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2008年04月14日

【キャラ作法】「キャラクターメーカー」大塚英志




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日「鏡の法則」の野口さんにもオススメした、クリエイティブなビジネスパーソンなら必読の一冊。

今現在、アマゾンのページがアレなんで、アスキー新書のサイトから引用します。

ライトノベルやまんが、アニメに登場する「キャラクター」は、作品の成否を決定づけるだけでなく、商品として消費され、あるいは二次創作に使用される。そのようなキャラクターは、どうやってつくれば魅力的になるのか?古今東西の物語理論を自在に応用し、「私」が反映したキャラクターをつくりだす決定版マニュアル。

読んでいて思ったのですが、これって、パーソナルブランディングにも使えそうな。

ひょっとしたらひょっとしちゃいますよ(汗)!


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【目次】

第1講 アバター式キャラクター入門

第2講 トトロもエヴァンゲリオンも「ライナスの毛布」である

第3講 手塚キャラクターは何故テーマを「属性」としているか

第4講 雨宮一彦の左目にバーコードがあるのは何故か

第5講 自分からは何もしない主人公を冒険に旅立たせるためのいくつかの方法

第6講 影との戦い


【ポイント】

■キャラクターを「つくる」
⇒「キャラクター」を視覚的にデザインすることはあくまでも「キャラクターをつくる」ことの一部分を成しているに過ぎない

⇒「キャラクター」とは「物語」と不可分な関係にある

⇒「キャラクターをつくる」というものの根底には、「私を表現する」という問題が潜んでいる


■「アバター」という概念
⇒一般的には、セカンドライフやネットゲーム上で自分の代わりをつとめるキャラクターと思われているが、ハリウッド映画においては、視聴者や観客の代わりに作品世界の住人となって主人公を理解していく登場人物を意味する(『Xファイル』における主人公、モルダーに対する女性捜査官スカリー等)

⇒映画等で、モノローグによって自問自答する主人公は、主人公アバターの両方の役割を持っている


■「移行対象」としてのキャラクター
「移行対象」とは、発達心理学者のドナルド・ウィニコットが指摘したもので、幼児が母親から分離していく過程で、母、あるいはもっと直接的には「乳房」の代わりとして求められるもの(『スヌーピーとチャーリーブラウン』のライナスがいつも手にしている毛布等)

宮崎駿のアニメーションは、「移行対象」の宝庫

例):

『パンダコパンダ』のパンダの親子

『となりのトトロ』のトトロ

『風の谷のナウシカ』のテト


■「聖痕」と物語
⇒何らかの「聖痕」をもった主人公は、物語と親和性が強い

⇒というのも、何か「欠けた」状態というのも一種の「聖痕」であり、何かが「欠けた」状態にあるとき、物語は発動しやすいため

ぼくを探しに
講談社
Shel Silverstein(原著)倉橋 由美子(翻訳)
発売日:1979-04
おすすめ度:5.0

⇒場合によってはその「聖痕」や「標」(しるし)は、主人公が主人公であることを証明するために最後の最後で作用する

ロシア民話が面白いのは、主人公が敵を倒しただけでは自己実現は達成されず「偽の主人公」をわざわざ登場させて、主人公に自分が自分であることを証明させる、という点にあります。その証明を可能にするのが「標」である、という位置付けです。


■主人公は自分から動かないもの
⇒主人公は基本的に受け身であり、よほど強引で直情型でない限り、そう簡単に「自ら」動いてはくれない

⇒危機的状況の中で巨大ロボットを与えられ、「一つ戦ってくれや」と依頼されても拒む主人公←思わずワロテしまいましたが(笑)

機動戦士ガンダムDVD-BOX 1 特典フィギュア付(完全初回限定生産)
バンダイビジュアル
安彦良和(デザイン)大河原邦男(デザイン)矢立肇(原著)富野喜幸(原著)
発売日:2006-12-22
おすすめ度:4.0

劇場版 NEON GENESIS EVANGELION - DEATH (TRUE) 2 : Air / まごころを君に [DVD]
キングレコード
庵野秀明(原著)庵野秀明(脚本)GAINAX(原著)
発売日:2003-11-27
おすすめ度:4.0


■物語論は創作に応用できる
⇒ジョージ・ルーカスは『スターウォーズ』において、ジョセフ・キャンベルの「単一神話論」の構造にかなり忠実にシナリオを構成している

⇒上記『スターウォーズ』のストーリー開発とキャンベルの神話論の関係に触発されたクリストファー・ホグラーが書いた、シナリオ・ライティングのマニュアル書

夢を語る技術〈5〉神話の法則―ライターズ・ジャーニー (夢を語る技術 (5))
ストーリーアーツ&サイエンス研究所
Christopher Voglar(原著)クリストファー ボグラー(翻訳)岡田 勲(翻訳)講元 美香(翻訳)
発売日:2002-11
おすすめ度:4.5

⇒ホグラーによるハリウッド映画におけるキャラクター分類

「ヒーロー」「賢者」「門番」「使者」「変化するもの」「シャドウ」「トリックスター」


■「負の自己実現」へと導く者
⇒主人公は何らかの自己実現に向かうという考えに立った時、レクター教授(『羊たちの沈黙』)やダースベイダーといった悪のキャラクターは、主人公の望む方向、進むべき方向と正反対の方向や価値観に向かって、いわば負の自己実現をしていくキャラクターだといえる(ハリウッド映画の世界では「影」と呼ばれる)

⇒彼らは敵対者であると同時に、主人公を「負」の方向に誘う負の「賢者」でもある

「影」を救済することで主人公は自己実現すると考えると、作中の「影」として描かれたキャラクターは主人公の自己実現を「援助」する最も決定的なキャラクターである、ということにさえなる

例えば『スターウォーズ』においてダースベイダーはルークの「影」であり、ルークは彼を倒しますが、それは悪に打ち勝ったというほど単純ではありません。映像を見ていると互いに光と影である両者の微妙な「和解」が描かれている気がします。ダースベイダーという「影」と正面から対峙してこそ、ルークは大人になることができるわけです。


【感想】

◆本書を読んで、日頃、映画やアニメ、小説等で接していたストーリーの多くが、実はキチンとしたコンセプトに則って描かれているのであろうことが、よくわかりました。

というか、言われないと気がつかないものの、指摘されると「なるほど」と思うこと多々。

コレも一種の「目からウロコ」です。


◆もちろん、このようなストーリー構築について学ぶことは、私たちビジネスパーソンにも無関係ではありません。

私も以前、このようなセミナーに参加したことがありました。

神田昌典さん「お金と正義」講演会に行ってきました!:マインドマップ的読書感想文

神田さんは、「物語」に関しても非常に知識が豊かな方で、確か上記「神話の法則」も推薦されていた、と聞いた記憶が。


◆結局、相手に伝えたい、訴えたいものがあるとして、それを「どういう形で提供するか」というのは、媒体を「ブログにするか」、「メルマガにするか」みたいなものかと。

つまり、どういうコンテナーに載せるか、という選択肢の一つとして、「ストーリー形式」というのもあると思うんですよね。

ガチガチの「自己啓発本」にするのか、「面白おかしいストーリー」にするのか、みたいな。

面白おかしい例(笑)。
   ↓
夢をかなえるゾウ
飛鳥新社
発売日:2007-08-11
おすすめ度:4.5


◆ちなみに、単純に「伝える」だけでなく「動かす」ことまで考えて書かれたのがこの本。


2006年にこのブログで一番売れた本なのですが、どうも絶版扱いのような(汗)。


◆また、自分の経歴とかパーソナルブランディングを考える上でも、本書のような考え方に沿った切り口もアリじゃないか、と思ったワタクシ。

自分が何で今の職業についたのか、とか、何でこういう事をしたのか、とか物語に当てはめたり、また、自分のキャラクターを考える上で、意識してみたいところです。

「何が欠けている」のか、そして「それを埋めるため」「何をした」のか。

少なくとも私の場合、「お金が欠けて」いたので「ブログを書き始めた」のではないのですがー(笑)。

この本、意外なほどタメになりました(笑)。

オススメです!



【関連記事】

「クリエイター・スピリットとは何か?」杉山知之(2007年05月05日)

神田昌典さん「お金と正義」講演会に行ってきました!(2007年01月25日)

『「物語力」で人を動かせ!』 平野日出木(2006年03月18日)

【マインドマップ書評?】★シークレットセミナー報告(汗)!(2005年09月11日)


【編集後記】

◆昨日ゲットした一冊。


ベストセラー、「脳が冴える15の習慣」で知られる築山 節先生の新刊。

パラパラっと見た感じでは、かなりキテます(汗)!


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キャラクターメーカー―6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」 (アスキー新書 62)作者: 大塚 英志出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス発売日: 2008/04メディア: 新書 「キャラクター小説の作り方」等で有名な、大塚英志のキャラクター作成論最新刊。 漫画...
ラノベ・漫画作者には有益:キャラクターメーカー【本読みの記録】at 2008年05月05日 11:56
                               
この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは。

大塚英志さんって、その筋wでは有名な方ですね。かつて所属されてた伝説の「作画グループ」っていえば(大塚さんの作ではないけど)「超人ロック」とか。編集長だったプチアップルパイは私買って持ってました。捨ててなければ、まだどこかにあるはず(w

民俗学的素養もある方なので、物語の分析なんかは面目躍如なのではないかと。確かに読み応えありそうな一冊ですね。

Posted by Sio @ Sio's Gadget Blog at 2008年04月14日 15:15
               
>Sioさん

そそそーなんですか?>その筋
「プチアップルパイ」も検索かけて初めて知りました(汗)。
私は70年代(爆)に「ぱふ」を購読してたくらいで、後は漫画のことはよくわかっておりません(汗)。
なお、本書ではご自身の関与された作品についても結構言及されてるんですが、「私が全然知らない」ので、スルーさせて頂きました(汗)。
それ以外でもかなり参考になりましたし・・・。


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年04月15日 00:41
               
smoothさん、ご無沙汰しておりました。今日からブログを再開しました。
キャラクターづくり。顧問先企業でまさにこれから取り組もうとしているテーマなので参考になります。これは早速注文です。
Posted by まちすけ at 2008年04月15日 17:55
               
>まちすけさん

ご無沙汰しております〜。
いや、この本は、まちすけさんにだけは読んでいただきたかったんですよ(笑)。
もっとも「神話の法則」とか普通に読まれている方だと、ちょっとアレですが(笑)。
それでも絶対得るところはあると思います!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2008年04月16日 01:22