2007年12月05日
【脳的仕事術】「快ペース仕事術」佐々木正悟
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、佐々木正悟さんが本領発揮した一冊。ご自身のフィールドワークである「心理学」や「脳関係」に「仕事術」が上手くミックスされています。
先日ご紹介した本とは違って、こちらはモロ、ビジネス風味(笑)。
◆ただし、本書で目指すのはよくある「ひたすらスピーディ」な仕事のやり方とはちょっと違います。
かといって、周囲を無視してのんびりやるというわけでもありません。本書でいう「快ペース」とはモチベーションをしっかり保ったまま「時代の要請」にある程度応えられる「マイペース」のことだ。
飛ばしすぎて疲弊しそうな方は必読かも!本書はあくまで、個人でできる工夫によって、スピード至上主義レースという「神経衰弱レース」から降りて、それでもなお「下流社会」に落ち込まずにすむという、そんな方法を提案してみたかったのである。
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 「速い=効率的=デキる」のウソ第2章 時間と「ペース」のメカニズム
第3章 快ペース仕事術
第4章 マイペースを高速化する
第5章 ハイペースで走らなければならないとき
第6章 ウサギとカメが協力する
【ポイント】
■「エネルギー効率」という考え方
⇒自分の好きなペース(「マイペース」)でバイクこぎをした場合と、それより速い「ハイペース」でこいだ場合とでは、後者の方が心拍数や数値は高くなる⇒しかし、「マイペース」より遅い、「スローペース」でバイクこぎをしても、やはり数値は上がってしまう
⇒仕事において「エネルギー効率」が良いとは、その仕事をいかに少ないストレスで片付けることができるか、といえるだろう
■「時間が足りない」と感じる理由
⇒楽しい時間(「週末のデート」等)だけでなく、苦しい状況でも、時間が「早く過ぎてしまう」と感じることはある(受験本番など)⇒「時間が早く過ぎ去ってしまう」のは、楽しいから、苦しいからという理由ではなく、もっと多くの時間が欲しいという「欲求」のせいで、そのように感じられる
⇒逆に、「自分の変化」や「自分の望む変化」と比較して、「周囲の実際の変化」が乏しいと、時間は遅く進むように感じられる
■「やる気」を出し続けられる時間の使い方
⇒一般的な言葉を使うなら、マイペースとは「やる気」を最も長く保っていけるような時間の使い方「やる気」とは脳内のいくつかの神経伝達物質の組み合わせによる働きであり、それらの物質は「使われる」ことによって、その機能が薄くなっていく以上、「やる気」は有限である
また、それらの物質は睡眠中にもっとも回復されると考えられるので、「やる気」は、寝て起きたばかりの朝一番が、最も多く準備されているということになる
よって、朝の時間は最も難しい仕事か、最も「知力」を必要としそうな仕事に活用すべき
■仕事から脱線する心理
⇒1日かかってもおわらない仕事をかかえているのに、ネットサーフィンで時間をつぶしてしまうというような「脱線」は、「脳」が「やる気」を支援しようと神経伝達物質を流用させたものの、その量が十分でないために、結局「やる気」を別のことに転用してしまうからだと考えられる⇒難しい仕事があるにもかかわらず、すぐやる必要も無い書類整理に着手してしまう(しかも妙にはかどる)のも、神経伝達物質の「転用」のおかげ
■見積りの大切さ
⇒レポートを使った心理実験では、レポート作成に費やした総時間数と、レポートの質の間にはほとんど関係がなかった⇒レポートの質を左右したのは、事前に学生自身がレポート作成にかかる時間の見積りと、実際にレポート作成にかけた時間とが、どの程度一致していたかという点だった
⇒つまり、レポート作成にかかる時間を、事前に正確に見積ることができた学生ほど、よいレポートを提出できた
■「高速なマイペース」のために
●小脳を中心とした技術習得システムを活かす⇒初めは失敗に頓着せずに繰り返す
⇒そこそこのレベルに達し始めたら、成功を強く志向する
⇒よりスピーディに、より正確さを期して、繰り返す
●「高速マイペース」とは?
⇒高速マイペースとは、仕事に熟達するということ同じ意味になる
⇒「考える」とか「思い出す」とか「自意識を活用する」といった、余計なエネルギーを使わずにすむように、小脳や運動中枢だけで作業をこなしてしまえるようになれば、それなりのペースっで仕事をし続けていても、疲れやストレスも、それほどひどくならない
●仕事を「高速に、集中して」はかどらせる神経伝達物質
⇒ドーパミン
⇒ノルアドレナリン
■「不安」で時間をつぶさない
⇒焦燥感に駆られたり不安に陥ったりすると、肉体も精神もエネルギーを使ってしまい、同時にエネルギーを使うということは、時間も使うということ⇒仕事や勉強で不安に陥ってしまった人は、不安なことを「考え」始めてしまい、脳にとっては貴重なエネルギーであるブドウ糖のようなものを「食べて」しまう
⇒不安とは「自己完結的」であり、不安になることが一種の「目的」になっている
⇒これが無意識の行動パターンになっていると、まず仕事を先送りにして、次に状況がせっぱ詰まってきたら焦りや不安に駆られ、結局ギリギリになってから締め切りを延ばしてもらうというやり方を繰り返すことになる
【感想】
◆自分自身に当てはめた場合、思い当たるフシがいくつもあって、ドキっとしてしまいました(笑)。確かに自分も、忙しい時に限って、ついつい違うことをやってみたくなる方でして。
最近では、夜中に引越しの荷造りをしていて、ついつい出てきた昔の雑誌を読みふけったりとか(笑)。
それで、夜中の3時過ぎに寝て、体調悪くしているんですから、世話ないですよ・・・。
◆また、上記ポイントにあるように、仕事をやる上で作業の見積りを立てるのが大事なことも、重々承知しております(汗)。
とはいえ、大抵「行き当たりバッタリ」なのも、これまたワタクシのお約束(汗)。
そういうフトドキものは無視して(笑)、本書で勧められているのが「作業記録をとる」こと。
記録をとる回数を増やすことにより、だんだん信頼性の高い数値が得られるわけですね(これを「大数の法則」というそう)。
見積りが確かになるにつれて、成果物の質も上がるわけですよ。←コレ大事!
◆そして「朝一番に重要な仕事をやる」という、世間的にも非常によく聞くお話について。
これにも、「神経伝達物質」が関係しているとは知りませんでした(単に疲れてないからだと(汗))。
私の午前中といえば、メールの返事を書いたり、前の晩に書きそこねたブログのレス付けたりしているという、ある意味最悪なパターン(汗)。
そういうそれほど知力を必要としない作業で、私の「やる気」は使い果たされていたんですね。
・・・どうりで作業がはかどらないわけです。
◆なお、「大事なポイント」と言えるのかどうか微妙なので、上では挙げませんでしたが、「スキマ時間で写真を眺める」というTIPSがありました。
これは、スキマ時間に作業を詰め込むのではなく、マルチタスクによるストレスを緩和するために、写真を眺める(佐々木さんの場合、写真を眺めながら音楽を聴くそう)というもの。
ちなみに眺めるのは写真でなくても絵で良いそう。
要は、文字を読まないのが大事みたいです。
◆言われてみれば、仕事でも文字読みまくり、ビジネス書だって文字読みまくり、そしてブログ書くのも文字読みながらですから、それは疲れも溜まるというモノ(汗)。
ただし、佐々木さんは、写真や絵を眺めるのを単なる休憩にするのではなく、仕事関係者の写真を次々に眺めたり、仕事の進め方を図式化した図に手を入れていく等の作業をなさっているのだとか。
これはちょっと取り入れてみたいやり方ですね。
作業効率を考えた仕事をしたいアナタへ
【関連記事】
【真打登場!】「無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法」勝間和代(2007年10月17日)【脳】「Mind パフォーマンス Hacks」Ron Hale-Evans(2007年09月08日)
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苛烈なスピードアップ志向へのアンチテーゼ──『快ペース仕事術』:5分で読むビジネス書さんご声援ありがとうございました!
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現代人必読!「快ペース仕事術」 佐々木正悟【ビジネス書 多読メモ ☆私が読んだビジネス書を紹介します☆】at 2007年12月06日 16:54
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快ペース仕事術【Type5w4のBook Diary】at 2008年04月24日 22:27
この記事へのコメント
smoothさんこんにちは。私もどきっとしました。いつも切羽詰まっています。次から次と仕事がやってきてたまんないです。通勤途上も本がなかなか読めてないです。この本で解決の糸口がつかめるといいのですが。
Posted by 週末起業サラリーマン at 2007年12月06日 07:21
>hikaruさん
さすがにワタクシもこの時期は忙しくなりつつあります(汗)。
なのに記事にも書いたように、自宅での更新作業がままならないという(涙)。
お互い頑張りましょうね!
さすがにワタクシもこの時期は忙しくなりつつあります(汗)。
なのに記事にも書いたように、自宅での更新作業がままならないという(涙)。
お互い頑張りましょうね!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年12月06日 10:16
smoothさん、こんにちは!
わたしは、基本的に、好きを仕事にするという、遊びと仕事の境目をなくす、というアプローチをとっていますが。
欠点は、なんだから、ダラダラ、マイペースということです。まず、見積もりなんて、タテナインデ、できたらできただけという感じですね。
なかなか、参考になるお話でした。
わたしは、基本的に、好きを仕事にするという、遊びと仕事の境目をなくす、というアプローチをとっていますが。
欠点は、なんだから、ダラダラ、マイペースということです。まず、見積もりなんて、タテナインデ、できたらできただけという感じですね。
なかなか、参考になるお話でした。
Posted by ニタ@「教えて会計」 at 2007年12月06日 14:18
smoothさん、こんにちは。
トラックバックさせていただいきました。
結構身につまされる話も多くて、読んでよかったな、という本でした。
忙しいときに限って逃避したくなりますよね〜。そのシステムがわかってふむふむ、と思いました。
トラックバックさせていただいきました。
結構身につまされる話も多くて、読んでよかったな、という本でした。
忙しいときに限って逃避したくなりますよね〜。そのシステムがわかってふむふむ、と思いました。
Posted by あや@ビジネス書多読メモ at 2007年12月06日 17:05
>ニタさん
あら。ニタさん、本業お好きだったんですね(笑)!
私の場合、本業はちょ(ry
いずれにせよ、マイペースをある程度効率化できたらいいな、とは思いますが。
>あやさん
私もホント、逃避のシステムのところが一番興味深かったです。
暇な時ならやらないようなことでもやっちゃうという(汗)。
あら。ニタさん、本業お好きだったんですね(笑)!
私の場合、本業はちょ(ry
いずれにせよ、マイペースをある程度効率化できたらいいな、とは思いますが。
>あやさん
私もホント、逃避のシステムのところが一番興味深かったです。
暇な時ならやらないようなことでもやっちゃうという(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年12月07日 09:56
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