2008年02月07日
【脱常識】「33人の否常識」セス・ゴーディン他
【本の概要】
◆今日お届けするのは、またもや先日の記事でご紹介したままで、放置していたご本。本書は、『「紫の牛」を売れ!』で知られる、セス・ゴーディンが、ビジネス界の33人のスーパースター、通称"グループ・オブ・33"(<080214追記>メンバー全員のリストは、アマゾンのサイトでご覧下さい)の協力を得て生み出した一冊です。
アマゾンの商品説明より。
印象的なメタファー(隠喩)も多く、考えさせられました!本書は、セス・ゴーディンが全米ベストセラー著者『「紫の牛」を売れ!』の反響を受けて、成長するためのヒントをユニークな方法で紹介したものです。著者の言う「ビッグ・モー」とは、世の中の常識を変えてしまうような型破りな姿勢や発想を指します。いわば、究極の紫の牛と言えるでしょう。
セス・ゴーディンはこの概念をわかりやすく伝えるために、ビジネス界のスーパースターたちに呼びかけ、成功するためのそれぞれの持論を語ってもらいました。
彼らは、心に残る顧客サービス、成功が目の前に保証されていなくても挑戦しつづける心、類まれなリーダーシップ、業界の常識を覆す新基準について語ってくれました。こうした成功者たちの言葉は、末端から最上層部にいたるまで、組織の成長と変化を促すためのヒントを与えてくれるはずです。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
最後の五分間自問してみよう
時間の使い方
「でも」と答えるか、「それで」と返すか
ハリー・フーディーニの戦略
失敗する方法
誤った法則
すべて無料
練習、練習、練習
本物の芸術家は出荷する〔ほか〕
【ポイント】
◆本書は上記で言及したように隠喩が多いので、ポイントを列挙できない話が多いです。そこで、必要に応じて、コメントと使い分けて書きます。
■最後の5分間
◆ニューヨーク州の自転車整備士レジーは、自転車整備に1時間かけるが、通常の整備が終わると、5分間時間を取り、特別なサービスを施します。それは、その時々で変わる、「チェーンの掃除」や「ギアの調整」、「持ち主が子どもであれば房飾り等をつける」といったもの。
求められる以上のモノをやってこそ、他との差別化が可能になるんですね。ここで目を見張るのは、レジーが常識破りだからではない。レジーがやっていることがあまりにも簡単であり、しかも同じことをする人がほとんどいないというのが、驚きなのだ。これはあらゆる職業にあてはまる事実で、会計士やプロダクト・デザイナーでも同じことが言える。この最後の5分間が。ものを言う。顧客は、あなたとその他大勢の仕事をそこで区別するのだ。
全体の99%の時間を費やして、やっと人並みだ。常識は、一瞬で破れる。
ルーティンワークを、機械的にやってしまっている自分としても、ちょっと反省(汗)。
■事前に慌てておく
◆例えば。「米大手ホームセンターのホーム・デポが、あなたの経営する工具店のすぐ近くに新店舗をオープンし、開店大売出しをしている」のであれば、今頃自分の店の新戦略を考えても、もう手遅れです。
えー、一部の方はご存知のように(笑)、今、慌てて各種の対応をしている私にそのまま当てはまるんですがー(涙)。長期的な問題は、切羽詰ってから対処するよりも今行動を起こしたほうが、簡単、安上がり、効果的だし、その上はるかに時間の節約になる。
まったくもってその通り(汗)。これからは、事前に慌てることだ。緊急時の対応策は、効果があるうちに練るべきである。
でも、もっと早くこの本を読んでいたとしても、果たして自分にそれができたかどうか・・・。←ヘタレ
■不安は偽りの恐怖心
◆なるほど、と思ったのが、この一節。自分でも、一歩踏み出そう(色々な意味で(笑))としたとき、どうしても不安が頭をもたげることが多いです。不安とは偽りの恐怖心であり、人生を崩壊させる感情だ。人が不安になるのは、目の前の現実を受け入れようとせずに、将来起こりうる悪い結果を思い浮かべるからだ。
なるほど、そういう感情を切り離して、まずは「目の前の現実を受け入れる」ようにすればいいわけですね。
これは確かに言えます。最近会社で不安に感じたことを15個思い浮かべて欲しい。そのなかで、どれほどが現実になったか?不安がっていなければ、もっと事がスムーズに運んだのではないだろうか?
特に、不安に怯えて何もしないでいるのは、絶対にもったいない。
皆さんもぜひ考えてみてください。
■賢いベンチャー企業の10ヶ条
◆これは抜粋して列挙していきます。1.失敗は1つの選択肢
失敗が選択肢に含まれていなければ、挑戦、リスク、成長の余地はない。(中略)
賢いベンチャー企業は、賢く失敗することが成功への唯一の手がかりだと知っている。
3.市場を創造する
既存企業は、現状を維持するために時間を割きすぎる(レコード会社はその最たる例)。反対に、賢いベンチャー企業は新しい市場を創り出そうとする。
5.規則集はいらない
ベンチャー企業は、規則集を作成する暇などない。そんなものは、新しく市場を創った後に作るのだ。だから、今持っているルールブックを捨ててしまえ。無くても不都合はない。
■偉大なアイデアを生み出すために長年使われてきた方法
◆これまた抜粋で。1.質ではなく、量を重視する
⇒たとえ小さなアイデアでも、大きく化けるかもしれないので、大小にとらわれず、どれも大事にすべき
2.すべて集める
⇒アイデアを生み出したいなら、手に入るアイデアはすべて集めよ
4.旅をする
⇒旅は視野を広げたり、考えが深まるという効果がある
⇒実際に行けなければ、ガイドブックを買って、実際に旅するつもりになって読むか、せめて外国料理のレストランで食事をする
■批評家を無視し、批判を受け入れる
◆これは、昨今のネット上でのレビュー等に対する心構え。なかなか、発言者とその発言内容を切り離すというのは、難しかったりしますが、あくまでレビューを「フィードバック」と捉えることによって、活用せよ、と(汗)。ネット上に蔓延する批評家たちは、注目を集めたいのだ。自分の存在に気づき、間違いを指摘し、反論してもらいたいのだ。これが彼らの狙いだ。したがって、一番口汚いコメントは無視すれば良い。
ただし、内容を無視してはいけない。レビューは消費者からの貴重なフィードバックだ。安価、迅速、かつ役立つ情報だ。ネットレビューには。商品を改善するための方法が何千通りも記されている―手遅れになる前に参考にするべきだ。
ちなみにこのブログでは、あまり批判は行わないようにしています。
ただし、著者さん、出版社さんから献本のご提案を頂いた際には、献本は断るくせに、「アマゾンのページに問題があります。これでは紹介しても売れないので直した方がいいと思います」みたいなことは、しょっちゅう言ってますが(笑)。
■失敗するなら、早く安上がりに
◆以前、この記事でも言及した、「TiVo」。これがどうも消滅の危機に瀕しているらしいんです。
本書では、こう結論付けています。あと一歩で偉大さの域に達していた。資金も時間も人材も潤沢にあり、最後の一歩を正しく歩むための条件はすべてそろっていた。そこで、誤って踏み違えないようにと、ゆっくり、慎重に進むことにしたのだ。
それが間違いであった。
なるほどー。失敗は、早く安くしたほうが良いのだ。また、しょっちゅう失敗すること。自分が死なない程度にするものだ。
上手く行く方法とそうでない方法を見分けるには、これしかない。
私も最近になって、いきなり新しいこと始めようとしてますけど、死なない程度に失敗する分にはいいんですね(笑)。
よく言われるのが、日本の場合、欧米に比べて失敗者に厳しい、みたいなお話。
ただ、これからの日本も、そういうチャレンジャースピリットを持ってないと、実際に起業しなくとも、社内で失業しちゃいそうな気も。
【感想】
◆今回こそは、サクっと短めにまとめるツモリが、結局長々と書いてしまいました(汗)。本書は、総勢33人によるお話なのですが、個性の強い(笑)セス・ゴーディンがまとめているせいか、キャラクターの違いみたいなものは、全く気になりませんでしたし、むしろ、「セスが一人で書いた」と言われたら、信じてしまいそうなほど。
また、72の独立した話で構成されているので、スキマ時間に読み進めても前々大丈夫なのもありがたかったり(笑)。
◆内容としては、具体的に「これこれをしなさい」という、「戦術系」ではないので、これ1冊読んで、即仕事に役立つ、というわけではありません。
ただし、「考え方」というか「思考法」的部分については、さすがにトム・ピーターズや、ダニエル・ピンクが参加しているだけあって(?)、読み応えアリ。
畑に肥料をやるように、後からなる「実」には、ビッシリ栄養が詰まりそうです(笑)。
◆なお、留意して頂きたい点として、本書はそれぞれの話を「誰が書いたか」は明記していません。
これについてセス曰く、
とのこと。しかしこれは、一冊の本として読みやすくするための工夫だ。誰が書いたか分からなければ、読者は筆者ごとに頭の中を切り替えなくて済む。それに、これを書いたのは誰だろうと想像する楽しみも残るだろう。
私はなんとなくトム・ピーターズは検討つきましたけど(笑)。
◆ただ、33人の執筆者さんの中には、単に私が知らないだけで、実はすごくいい本を書かれている方もいたのかもしれないので、そういう方の文章に直接出会えなかった(出会っていても誰だかわからないので)のが、ちょっと残念だったカモ。
そして、今回ポイントとして挙げたのは、あくまで記事としてまとめやすかったものがメインとなっており、本書内には、ホントはもっと「いい話」もあることだけはつけ加えておきます(笑)。
これは実際に読んでからのお楽しみ。
常識を破りたいアナタへ!
【関連記事】
◆今回は、本書に登場される方々の記事を・・・。『マーケティングは「嘘」を語れ!』 セス・ゴーディン (著)(2006年03月06日)
『トム・ピーターズのマニフェスト (4) トレンド魂。』(2006年01月26日)
「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)
【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)
『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』 マルコム・グラッドウェル (著)(2006年03月01日)
【編集後記】
◆アマゾンで最近気になる商品。ウチの事務所に溜まったダンボールで、6体くらい作れそうな予感(笑)。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
この記事のカテゴリー:「自己啓発・気づき」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
ビジネスに役立つ本 - livedoor Blog 共通テーマ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
正直、これは買いですね。
長期戦略は、常に、手を打つ必要がありそうですね。
ダニエル・ピンク好きなので、これはチェック!
常識というかフレームワーク構成の仕方の指南書??
ある一文にふと涙が。この本買いです〜。“否”常識、変化、大好きデス。その為なら憎まれ役引き受けマス。
某雑誌の元編集長のかたの素晴らしいブログを拝見し思い出した中学生??時代の否常識発言
「(農工商で職業を選ぶとしたら商人♪と答えたら一番下だーと皆に嘲笑され)商人の喜びって大きい気がするからその喜びが得られるなら一番下でかまわない」
20ン年経った今、世界中の正しい商人は人に頭を下げ続け経済繁栄の一端を担ってらっしゃると尊敬しています。
ニタさん的には、「買ってよし」ですね。
抽象的な表現の裏の「真理」まで読み取ることができるなら、文字数以上の価値が得られると思われ。
ただ、経営本をニタさんほど読みこなしていない私には、ちょっと難しいところがあったのも、また事実(汗)。
>ビルダーナースさん
本書は、全部が全部「フレームワーク」というわけでもないです。
逆にその分、多様性という点で面白いですけど。
いずれにせよ、ダニエル・ピンクやトム・ピーターズが好きな人ならOK(笑)。
>瑠璃さん
中学生時代から、今のようなお考えだったんですね!
さすがでございます。
「人に頭を下げ続け」られる商人さんこそが、ホンモノの商人さんだと思います。