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2007年10月04日

【仕事の品格】「いい仕事の仕方」江口克彦


いい仕事の仕方 (PHP新書 479)
PHP研究所
江口 克彦(著)
発売日:2007-09-15



【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、このブログにしては珍しく(?)、「真っ当な仕事のご本」

著者の江口克彦さんは、本書の裏表紙の略歴にもあるように、「松下幸之助のもとで23年間、直接指導を受けた」お方です。

本書で書かれている内容も、まさに「品格に満ちた」仕事の作法。

これはまさに、全てのビジネスパーソンが手に取るべき一冊ではないか、と。


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【目次】

第1章 仕事は人生の出発点
第2章 できるビジネスパーソンになるために
第3章 仕事力をいかに高めるか
第4章 情報力と企画力を培う
第5章 節目と転機をバネにして伸びる
第6章 上司と部下の関係
第7章 人を生かし、組織を生かす
第8章 ビジネスリーダーの条件



【ポイント】

■仕事を楽しむためには

 どんな仕事に対しても、やってやろうと前向きに取り組めば、自ずと楽しくなり、能力も高まる。

⇒単調な仕事に対しても、自分を鍛えるチャンスだと思って取り組む

⇒やや荷の重い仕事が与えられれば、能力の向上につながると考える


■自分の座標軸を持つ

 正しさとは何か。やっていけないことは何か。それを常に意識していれば、人間の美しさ、品格が出てくる。

⇒最近の風潮として、物事を"感じる、感じない"、"好き、嫌い"で判断する傾向が強いが、それらは人間の本能であるし、そうした座標軸に頼っていては、ビジネスパーソンとしては決して成長しない

⇒正邪善悪、"正しい、正しくない"、"いい、悪い"という座標軸を持ってはじめて、仕事への情熱が生まれる


■主体性を持って生きる

 自分は「社員という独立した事業の経営者である」と考えたい。そう考えれば、仕事に一層の工夫とやりがいが生まれる。

⇒自分を「社員稼業」の店主と考えれば、上役も同僚も後輩も、みんなわが店のお得意様、お客様になる

⇒そのお客様に対し、買っていただくため、創意工夫をこらした提案を、誠意を持って売り込みにいく


■仕事に取り組む基本姿勢

 仕事というものは、90%以上はルーティン・ワークが占める。それゆえ、仕事を効率よく進め、楽しくしようと思えば、考え方を工夫しなければならない。

⇒今やってる作業が大変であるならば、どうすれば少しでも容易に処理できるようになるか、どんなやり方があるか等を考えなくてはならない


■問題解決力を身につける

 改善と改革は異なる。白紙の状態から出発しなければ改革はできない。

⇒改革をしていこうとすれば、今あるものに継ぎ足すだけではなく、一度現状を全部否定して「白紙」に戻し、ゼロから発想してみること


■上司として心得ておきたいこと

 部下は、上司から多大な影響を受ける。特に悪い点ほど真似るものだ。

⇒部下は上司にとって自分を映す鏡である

⇒部下を批判する前に上司は自らを省みなければならない

 自分が嫌だったことを部下にしてはならない。そうしてこそ部下はいきいきと働く。

⇒自分が嫌だったことを部下にしなければ、部下は伸び伸びと成長し、また上司自身も人間的に成長していくことができる


■コミュニケーションの原点

 自分の考えを100%部下に伝えたいと思うなら、その10倍の熱意を持って訴えなければならない。

「意思伝達二分の一の法則」に従うなら、経営者が自分の考えを一般役員へ伝えた時点で、役員が心から理解しているのは半分の50%

⇒以下同様に、「部長には25%」、「課長には12.5%」、「係長には6.25%」しか伝わらず、「社員へは3%」しか伝わらない

⇒よって、経営者は常に1000%の熱意を持たねばならない


■これからのビジネスリーダー像

 ビジネスリーダーには二つの型がある。狩猟隊長型と羊飼い型である。これからのビジネスリーダーは羊飼い型を目指さねばならない。

狩猟隊長型リーダーの行動パターンは「命令」「支配」「管理」で、部下「服従」「従属」「甘え」「画一」「無個性」がキーワード

羊飼い型リーダーの行動パターンは「協力」「協調」「相談」で、部下には「責任」「自主」「自立」「個性」が求められる

 価値観が多様化し、「正しいものは一つだけ」ではなくなった。ビジネスリーダーの価値観だけで、うまく引っ張っていこうと考えてはいけない。

⇒"感性の物差し"で判断する若い社員を引っ張っていくためには、まず"感性の物差し"で理解させて、そのうえで、"論理の物差し"で理解させるという二段階方式で引っ張るようにしたい

⇒「挨拶しなければいけませんよ」と言うのではなく、「挨拶をしないと格好悪いですよ」と言ったほうが効果的


【感想】

◆このブログでは、「仕事術」ですとか「仕事の仕方」というテーマですと、基本的には「ライフハック系」のご本が中心で、本書のようなある種の「仕事の作法」について扱った本は少なかったと思います。

私も意図的に避けていたつもりはないものの、この手のお話は、正直「本音」部分と「建前」部分のバランスが難しいというか。

あまり正論ばかり言われても、「それじゃー、割りを食っちゃうのでは?」と読んでいるこちらが心配してしまいますし(私だけ(汗)?)。


◆私も新入社員当時、先輩から「そんなキレイごと言ってたら損しちゃうよ」と何度か忠告されたことがありました。

細かいことで言うなら、例えば当時は在籍していた会社では、残業代が15分刻みでフルについていたため、「退社時にタイムカード押すのに、数分待ってから押すか、押さないか」とか、そういうセコイことですが(笑)。

こういうのも、「規則だからダメ」というのはもちろん当たり前ですけど、それ以上に「正しいか、正しくないか」という座標軸が大切ではないか、と。

結局、先輩が言うところの「会社の甘い汁」(「タクシーチケット」ですとか「接待」ですとか)というのは一切吸わずに、退社してしまったワタクシ。

・・・でも、会社の金で色々テストするのは大事だって、土井英司さんは言ってたな(ボソッ)。


◆このブログの読者さんの中でも、よくある年長者の方の「正論」が耳うるさく感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

私も「まえがき」を読んだ時点では、一瞬本書に、その可能性を感じたことは否定しません。

でも、それは幸いなことに「杞憂」でした。


◆この手の本で、読めば読むほど「腑に落ちた」というのは、久しぶり。

例えて言うなら、透き通った中にもしっかりダシが効いている「はまぐりのお吸い物」のような味わい。←ちょっとわかりにくいですか(笑)

「凛とする」という言葉がピッタリの内容でした。


私のキャラで言っても信じてもらえないでしょうが「マジでオススメ!」




【関連記事】

【幕藩体制崩壊?】「指一本の執念が勝負を決める」冨山和彦(2007年07月11日)

【伝説】『「伝説の社員」になれ!』土井英司(2007年07月10日)

【ゴールドカラー】「消える中間管理職 10年後に生き残る働き方」鴨志田 晃(2007年06月22日)

【仕事作法】「仕事で人は成長する」高井伸夫(2007年05月31日)

【マインドマップ書評】「20代 仕事筋の鍛え方」 山本真司 (著)(2005年09月20日)


【編集後記】

◆このブログでもお馴染み、勝間和代さんの新しいご本が出ます!


今回もまた、ビジネスパーソンにとっては大好物のテーマである「時間」

もちろん私はアマゾンアタック済みでございます(笑)。


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いい仕事の仕方 (PHP新書 479)江口 克彦PHP研究所 ( 2007-09-15 )ISBN: 9784569695150おすすめ度:sickboyのバインダーで詳細を見るMediaMarker ■感想 仕事を来な??.
『いい仕事の仕方』著者の目指すべき姿に自分がどこまで近づけるかを考える【hobo-多読多評-】at 2009年07月05日 05:57
                               
この記事へのコメント
               
こんにちは。
新書でお得な本だと思います。
やはり江口さんの本ですからね。
Posted by ビジネス書:こばやし at 2007年10月04日 10:32
               
smoothさんこんにちは。この本丁重が品が良すぎて手にとってはみたものの買いませんでした。今日の記事を読んで、ちゃんと立ち読みしなきゃと思いました!ってオイ。
Posted by 週末起業サラリーマン at 2007年10月04日 12:27
               
松下氏の著書は時々開いては読んでいます。その都度気づきがあります。
ところで昨日の本ですが外資系の方です。さくっと眺めましたが、なかなかよさそう。フォトリじゃなくじっくり取り組みたいですね。(笑)
Posted by マチスケ at 2007年10月04日 13:10
               
松下氏の著書は時々開いては読んでいます。その都度気づきがありますね。
ところで昨日の本は外資系の方です。さくっと眺めましたが、なかなかよさそう。フォトリじゃなくじっくり取り組みたいですね。(笑)
Posted by マチスケ at 2007年10月04日 13:10
               
smoothサンこんにちはー。
江口サンは目次だけでも別格の雰囲気がありますね(x_x;)
揺るがない確固とした信念をお持ちのかたという感じがします。
あの松下サンに23年もついていけたかただからでしょうか。

さすがsmoothサン!!
だから人徳あるかたなんですね。
と、ところで数分を待ってた方はその間一体何を…???
Posted by 瑠璃 at 2007年10月04日 14:39
               
最近は生き方、在り方についても以前より見かけるようになった気がします。
それだけ豊かになった現代で、精神性や内面に向き合う時期にきたのかもしれませんね。
「凛とする」生き方が当たり前、主流となる社会であってほしいなぁと心底思う今日この頃。
なぜ上司の方が定時に出社できず毎日遅刻するのか・・・
慌てて乗ったタクシー代まで経費で出費するというアンビリバボーな人もまだまだいるんですね。
品格という言葉がもっと普及するようにしなくっちゃ。

そうそう、はまぐりのお吸い物はだし加減で絶品になりますから、だしは大事ですね(笑)
Posted by ビルダーナース at 2007年10月04日 23:54
               
smoothさん、こんにちは!仕事に秀でたプロは、口を揃えて「自分の好きな仕事をやりなさい」と言っています。優れた仕事人になりたければ、いやだと思う仕事でも、好きになる必要がありますね。そのためには、「前向きに取り組むこと」がキーワードになるようですね。ためになる情報、ありがとうございました。
Posted by パピヨン土方@成功者になるための!!オンライン図書館 at 2007年10月05日 06:20
               
>こばやしさん

確かにお得ですよね、この本。
実は江口さんの本って、初めてなのですが(汗)、大満足でした。

>hikaruさん

そうですよ、ちゃんと立ち読みしてください・・・ってオイ(笑)!

>マチスケさん

さすがコンサルさんは違いますね!
それと、本は「外資系」の方でしたか!
てか、あの本をフォトリーして何の意味があるのかと(爆)。
ぜひ、じっくり解いてみて下さい。

>瑠璃さん

目次からして雰囲気、というのは同意です!
内容もさすがでした。
なお、元の会社の方は、その間トイレ行ったり、新聞読んだりとか・・・(汗)。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月05日 07:37
               
>ビルダーナースさん

思うに、「ヒルズ族」みたいな方や折口さんの件があってのゆり戻しもあると思います。
タクシーについては、まぁ成功者さんがたくさん乗られてますし(笑)。
私は本が読めないんで極力乗りませんが(爆)。

>パピヨン土方さん

「9割がルーティン」なわけですから、前向きに工夫するのも大事ですよね。
あと、自分の好きな仕事というのは、成功する人はそう言えてもなかなか・・・(汗)。




Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月05日 07:42
               
こんにちは。
これは気になる本ですね。

>私のキャラで言っても信じてもらえないでしょうが

信じますよ♪ ありがとうございます☆


Posted by meg at 2007年10月05日 18:12
               
>megさん

ありがたいお言葉、感謝です(涙)。

この本は大事にしといて、また読み返したいです。

Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年10月06日 00:58