になっている一冊(汗)。超文系のワタクシですが、オライリーの本もたまには読みたいんですよ〜(涙)。

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smoothさんの愛読者としまして、昨日のポリシー支持いたします!トリビア的に10回ポチしました(笑)!ついでに、お薦めのMP3を中学に入学した長男の英語学習用にアタックさせてもらいました!
>■一定のジャンルの本の情報は歓迎しております
ということで、私は出版社のものではありませんが、是非、勝間本の大本命ブロガーとしてご本領を発揮していただきたいのが今回発売の「Think!」-キャリアを高める勉強力- NO.25。私のブログでさわりのみ紹介しましたが、なんせ弱小なので、広く知ってもらえない。是非、内容に踏み込んだ勝間さん特集をお願いいたします。中身がめちゃ濃いです。正直、わたしの手に負えません……。
ポリシーはさておき(笑)、アマゾンアタックありがとうございます(涙)。
私も今、職場まで歩いて来たんですけど、このMPIOで、先日ご紹介したジェームズ・アレンのCD教材聴いてました。
リセットボタンがないので、フリーズしたらどうしょうもないらしいんですがー(汗)。
「Think!」は書店で見かけました。
確かに勝間さん以外にも濃い記事が満載なんですが、雑誌であの値段というのがネックになっております(←貧乏人)。
告知という意味では、先週本業が忙しくて、買い忘れた雑誌が山ほどあるので、今日明日にも何とかまとめてやりたいと思います(汗)。
毎日拝読しています。
今回ご紹介いただいた本ですが、
本田直之様の「レバレッジ・オーガナイザー」との組み合わせが良いのではと思いました。
私は「レバレッジ・オーガナイザー」の説明部分が少ないので、イマイチ「ピン!」と来なかったのですが、この本を読んで「オウ!こうゆうことか!」とひらめいた次第です。
これからも「ピン!」とくる書籍などをご紹介ください。
楽しみにしています。
はじめまして。
コメントありがとうございます!
なるほど、「レバレッジオーガナイザー」!
確かに使える部分が多そうですね。
ただ、「レバレッジ〜」の方は、どちらかというと、将来のゴールに焦点を合わせて、それを細分化している点が特徴であるのに対して、本書は「自分の本質」というか、コアコンピタンシーを見出すのに有効ではないか、と。
もちろん、どちらの本も有益であることには間違いないですし、併せて使えば、相乗効果も望めそうです。
アドバイスありがとうございました。
今後ともよろしくお願いしますね!
で・・・出遅れました。
いぁ・・・こ・・・これは!
あ・・・ありがとうございます!
さっそく編集さんに通報(?)いたしました。
感激されていましたです。
smoothさまはオサーンじゃなくて
きっとチョイ悪さんタイプです!
ぜひぜひ!カバーなしで読んでくださ〜い!
新規商品、恋愛部門楽しみにしています。
といいますか、恋愛メルマガを刊行されていたとのこと。
どんなメルマガだったんでしょう・・・
(興味津々
オチで使ってスイマセン(汗)。
このご本、ドラマにも使われたというお話を聞きましたよ。
ウチの読者さん的には食いつきがイマイチですけど、世間的にはウケそうな(笑)。
そしてメルマガに関しては、半年発行しなかったので、廃刊になっちゃいました(笑)。
内容は、ビジネス書の教えから、彼女をゲットするという、非常に高尚なものでした(ウソ(笑))。