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2007年10月31日

【ネット時代のマーケ本!】「墓場ブランド、儲かるブランド」紅瀬雄太・西窪洋平




【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、リアル書店で手に取って即買いしてしまった一冊(汗)。

最近、あまりマーケ本を購入していなかった私にとっては、久々の好物登場です(笑)。

かといって、コテコテのマーケティングの理論書と言うわけではなく、昨今の製品やブランドでの事例が豊富に出てきて、副題にあるように、確かにわかりやすい(世界一かどうかは別として(笑))仕上がり!


◆アマゾンの「内容紹介」から。

知っているブランドをあげてもらうと、たいていの人は1ジャンルにつき1〜3の人気ブランドしか答えられません。しかし、そうした人でも紙に書いて見せると多くのブランドを知っています。ほとんどのブランドは、認識されていても購入時に思い浮かべてもらえない、いわば墓場に眠ったブランドになっているのです。本書では、そうした「墓場ブランド」と「儲かるブランド」の違いがどこにあるのか、そして、昨今喧伝されているウェブマーケティングによってブランドの逆転が起こりうるのかを検討しながら、マーケティングの基本から本質までを解説します。

これは結構掘り出し物のヨカン!


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【目次】

第1章 スターになるブランドと墓場に眠るブランド
 「青いハンカチ」に何を見た?
 ブランドはネームやロゴではない ほか

第2章 逆襲の無名ブランド
 男性用シャンプーが女性のクチコミで大ブレイク?
 ネットで変わる購買行動 ほか

第3章 Web2.0は桶狭間の夢を見るか?
 束になってもアクオスにはかなわない?
 アマゾンのロングテール ほか

第4章 「死の影の谷」を行く墓場ブランド
 弱者が浮上し、強者はますます強くなる
 Web2.0時代の「死の影の谷」 ほか

エピローグ Web2.0はダメなのか?
 二元論から卒業しよう!
 Web2.0はダメなのか?



【ポイント】

■「見覚えがある」ブランドと「思い浮かぶ」ブランドの違い
●ブランド認知の2つのレベル

「認識」・・・「見覚えがある」「聞き覚えがある」「ブランド名を見て、そのブランドを知っていると思う」

「想起」・・・「商品カテゴリー(パソコン、薄型テレビ、シャンプー等)への購入ニーズが発生したときなどに、記憶の中からブランドを引き出せるかどうか」


●両者の違い

⇒私たちはブランドのネームやマークなどを「なんとなく」記憶していて、てがかりを与えられれば、過去の見聞きしたブランドであると認識できる

⇒しかし、商品カテゴリー以外にてがかりを与えられずブランドを思い浮かべるには、ブランドと商品カテゴリーが強く結びついたかたちで記憶されている必要がある

「想起は認識よりも一段階高い認知レベル」


■グレーブヤード・モデル
●概論

⇒ある商品カテゴリーに属するブランド群について、消費者の認識と想起のレベルを測定し、縦軸認識横軸想起を取ったグラフ上にブランドをプロット

・「スターブランド」・・・認識・想起レベルともに高い

・「無名ブランド」・・・認識・想起レベルともに低い

・「ニッチブランド」・・・認識レベルは低いが、想起レベルは高い(「知る人ぞ知るブランド」例:家電の「アマダナ」、スーツケースの「リモワ」等)

・「墓場ブランド」・・・認識レベルは高いが、想起レベルは低い


●ネット書店で言うと?

⇒2007年5/末〜6/上にかけて全国の20歳以上の男女約300人にアンケートを実施した結果

・スターブランド・・・アマゾンがダントツ、2位が楽天ブックス

・ニッチブランド・・・bk1

墓場ブランド・・・ツタヤオンライン、Yahoo!ブックス、紀伊國屋ブックウェブなど


■ネットによる「弱者の逆襲」
●「無名ブランド」「墓場ブランド」の浮上のチャンス

⇒情報収集の過程や比較サイト等により、消費者に存在に気づいてもらうことができ、さらに性能や価格等で、スターブランドと比較してもらえる


●Web2.0

「企業から消費者へ」だけでなく「消費者から消費者へ」という情報の流れが量的・質的に大きな影響力を持ち始めた


■Web2.0は万能か?
●ブランドの強さ

「AQUOS」「アクオス」の検索合計回数は、「液晶テレビ」の検索件数を大きく上回っている

ブランド名で検索する人は、同ブランドへの関心が高く、購買意向も強いと推定される

「弱者の逆襲がいつも起こるわけではない」


●「Web2.0」を過剰に信頼している人が見逃している点

⇒Web2.0的広告・プロモーション手法は量的効果が小さい

⇒Web2.0時代においても、資本力とブランド力を持つ「強者」の牙城は簡単には崩れない


■「検索エンジンは弱者の救世主」のウソ
⇒資本力があり、多大なコストでマス広告を展開できるスターブランドにとっては、本気になれば検索連動型広告の多数のキーワードを買い占めることも可能

⇒アクオスの例でもあったように、実はブランド名での検索が多い

⇒通常の検索結果では、認知度の高いスターブランドが上位に表示されてしまう

⇒検索連動型広告においても、ブランド認知度が高いほどクリックされる率も高い(実際に内部データから実証されている)

⇒さらに、検索連動型広告の表示順位が、クリック単価だけでなく、クリック率などの要因をもとに決定されるようになった(オーバーチュアの新広告システム「Panama(パナマ)」


■「マス広告の終焉」のウソ
ネット発のヒット商品と言われる「顔ちぇき」も、実は、「めざましテレビ」での露出がヒットの発端だった

⇒マスメディアに取り上げてもらえなければ、小さなクチコミで終わってしまう可能性も高い


■東芝のテレビブランド「REGZA(レグザ)」に見るブランド浮上の要諦
⇒ソニーのテレビブランドの変更は「WEGA(ベガ)」から「BRAVIA(ブラビア)」で有名だが、東芝の「REGZA」の前のブランドは?・・・(答えは「FACE(フェイス)」

⇒2005年11月の調査の時点で、ブランド認知、購入意向の両者において、「FACE」のシェアはダントツの最下位であり、「墓場ブランド」の典型だった

⇒「REGZA」変更後は、検索件数、クチコミ件数ともに急上昇している(2007年8/22のカカクコムの「人気アイテムランキング」で上位10位のうち5件を占め、「ユーザー満足度ランキング」でも2位タイに5機種が並ぶ)

⇒特に「REGZA 37Z2000」のクチコミ件数は、2007年8/22時点で6095件に達しており、これは競合の「アクオス LC-37GX1W」の1115件と比べても圧倒的な数



【感想】

◆新書であるにも関わらず(笑)、久しぶりに紹介したくてもできなかった部分を端折りまくりました。

今回はポイントで挙げなかったものの、マーケティングのお話ではお約束の「AIDMA」「AISAS」、それに「ランチェスター戦略」についても、ネットと絡めて説明しており、わかりやすくて良かったです。

分厚いマーケティング本読むより、こちらを読んだ方が使えそうな気が(笑)。


◆上記「マスメディアの威力」については、「鏡の法則」辺りが、このブログの読者さんには、馴染みが深いかも。

この本も、アマゾンキャンペーン等によって、ネット界隈ででも売れてはいましたが、爆発的なヒットのきっかけとなったのは、キャンペーンからずい分経ってからのテレビ番組からでした。


何といっても、「2006年に一番売れたビジネス書」ですから(汗)。

◆本書では、「ランチェスター戦略」を解説しつつも、「ネット上に桶狭間は存在しない?」という章で、ブランド力や資金力のある「スターブランド」が、今まで中小の会社が活躍していたマーケットで、強者戦略を展開したらどうなるか?ということを考察しています。

取り上げられたのは、佐々木俊尚氏の「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」で登場した、羽田空港のそばの駐車場。

この駐車場は、検索連動型広告を上手く使い、ランチェスター戦略でいう所の「弱者の戦略」を実践した成功例なのですが、ここに、もし、全国展開している大手の競合が存在し、市場参入するとしたら、どのような「強者の戦略」を駆使するのか(汗)?

・・・詳細は本書を(笑)。


◆一方で、大企業がその総力を挙げてマスメディアに広告を打ちまくり、他社からシェアを奪い取った『資生堂「TSUBAKI」』のようなブランドが存在し、他方で、「良質な『小品』を作るという前提」があり、ブロガーのクチコミでヒットした『時をかける少女』のような作品が存在するという事実。

 どの程度のビジネス規模を目指すかは、会社の規模、成長段階、その時々の事情などに応じて異なってきます。ネットクチコミに対する誤解で多いのは、こうした観点を抜きにして、ネットクチコミの効果を一様に「大きい」と判断してしまう、というものです。

そう、Web2.0は、何でも解決できる「魔法の杖」ではないのです。

「適切な製品で、適切な市場において、適切なプロモーションをすることによって、それに見合った効果を得ることができる」

当たり前のようですが、このように考えるのが、一番正しいような気がします。


◆また、巻末の5ページにも渡る、参考文献やサイトのリストを見ると、本書が「現時点におけるネットマーケティング」俯瞰していることを、感じ取れるのではないか、と。

そして、200ページ弱という本の薄さで、これだけのコンテンツを消化不良にならずに落とし込むスキルも、個人的には見事だと思います!

今、一番熱いマーケティング本をアナタに!




【関連記事】

【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル(2007年07月18日)

「ヒット商品を最初に買う人たち」森 行生(2007年04月13日)

「クチコミの技術」コグレマサト,いしたにまさき(2007年03月28日)

「Web2.0が殺すもの」宮脇睦(2006年10月17日)

「グーグル―既存のビジネスを破壊する」佐々木 俊尚 (著)(2006年04月26日)

「80対20の法則を覆す ロングテールの法則」 菅谷義博 (著)(2006年03月07日)


【編集後記】

◆以前、勝間さんの時間管理術の本の記事でご紹介した、このワイヤレスマウスの使い勝手が結構いいです。


何といっても、「突起部分8mmのUSBレシーバー」というのが、ノートパソコンを使う自分にとっては、邪魔にならないのがグッド。

え?出歩かないのに関係あるのかって?

机が散らかってるから関係あるんです(爆)!


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この記事へのコメント
               
smoothさんの机が散らかっているといのが想像出来ないです。

本の扱い等のお話を伺うと、意外と整然していないとダメ的なイメージでしたが・・・^^;

それと本書はパクッですね!


Posted by 週末起業サラリーマン・・・hikaru at 2007年10月31日 22:47
               
smoothさん、こんにちは!

Web時代と言っても、やっぱりマスメディアの力は大きいですよね〜。いつかは力関係が逆転しそうな気もしますが、いつになることやら…。

> ニッチブランド・・・bk1

思わず失笑…^^;
Posted by 淺田 義和@創造マラソン at 2007年10月31日 22:48
               
smoothさん、こんばんは
ネットマーケ本ですか?身近な事例が多そうですね。明日私はセミナー受講のため東京です。今回も慌ただしい日々になりそう。仕事があるのでパソコン持参(涙)。

Posted by マチスケ at 2007年10月31日 23:19
               
smoothさん、こんにちは!

コードレスマウスと、キーボードは、私も使ってたんですが、
電波障害なのか?環境によっては、けっこう不安定なんですよ、で泣く泣く止めました。

Posted by ニタ@「教えて会計」 at 2007年11月01日 07:45
               
>hikaruさん

本はダンボールに整理されずに突っ込んであります(汗)。
あと、この本はhikaruさんは「マスト」で。
絶対ソンはさせませぬ。

>淺田さん

bk1については、「墓場」が他のビジネスで有名なのに比べて、専業だからではないでしょうか?
その割にはSEO的には強いですし。

>マチスケさん

あら、こちらにいらっしゃってるんですか?
パソコン持参ですと荷物重いですよね(涙)。
お体お大事に・・・。

>ニタさん

マウスは以前、やはりコードレス使ってて、あまり使い勝手が良くなかったのですが、今度のは何故か快調(笑)。
品質が良くなっているのかもしれません。


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年11月01日 10:18