2007年07月05日
【ひろゆき節】「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」西村博之(ひろゆき)
2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、「2ちゃんねる」管理人であるひろゆき(「西村博之」って本名に異様に違和感が(汗))さん(敬称にも違和感が(汗))の最新刊。ひろゆき氏(やっぱ「氏」あたりがしっくりくるような)と言えば、最近は「ニコニコ動画」絡みの記事が目に付きます。
(参考:「Web2.0は大嫌い」とひろゆき氏 ニコ動有料版で「もっと面白くしたい」)
◆本書では、タイトルにあるように「2ちゃんねる」関係はもちろん、もっと幅広く、「Web2.0」やインターネット全般、さらには、孫正義さん、堀江貴文さんといった大物(?)にまで言及。
さらには、対談相手に佐々木俊尚さん、そしてこのブログでは書評家として(?)お馴染みの小飼 弾さん(ライブドアの前身の「オン・ザ・エッヂ」元取締役最高技術責任者)も登場。
新書とは思えない充実ぶり(実際255ページもある)ですよ(汗)!
いつも応援ありがとうございます!
【目次】
[1.0]:まずは結論[2.0]:ITのウソ
[3.0]:明るい未来への誤解を解く
[4.0]:対談 佐々木俊尚×ひろゆき
[5.0]:間違いだらけの法律
[6.0]:メディアと2ちゃんねる
[7.0]:対談 小飼弾×ひろゆき
【ポイント】
◆本書は恐ろしく濃い内容が、ダラダラと詰まっておりますので、ひたすら列挙。■Googleについて
⇒Googleがサービスを展開し続けるのは、集めたお金の使い道がないから⇒(Googleの標語でもある)「Don't be evil」は「なるべく悪には、なりたくないなぁ」というレベルの意思表示
⇒マイクロソフトが「悪者」でGoogleが「正義」というイメージは、Googleがユーザーから直接お金を取らずにサービスをしていることにも関係している
■ミクシィについて
⇒ミクシィは誰も技術的にはすごいと言っておらず、Googleと同じくブランド構築が上手かった⇒技術者にではなく、一般大衆に「すごい」と思わせるのがうまかった
⇒ミクシィは今は広告収益頼りだが、さらに利益をあげようにも、自分たちで物を売るとなると中立性がなくなり、今度は広告が取れなくなる
■YouTubeや動画コンテンツについて
⇒GoogleがYouTubeを買収したのは、他のデータセンター経由で高い接続料を払うよりYouTubeを買収した方が、安上がりだから⇒2チャンネルのニュース速報を見ている人は、ニュースに興味があるのではなく、自分が絡める話題があれば何か一言言いたいだけで、ニコニコ動画はその感情の動画版
⇒動画にうまく合うコンテンツCMを、広告を出す側が考える文化がない限りは、動画と広告はシームレスには繋がらない(インターネットにおける動画とCMの相性は良くない)
■セカンドライフについて
⇒セカンドライフがつまらない理由1.基本的に、お金がないと面白くないシステム
2.1つの空間(1SIM)にユーザーが約50人しか入れない(U2のライブも50人ずつの入れ替え制だった)
⇒ただし操作が難しいため、「セカンドライフのつまらなさ」を認識させないようになってはいる
⇒システムだけ考えるなら、3Dではないが、15年前から存在している似たようなビジネスモデルがある(『ハビタット』)
■インターネットの未来と携帯電話について
⇒インターネットの基礎的な技術は、既に開発が終わってしまっており、初期から現在に至るまで、まったく変わっていない⇒技術革新が起こるとしたら携帯電話
⇒IT企業よりも携帯電話会社の方が個人の動き(「どこに電話した」「どこに出前頼んだ」「誰にメールした」等)を掴む事が可能なはず
⇒ゆえに、パソコンよりも携帯電話の方が発達する
■法律について
⇒発泡酒と第三のビールは、美味しいビールを作り出すために考案されたのではなく、法律(税法)が足かせとなって作られたもの⇒ローレンス・レッシグは「世の中で人間が行動を決める要因は、道徳と法律と市場とアーキテクチャーの4つである」と言ったが、(ひろゆき氏は)インターネットによって引きおこされる問題の対処は、市場が決めることと考えている
■メディアと2ちゃんねるについて
⇒インターネットに関する事件が増えているように見えるのは、「インターネットの母集団≒リアルの母集団」という構図に変化しているからなのでは?⇒テレビやポータルサイトは、大勢が一つの物語を共有するという共同幻想のためには都合がいい道具だが、インターネットの基本は、大勢が一つの物語を共有するものではないはず
⇒スラッシュドットも、はてなブックマークも、情報を誰かが操作するという意味では、ヒエラルキー構造があり、そのような構造だと、すべての情報を見ることができない限り、ユーザーはヒエラルキーの高い人が指名した情報しか見なくなる
⇒2ちゃんねるは、全員が匿名言論でものを言い、ヒエラルキー構造が作られない完全フラットな場所
■対談での発言より
●佐々木俊尚さん「ファックスはインフラにならないけど、テレビは情報を入手するときの最低限のインフラ。情報を収集するとか、人と知り合うとか、インターネットはそういう人間社会の根本を支えるインフラになる可能性があるんじゃないかと思っている。そこが、たぶんファックスと違うところなんじゃないかな。それが本当に実現するのかはわからない。梅田(望夫)さんは実現すると言っていて、西村(ひろゆき)さんは実現しないと言っている(笑)」
「お会いしたことはないですけど、梅田さんは常に理想論を言いすぎて、反論できないから、そこで話が終わってしまう。一方で西村さんは、あまりにも現実的でベタな話をしすぎて話が終わってしまう。2人は両極端なんじゃないかと」
●小飼 弾さん
(注)「デフォルトだと500以上は繋げられない回線を変えるために、アパッチ自体のコードを変えるOSのチューニングコマンドのこと(らしい)←書いててわかってない(汗)「(小飼さんのブログで他の人には理解できないだろうというコードが書かれていたことについて)でも、コードを実行するとちゃんと動いたでしょ?そういう複雑なコードでも、世の中には見抜く人もいるんですよ。ブログやっていてありがたいのは、自分が書いたことを理解する、とんでもないヤツが世の中にいることを知れることですね。だから、僕が書くコードに誰一人ついてこれないということは滅多にない。逆に他人がわからないことに対して、自分はわかっていますと挙手することもありますけど、それはプログラムの世界では、すごく重要なことですよ」
「まぁ、簡単に言うと『make world』(注)というのは、梅田さんが『ウェブ進化論』で言っているところの、こちら側からあちら側の世界に行くための絶対的な呪文。でも、梅田さんは誰かに頼まないと、それができない。僕らは自分たちでできる。これはすごく違うと思いますよ。だからこそ、梅田さんの言葉は、プログラマーじゃない人にも理解しやすいんですよね」
【感想】
◆本書には、終始圧倒されました。色々なインタビュー等で、ひろゆき氏が頭脳明晰であるという印象は持っていたものの、本書のような形で、様々な事象について考えを拝見すると、彼のことを知らない人も、また、2ちゃんねるに対してネガティブなイメージを持っている人も、やはり彼が「只者ではない」と、感じるのではないでしょうか?
少なくとも私には、本書で書かれている内容のほとんどに、真っ向から反論できません(汗)。
◆ひとつには、ひろゆき氏の持つ、技術的な素養も関係しているかと。
普通の人なら、例えばインターネットの新しいサービスがあると、目に見える部分のみで色々と判断するところ、ひろゆき氏のような技術がある人だと、もっと根本的かつ本質的な部分が透けて見えるように思います(あくまで推測)。
・・・って、私の頭が思考停止している事も多々あるんですが(汗)。
◆ちなみに対談中、佐々木俊尚さんがひろゆき氏の発言に対して「身も蓋もない」と何度も言っています。
そのくらい、考え方が現実的で夢がないという(笑)。
あまりに梅田望夫さんと対極的なので、佐々木さん曰く
・・・確かに(笑)。「梅田さんと西村さんの対談は、聞いてみたいですよ」
◆一方、小飼さんとの対談の方は、小飼さん自身、ブログで「おそらく私が今までやった対談の中では、一番リミッターが外れた対談です。」と書かれているように、技術的な部分はチンプンカンプン(汗)。
「共通言語」というのは、こういうことを言うんだな、と思いながら、二人が飛ばしまくって対談している様子を遠くから眺めているワタクシでした(汗)。
技術関係以外の発言でも、例えば「だから、僕は、世界の滅ぼし方を知らない人には為政者になってほしくないですね」なんて部分だけポコっと抜き出すと、小飼さんが、どんな人だと思われるやら(って抜き出してるし(笑))。
◆なお、本書ではタイトルにある「2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?」についての「結論らしきこと」がいきなり書かれています(ここでは書きませんが)。
ただ、本書のキモは単純に「『2ちゃんねる』というサービスが潰れるか否か」、とという問いに対する答えではなく、その背景にあるインターネット全般に対する今までとは違った視点を、私達に与えてくれる点に価値があるかと。
本当に潰れるないのかどうかは、本書を最後まで読んでから考えてみてください。
◆というわけで。
次の主戦場はやはり携帯電話のよう。
私もあわててこんな本も読んでおります(汗)。
インターネットのこれからを知りたいなら是非!
2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)
【関連記事】
『ウェブ仮想社会「セカンドライフ」』浅枝大志(2007年05月01日)「モバイル大変革時代のケータイ通販ビジネス」(2007年04月21日)
「mixiと第二世代ネット革命」(2006年09月26日)
「ヤバいぜっ!デジタル日本―ハイブリッド・スタイルのススメ」高城 剛(著)(2006年06月20日)
「グーグル―既存のビジネスを破壊する」佐々木 俊尚 (著)(2006年04月26日)
「ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」 梅田望夫 (著)(2006年02月10日)
【編集後記】
◆さて、もうすぐ七夕(しつこい)。ムスメの保育園では、お兄さんお姉さんクラスのみんなが開くお店に、ムスメたちのクラスがお買い物に行くそう。
そこでお母さん方は、買ったものを入れる「七夕バッグ」をまたもや手作り。
というわけで、再びプリキュア(笑)。
服装はオリジナルと同じなんですけど、顔の造りが(涙)。
ご声援ありがとうございました!
この記事のカテゴリー:「ITスキル」へ
「マインドマップ的読書感想文」のトップへ
おすすめの本 - livedoor Blog 共通テーマ
スポンサーリンク
この記事へのトラックバックURL
●スパム防止のため、個別記事へのリンクのないトラックバックは受け付けておりません。
●トラックバックは承認後反映されます。
ひろゆき氏はこういう風な考えをお持ちなんですね。
本質を考え、自分のスタンスを明確にするというのは
素晴らしいことかと。個人的には裁判から逃げ続ける
理由も書いてあるなら読みたいです。
アパッチの話、言ってることはわかります。
でもそこまでしたいとは思わないんですよね(汗)
>梅田望夫さんと対極的
極端なことを言うと、興味を引かれやすいというのがあるのかもしれません。
最近やたらと「なぜ〜のか」の本が目立ちますが。
ひろゆき氏の頭の中を見るうえでは
よさげな本ですね。
モバゲーは中国にも進出し、どんどん
拡大していっております。
南場さんも凄いなぁ。
携帯電話が発達する。
というのはわからなくもないが、まだ
「携帯電話」という括りで縛るのはどうか。
読みたいんですが、未読本溜まっているので消化してから。
では。(^^)/~~~
携帯電話のほうが、様々な個人情報を収集できるはず、発展するはず、だけ同意。
ってライブドアかなにかのニュース記事になってましたね^^;
この本は面白そうですよね。
こういうズバズバとした意見面白いですよね。
応援クリック!ぽちっ
ってライブドアかなにかのニュース記事になってましたね^^;
この本は面白そうですよね。
こういうズバズバとした意見面白いですよね。
応援クリック!ぽちっ
タイトルも上手いですね。
確かになぜ2ちゃんねるは潰れないのか疑問ですので、読んでみようっと。
使いはじめました。
携帯から使えるともっと
良いんですけど。
本書も読んでみたいですが、やっぱり梅田さんとの対談が興味深いですね〜…。実現する日が来るのかどうかは謎ですが^^;
裁判の件は、書いてありました。
それを読んだ方がそれぞれどう思われるかは微妙ですが(笑)。
それにしてもちょっと技術寄りな話がでると、もうお手上げな自分を何とかしたいです(涙)。
>こばやしさん
極端すぎて、話にならないのでは、と佐々木さんは考えているようで(笑)。
>ryosuke-starさん
本書は新しい「モノの見方」を教えてくれた感じがします。
未読本、速く処理して、旬のうちにお召し上がり下さい。
>a_ajiさん
そうですか、ひろゆき氏はお嫌いでしか(スイマセン)。
携帯はiPhoneの登場で、また変わっていくかと。
そ、その結論だけですと、すぐ終わっちゃいますよ(笑)!
もうちょっと幅広くお読み下さい(汗)。
>ヨシザワさん
お!相変わらずデジタル系お好きですね〜。
私も相変わらず京ぽんです。
召し上がれと言われてしまったので、
2冊アタックしました。明日到着。
優先順位を上げて、週末に読もうと。
あとは身体次第。
こないだ六本木でひろゆきさんとすれ違いました。
六本木なのにスリッパというラフスタイルでした(笑)
ひろゆきだー!ひろゆきだー!って私が騒いでも、友人は完全に無関心でした。
というだけの話ですみません・・・
レス、遅くなりました(汗)。
お買い上げありがとうございます(涙)。
その後お体の具合はどうですか?
私も子育て等で結構大変ですが、お互い本は読みましょう(笑)。
>ますさん
コメントありがとうございます。
おぉ!ひろゆき氏本人に遭遇ですか!
羨ましい・・・。
私だったら、ブログのネタにできて、単純に「美味しい」んですが(笑)。
今後とも、当ブログを宜しくお願いします。