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2007年08月25日

【水平思考】「イノベーション・シンキング」ポール・スローン


イノベーション・シンキング
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2007-08-15
おすすめ度:4.5


【本の概要】

◆今日お送りするのは、久々のアイデア関係の一冊。

著者のポール・スローンは、「水平思考パズル」のさきがけとなった「ウミガメのスープ」のあの人です(笑)。

・・・って私はチラ見して、その問題が解けなかったので買わなかったのですが(汗)。←ヘタレ


◆今回の本は、単なる頭のトレーニングではなく、ビジネスへの応用を意識したもの。

特にタイトルにもある「イノベーション」の言葉通り、独創的なアイデアを生み出す秘訣を追及しています。

また、お得意の(?)水平思考パズルは本書でも顕在(15題収録)。

参考までにアマゾンの「商品の説明」ページにある問題をご紹介します。

「ある寒い雨の夜、あなたはスポーツカーを運転していた。
バス停を通過したとき、3人の姿を見た。
一人は20年ぶりに見る学生時代の親友。
一人はあなたの理想の異性。
そしてもう一人は重病の老婦人。
しかし、車にはあと一人分の座席しかない。
あなたを含め、すべての人を満足させる方法は?」

アナタは解けましたか?


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【目次】

いま必要なのは、イノベーションを起こせる思考力。ただの創造力ではだめだ!
Part1 水平思考10のスキル
 1.前提を疑う
 2.探り出す質問をする
 3.見方を変える
 4.奇抜な組み合わせをしてみる
 5.アイデアを採用し、応用し、さらに改良する
 6.ルールを変える
 7.アイデアの量を増やす
 8.試してみて、評価する
 9.失敗を歓迎する
 10.チームを活用する

Part2 イノベーションのための組織づくり
 1.あなたの会社の革新度は?
 2.ビジョンをつくって伝える
 3.ビジョン実現へのステップ
 4.ありがちな誤り―創造力を押しつぶす12の悪習

付録1 チームの創造力を高めるゲーム

付録2 水平思考パズルの答え


【ポイント】

■イノベーションを目指せ
変化

⇒違うものにつくり変えたり、ある状態から、別の状態に移行すること

イノベーション

⇒それまで存在しなかったまったく新しいものになること

クリエイティヴィティは目的への手段にすぎない。ときどき、これが目的となってしまっている人や組織があるが、それでは、目的地にはたどりつかない。では、目的とは何かといったら、それがイノベーションだ。
そして、イノベーションをもたらす思考法を水平思考という。

●イノベーションの一例

・20世紀初頭までは、すべての店舗が対面販売だった ⇒ 「店の形態を変えて、お客さんに欲しい商品を自分で選んでもらって、最後にお金を払う仕組みにしたらどうだろう?」 ⇒ 世界最初のスーパーマーケット、キング・カレン・ストアがオープン


■探り出す質問をしてみる
⇒1985年当時、メモリー業界が過当な競争で儲からなくなった際のインテルの創業者であるアンディ・グローブとゴードン・ムーアの「問いと答え」

「我々がクビになって。新しいCEOが来たとしたら、彼は何をするだろう?」
「メモリーチップ事業から撤退するんじゃないか?」


⇒こうしてインテルは、メモリーチップから撤退し、より大きな儲けの見込めるプロセッサチップの開発に移行を決定


■ルールを変える
アマゾンボディ・ショップデル・コンピュータetc...

ルールは破られるためにある。
スポーツでは審判にペナルティを与えられるかもしれないが、ビジネスにおいては。審判は市場だ。
イノベーションによって価値をもたらした反則者には、ペナルティではなく報酬が与えられるのだ。



■アイデアは質より量
⇒今の教育システムの大きな問題の一つは、質問に対して正解が一つしかないこと

⇒現実の世界ではそうではなく、全ての問題には、たくさんの解決策がある

⇒会社をもっと革新的にするには、アイデアの量をふやさなければならない

⇒もっと多くのアイデアをひねり出すにつれて、ますます奇抜でばかばかしく、創造的な――画期的な解決策になる可能性を秘めた――アイデアが出てくる


■失敗を歓迎する
⇒多くのことにまず挑戦しなければ、成功を生むチャンスをものにすることはできない

⇒偉大な発明や発見には、偶然や失敗の結果生まれたものがある

⇒重要なことは、どんな小さな情報にも可能性を見出す、柔軟な姿勢を持つこと


■チームを活用する

世間には、創造力は、孤高の天才だけに舞い降りてくるという根強いイメージがある。しかし現実には、アイデアを創造していくには、チームを組んだ方がいいのだ。

⇒エジソンは、14人もの助手チームを抱えていた

ステーブ・ジョブズは、「スティーブ・ジョブズ―パーソナル・コンピュータを創った男」の中で、アップルのマッキントッシュは「まさにチームによってつくられた」と語っている


■創造力を押しつぶす12の悪習(抜粋)
アイデアを批判する 

⇒「デッカレコードは、ビートルズの売込みを断った」「大手出版社はハリーポッター第一作の出版を見送った」等々


イノベーションに効率を求める 

⇒改善することだけにこだわれば、イノベーションの本質である、違ったことに取り組む機会を見逃してしまう恐れがある

 たとえば今、計算尺をつくっているとしよう。いくら効率を上げたとしても、電子計算機が登場してしまったら、もう出番はない。
 だから私たちは、効率を上げるのと同時に、顧客に価値をもたらす新しい手段を絶えず探さなければならない。効率にばかりこだわることは、危険なことなのだ。


●過労を美とする

⇒古いやり方で懸命に働くことよりむしろ、より多くの時間をかけて、新しいやり方を探すべき


●失敗した人を責める

⇒失敗を非難する風土は、確実に起業家精神に歯止めをかける


【感想】

◆冒頭にも書いたように、「ウミガメのスープ」の存在は知っていましたし、水平思考パズルの問題も多少は知っていました。

ただ、いわゆる「脳トレ」的なモノだと思って、当ブログで紹介するにはどうかと思っていたわけでして。

・・・ってちゃんと読んだら違うんですかね(もしそうならスイマセン)。


◆それに比べると、本書はこの「水平思考パズル」を解くことが、「目的」ではなく「手段」になっています。

その点において、自分的には問題を解くモチベーションが高まって良かったというか(笑)。

おかげさまで、なかなか解けない場合でも、問題を解こうと努力することができました。


◆なお、本書には付録として、19の「チームの創造力を高めるゲーム」(演習)が掲載されています。

Part1の「水平思考10のスキル」のスキルごとに、このゲームが複数指定されているので、会社、もしくはグループで実践されると良いのではないでしょうか?

「実践なくして効果なし!」デス(笑)。


◆そしてこのゲームの中には、当然「水平思考パズル」も(笑)。

冒頭の問題の答えは、もろにネタバレなので、ここでは書けません(コメント欄に答えを記入するのも勘弁願います(汗))。

他の問題も、いずれもビジネスと関連性がありそうなものばかり。

興味のある方は本書でご確認下さいませ。

思ったより手ごわくてちょっとビビリましが(涙)。


イノベーションを目指して!

イノベーション・シンキング
ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日:2007-08-15
おすすめ度:4.5



【関連記事】

「アイデアの生まれるところ―ideaedit」上條桂子(編)(2006年12月29日)

「シェイク・ブレイン」ジョエル・サルツマン(2006年11月30日)

「アイデア会議」加藤昌治(2006年11月15日)

「成功者の絶対法則 セレンディピティ」宮永博史(2006年09月17日)

「すばらしい思考法 誰も思いつかないアイデアを生む」マイケル・マハルコ (2006年05月16日)

「メディチ・インパクト」 フランス・ヨハンソン (2006年05月15日)


【編集後記】

◆ムスメと行った旅先でのスナップ。

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窓から見た景色はとてもステキでした(笑)。


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この記事へのコメント
               
smoothさんこんにちは。課題を与えられると人はそれを解こうとする。そして答えがあるのならば、確かめたくなる。そんなマーケティングにまんまとはまるのは何を隠そう私です(爆
Posted by 週末起業サラリーマン at 2007年08月25日 15:48
               
ごぶさたです(笑)

私も答えが知りたいので、リンクよりジャンプしてAmazonでお買い上げを♪

頭の体操ができそうでよさそうですし☆
Posted by Sayuri at 2007年08月25日 17:34
               
ルールを変えるっていいですよね^^

確かにビジネスにおいては
市場が判断してくれるものですね。

応援くりっく!ぽちっ
Posted by 笑顔整体 健康の知恵袋:院長 at 2007年08月25日 21:19
               
smoothさん、こんにちは!

冒頭の問題を考えてみたのですが、答えは本を読むことにします〜。
以前ご紹介されていた「アイデアをいただいてしまえ!」を読み終えたばかりなので、
私にとっては非常にタイムリーで興味のある一冊になりそうです。
Posted by ニャロメ at 2007年08月26日 08:05
               
>hikaruさん

あまりはまり過ぎないように(笑)。
本にもこのブログにも(爆)。

>Sayuriさん

ご無沙汰です〜。
お買い上げまことにありがとうございます(涙)。
単純にクイズだけだったら「ウミガメ〜」の方が良さそうですが、Sayuriさんなら本書の方が向いてるかもしれません。

>院長サマ

持って生まれた思考法というのは、なかなか変えられないんですよね(涙)。
本書で多少なりとも変わるといいんですが。

>ニャロメさん

いつもありがとうございます〜。
アイデア系は、私は好きなのですが、ブログ的にはあんまりウケが良くないのが悩みです。
私もセレブパン屋さんのパン食べたい(笑)。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年08月26日 08:13
               
こんばんは。
自分も週末起業サラリーマンさん同様にあやうくポチっといきそうでしたよ。クイズとか問題って本当に答えが気になるからずっこいですよね。
でも、この手法ってDMにもうまく応用できそうですよね。
Posted by 樽井 at 2007年08月27日 01:40
               
>樽井さん

そうですよねー。
クイズとかって、くいつき違いますよね(笑)。
ただ、本書はそれだけを目的に買われると、ちょっとツライかもしれません。
一応、念のため。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年08月27日 07:18