スポンサーリンク

       

2007年10月20日

【革新的?】「アルファドッグ・カンパニー」フェン・ドナ


アルファドッグ・カンパニー (講談社BIZ)
講談社
宮本 喜一(翻訳)
発売日:2007-09-26
おすすめ度:4.5


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、以前、小飼 弾さんの記事(「書評 - アルファ・ドッグ・カンパニー」)で拝見し、買って読んだものの、中身が骨太すぎてついついご紹介が後回しになってしまった一冊。

さらにこの間に、ニタさんにも先を越されてしまいました(笑)。

本書の内容は、このブログ的では最近ご無沙汰の中小企業の経営に関するもの。

「アイデア商品」の開発というよりは、「他との差別化」について、読みどころが満載でした!


人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!



【目次】

第1章 群れの先頭に立とう―業界トップを走る小さな会社「アルファドッグ企業」の時代
第2章 顧客の心を奪い取ろう―徹底したサービスで全米一の座をつかんだ自転車ショップ
第3章 従業員の心をつかめ―人材の採用とトレーニングで急成長した食料品店
第4章 地元密着に賭けよう―町に溶け込んで大手チェーンに勝ったアイスクリーム店
第5章 「ありきたり」にイノベーションの息吹を―たゆまぬ技術革新でトップを走り続ける靴下メーカー
第6章 ブランドを売り込もう、社外に、そして社内にも―信頼性を高め続けてナショナルブランドになったクッキー会社
第7章 「村」をつくろう―個性ある一匹狼が連携してビジネスを拡大するPRネットワーク
第8章 自己革新の道を進もう―組織に日々メスを入れてナンバーワンになったオートバイ販売店
第9章 アルファドッグのDNA―「最強の小企業」には、七つの共通項がある



【ポイント】

■アルファドッグ・カンパニーとは?
●アルファドッグの意味

「アルファドッグ」とはリーダーのことであり、その並外れた発想や行動に触発され、周りの人たちは彼らについて行こうという気にさせられる

⇒人々が触発されるのは、製品やサービスではなく、企業の生きざまであり、その企業のリーダーがビジネス戦略を実行する手腕


●アルファドッグの具体的条件

・ローテク業界の企業であること

・自己資金で、あるいは伝統的な資金調達で経営去れている企業

・イノベーター(革新的)、あるいはリーダーとして、業界から非の打ちどころのない評判を得ている企業

・企業自身が説明する戦略そのものとは関係なく、実際に働きやすい立派な職場になっている企業

・少なくとも10年以上続いている企業



●マイケル・E・ガーバーの「はじめの一歩を踏み出そう」

⇒『インク』誌が選ぶCEO500人のリストに入っている人たちが選ぶ推薦図書(注:私もアマゾンアタックしました)

「自分のビジネスに埋もれて仕事をするのではなく、自分のビジネスを足掛かりにして仕事をしろ」

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
世界文化社
Michael E. Gerber(原著)原田 喜浩(翻訳)
発売日:2003-05
おすすめ度:4.5


■アルファドッグたち
◆以下、各企業ごとにちょっとだけネタバレを。

●ゼインズ・サイクルズ(自転車販売)

⇒顧客を惹きつけるために使った武器、「長期保証」

「世の中の常識では、無料保証は30日間でした。でも私には差をつけるポイントがどうしても欲しかった」

⇒やがて「生涯保証」


●ドロシー・レイン(食料品店経営)

「サービス」「クオリティ」が命

「日々の生活の中で、さまざまな企業が店頭で次の3つのことを売り物にしています。最低の価格、最高のサービス、最高のクオリティ、この3つです。そして企業がその3つを同時に打ち出そうとすれば、その売り込みの文句はウソになります。なぜって、消費者が同時に受けられる恩恵は、そのうち2つに限られるからですよ」

従業員の得意技を磨くために投資する


●ダンシング・ディア(クッキー等の製造販売)

「大義名分をブランド化」する

⇒ホームレスの基金のために、家の形をしたクッキーを特別に製造し、売上高から3年間で10万ドルを募金(「ワンファミリー運動」

「しかも、ワンファミリー運動は、気の利いたマーケティングでもあるのです。世の中の人は、これが上滑りしたものでないことがよくわかっていて、実行した私たちを評価してくれています。私たちのブランドや私たちの目指すものとは、切っても切れない関係になっていますね」


■「アルファドッグのDNA」より(抜粋)
●ターニングポイントでの打開策⇒仕事そのものではなく、仕事への取り組み方を変える

⇒自分たちの成長を牽引する中核的な戦略に腐心する一方で、さまざまな社内のシステム手順も同時に考え出そうとした

「(前略)誰だっておいしいクッキーは焼けますよ。そんなことより難しいのは、チームづくりをし、利益を上げながら、1年52週間、一貫して高い品質のクッキーをつくり続けることなんです」(ダンシング・ディア:トリッシュ・カーター)


●顧客の体験を重視する

⇒アルファドッグのCEOは、経営とは舞台のようなもので、出し物が面白ければ、顧客は常にそれを求めて何度でもやって来る、ということがよくわかっている


●日用品の勝負から抜け出す

⇒低価格を売り物にせず、それどころか反対に、ちょっとした特徴を持たせた、顧客にも手の届く贅沢を売り物に勝負をしている


【感想】

◆中小企業の経営に関する本は、ランチェスター関係や、神田昌典さん等、私もそれなりに読んできました。

ただし、洋書の翻訳本はかなり少ないです(マーケティング本は多いですが)。

というか、自分が知っているアメリカの企業というのは、大手かネット系がほとんど。

その点からも、本書を読んで良かったのが、今まで知らなかった米国のローテク中小企業が、どのように「他から抜きん出るべく工夫しているか」がわかったことでした。


◆そして多くの事例で目に付いたのが、徹底的な顧客満足の追及

大企業にはできないレベルでのサービスを提供しているところが多かったです。

また、ゼインズ・サイクルズで挙げた「顧客の囲い込みを目的とした」サービス(特典)も、実は実際に受けようとする人は、意外に少ないのだとか。

この辺りは「お気に召さなければ、いつでも返品に応じます」とうたっても、実際に要求してくる人は少ない、という話に近いような。

・・・もちろん、商品のクオリティは最低限要求されますけど(汗)。


◆本書に掲載されているアルファドッグの商品やサービスで、純粋に「アイデアがキモ」といえるのは、1つだけでした。

つまりそれ以外の6社は、従来からあるものについて「いかに売るか」を考え抜いて、これだけの存在になったわけで。

極端に言えば、私たちにもチャンスはある、ということ。


◆ただし、その場合でも、上記にあるように「誰だっておいしいクッキーは焼けますよ。そんなことより難しいのは、チームづくりをし、利益を上げながら、1年52週間、一貫して高い品質のクッキーをつくり続けることなんです」という一節を忘れずにいたいもの。

「アイデアを考えることよりも、それを実現する方がよほど難しい」と言われたのはどなただったか。

怖いくらいに「泥臭い作業」の積み重ねが、企業の繁栄に繋がるのだと実感。

骨太ですが、まだの方はぜひご一読を!

アルファドッグ・カンパニー (講談社BIZ)
講談社
宮本 喜一(翻訳)
発売日:2007-09-26
おすすめ度:4.5


【関連記事】

【ザ・商人】「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」島田紳助(2007年06月08日)

「リッツ・カールトン20の秘密」井上富紀子、 リコ・ドゥブランク(2007年04月10日)

「小さな飲食店 成功のバイブル」鬼頭宏昌(2007年02月06日)

「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美(2006年06月29日)

94%の顧客が「大満足」と言ってくれる私の究極のサービス  ジャック・ミッチェル(2005年05月06日)

「ランチェスター弱者必勝の戦略」竹田陽一(2005年02月06日)


【編集後記】

◆昨日、ムスメの保育園では「一昨日の遠足の思い出を絵にする」という授業があったそう。

他のお子さんが、林や川、鳥や虫等を描くなか、ムスメが描いたのは・・・「当然お弁当の絵」でございました(涙)。

「期待を裏切らない」、という意味では、グッジョブ!


人気blogランキングご声援ありがとうございました!

この記事のカテゴリー:「企業経営」へ

「マインドマップ的読書感想文」のトップへ


おすすめの本 - livedoor Blog 共通テーマ

スポンサーリンク




               

この記事へのトラックバックURL


●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
                               
この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは。

アイディアも大事ですが、やはりそれを形にして継続することがいかに重要かってことですね。
そこに企業・人間の生き様そのものが現れるってことなんでしょう。

Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2007年10月20日 10:04
               
smoothさんこんにちは。
すごい骨太なんですね(汗)

今となってはTHE GOAL級の骨太な書を手に取ると、読破できるか心配です。

本書もその手の類と勝手に判断しましたので、今回はスルー汁で
Posted by 週末起業サラリーマン・・・hikaru at 2007年10月20日 14:34
               
smoothさん、おはようございます。
>人々が触発されるのは、製品やサービスではなく、企業の生きざま
ステークホルダーに対して物語を語らなければなりませんね。
Posted by マチスケ at 2007年10月21日 07:53
               
>LuckyUSさん

先行者利益というのはあるのでしょうけど、実際にはアイデアを考えた人よりも、後続でマネジメント等がしっかりしているところの方が成功することも多いですよね。
アイデアだけではイカン、と。

>hikaruさん

そこまで骨太ではないですが、hikaruさん的には、会社興すのでなければ今はスルーで良いですネ(笑)。

>マチスケさん

本書に出てくる企業はみな、物語を語っていましたね〜。
マチスケさんの顧問先にも参考になるかも。
事例としてはかなり極端ですが(汗)。


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月21日 10:11