2007年08月17日
【ハイグレード】「高額商品販売とっておきのテクニック 」井手 聡
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日ちょこっとご紹介した、セールス本。著者の井手 聡サンは、船井総研のコンサルタントで主に「住宅リフォーム会社・仏壇店 業績アップのプロ」だそう。
本書にもご自身のコンサルの事例が豊富に収録されています。
◆なお「まえがき」にもあるように
ということで、本書におけるノウハウは、決して「宝石や毛皮向け」などではなく、生活必需品以外であれば、十分に普通の商品でも通用するもの。本書における「高額商品」とは、平均的な価格の同種商品と比較して値の張る商品。つまり、「ハイグレード商品」のことです。
奇をてらったものはありませんが、一つ一つを実践しておきたい内容がいっぱいです!

【目次】
1章 高額商品を売るための「自分力」2章 高額商品を売るための「接触力」
3章 高額商品を売るための「価値訴求力」
4章 高額商品を売るための「商品演出力」
5章 高額商品を売るための「おすすめ力」
6章 高額商品を売るための「編集力」
【ポイント】
■自分の見かけにこだわって高額商品を売る(抜粋)
◆清潔感は当然としても、「手」や「爪」までは気がまわらないのが普通ではないでしょうか?1.かばんを机の上に置く人(マナーやエチケットができていない人)
3.声が大きすぎる人(気配りができない人)
4.手が汚い人(不潔な人)
特に女性客はその辺をチェックしているとか。なぜ、手に注意しなければならないかというと、手は以外に目立つからです。商品を指したり、商品を持ったりするため、お客様の目につきやすいのです。
■「先生」になって高額商品を売る
◆多くの工務店やリフォーム会社にとって、「家相」にこだわりを持つお客様はやっかいなのだそう。それは建築構造等で問題がなくとも、家相が悪いことを理由に設計の変更を求めてくるから。
しかしこんな工務店もあります。
商品の直接の知識だけではなく、周辺知識、しかもお客様が気になる知識を備えていると、このようなアプローチも出来る、という良い例かと。私の支援先の工務店に、「家相診断」を上手く活用している会社があります。
(中略)
この工務店では、建築設計のプロであり、かつ家相のプロでもあるスタッフが対応することで、そんなお客様にも満足してもらうという考え方の元、「家相診断」という企画を始めました。すると、新築や全面改装を検討しているというお客様が、自宅の図面を持って続々とやってきたのです。
■座ってもらって高額商品を売る
◆井出さんは、支援先によくこんなアドバイスをしているそう。業種や取扱商品が限られるとはいえ、着座を促すことが、高額商品販売には役立つそう。「お客様に座ってもらうようにすれば、高額商品が売れる確率が高まります」
これは着席というより、店内滞留時間に関係アリ。
そう言えば、ネットショップでもそうですもんね(笑)。
リアル店舗では、こちらからのアクションによって、座ってもらうよう働きかけることができます。
・・・具体例は本書を。
■使用体験レンタルで高額商品を売る
◆とある地域店での「高額テレビの無料レンタル作戦」の例。その店では、なじみ客を定期的に訪問し御用聞きをする際に、トラックに積んできたテレビをリビングに運び込んで、実際に見せてしまうとか。
そりゃー、今までのテレビとハイビジョンの大型テレビとでは、見た感じはずい分ちがいますよね。
ここでお客様が「はい」と言えば、もう売れたも同然(笑)。「お父さんの好きな大相撲も、このテレビで見れば、力士の表情がはっきり見えるし臨場感が違うよ。ちょうど場所も始まるころだし、しばらく置いていきましょうか?また1週間後に取りに来るから」
しかも「重たいテレビをわざわざ持って帰ってもらうのは申し訳ない」という心理も働き、効果は2倍(?)。
これも、他の業種や商品で応用できそうですね。
■一点突出価値でクチコミを創出し高額商品を売る
◆これは、その商品やお店のウリの中でも、特に特徴的、あるいは優れたものを強調する方法。実はこの「一点突出価値」こそが、クチコミを創出するためにも有効なんです。
本書ではいくつかの例が挙げられており、それを受けてこうまとめられています。
これらはすべて、「一点突出価値訴求」によって高額商品販売に成功した例と言えます。そして、このように訴求ポイントを絞ることによって、漠然と「よい」という印象を与えるのではなく、「○○がいい」と、よい理由を具体的に印象付けることができるのです。そして、それはそのまま「他人に話したくなる」ことにつながります。
(中略)
結局、クチコミとは、販売員がお客様に対して使うフレーズが、そのままお客様が友人・知人に話す内容と一致するようにすることであり、訴求する価値ポイントを明確に絞り込むことなのです。
例えば収録例の中から、コレを。
Aeron Chairs(アーロンチェア)
井手さんはこのイスをご自分で買い、さらに上司に「このイスが他のイスとちがうのは、デスクワークするときに前傾するようになっているんです」と、販売員が使うフレーズそのままで薦めたところ、上司も「そんなにいいのなら」と購入されたそうです(笑)。
まさにクチコミ(笑)!
■見せ方を工夫して高額商品を売る
◆今度は同じ商品であっても、パッケージによってお客様の受けるグレード感が異なってくるという例。もちろん、小売業ではムリですが、サービス業ならこんなやり方が。
これは言えますねー、マジで。この会社では、高額の案件では、見積書を桐箱に入れてお客様にお持ちして言います。
突拍子もないことのように思えますが、同じ内容の見積書でも、ただホッチキスで綴じただけの状態で提出するのと、桐箱に丁寧に入れた状態で提出するのと、どちらがお客様にとって、より「ありがたいもの」に見えるでしょうか?
ちなみに、見積書自体にも、「はじめに」のあいさつ文から「テーマ」「背景」「ポイント」等々のページがあり、提出する見積・プランに「ストーリー性」や「オーダーメイド感」を持たせています。
そしてこの方法に切り替えてから、プランの内容や金額が変わってないのに、成約率は高まったそう。
これはもはや演出力の勝利ですね。
【感想など】
◆冒頭でも書いたように、本書の内容の多くは、基本的に日用品以外の色々な商品やサービスに応用できるもの。「高額商品」というタイトルだけを見て、「ウチには関係ない」と思われたらちょっともったいないです。
セールステクニックの王道的な内容が、わかりやすく列挙されているので、この手の本をほとんど読んだことがない方でも、吸収できる部分は多いかと。
◆そう言えば先日、また保険業界のKさんに会う機会があって、色々と話をお伺いしたワタクシ。
保険なんて、月々の金額はさておき、トータル金額ではとんでもなく高い買物ですよね。
そういう意味では、上記の「桐箱に入れる」なんてテクも、使ってもいいのかも(笑)。
◆なお、本書の内容に関係するものとして、次の2冊をご紹介しておきます。
◆一種の雑学本ですが、商品の値付けや売り方に関して「使える」部分が多いです。
お金が絡んだ場合の「ヒトの不可解な行動」を学ぶことが可能(笑)。
(参考記事:【お金の心理】「人はこうしてみすみす損をする」)
◆あの私にとって最も価値ある本である「影響力の武器」の[第二版]が出版されることになったようです(「笑顔整体 健康の知恵袋」の院長 様、情報提供ありがとうございます)。
こちら(と言っても前の版ですが)もセールスに関するヒントが満載!
【関連記事】
「究極のマーケティングプラン」ダン・ケネディ(著)、神田昌典(監訳)(2007年04月16日)「最初のデートでプロポーズ!?」ビル・ビショップ(2006年09月07日)
「なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか」藤沢久美(2006年06月29日)
「シュガーマンのマーケティング30の法則」 ジョセフ・シュガーマン(2006年03月20日)
【編集後記】
◆先日、ムスコの3ヶ月検診があり、なんと体重が8.2キロもあることが判明(汗)。ヨメの話によると、周りのお子さんより一回りデカかったようです。
最近腰痛に悩まされていたのは、コレが原因だったのか(汗)!!

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読みながら、アイデアを思いつきました。
住宅展示場の接客で、カタログ希望のお客さんに、宅配便で送るからと、送り状に直接記入してもらう。
通常、アンケートに協力を、などといって、ほとんどのお客がドン引きするシーンなので。
当時、実行すれば、有効だったと思います。
この本のタイトルがまたいいですねー。
”とっておき”ってキーワード、
これだけで”いただきっ”て感じです。
それにあわせていくことはできますよね。
通常だといやな場合でも、
そうやっていくことで、
囲いこみができてきますよね。
応援くりっく!ぽちっ
それを指摘したような本は少ないので、こちらは良さそうです。
高額商品といえども、それを扱うのが仕事だと、高級感を演出する視点が抜け落ちてしまうんですよねぇ。
見積もり書の金額もケタが違うのだから、桐箱に入れるという演出はGOODです。
3ヶ月で8キロ超えってジャンボベビーですねー。
たくさん食べて大きくな〜れ。
第二版ってどこが
変わっているんでしょうか。
えらい気になります。
分厚いカタログなら持って帰りたくないでしょうから、確かに効きそうですね(笑)。
ニタさんの会社でもどうです(笑)?
>hikaruさん
hikaruさんには既知のノウハウが多いかもしれません。
え?もう遅い(笑)?
>院長サマ
人間の心理面を突くお話がある、と言う点では、「影響力の武器」に近い(?)ものがあるかと。
>ビルダーナースさん
著者さんの業種的にも会社的にも、ビルダーナースさんのご意見をお伺いしたいところです(笑)。
そしてムスコのおかげで腰が〜(涙)。
>ヨシザワさん
明日再度とりあげる予定です(笑)。
無料レンタルについては、良いものであることを
知ってさえもらえば結構購入率は高いですよね。
レーシングスーツの無料お試しさえあるそうです。
実はウチも母むけに、足専用の高額マッサージ器の試用を検討したことがありました。
結局試さずに買っちゃいましたが(笑)。
>megさん
確かに本書はいいタイトル付けだと思います(笑)。
逆に拍子抜けする人もいる可能性は否定できませんが(汗)。