2007年07月11日
【幕藩体制崩壊?】「指一本の執念が勝負を決める」冨山和彦
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、私らしからぬ(?)骨太な一冊。本書の著者の冨山和彦さんは、元産業再生機構の代表取締役専務兼COO(最高執行責任者)という肩書の持ち主。
産業再生機構時代には、数多くの事業再生支援を手がけ、またその前職においても自ら創業メンバーとして参画した経営コンサルティング会社で、馬車馬のように働かれてらっしゃいます。
◆昨日ご紹介した土井さんもすさまじかったですが、この冨山さんの働きぶりも、また壮絶(汗)。
若手のビジネスパーソンなら必読です!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
第1章 カイシャ幕藩体制の崩壊21世紀の日本人は、カイシャ幕藩体制では幸せにはなれない
下部構造が傷み始めたとき、上部構造はもっと傷んでいる ほか
第2章 産業再生機構の修羅場で見えたもの
仕事ができるかどうかのポイントは、ストレス耐性
経営責任は誰にもとれない ほか
第3章 戦闘力を身につけろ
グレてストレス耐性を身につける
若さゆえにとれるリスクに身をゆだねろ ほか
第4章 戦闘力はこう使え
経営の本質は「片手にそろばん、片手に論語」
リーダーに求められるのは、不断の自己否定 ほか
【ポイント】
■カイシャ幕藩体制
●「カイシャ幕藩体制」とは?⇒江戸時代の武士階級の人口に占める割合は5%から10%といわれており、これは上場企業グループに勤める社員の全労働者に対する比率とほぼ同じ
⇒戦後の日本も中央官庁という幕府と大企業という藩、そしてその社員から構成される武士階級によって動かされ、機能してきた
⇒しかし、21世紀はこのシステムではほとんどの人が幸せになることができない
●ゲマインシャフト(自然共同体)型企業の問題
⇒日本企業のような「ゲマインシャフト的ムラ社会」で評価されるスキルは「内部調整能力」
⇒しかし、会社内部の出世ゲームに勝ち抜いたトップに求められる能力は、実際にその企業が立ち向かうべき外敵との「戦闘能力」
⇒経営者の質が脆弱化しているのは、日本人が平和ボケして、生存を脅かすような逆境を体験した人が少なくなってきたからなのでは?
■会社再生の現場
●リーダーの資質⇒修羅場で人が役に立つか経たないかの分かれ目は、その人にストレス耐性があるかないか
⇒不祥事があったり、傾きかけた会社の社長は、睡眠不足と疲れで思考力が鈍ってしまい、間違った判断をしてしまいがちだが、そういったストレスが合わないと思うような人は、経営者になること自体辞めた方がいい
⇒睡眠不足でも正しい判断ができるというのは、単に体力があるというのではなく、体力があるのを前提として、それプラス知的体力がなくては、長時間の思考に耐えられない
⇒自分が立てた目標なり決断なりが達成できなければ、責任をとるというのが、真のリーダーのあり方
●会社の倒産
⇒会社が危機に陥いるのは、戦略展開の成否の問題と思われがちだが、実際は非常に人間的で生々しいものであり、単純な話ではない
⇒戦略的合理性を貫こうとしたら、その家庭で聞くも涙、語るも涙の話がたくさん起きてくるものであり、そういう状況に立たされたときに、どうしても判断は間違った方向性に振れていく
●ガバナンス
⇒ガバナンスの本当の仕事は経営者の首を切ること
⇒具体的な局面で迫力を効かせられるのは「だったら俺、社長代われるよ」と言えるかどうか
■戦闘力を身につける
●無能な上司に出会ったら?⇒反面教師として学び、ついでに仕事そのものをパクってしまう
⇒自分の身の不幸を嘆くのが一番非生産的な態度
●勝負をする
⇒「失敗がない」というのは、本当の有能の証ではなく、勝負していないことの証
⇒若いときは、大企業でも中小企業でも、勝負して、生意気こいて、ぼこぼこにされてほしい
⇒若いときは「七難八苦を我に与えたまえ」でいい
【感想】
◆「元産業再生機構の代表取締役専務兼COO」という肩書から、もっと年上の方かと思いきや、何と1960年生まれ。まだ40代ですよ・・・というか、私とほとんど変わらないんですが(汗)。
この若さで、本書ではダイエーやカネボウの社長をやる覚悟で、企業再生に臨んでいたことが明らかにされています。
正直、圧倒されました(汗)。
◆また、産業再生機構の前には、参画していたコンサルティング会社の業績悪化から、「食うために」携帯電話の会社を立ち上げ。
そこでは地方に単身赴任して、携帯電話のドブ板営業をやっていた、という(汗)。
ホントに「七難八苦」を地で行ってますね。
◆冨山さんご自身が、「教駒〜東大法学部〜司法試験合格〜スタンフォードMBA」という超エリートなだけに、「現代のビジネス環境では20世紀型エリートは求められていない」という言葉には重みがあります。
例えば、再生の現場でも、「リストラ対象者に早期退職を促して、襟首つかんで食ってかかられたり、泣かれたり」したような場合、ストレス耐性が低い人だと、血を吐いたり下血して、病気になったりするとか。
そう言えば、以前、記者団にもみくちゃにされて「私は寝てないんだよ!」と発言した社長さんなんかもいましたね。
◆本書によると、どうも鍛えるのは20代のうちでなければならないらしく、ハゲシク手遅れな自分。
小見出しにも「20代は眠る必要も貯金する必要もない」なんてのがあって、ちょっとビビりました(笑)。
ただしここで言っているのは、「寝ないで仕事」というわけではなくて、プライベートも仕事も全部含めて「24時間、365日フル稼働する」ということ。
このブログをお読みの若い方は、心がけてみてはどうでしょう。
◆ところで。
最初に書いたように、実はまだ40代の冨山さんが、これから年を重ねて、50代、60代になられたときに、どのような本を書かれるかにも、個人的には興味があります(本書の中では、既に達観の域に達している雰囲気ですが(笑))。
ちなみに現在の肩書は、「株式会社経営共創基盤代表取締役CEO」。
まだ何かやってくれそうな、冨山さんの今後の活躍に期待です!
リアルな経営の現場を垣間見たいなら!
【関連記事】
ジャック・ウェルチの「私なら、こうする!」(2007年05月11日)「リクルートのDNA」江副浩正(2007年03月22日)
「プロフェッショナル原論」波頭 亮(2006年12月15日)
「使う力」御立尚資(2006年06月03日)
「即戦力の磨き方」大前研一(2006年05月30日)
「20代 仕事筋の鍛え方」 山本真司(2005年09月20日)
「40歳からの仕事術」山本真司(2005年01月27日)
【編集後記】
◆昨日、「3分LifeHacking」で取り上げられてしまったネタがコレ。うーん、いずれ『書評ブロガーである私が、記事を書くために実際に使っている7つ道具』(長っ!)というエントリをアップする予定だったんですが(笑)。
<参考画像>
●正面から見たところ
●横から見たところ
お値段の割には大満足です!
細かい使い勝手等は、また別途(時期未定(汗))。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「企業経営」へ
この記事のカテゴリー:「ビジネススキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
おすすめの本 - livedoor Blog 共通テーマ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
この記事へのコメント
smoothさん、こんにちは。
私のほうで今日紹介した本と
シンクロ部分ありっす(別の本なんですが)
高学歴だけじゃダメとか出世の第一条件は
「仕事に疲れないこと」とか。
戦闘能力といえば「ブログスカウター」なる
サービスを見つけました。
ブログの戦闘力が数値で表示されるらしい。
最後に、日経BPネットの件、おめでとうございます。
いよっ、本の達人!
アルファブロガーへ一歩近づきましたね。
私のほうで今日紹介した本と
シンクロ部分ありっす(別の本なんですが)
高学歴だけじゃダメとか出世の第一条件は
「仕事に疲れないこと」とか。
戦闘能力といえば「ブログスカウター」なる
サービスを見つけました。
ブログの戦闘力が数値で表示されるらしい。
最後に、日経BPネットの件、おめでとうございます。
いよっ、本の達人!
アルファブロガーへ一歩近づきましたね。
Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2007年07月11日 09:45
こんにちは。
冨山さん、すごいですよね。
日経BPネットに、このブログが、紹介されていますね。
それにしても、リンクがない紹介とは、何か狙いがあるのでしょうか(笑)。
不思議だ。
冨山さん、すごいですよね。
日経BPネットに、このブログが、紹介されていますね。
それにしても、リンクがない紹介とは、何か狙いがあるのでしょうか(笑)。
不思議だ。
Posted by 独立起業家:こばやし at 2007年07月11日 13:29
smoothさん、こんにちは
冨山和彦さんは、以前「カンブリア宮殿」で見ましたが、ストレートなものの言い方が楽しかったです。(おそらく、本にも表れているのでしょうね)
そのブックスタンド、私も使ってます!
(最近使ってないけど)
冨山和彦さんは、以前「カンブリア宮殿」で見ましたが、ストレートなものの言い方が楽しかったです。(おそらく、本にも表れているのでしょうね)
そのブックスタンド、私も使ってます!
(最近使ってないけど)
Posted by ten@10倍ブログ at 2007年07月11日 16:27
以前在籍していた会社で出していた製品です。
本来はデータ入力用として開発されていましたが、
こういう使い方をされると、作り手側としては新たな発見です。
また立ち寄らせていただきます。
小職のBlogにも勝手ながらリンクはらせていただきました。
本来はデータ入力用として開発されていましたが、
こういう使い方をされると、作り手側としては新たな発見です。
また立ち寄らせていただきます。
小職のBlogにも勝手ながらリンクはらせていただきました。
Posted by Jean_Luc at 2007年07月11日 17:08
ブックスタンド何気にいいですよね^^
反面教師で学ぶことも結構ありますしね。
学びはどういうところにでもありますね。
応援クリック!ぽちっ
反面教師で学ぶことも結構ありますしね。
学びはどういうところにでもありますね。
応援クリック!ぽちっ
Posted by 笑顔整体 健康の知恵袋:院長 at 2007年07月11日 20:58
>LuckyUSさん
お!「ブログスカウター」もうチェックされましたか(汗)。
ためしにやってみてください。
それと、BPネットの件、ご紹介ありがとうございました。
自虐系を地でいくような展開です(汗)。
>こばやしさん
冨山さんは、年齢知って2度ビックリでした(汗)。
「リンクがない紹介」は、手違いのようですが、何故か修正ができないそうです。
>tenさん
冨山さん、本を読んでいる限りは、それほど「ストレート」とは感じませんでしたよ。
このブックスタンドは、書評ブロガー必携ですね!
お!「ブログスカウター」もうチェックされましたか(汗)。
ためしにやってみてください。
それと、BPネットの件、ご紹介ありがとうございました。
自虐系を地でいくような展開です(汗)。
>こばやしさん
冨山さんは、年齢知って2度ビックリでした(汗)。
「リンクがない紹介」は、手違いのようですが、何故か修正ができないそうです。
>tenさん
冨山さん、本を読んでいる限りは、それほど「ストレート」とは感じませんでしたよ。
このブックスタンドは、書評ブロガー必携ですね!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年07月11日 23:10
>Jean_Lucさん
はじめまして。
この製品、愛用させていただいております。
データ入力用と知り納得しました(文庫本だとちょっと使いにくかったので)。
リンクについては、一旦こちらからも貼らせて頂きますが、後日リンク集を作ってそちらから貼りなおすかもしれません(現在トップページのリンクが多すぎるので)。
ご了承下さい。
>院長サマ
「反面教師」と割り切れないと、心が病んできそうなんですけどね(汗)。
いつも応援ありがとうございます
はじめまして。
この製品、愛用させていただいております。
データ入力用と知り納得しました(文庫本だとちょっと使いにくかったので)。
リンクについては、一旦こちらからも貼らせて頂きますが、後日リンク集を作ってそちらから貼りなおすかもしれません(現在トップページのリンクが多すぎるので)。
ご了承下さい。
>院長サマ
「反面教師」と割り切れないと、心が病んできそうなんですけどね(汗)。
いつも応援ありがとうございます
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年07月11日 23:11
遅まきながら、nikkeiBPnet見ましたよ。
すごいじゃないですか。
「本の達人」だと。
あとsmoothはSmoothだったんですね。(^^;
すごいじゃないですか。
「本の達人」だと。
あとsmoothはSmoothだったんですね。(^^;
Posted by ヨシザワ@手ガネ経営 at 2007年07月12日 12:02
>ヨシザワさん
記事、お恥ずかしい限りで(汗)。
「達人」だなんて、他のアルファブロガーから見たらまだまだですから。
ただ、音楽は10年以上聴き続けてきましたが、ビジネス書は読み始めてまだ3年。
3年でここまで来れるんですから、皆さんにもチャンスがあると思いますよ!
記事、お恥ずかしい限りで(汗)。
「達人」だなんて、他のアルファブロガーから見たらまだまだですから。
ただ、音楽は10年以上聴き続けてきましたが、ビジネス書は読み始めてまだ3年。
3年でここまで来れるんですから、皆さんにもチャンスがあると思いますよ!
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年07月13日 00:44
当ブログの一番人気!
10月10日まで
9月26日までのところ一部値引に移行して延長中
Kindle月替わりセール
年間売上ランキング
月別アーカイブ
最近のオススメ
最近の記事
このブログはリンクフリーです