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2007年10月19日

【スポーツ脳】「<勝負脳>の鍛え方 」林 成之




【本の概要】

◆今日お届けするのは、「脳」は「脳」でもいつもの「脳関係の本」とは、ちょっと違う感じ。

著者の林 成之先生は、脳外科医として、大勢の患者さんの治療に当たられ、また、画期的な治療法も編み出されているお方です(汗)。

中身を拝見する前は、本書は「スポーツ心理学」系の本かと思っておりましたが、あにはからんや

ガチの脳外科のお医者さんの「脳」に関するお話でした(笑)。


◆ただし先生のご趣味(?)のせいか、スポーツ選手や、その活躍等を具体例としてとりあげられているのが、本書の特徴。

もっとも、私のような勉強「本」オタクにも気になる、「こうすれば頭がよくなる」なんて小見出しもあります(笑)。

果たしてその内容は?



【目次】

序章 脳を知れば勝てる
第1章 脳はこんな働き方をしている
 「意識」「心」「記憶」は連動している
 イメージ記憶とは何か
 こうすれば頭はよくなる

第2章 これが勝負脳だ
 「心・技・体」の落とし穴
 勝負脳を全開させる九つの秘訣
 人間は勝負を通して成長する

第3章 「心・技・体」を科学する
 試合に勝つための「心」
 試合に勝つための「技」 
 試合に勝つための「体」


【ポイント】

■モジュレータ理論

⇒林先生が命名した理論で、『「意識」「心」「記憶」は連動している』というもの。

⇒脳の中の海馬回をはじめとするドーパミン系神経群「心」の生まれる場所

⇒記憶が心と連動しているので、「頭がいい」人になれるかどうかにも、心が大きく関係してくる


■イメージ記憶

⇒バッターが豪速球を打てるのは、過去のイメージ記憶の中から該当する記憶を呼び出し、それにボールを重ね合わせて打っているから

⇒キャッチボールの際に、「相手の胸元へ投げよう」という気持ちを持って投げると、計算などしなくても自然に胸元へボールを投げることができるが、これも過去のうまく投げられたときのイメージを脳が記憶していて、そのときの動作を体に再現させているから

マイケル・ジョーダンは、ドリブルの段階からゴールインを強くイメージしているからこそ、シュートが成功する


■ゴルフのパットを成功させるコツ

間違った指導法・・・「カップのまわりに頭の中で1メートルくらいの円をイメージして、その円の中にボールを入れなさい」

⇒正しくは、カップインではなく、ボールの転がり方をイメージして打つこと

⇒ボールの転がり方をイメージして打つと、自分の体もそれに合わせて自動的に調整する動きをし、自然に正しい姿勢が生まれる

「入りそうもないな」と感じた場合は、手もそのように動き、悪い予感が的中してしまうので、その場合は、必ず動作を中止して仕切り直すべき


■イメージ記憶を性格に思い出す方法(抜粋)

●人の話はできるだけ興味を持って、感動して聞くようにする

●覚える内容にも興味を持ち、好きになるようにする

●覚える内容を、自分の得意なものと関連付ける

●覚えたものは、その日のうちに1度目を閉じて声に出してみる



■人間の知能の4つの能力段階

1.知識を脳に取り込む能力

2.知識を脳内で再構成する能力

3.表現する多重知能の能力

4.独創的想像能力


⇒知識を脳に取り込む勉強だけでは頭がよくならないのは、4つの段階のうち1つしか鍛えていないため

⇒4番目の能力こそが、本書で言う「勝負脳」であり、スポーツ、受験、ビジネス等あらゆる勝負で勝つためには、この「独創的な戦略を考え出して勝利をつかみ取る能力」を鍛える必要がある


■怒鳴られながら猛練習するのではダメな理由

⇒しょっちゅう叱られていると、脳は苦しくなって、脳自身を守るために叱っている人の話を受け流すようになる(「逃避脳」

⇒学校のクラブ活動では、教育的効果(「何事にも手を抜かない努力によって、能力を高めていく習慣を獲得する」等)が目的であり、試合に勝つことはそのための目標に過ぎないはずのに、勝つことを目的においてしまうと、成果主義の考え方が生まれ、やみくもに「できない」と叱ることになる

⇒脳を守る自己保存の反応は、特に子供において出やすいので、叱ってばかりいる両親のもとで育った子供は、人の話をよく聞かないことで自分の脳を守っている


■サイバネティクス理論を応用する

●目的と目標を明確にする

目的目標の区別が明確でないと、それらを達成するための具体策が的確なものにならない

⇒すぐれた勝負脳の持ち主は、「何を目標に戦いを進めていくか」というプロセスに常に気持ちを集中させることが、結果として目的達成につながることをたくさんの勝利の経験からイメージ記憶している


●目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する

⇒負けた理由を分析し、何が自分に欠けていたかをあらゆる角度から検証し、批判を受け入れて、それを解決する具体策を立てることが目的達成の条件


●目的を達成するまで、その実行を中止しない

⇒人間は目的や目標が達成できないと、いろいろな理由をつけて方向転換しようとする

⇒それを体験して癖になってしまうと、何をやってもいつも目的が達成できない脳になってしまうという仕組みが人間の脳にはある


■脳に疲労を溜めない方法

⇒脳の疲労の解除命令を出す部位は、前頭眼窩野(がんかや)というところにあり、この場所はブローカ言語中枢と機能が関連しているので、気のおけない友だちや家族と話をすることが有効(ただしそこで愚痴をこぼしているとよけいストレスになる)

⇒前頭眼窩野は嗅結節とも関連しているので、好きな香りを嗅ぎながら楽しい話をすれば、効果倍増

⇒競技中でも、好きな友だちを思い浮かべながら、架空の楽しい会話をすることで脳の疲労をとることができる

「楽しい42キロでした。まわりの景色を楽しんで、友だちの顔を思い浮かべて楽しい会話をしながら走ってました」(シドニーオリンピック女子マラソンで優勝した高橋尚子選手のコメント)


■運動神経を高める方法(抜粋)

●性格を明るくして常に前向きの思考をする

●何事も気持ちを込めておこなう(運動するときだけでは駄目)

●決断と実行を早くする



■よい姿勢を獲得する

目を閉じて、同じ位置に着地するジャンプを10回続けて、できていなかったら、運動バランスの支点がずれている

足を主体に使うスポーツでは、左右肩甲骨の間に位置する胸椎(きょうつい)と、それに付着している筋肉(棘間筋―きょっかんきん)が自然にまっすぐ伸び、どのような状態からでも真上に飛び上がれるような姿勢が運動バランスのよい姿勢

腕を主体に使うスポーツでは、バランスのポイントを骨盤のほうに移動させる必要があり、具体的には肛門近くにある尾骨を意識して、どんな姿勢からでも真上に飛び上がることができるバランス姿勢を整える


【感想】

◆確かに記憶に関する項目もあったとは言え、本書はその多くのページをスポーツ(運動)と結び付けています。

それゆえ、ある程度スポーツをおやりになっていた(いる)方のほうが、楽しめたり、腑に落ちる部分は多いかもしれません。

今回とりあげなかった部分でも、「腰を上下動させないピッチ走法で走るランナーは腸間膜動脈の揺れが少なく、長距離を走るのに適している」なんて、マラソン好きなら食いつきそうな内容ですよね(笑)。

脳外科がご専門の林先生が、腸について熱く語っているのがアレですが(笑)。


◆ただ、保育園の父兄のリレーで筋肉痛を起こしているワタクシでも、「脳の疲労の取り方」等はさっそく取り入れたいところ。

「そんなら職場でしこしこブログなんて書いてないで、早く家帰って、家族と遊べ」、とな(汗)?

いえ、大丈夫です。

脳が疲れるほど頭使ってませんから(爆)。

マジで、税理士試験勉強中の頃の方が、当社比200%くらい頭回ってましたよ。


◆上記のゴルフのパターのお話についても、試そうにも、そもそも自分がゴルフやりませんで、いかんともしがたく。

本書に「ボールの転がり方」って書いてあったので、そのまま使いましたけど、これって、「パッティングのライン」とは違うんですかね(汗)?

ここはぜひ、ゴルフにお詳しい吉澤 大先生に、ぜひ本書を買って熟読した上で、試して頂きたいものです(ウソ)。


◆本書は薄い割には、コンテンツとしてはかなり充実していると思います。

ただ、運動に関する部分については、先生ご自身の運動のレベルが不明なことと、指導歴、コーチ歴等が皆目検討がつかないので、ぶっちゃけどこまで信用していいのかちょっと不安(汗)。

また、冒頭の「モジュレータ理論」

 私がこの理論を一般書に発表するのは、この本が初めてです。

とあるので、ひょっとしたら論文ならあるのかもしれませんが、特に記載はなく。

個人的には、取り入れられるところをサクっと取り入れちゃうのが、宜しいかと。




【関連記事】

◆いずれの本も、スポーツをおやりになる方にオススメです。

「上達の法則」岡本浩一(2006年10月02日)

「スラムダンク勝利学」辻 秀一(2006年08月30日)

ガーフィールド博士の最高の自分を引き出す方法」児玉光雄(2005年11月17日)

『No.1理論―ビジネスで、スポーツで、受験で、成功してしまう脳をつくる「ブレイントレーニング」 』西田文郎(2005年04月06日)



【編集後記】

◆昨日はムスメの保育園の遠足でした。

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ただ、ムスメにとって一番楽しかったのは、やはり「お弁当を食べたこと」だった模様(汗)。

引率してくださった先生方に申し訳ないです(涙)。


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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは!

ようやく、白黒がつき、すっきりしました。
引っ越しは、3月ですが、
なにせ、気軽に物件見に行ける場所でもないんで・・・(苦笑)。
Posted by ニタ@「教えて会計」 at 2007年10月19日 11:41
               
ご、ご紹介いただきありがとうございました。

まさか、こういう形とは。(・ω・)/

明日はよろしくお願いします。
Posted by ヨシザワ at 2007年10月19日 13:24
               
>>目的と目標の区別が明確でないと、それらを達成するための具体策が的確なものにならない

そうなんですよね。
これは繰り返し私もビルダーさんにお伝えしてますが、もともと目的のない方も多いだけに大変です。
やっぱり客観性が大事なんですねぇ

ところで、なんて美味しそうなお弁当。
それは食べるの楽しみなはず。
Posted by ビルダーナース at 2007年10月19日 19:28
               
smoothさん、こんにちは。

なんだか脳や運動ってすごく心や意識に
左右されるものなんですね。
成功法則っぽいなぁと思ったのは僕だけ?
Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2007年10月19日 23:57
               
smoothさん、こんばんは
まさにジャストミートのテーマです。本日のセミナーでも取り扱いました。(笑)
勝負脳と第三章は読んでみたくなりました。

Posted by マチスケ at 2007年10月20日 00:21
               
>ニタさん

これからは、読書時間が長くなって、記事もたくさん書けるのでは(笑)?
それにしても、物件探しは大変ですね。

>ヨシザワさん

こういう形でございます(笑)。
身内でよくやる方って、ヨシザワさんくらいなもので。

>ビルダーナースさん

私自身も数値目標とか苦手なので、書いてて耳イタイというか(汗)。
お弁当がなんであれ、ムスメは食べつくします(汗)。

>LuckyUSさん

いえ、ホント成功法則に近いと思います。
ただ、本書は内容的にはもっとそちらよりでよかったような(汗)。

>マチスケさん

第3章部分は、結構面白かったですよ!
ただ、起業される方は、それどころじゃないような(汗)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月20日 01:42
               
smoothさん、

読み終わりました。おもしろかったです。

個人的に一番受けたのが、心臓外科医は日常生活でもリスクをとらないように気をつける、ということです。

いや、まったくその通りだと思いました。

おもしろい本をありがとうございました。

とはいえ、私がアマゾンから買った本はまだ初版でしたから、売れていないのかな・・・。
Posted by MUGI at 2007年10月26日 00:26
               
>MUGIさん

おぉ!ムギさんがこの本読まれたとは。
正直、ちょっと意外な気も。
記事内でも書いたように、ちょっとマユツバもののコンテンツもあったので、ムギさんが読まれるとは想像つかなかったですね。
ちなみに私の本も当然初版です。
ムギさんの今度出る新書のようには売れてない模様(汗)。


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月26日 02:07