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2007年10月12日

【発明】「発明家たちの思考回路」エヴァン・I・シュワルツ


発明家たちの思考回路 奇抜なアイデアを生み出す技術 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)
ランダムハウス講談社
桃井緑美子(翻訳)
発売日:2006-01-27
おすすめ度:5.0


【本の概要】

◆今日お届けするのは、アイデア系の本の中でも、図抜けてカッ飛んだ頭脳を持つであろう「発明家」たちにスポットを当てた一冊。

ずい分前に、こばやしさんに薦められて読んで、「スゲー!」と言ったまま記事にし忘れて、今まで本の山に埋もれておりました(汗)。

最近、職場の本を整理したところ、1年ぶり(?)に日の目を見たという次第(スイマセン)。


◆アマゾンの商品説明より。

発明が生まれるプロセスを理解できる一冊。エジソン、ベルから超音波診断装置など奇抜な品々を発明した現代の天才までその心に踏みこみ、発明に至るまでの過程を探ることで、発明家の「発想戦略」的思考活動の本質に迫る。

巷にある「セレンディピティ」を扱った他の本よりも、かなり刺激的です!


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【目次】

発明の原動力は何か
可能性を創出する
問題をつきとめる
パターンを認識する
チャンスを引き寄せる
境界を横断する
障害を見極める
アナロジーを応用する
完成図を視覚化する
失敗を糧にする
アイデアを積み重ねる
システムとして考える
エピローグ―もっと上を、もっと外をめざし


【ポイント】

■発明家について
●発明家とは

一般に考えられているのとは逆に、発明家とはヒット製品のアイデアを最初に思いつく者ではない。今日、発明家とはさまざまな分野からさまざまなアイデアを集めて、他人の思い描いたことを実現する者のことなのだ。

⇒発明家とは、問題の解決がうまい人というよりは、問題の発見が得意な人と考えた方がよい

⇒ブレークスルーを成し遂げた発明家は、既成観念にとらわれない人だといわれるが、実はその逆で、既存のものであれ、そこからはみ出したものであれ、まずはパターンを見出すことを知っているのが発明家

⇒成功する発明家は大きなことにつながりそうなハプニングをいつでも歓迎しようとしており、かつ、不意に訪れたできごとに周到に対応している


●発明家のように問うてみる

「これはどんなしくみなのか」「どうしてうまく動くのか」「どんな発想をすればつくれるのか」「欠点はどこか」「どこを改良できるか」「ほかに必要なものはないか」


●発明家の目

 ふつうの人が一つも問題はないと思っていても、発明家にはばかげた欠点が目につく。みなが文句をいわずに受け入れているのが納得できないのだ。発明家が指摘するまで、人はどこがおかしいのかさえ気づかない。新たな角度から問題に着眼し、もう一度それをとらえ直し、より厳しい基準で細部を見つめることで、発明家は誰にも見抜けなかった新たな可能性を生み出すのである。



■問題のとらえ方
⇒新しい可能性を創出するためには、解決しようとする問題が新しい必要はなく、むしろ新しくなければならないのは「問題のとらえ方」の方

⇒あるものを発明した人が、最初にその基本のアイデアを思いついたわけではない例:

「アレグザンダー・グラハム・ベルの電話」「トーマス・エジソンの電球」「ライト兄弟の飛行機」


■「発明は必要の母」
⇒すぐれた発明は顕在する必要を満たすために生まれたと思われがちだが、実は発明が先にあってそこから必要が創出されている

電話電球飛行機も、発明される前から想像していた人はほんのわずかだが、世の中に登場すると、人々の生活に欠かせないものになった


■発明の4タイプ
●すでに利用されているものに欠点を見つけて改良

⇒コンピュータのフラットパネル・ディスプレイ、携帯用腎臓人工透析機など


●人が気づいていない可能性を見つけて生まれる

⇒ウォークマン、電動立ち乗り二輪車セグゥエイなど


●大きな需要がありながら、それまでうまくいかなかった問題に斬新なアプローチで取り組んで実現

⇒電球、飛行機など


●上記3つのタイプの発明が、発明した当人の想像以上に幅広い用途に使われる

⇒蒸気機関、レーザーなど


■システムとして考える
⇒アイデアがどんなにすぐれていても、発明が生き残るか消え去るかは、ほかのどんな技術とどれだけ調和し、社会環境にどれだけ溶け込めるかにかかっている

エジソンは、白熱電球を最終目標とせず、人々に明かりを届ける手段として、大規模な発電設備送電設備といったシステム全体の開発を視野に入れていた

フォードはどこよりも低価格で大量かつ迅速に車を生産する方法を考え、ベルトコンベアによる組み立てラインを発明する

アップルによるiPodiTunes(アイチューンズ)とiTMS(アイチューンズ・ミュージックストア)の組み合わせは、インターネット時代の音楽の聴き方にぴったりの独創的なシステム


■発明家たちのエピソードあれこれ
エジソンと相場表示機

⇒それまで壊れやすかった金や株式の価格を表示する相場表示機の保守、修理、改良の仕事を請け負ったエジソンは、1869年9月24日の暗黒の金曜日に直面し、多くの投機家が相場の変動についていけずに膨大な資産を失う様子を証券取引所の見学席で見ていた

⇒そこからエジソンは金の取引情報は、金よりも価値があることを見てとった

⇒相場表示機の改良を完成させ、特許を申請して4万ドルを取得、この事業から上がった利益で最初の発明研究所を完成させる


グッドイヤーとゴムの加硫

⇒熱に弱い生ゴムの硬化に挑戦したグッドイヤーは、酸化マグネシウムを混合することで、一旦は硬化に成功し、利益を上げるものの夏になるとゴムが溶け出し全財産を失う

⇒次に硝酸硫酸で硬化させ、新たな店で売上を立てるが、夏になるとまたゴムが溶け出し、再度全財産を失う

⇒そんなある日のこと、薪コンロの上にうっかり分厚いゴムの切れ端を放置したところ、コンロで焼けた表面の保護膜でゴムがそれ以上溶けなかったことから、加硫という処理法を生み出す


ファラデーと発電機

⇒ファラデーは電池と導線と鉄片をいじっていて、ハンス・クリスティアン・エルステッドが発見したばかりの電磁気の原理を理解した

⇒また、ファラデーはこのやり方でできた電磁石から生じる磁力線を図にした

 磁力線が頭の中で具体的な形をとると、ファラデーはある実験を視覚化しはじめた。電気は磁気を発生させる。では、その逆は?磁石は電気を発生させるだろうか。

発電機の発明に成功


【感想】

◆スンマセン、またまた長文というか抜粋&引用しまくってしまいました(汗)。

今まで数多くの発明本を読んできましたが、具体的な事例の多さからいったら、この本はピカイチでしょう。

読んだ当時、「これはブログでうまくまとめるの絶対ムリ」と白旗あげてしまったような記憶が。

もっとも今回も、うまくはまとめていないですけど(汗)。


◆思うに、アイデア系の本って、ハック系とは対照的に、あまり即効性がないんですよね。

また、広告代理店やテレビの放送作家のように「一定の"質"と"量"の成果物を恒常的に生産する」環境にないと、あまり必要性も感じ得ないというか。

そのせいか、このブログでも私がプッシュしている割には、お買い上げも少なめ。

おそらく、カテゴリー別に売上高を紹介した本の冊数で割ったら、最低ラインの人気ぶりですよ(涙)。


◆ただ本書の場合、類書(下記「参考記事」参照)に比べてかなり理数系的な色合いが濃いせいか、科学本がお好きな方にもお楽しみいただけるかもしれません。

その辺は、著者であるエヴァン・I・シュワルツ氏がコンピュータサイエンスの理学士号を取得していることも関係あるのかと。

そう言えば、本の帯にはGoogleのエリック・シュミットCEOからのお言葉が。

予期せぬ幸運(セレンディピティ)を活かす。偶然から成功を生む。データにもとづいて意思決定する。……古今の発明家のノウハウを集めた本書には、貴重な教えと洞察がつまっている。今日の、そして明日の起業家の必携の書だ。


◆私の今回の記事は、面白かったところを中心に構成してしまいましたが、本書を最初からキチンと読むと、発明の「ノウハウ」「パターン」がよくわかると思います。

目の前の出来事がセレンディピティになるのかならないのかも、日頃の観察眼や思考法によるものなのだと、あらためて納得。

もう逃がしませんよ(笑)!


「気づき」のある人生を送るために!

発明家たちの思考回路 奇抜なアイデアを生み出す技術 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS)
ランダムハウス講談社
桃井緑美子(翻訳)
発売日:2006-01-27
おすすめ度:5.0


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「成功者の絶対法則 セレンディピティ」宮永博史(著)(2006年09月17日)

「すばらしい思考法 誰も思いつかないアイデアを生む」マイケル・マハルコ (著)(2006年05月16日)

「メディチ・インパクト」 フランス・ヨハンソン (著)(2006年05月15日)


【編集後記】

◆このブログでも以前ご紹介した『「超」短期トップビジネススクール留学ガイド』がもうすぐ発売される平川理恵さんが、大阪で出版記念講演を行われるそうです。

しかも、先着40名には、アマゾンキャンペーンの特典でもあったDVDがもらえるという太っ腹ぶり(汗)!

料金も無料なので、お近くの方はぜひお越し下さいマセ。

以下詳細です。


【開催日】  2007年10月27日(土) 11:00〜

【定 員】  40名(先着順)

【会 場】  ジュンク堂書店 大阪本店 ⇒地図

【講 師】  平川理恵さん(留学図書館・代表)

【対 象】  英語が出来なくても超短期トップビジネススクール留学してみたい方

【料 金】  無料

【受 付】  ジュンク堂書店 大阪本店 3階東カウンターにて。電話予約有。

       Tel (06)4799-1090 Fax(06)4799-1091




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この記事へのコメント
               
smoothさん、こんにちは!

ご存じだったと思いますが、
昨日の日経新聞の夕刊に
「影響力の武器」の著者のロングインタビューが載っていましたね。

今日の本は、私も、予約しました。

Posted by ニタ@「教えて会計」 at 2007年10月12日 07:46
               
こんにちは。
本書は、良いですよね。
バランスが良いというのか、内容が良いというのか。
(ブログご紹介どうもです。)

こういう本は、売れにくいですけど、自分で活用するに限ると思っています。

Posted by 独立起業家:こばやし at 2007年10月12日 15:20
               
こんばんは。
おそらく天才しか理解しえない情報を、誰もが理解できるようにしてくれる。
本とは本当に素晴らしいものです。それを紹介してくれるブログ様も。


Posted by ym at 2007年10月13日 00:23
               
>ニタさん

日経夕刊の件はメールしたとおりです。
あれ?予約は留学の方ですよね(笑)?

>こばやしさん

何でこの手の本が人気ないのか、マジ不思議です。
紹介の仕方がまずいのか、悩む今日この頃。

>ymさん

本は確かに素晴らしいですよね!
コストパフォーマンスから言ったら最強。
今後ともよろしくお願いします。


Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月13日 14:07