2008年01月17日
【モテ】『「モテ」の構造』鈴木由加里
【概要】
◆今日ご紹介するのは、タイトル的には「モテ」の本。ご本人曰く
ということで、私としても、あまりお目にかかったことがない「見た目」について言及されています。この本のメインテーマは、「モテる」「モテない」をめぐる男性と「見た目」の関係についてである。
◆ただし、純粋な「モテテク」の本ではなく、大学講師さんの著作らしく(?)ファッションの歴史や、「モテ雑誌」の分析等も行われています。
当ブログとしては、ぶっちゃけ「モテテク」だけの方がありがたかったりする(何で(笑)?)んですが、なかなか深いお話もあり、そこのところはどうしてもご紹介したくて。
アマゾンのページがあんまりなので、ライブドアブックスの該当ページより。
イケメン、ブサメン、キモメン、オトメン…。これらの言葉は、男も「見られる存在」であることを表す。だが、「イケメン」がモテるのは絶対的真実なのか。なぜ時に「勘違い系」のモテ努力に走ってしまうのか。「ちょいワル」男は本当にモテるのか。大学生たちの「演習」で見えてきた「非モテ」の条件とは。「男は心」と言ってはみても、やはり気になる「モテ」と「見た目」の関係を考える。
「すぐに使える」テクはないかもしれませんが、後からじわじわ効いてくるのかも・・・。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 「モテ」とは何か?氾濫する「モテ」
モテは見た目が一〇割? ほか
第2章 「カッコイイ」と「コンプレックス」の関係
背が高くなりたい!
低身長と高身長の分かれ目 ほか
第3章 男と見た目とおしゃれ
男とおしゃれ
闘う男におしゃれは不要 ほか
第4章 「モテの教科書」を点検する
雑誌がボクらの教科書だった!
八〇年代の若者たちがいま読んでいるのは ほか
第5章 モテないということ、モテるということ
モテない芸
恋愛弱者の恨み節 ほか
【ポイント】
◆今回の記事でも、引用部分ごとにコメントを付して行きます。■雑誌「LEON」の意義
◆男性向け雑誌「LEON」は、最近では珍しい雑誌の成功例として、語られていることが多いです。現代の消費社会においては、モノは「使用価値」や「機能性」だけで評価されるのではない。その品物が背負っている意味を評価するのである。このような消費記号論は、80年代に語り尽くされた感があるが、こうした論を持ち出すまでもなく、「モテる」という品物の記号的意味を提示し、カタログの中から選べるように「見立て」を教えてくれる雑誌が売れるのは当然のことなのである。
そしてその立役者である、前編集長岸田一郎氏のこの本は、「モテ」というより、ビジネスモデルを考察する上でも結構必読。
(このブログでの記事:『LEONの秘密と舞台裏』 岸田一郎)
◆中をご覧になったことがある方ならお分かりの通り、取り扱われている商品は、みな高額(汗)。
しかもそれらが必ずしも「モテ」には繋がらないのではないか、と著者は言います。
直接は関係ないですが、姉妹紙である「NIKITA」は3月号で休刊。『LEON』やその他のミドル向けライフスタイル誌が作り出す商品についての「見立て」は、読者やそのような「見立て」を知らない人には「モテ」要素として作用しない。
「見立て」がわかる女性は少なかったのでしょうか?
■「モテないコスプレ演習」から見えてきたもの
◆鈴木さんは大学の講座で、「モテないコスプレ演習」というものを実施しているとか。これは学生たちが、コンセプト(どのような集団に属して、どのような性的指向を持つか等)を決めた上で、「モテない人」のコスプレを教室でし、発表&質疑応答を行う、というもの。
本書では学生たちのコスプレの事例(「だらしないタイプ」「やりすぎ」「コギャル」等)について言及されているのですが、ここで演習を通じて見えてきたものがある、と鈴木さんは言います。
◆つまり、今までは「美醜」で「モテる」「モテない」を判断していたのが、実は別のところにあるのではないか、ということ。
個人的には、この『「他人の視線」を引き受けそこなう』というフレーズにピンと来ました。自分と同世代の学生たちが、様々なヴィジュアルイメージを発表するのを実際に見ると、「見た目」と呼ばれるものが文字通りの「見た目」ではない、ということに気がつくのである。彼らが表現したものは、美醜ではなく、「モテない」と想定される人がいかに「他人の視線」を引き受けそこなっているか、というものであった。
結局、自分なりの「(変な)こだわり」(または「無頓着」?)が、「他人の視線」とかみ合わない時、「モテない」のだと推測(汗)。
・・・それって高校時代の私だ(涙)。
■「モテる普通の男」に聞く「モテテク」
◆本書は主に、「外見」について多く論じているのですが、若干それ以外の「モテテク」について触れている部分があります。「ホストのモテテク」はちょっと高度なので省略(笑)。
参考になりそうなのが、「20代30代の数人のモテる男性」へのインタビューを考察するところ。
ちょっと長いですけど、引用します。
要は、マメってことなんですよね。例えば、20代のある男性は、デートのあと、別れた直後に携帯にメールを入れるそうである。楽しかったことを伝えたり、無事に帰れるように気配りをしたりするという。彼によれば、特別に意識していない女性に対してもそういった気配りをするとのことであった。つまり、誰にでも気配りをして、相手の気持ちを考えるというタイプがモテるようなのである。
これまた先日ご紹介した本と同じかと。
◆引用の続き。
本書では「身につけていない」と表現しています(「ムダ」「面倒」だから)が、結構「そういうことをするのが恥ずかしい」、って言う人も多いんじゃないでしょうか?具体的に言えば、ドアを開けて通り抜けるときには、必ずあとから来る人を確認して支えるとか、エレベーターであとから乗る人がいるか確認してから開閉のボタンを押すとかそういった類の気配りである。そんなことは当たり前のマナーだ、と言われるかもしれないが、そういった「配慮」や「気配り」を身につけていない男性は多い。
ただ、その程度のことが恥ずかしかったら、「一生告白なんてできませんよっ!」←おぢさんの余計なお世話
◆自分としては、そのような男性が多い、とはあまり思ってなかったのですが、もしそうであるならチャンスですね!
本書にもこうあります。
まずはエレベーターから挑戦(笑)。「見た目」にそれほど自信もなく、「ちょい不良オヤジ」のようにカネや高級品にモノを言わすこともできない男性たちは、他者への「配慮」を工夫したほうが「モテ」への道は近いかもしれない。
■ミソジニー(女性嫌悪)な感覚を隠す
◆この部分については、私個人の感覚としてはよくわからなかったのですが、かなり重要そうなので、念のためご紹介。←無責任ちなみに、ミソジニーとはこういうことらしいです。女性に対するコミュニケーションの基本は、自分が知らず知らずのうちに抱え込んでいるミソジニーとどう折り合いをつけて上手く隠していくかということなのだ。自分が持っている女性嫌悪に無自覚で、それが外に漏れているのにも気がつかずにいるから女性は寄ってこなくなるのである。もっとも社会的に地位があるとか、お金持ちであるとか、芸術や学問に特別な能力がある男性であれば、女性嫌悪をそのままに打ち出すというノーガード戦法をとっても「モテる」だろうが、「普通の男たち」は、女性嫌悪を隠したほうが、「モテ」に近づくのである。
ミソジニー ― Wikipedia
【感想】
◆今回ご紹介した部分は、本書の第5章が中心というか、付箋を貼ったのもその章がほとんどでした。結局のところ、何が知りたいって、「解決策」じゃないですか(笑)。
今よりちょっとでも「モテたい」、と思うのが人の心情でございますし。
◆本書でも「普通の男たち」の「モテ」の要素として「見た目」と「コミュニケーション能力」があげられていましたが、コミュニケーションをメインで書くのなら、実は鈴木さんでなくてもいいわけで。
それだけに、鈴木さんでしか書けないであろう内容がもっと欲しかったかな、と。
例えば、上記「モテないコスプレ演習」をもっと発展させる(学外でアンケートを取るとか?)なり、「モテるコスプレ演習」みたいなものをやって頂いて、モテを極めるとか(笑)。
うーん、一歩間違うと、「情報商材」みたいになってしまうか(汗)?
◆もっとも、本書の「おわりに」で
とありますので、通り一遍のことは分かった上で、お書きになっているのだとは思いますが。この本を書くために、「モテ」とか「恋愛」とタイトルのついている本を死ぬほど読んだ。
◆「見た目」で言うなら、「こうしたファッションがモテる」「こうした髪型がモテる」というのは、「モテ雑誌」に任すとして、もっと根本的なお話として、この部分をご紹介。
最後の部分を含め、本書内で紹介されている著者さんやその著作についても結構毒舌ですけど、まぁ「良薬口に苦し」と解釈しておきます(笑)。本当のところ「見た目」とは顔の造作や身長や体型ではない。「見られている存在」であるということをどう意識して、外見を支配、統御、ケアし、作っていくのか、ということの総体が「見た目」なのである。生まれつき持っているものをどう活かしていくか、という知恵と工夫と情報が問われているのに、そのあたりをまったく構わないで、自分が認められないのは社会のせいだ、ということを言いつのると、さらに「イタさ」が増すのである。
モテたかったら苦くとも飲んどくべきか(汗)?
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【編集後記】
◆お馴染み、勝間和代さんのブログの記事で、面白そうな講演会を発見。竹川美奈子『投資信託にだまされるな! Q&A』刊行記念
吉本佳生『スタバではグランデを買え!』20万部突破記念
竹川美奈子×吉本佳生 トークセッション
「荒波の「自己責任時代」を自立して生きていくためのお金のお話」
1月23日ということで平日夜ですが、お時間がある方は是非!ベストセラー著者2人による、プロにカモられないかしこい消費者になるためのトークセッション。さまざまなモノやサービスの価格の裏側と金融商品の裏側を同時に学べます。
ご声援ありがとうございました!
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同感です。最近どうしちゃったんだろう?と思うほど、男女とも日本人のマナー低下は著しいかもしれません。
だから品格関係の本も売れるのでしょうね。
「配慮」や「気配り」を身に付ければ、モテること間違いなしだと思います。
私も気をつけます。
独身の頃モテまくった自称ブサイクの兄いわく
「自信を持っている奴がカッコ良く見えてモテる。自信のある奴は人に見られてる事を意識して行動するから、磨かれて行くんだと思う。」だそうデス。
ところでところでこんな男性はどうでしょうか。
お年寄りや妊婦サンに席を譲る・人混みでは子供の目線に火が行くから歩きタバコをしない・ゴミやタバコのポイ捨てはしない・女性を待たせず待つ約束のしかたをする・マイカーでは雨が降ったら即メールで自宅まで迎えに行くと伝えて迎えに行く・同じくマイカーでは夏は冷房、冬は暖房がきいた状態で乗ってもらう為待ち合わせ場所に早めに着き準備・女性が連れて歩いて恥ずかしくない服を研究する・ワリカンはせず なるべくオゴり、たまにオゴられる様にし、“お礼だよ”と言って女性が喜ぶ事をする…。長々と失礼しました(汗)
男性の場合、そういう気配りができてない人が多いらしいので、それが「モテ」ポイント、つまりセールスポイントになるらしいんですが、女性で気配りができていても、男性が「気配り」自体に無頓着なため、ウリにはならないかもしれませんね。
むしろ、男性は「見た目で惹かれて、気配りができてないのに後で気が付いて幻滅する」とか。
>瑠璃さん
自信についてはあまりなさ過ぎるのも問題ですが、自意識過剰なのも困りますよね〜。
列挙されたポイントは私も意識しております。
タバコは吸いませんし、車は運転できませんがー(汗)。
>うーむさん
コメントありがとうございます。
やはり、気配りや配慮が出来る人は、他人も大事にするってことでしょうね。
注意します。
それと、社長さんがそういう方で大変かもしれませんが、頑張ってください!