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2007年11月29日

【夢中と退屈】「夢中の法則」佐々木正悟




【本の概要】

◆今日お送りするのは、小飼 弾さんの記事で拝見して心動いた(笑)一冊。

著者の佐々木正悟さんは、このブログでも、過去「スピードハックス」や、「ブレインハックス」をご紹介しており、馴染み深い方かと。

小飼さん曰く

佐々木さんの本の中では今まで一番面白かった。

とのことですから、期待大デス!


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【目次】

第1章 退屈と夢中の間

第2章 夢中になるとはどういうことか?

第3章 虫のいい望み

第4章 人はなぜ退屈するのか?

第5章 夢中になる方法

第6章 夢中になると記憶する



【ポイント】

■退屈とは?
●大人

⇒多くの事柄がすでに「記憶・理解」済みだから、人間の本質として「新しいもの好き」である以上、刺激に乏しい


●子供

⇒多くの事柄はまったく「理解」の及ばない範囲の事柄であり、「新しもの好き」であっても、理解できないことは刺激にならない


●結論

「新しもの好き」の人間が夢中になれるというのは、理解できる範囲の中で、「自分にとって新しい」経験

⇒つまり、夢中になれるのは、自分がまだ記憶していない事柄を前にしていて、かつ脳を柔らかくすれば記憶できそうな刺激に囲まれている場合だけ


■記憶する仕組み
⇒私たちが「覚えよう覚えよう」と何度努力しても、なかなか覚えられないのは、アセチルコリンが分泌されておらず、「夢中になっていないから」

おそらくアセチルコリンが化学上の感嘆符のような役割をしているのだろうと考えられている。この感嘆符機能は、「おい、起きろ。このイメージには注意した方がいいぞ!」という注意を発しながら、視覚脳に入ってくる他の信号の意味を増幅する。(J・アラン・ボブソン著、池谷裕二監訳『夢に迷う脳』)

夢に迷う脳――夜ごと心はどこへ行く?
朝日出版社
J・アラン・ホブソン(著)池谷 裕二(監修)池谷 香(翻訳)
発売日:2007-07-18
おすすめ度:5.0


■「馴化」と「条件付け」
●馴化

アメフラシの水管に触ると、アメフラシは水管を収縮させるが、何度も何度も触れ続けると、何も危険がないことを理解し、どんどん収縮させなくなっていく(「馴化」

⇒「馴化」はそれによって報酬も危険もない場合に生じやすい


●条件付け

⇒「パブロフの犬」の実験は、「餌」という「報酬」が伴う刺激への反応

⇒逆に、たとえば電気ショックのような「罰」が伴う刺激への反応でも、やはり「学習」が起こる


■「心的飽和」
「ルーチンワーク」による退屈

⇒アメフラシの「馴化」と異なるのは、「馴化」が単なる反応であるのに対し、作業における「心的飽和」は活動に対する「飽き」であるという点

⇒初めのうちは、課せられた課題を遂行するために緊張が生じ、その緊張から解放されることを喜んでいた(報酬)が、やがて緊張そのものを感じなくなるため、課題を遂行しても報酬を得ることが全くなくなる、ということ


■「初めての衝撃」を失わないための方策
●スシ・プロブレム「鮮烈な印象を残す素晴らしい体験は、1回目をピークに、以後徐々に快感が低減していく」という問題

⇒「何食に1度食事をすしにすれば、一番すしに対する飽きを避け、かつ最もたくさんすしを食べることができるのか?」(アトランタの脳科学者、グレゴリー・バーンズ)


●「ぼんやりする」

「海をぼーっと眺めている」という行為

フィクションに熱中しているわけではないし、何かを強く思い出しているわけではない。また、自分を強く制御しているわけではないし、だからといって「我を見失って」いるわけでもない。この状態は、人間心理における1つの「幸福な」心理状態だといえる。少なくとも「退屈でつまらない」というものではないだろう


●「間を空ける」

⇒アメフラシの「馴化」に対して、間をあけて「馴れ」を忘れさせることを、専門用語では「脱馴化」という

⇒パブロフの犬に対し、条件付けをしてから、鈴を鳴らしても餌をやらないようにすると、いつかは鈴の音を聞いてもよだれを流さないようになる(「学習消去」


●「スパイスを使う」

⇒「甘い」+「辛い」=「甘辛い」

⇒映画でも単調なほのぼのした話ではつまらないということで、クライシス苦みをプロットに織り込む


●「読むのをやめる」

⇒いつまでも「お預け」の状態を続けていれば、それを読みたい、見たいといった欲求が半永久的に続く

「ツァイガルニク効果」


【感想】

◆勉強オタクである私にとっては、本書のサブタイトルである「集中力がアップするしくみ」というのに大変惹かれました(笑)。

仕事でもそうでしょうけど、特に勉強する際には、「集中力」必須です。

大昔に記事にしたこの方の特異な才能は、本を読む限りは(記事の最後に書いたように)ひとえに「集中力」でしたし。


◆というワケで、本書です。

上記の小飼さんの記事では、

本書に好感が持てるのは、「ハックス」シリーズとちがって、「こうである」は述べても「だからこうするべき」とはほとんど言っていないことだ。

とあり、確かに本書は、従来のハック本とは違い、具体的なアクションに落としこまれてはいません。


◆その代わり、「夢中」の特徴と「退屈」の特徴がそれぞれ描写されていて、そこから自らが、「何をどうするか」を導き出す必要があります。

そういう意味では、本書はハックシリーズで名高い佐々木さんの本とは言え、明らかに「非ハック本」

それ故、「とにかくどうすりゃいいか教えて」という方には、ちょっとオススメしにくいと言いますか(汗)。


◆なお、小飼さんが「本書を解く鍵」と言われている「次見」(ネクスティング)「予測」(プレディクティング)について。

詳細は、折角(?)伏せられているので省略しますが、1文だけ。

「次見」とは、現在の直後に起きることについての無意識の「予測」である。

つまり、「次見」は「予測」の一種であるということ。


◆そして、「次見」が決定的に重要なのは、それが無意識になされるということと、日常生活において「次見」はたいてい的中していることの2点。

ここら辺に脳の覚醒レベルを上げるヒントがある模様。

要は

「夢中」のときには「次見」できて「予測」できない

んですね・・・って、結局書きまくる自分。

ただし、ワタクシもこの分野に疎いゆえ、わかったつもりがわかってないかもしれませぬ(詳しくは本書でご確認下さい(汗))。

何かに「夢中」になれるヒントがここに。




【関連記事】

【脳マニュアル】「ブレインハックス」佐々木正悟(2007年07月19日)

「スピードハックス」大橋悦夫・佐々木正悟(2007年02月09日)

「ライフハックス鮮やかな仕事術」佐々木正悟(2006年12月20日)

【脳】「Mind パフォーマンス Hacks」Ron Hale-Evans(2007年09月08日)

「仕事に活かす集中力のつくり方」辻 秀一(2007年01月17日)

「ガーフィールド博士の最高の自分を引き出す方法」児玉光雄(2005年11月17日)


【編集後記】

◆勉強本が人気のこのブログですが、さすがにこの本を紹介するのは、如何なものかと(汗)。


パラパラっと見たところ、コンテンツとしては良質だと思います。

ただ、かなり税理士試験に特化しているので、どれほどの方が関心を持たれるか・・・(汗)。


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この記事へのコメント
               
はじめまして。クニ店長と申します。^^
私も「集中力がアップするしくみ」に興味をそそられました。
全文を読ませて頂いて、もうこの本を読んだ気分です。(笑)

「マインドマップ的読書感想文」との通り、とてもまとめられていて為になりました。
これからも読ませていただきます。
ありがとうございました!

最後に、応援ポチッ=☆

Posted by お礼状のクニ店長 at 2007年11月29日 17:28
               
この著者さんは存じてませんでした。
脳のお話は大好きなので要チェックですね!
夢中になるってことがどういうことかわかれば、マーケティングでも生かせそうな・・・。

>>「新しもの好き」の人間が夢中になれるというのは、理解できる範囲の中で、「自分にとって新しい」経験

深い内容です。人それぞれ理解できる範囲が違うから夢中になれることも違うわけですね。道理で双子でも興味の向く先が違うわけです。

Posted by ビルダーナース at 2007年11月29日 23:06
               
>クニ店長様

はじめまして。
コメントありがとうございます。

この記事だけで読んだ気になられてしまうと、著者様や出版社様からクレームが来かねないので、その辺のところ、宜しくお願いします(笑)。

また、応援ありがとうございました。
微力ながら応援させて頂きます。

>ビルダーナースさん

この本、ちょっと哲学チックなので、速読にはあまり向いてなかったような気がします(汗)。
そういう自分も、完全に理解できたわけではないので、知ったかぶりなんですが(汗)。
ビルダーナースさんの場合、双子というレアな状況なので、また違った意味で「深く」楽しめるかも。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年11月30日 13:51