2008年04月10日
【脳内経験】『案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」』山本高史
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、銀座ブックファーストのビジネス書ランキングで1位に鎮座していたご本。著者の山本高史さんは、アマゾンの内容紹介によると
という、売れっ子クリエーティブ・ディレクター&コピーライターさん。1961年京都生まれ。(株)電通を経て、(株)コトバ設立。
トヨタ自動車/カローラ「北野武からの手紙」篇、カローラフィールダー「小野伸二」篇、「平井堅」篇、「木村拓哉」篇、JR東日本/Suica、オリンパス/企業広告、サントリー/マグナムドライ、角、ジャパネットたかた/企業広告、野村證券などの広告キャンペーンを手がける。
TCC最高賞、TCC賞、クリエイター・オブ・ザ・イヤー特別賞、ADC賞、ACC賞など受賞多数。
アイデア系に弱い私としては、フラフラと食いついてしまいましたよ(笑)!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 選ばれないアイディアは、ないのと同じ
「経験」は、大人の責め言葉か?
経験は、経験しないとわからない。 ほか
第2章 経験資本主義(なにをするにも経験が資本)
駆け出し損ねた、駆け出し時代。
頭の中の、「水がめ」。 ほか
第3章 実経験と擬似経験(リアルとヴァーチャル)
経験のため方。
「実経験」と「擬似経験」。 ほか
第4章 脳内アングルから見つめてみると
経験をデータベース化して、それで?
「主観」は「偏見」にすぎない。 ほか
第5章 脳内ツリーから、ユニークな提案へ
「普通」の、先へ。
脳内ツリー。 ほか
【ポイント】
■「ユニークな提案」の違和感⇒受け手(クライアントor世間)にとって大切なのは、まずベネフィットの質と量であり、ユニークであるかどうかはその後の話
⇒広告が受け入れられる順番は『「認知」→「理解」→『評価』の順であり、順番を飛ばしたり、逆になることはない
⇒テレビCMは一度拒絶されたら、そこで終わり
「受け手に選ばれなかったという結論が出た瞬間に、もう受け手とのコミュニケーションは終わっている」ということだ
■「なにを言うか」と「どう言うか」
⇒「なにを言うか」とは、「受け手に対するベネフィットの約束」のことで、「どう言うか」とは、文字通り、「どんな方法で伝えると効果的か」ということ
⇒「どう言うか」は、「なにを言うか」に先んじてはならず、まず伝えたいことの中身を明確にすること
⇒「ユニークな提案」というのは、「どう言うか」に夢中になっているのでは?
■経験データベース
⇒「経験する」とは、「なにかに遭遇して、それをきっかけにして脳を動かして、脳に記憶として残したり、蓄積すること」であり、単なる「思い出」とは違う
⇒「経験データベース」とは、「経験」を通して、「知った」ことを脳内にストックし、課題に対していつでも取り出せるようにデータベース化する
⇒「経験データベース」のメリットは、偏見を排しながら課題の全体像を把握することと、その中の経験データをきっかけに、ユニークな発想を羽ばたかせること
■経験の分類
●実経験
⇒目を覚ましてから、再びベッドにもぐるまでに遭遇する出来事に対する意識の動き
⇒ただし、ここでいう経験は、意識化されて脳に定着するものであることが前提
実経験でも経験データベースづくりのために大切なことは、意識的に脳を動かすこと。それは、脳に考えるという経験をさせるということと、言えるかもしれない。
●擬似経験
⇒「擬似経験」とは、だれかのつくったものに、感情移入したり、真似たり、吸収して自分のものとしたりして、ヴァーチャルに経験するもの(小説、映画、テレビ番組等)
⇒実経験に比べてすぐれているのは、強いインパクトも擬似であり、精神的・肉体的なダメージが軽微なので、毎日でも繰り返し経験を得ることができるということ
⇒一番大きな特徴は、実体験では決してできないことができるということ(死、不倫等)
⇒注意しなければならないのは、擬似経験のきっかけとなるものは作者や製作者が、彼らの価値観、感性、趣味、嗜好を表現するためのものであるという点
●脳内経験
⇒「脳内経験」とは、「経験をきっかけに、考えた経験」
「イタリア旅行」のケースを思い出すと、「ピザを食べた。おいしいけど、どこか馴染めないものがあるな。日本のものとは違うと思った」までが実経験で、「・・・・・・っていうことは、日本のピザは、日本アレンジが〜」は、脳内経験である。
■脳内経験を、効率よく大量に重なるために
●「脳内アングル」
⇒「脳内アングル」とは、「視点の複数化」のこと
⇒脳内アングルの目的は、「全体像の把握」と「偏見の排除」の2つ
⇒脳内アングルは、切り口のテーマ設定によって、どんなアングルでも作れる
例:すれ違った犬
・「すれ違った自分」「犬を連れている男性」といった人や動物
・「犬のリード」「電柱」といったモノ
・「背中から見た犬」「同じ目の高さで」「アリの視点」といった「視覚的なアングル」
・「過去から」「未来から」「犬が生まれた日」といった「時間的アングル」etc...
●脳内ツリー
⇒脳内アングルで用意した「主観」は、言ってみれば「誰にでも思いつくこと」が、たくさんある、というだけの「普通の寄せ集め」に過ぎない
⇒その中から「選ばれるユニーク」とは、だれも考えないことではなくて、だれもが考えはするが、だれも考えつかなかったこと
⇒「脳内ツリー」とは、「脳内アングル」などの、考えた経験をきっかけとして、木の枝のように伸びていく想像力である
【感想】
◆本書は、軽妙な文体とはウラハラに、まとめようとすると、なかなか一筋縄ではいかない一冊でした。私の得意とする小ネタハック系とはちょっと勝手が違うといいますか。
上記ポイントを読んで頂いても、「よくわからない」と感じられる可能性が大(汗)。
というか、本来このような「ポイント列挙タイプ」のまとめ方にはそぐわない内容なんだと、今さら思った次第です(遅すぎ(汗))。
◆そんな中、ざっくり再度まとめるのなら、まずは、広い意味でのコミュニケーションを円滑にするために、「経験データベ−スの充実を図る」ということ。
テレビCMを見ている消費者は、「何も考えずに」情報を受信していますが、発信する方はそれではいけません。
アクティブに、「脳を動かす」ことが大事です。
◆そしてもう一つは、「脳内経験の活用」。
これは厳密にはとっかかりとして、「実経験」「擬似経験」があって、やはりそこから「脳を動かす」わけですね。
そのために「脳内アングル」「脳内ツリー」の2つの関連する思考法が挙げられています。
◆実は本書ではこの部分で、具体例を入れてかなりのページ数を割いているんですが、上記に書いたように極めてまとめにくいので、割愛しまくってしまいました(汗)。
興味のある方は、この部分だけでもぜひ一読して頂きたいところ。
賞を多数受賞されている著者の山本さんの、思考法のキモだと思いますので。
◆ところで、本書を読んでいてフト思ったのが、最近はテレビを見ている時だけでなく、世間一般的に昔ほど物事を深く考える習慣がなくなってきたのではないか、ということ。
これはひょっとしたら、情報量が膨大になってきたため、個々の情報処理に与えられている時間が、以前より減っているからではないでしょうか(私だけ?)?
「仕事術」ですとか「時間術」「ライフハック」といった内容の本に人気があるのも、その辺に根っこがありそうな。
◆その点本書では、身の回りの些細な出来事について、単なる「出来事」で終わらせずに、「そこまで掘り下げ&掘り拡げますか」ってくらいに思考を展開しています。
「こういうモノの考え方もあるんだ」、という「思考世界」は知っておいて損はないかと。
簡単に書かれているように見えますが、奥が深い一冊!
【関連記事】
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「すばらしい思考法 誰も思いつかないアイデアを生む」マイケル・マハルコ (著)(2006年05月16日)
【今日の一冊】
◆昨日、大橋悦夫さんに教えて頂いたご本(?)。私は特に痩せる必要はないものの、何かに応用できそうな気が(笑)。
【編集後記】
◆ムスコが4月から保育園に通うようになり、連絡帳に描くヨメのイラストが復活しました(笑)。ムスコは最近、つかまり立ちをするようになって、テーブルの上の食べ物に手を出そうとしております(汗)。
食べることだけは一人前!
ご声援ありがとうございました!
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もうつかまり立ちですか。
ウチは、最近、暴れだして、ファミレスですが、外食が大変です(涙)。
どうしても、食べ物で、遊んでしまうものなのでしょうか?
ムスコも外食時は大変です。
食事をすごいイキオイでしてくれるのはいいんですが、食べたい時に、ちょっとでも与えるのが遅れると、食器をテーブルに叩きつけて要求します(汗)。
動物にエサやってる気分(汗)。