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2007年06月28日

【iPhone】「iPhone 衝撃のビジネスモデル」岡嶋裕史


iPhone 衝撃のビジネスモデル (光文社新書)
iPhone 衝撃のビジネスモデル (光文社新書)


【本の概要】

◆今日お届けするのは、技術系の著作が多い、岡嶋裕史さんが、話題のiPhoneについて言及した一冊。

丁度昨日、『「アイフォン」の衝撃』という記事を読んだばかりなので、意を決して(?)取り上げた次第(笑)。

本書は単純なiPhoneの紹介本・分析本というわけではなく、むしろiPhoneという「道具」を用いて「何をするのか(できるのか)」という分野に踏み込んでいます。

まえがきより引用。

 機能と操作性、無料と有料のせめぎ合いは、ITに限らずすべての産業にビジネスモデルの再考を促す。
 今のままで儲け続けられるのか、何かを変える必要があるのか、折衷案はないのか。経営戦略の舵取りを間違えれば、環境遷移の激しい時代のこと、凋落は速やかに到来する。ウォークマンで一世を風靡したソニーが、同カテゴリの製品で、しかも家電経験の浅いアップルに覇権を譲るなど、10年前には考えられなかったのではないか。
 この混沌とした状況にアップルがさらに一石を投じる。その製品がどのような思想に基づいて作られ、どのようなユーザーエクスペリエンスをもたらし、どのようなビジネスモデルを描いているのか、見ていこう。

新書ですが、なめたらいけませんよ(汗)!

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追記:iPhoneの使用レポートが上がっていました

『発売前のiPhoneを2週間使ってみた結論』




【目次】

第1章 iPhoneの衝撃
 アップル概論
 iTunesの成功がもたらしたもの ほか

第2章 Web2.0の幻
 Web2.0の本質は技術ではない
 セマンティックWeb ほか

第3章 ユビキタスの挫折
 サービスポイント増加の歴史
 メトカーフの法則 ほか

第4章 クール!iPhoneのインタフェース
 ユビキタスの二つの解釈
 分散インタフェースモデル ほか

第5章 iPhoneが拓く新しいビジネスモデル
 Web2.0的なサービス、技術はある。だが、Web2.0的な収益モデルはない
 情報を創造するモチベーション ほか



【ポイント】

■アップルが「再発明」したもの
⇒iPhoneのキャッチフレーズは"Revolutionary Phone"(電話を再発明する)

⇒しかし、本当に再発明したのは収益構造では?

⇒「携帯電話の居場所を電話機からオーグメント(人間の知的能力を増幅する機器)にシフトさせる」という方法で


■ユーザインタフェース
⇒現状では、ユーザインタフェースは機器ごとに異なるため、それぞれ使い方を憶える必要がある

⇒現実的にマウスを超えるインタフェースは出てきていない

⇒だが、インタフェースを集約して、一つのフェデレート端末(集約情報機器とその概念)だけにしてしまえば、話は別。

⇒その座に近いのが携帯電話(iPhone含む)


■Web2.0
●Web2.0という社会的ムーブメント

⇒技術ではなく、その時代が持つある気分を示す言葉

⇒その気分を構成する要素は、権威の崩壊と末端利用者の台頭

⇒その気分が志向する方向は、向利便性、向連携性、向娯楽性


●Google

⇒売上の大部分は広告収入だが、彼らのWeb2.0的な技術やサービスそのものが富を生んだ事はない


●Amazon

⇒ビジネス成功の要因は、資源の集中と有効活用というごくオーソドックスな手法に集約できる

⇒書店の競争力の源泉が、最大の蔵書数を確保し、陳列する事なため、一等地で顧客に直接販売するのではなく、通信販売の手法を用いただけ


●Web2.0ビジネスで勝者になれる可能性のある企業

⇒次の2つのうちいずれかを持つ企業に限定される

1.先行者で、オールマイティなニーズに対応できる大資本を持つ組織

2.自社でしか用意できないスーパーニッチを保有している組織


⇒これらの企業はリアルにおいても十分な競争力を持ち、Web2.0はそのプロセスを円滑に進めるための手段として機能( Web2.0自身がビジネスを生み出しているのではない


●Mobile2.0

⇒QRコード等を使って行き着く先は、企業のPRコンテンツ

⇒位置情報等で得られる情報も、実体経済の消費を誘引するための撒餌

⇒Mobile2.0自体はユーザに大きな便益をもたらすが、もともとある携帯電話の収益モデルを破壊する方向に作用する


■ネットワークの外部性
●メトカーフの法則

⇒ネットワークの価値は、参加者数の2乗に比例する

⇒ネットワークのコストは参加者数に比例する

通信ネットワークなど


●サーノスの法則

⇒ネットワークの価値は参加者数に比例する

放送ネットワークなど


■iPhoneという端末
●進化の空白地帯

⇒携帯電話クラスの携行性とリッチで拡張性の高い機能を簡便に使いこなせるインタフェースは、永年求めながらも提供されてこなかった


●ユーザエクスペリエンス

⇒アップルのコアコンピタンスはユーザエクスペリエンス以外ない

⇒ユーザに上質なエクスペリエンスをもたらすためには、インタフェースで革命が起きる必要があり、それをiPhoneが可能にする


■Web2.0的な収益モデル
●従来の収益モデル

⇒ウェブにおいて、情報の金銭的価値はゼロに

⇒無償で情報を公開して、それを誘因に広告で収益を得る

⇒アマゾンのアソシエイト・プログラムも、視点を変えれば、世界中のあらゆるウェブページにアマゾンの支店を出店する行為に等しい


●iPhoneで目指すもの

⇒少なくとも最初のうちは、携帯電話のビジネスモデルに乗るデバイス

⇒iPhoneの持つ優れたインタフェースにより、提供できるサービスの幅が大きく広がる


【感想】

◆アマゾンのレビュー等にもあるように、本書はiPhoneのスペックに関する部分はあまり多くなく、むしろ、その登場により今後期待されるビジネスモデルについて主に言及されています。

そういう意味では、単純にアップルやiPhoneのファンの方にとっては、満足しにくい内容かも(汗)。

確かにメインタイトルだけ見て買われたアップルファンの方だと、怒り心頭になりかねないです。


◆逆に、Web2.0ビジネスに興味がある方には本書はオススメ。

アサマシエイトを行っている一員としては(笑)、「そうかー、このブログもアマゾンの支店だったのかー」と今さらのように思ってみたり(笑)。

一応、ここはグーグルの支店でもあります(稼いでないけど(笑))。


◆本書は、『さおだけ屋〜』でおなじみの光文社新書。

それなのに(?)技術的な専門用語が結構バシバシ出てきます(この記事ではできるだけ避けていますが)。

講談社ブルーバックスとかなら分かるんですが、平積みで置かれている新書の中では、かなり歯ごたえ十分

できればもうちょっと、文系の技術シロートにもわかりやすい形で書いて頂きたかった、というのが本当のところ。

まぁ、その辺は技術系の著者さんである岡嶋さんではなく、また別の人に期待しましょう。

本書で描かれている近未来は、きっと数年後には当たり前になっていると思われ。

iPhone 衝撃のビジネスモデル (光文社新書)
iPhone 衝撃のビジネスモデル (光文社新書)


【関連記事】

「次世代ウェブ グーグルの次のモデル」佐々木俊尚(2007年05月03日)

「モバイル大変革時代のケータイ通販ビジネス」(2007年04月21日)

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「Mobile2.0」(2006年09月23日)

「ウェブ2.0は夢か現実か?」佐々木俊尚(2006年08月20日)

「Web2.0でビジネスが変わる」神田敏晶(2006年06月25日)

「ヤバいぜっ!デジタル日本―ハイブリッド・スタイルのススメ」高城 剛


【編集後記】

◆とうとう今日の記事は、本文の下書きの続きを、朝起きてから書きました。

途中でムスメが起きてきたら、その時点でアウト(汗)。

かなりの綱渡りでした(笑)。


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岡嶋 裕史さんの「iPhone 衝撃のビジネスモデル」をフォトリーディング。 iPhone 衝撃のビジネスモデル岡嶋 裕史 光文社 2007-05-17by G-Tools iPhoneといえばあのアップルが今年発表し、 「電話を再発明する」と宣言した戦略製品。 社名も変更して意気込むこの製品にど...
iPhone のビジネスモデルとは?【フォトリーディング@Luckyになる読書道】at 2007年06月28日 16:06
                               
この記事へのコメント
               
おはようございます。
アサマシエイト、ですか。
う〜ん、やられたって感じのキーワードですね。
応援☆
Posted by meg at 2007年06月28日 08:01
               
smoothさん、こんにちは。

同じくamazon支店でございます。
タイトルどおり収益モデルの話が多くて
個人的には満足の1冊でした。
後ほどトラバさせていただきます。

Posted by LuckyUS@フォトリーダー at 2007年06月28日 10:25
               
smoothさん、こんにちは!

ビジネスモデルと言われると、
つい反応してしまいます。

iPhoneがAUから出ませんかね、
やっぱり、ソフトバンクかな。

Posted by ニタ@「教えて会計」 at 2007年06月28日 11:44
               
支店ですか^^;

視点を変えると、
たいていのブログが支店ですよね(笑)

米国でiPhone発売間近ですし、
iPhoneの注目度高くなってますね。

応援クリック!ぽちっ
Posted by 笑顔整体 健康の知恵袋:院長 at 2007年06月28日 12:39
               
iPhonですか。
普段まったく意識においてない分野の
本を読むのも新しいアイディアがわく
きっかけになるのでいいかもですね!
Posted by ちはる&Orange at 2007年06月28日 15:54
               
この本とても面白そうですね。たのしい情報ありがとうございます。
Posted by reopard at 2007年06月28日 19:18
               
>megさん

さすがキーワードにこだわってらっしゃるだけのことはあります(笑)。
ホリさんのCDも興味津々です。

>LuckyUSさん

お!支店ナカーマ(*・∀・)人(・∀・*)
いつもトラバどうもです(汗)。
最近、キャンペーン情報も豊富ですね(笑)。

>ニタさん

一応、神田さんのケータイセミナーには出たいな、と(汗)。
iPhoneはぜひウィルコムから(爆)!

>院長サマ

今の収益構造だと、アフィリエイト位しか一般人は参加できないっす(涙)。

>ちはる&Orangeさん

はじめまして。
この本はある程度予備知識ないと、ちょっとツライかもです(汗)。
でもぜひトライしてみてください!
今後ともよろしくお願いします。
Posted by smooth@マインドマップ的読書感想文 at 2007年06月29日 00:37