2007年04月05日
「〜カンニング竹山と考える〜大阪人はなぜ振り込め詐欺に引っかからないのか」竹山隆範
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【はじめに】
◆おはようございます、smoothデス。
今日ご紹介するのは、扶桑社新書の第一弾として以前購入して、そのままだった一冊。
最近やっと未読本の山から引っ張り出してきました。
◆本書の著者の竹山隆範(カンニング竹山)さんは、30歳のころ多重債務による債務整理を経験済み。
そんな竹山さんの元に、債務整理直後に届いた融資勧誘のはがきのすべてが「振り込め詐欺」でした。
それをきっかけに、竹山さんは2006年3月、雑誌SPA!で本書と同名の短期集中連載を発表。
本書はその連載に大幅な追加取材を加えて一冊にまとめたものだとか。
【目次】
序章 振り込め詐欺被害対策のヒントは大阪にあり
第一章 対談1. 舟井栄子(振り込め詐欺防止キャンペーンCMキャラクター・大阪のおばちゃん代表) 詐欺師を蹴散らす"オカンパワー"の秘密
第二章 対談2. 大谷晃一(『大阪学』著者・帝塚山学院大学名誉教授) 大阪文化そのものが詐欺のセーフティネットだ
第三章 対談3. 北野誠(タレント) "笑いの土壌"から考える大阪人の強さと弱点
第四章 加害者少年たちの言い分
第五章 ルポ 個人情報の流出元を追う
第六章 対談4. 小島幸保(弁護士) たった1本の電話で被害は未然に防げる
【気になった点など】
■東京の被害総額は大阪の約10倍
●大阪 被害総額 41,800万円(一人当たり被害金額47.4円)
●東京 同 519,075万円( 同 412.9円)
■対談でのお言葉
●舟井栄子さん
「だから将来、振り込め詐欺みたいなことをする子に育たんようにするためには、子供の頃に、"お母さんに悲しい思いさせたらいかん"ってことを教えることが大事なんやと違いますかね。でもね、今の親は違いますねん。今の親は自分の子供が万引きして人のものを盗って捕まってるのにね。「こんなモンは払ったらええんやろ」って、逆に開き直るんですって、だから子供がそれ聞いて態度大きなってくるんですって。ちゃんと罪の意識を教えない親にも責任があると思うんです」
●大谷晃一さん
「実は大阪人には昔からお上を頼らない独立独歩の気質がありますねん。東京の人みたいに国や役人が自分たちを助けてくれるとか、何かをしてもらえるとは思ってない。
(中略)
その感覚がわかると、大阪人が振り込め詐欺に引っかかりにくいという理由の一つがわかるのと違いますか?詐欺に出てくる警察やとか弁護士やとか偉そうな肩書に弱いのは今だに東京の人のほうでしょう。それが大阪の被害者との数の差とかに表れたんでしょうな」
「東京と被害の差が10倍近くにもなったのは、このメンツや対面を重んじる社会と恥を恐れない社会との差が顕著に出た例やないかな。例えば、東京では『聞くは一時の恥』って言いますわな。ところが、大阪では『聞かな損』って言いますねん。確かに人に物を訊ねるのは恥ずかしいことかもしれません。でも聞いて得になるんやったら、恥より得を選ぶんが大阪人ですわ。ところが東京ではメンツを失うことは耐えがたいことなんですわ」
●北野誠さん
「詐欺連中もアホやなって思う。大阪で商売やるときは、投資した額に見合うだけのちょっと儲かる話に中身を変えんかいなって思うわ。
(中略)
この取材のテーマの「大阪人は振り込み詐欺に引っかからん」ってことやけど、当たり前の話やな。餌なしで釣り糸たれるようなもんやもん。豊田商事は大阪発やからね。大阪の土壌をようわかっとった。うまそうな餌を付けとったってことやろな」
●小島幸保さん
「それと捕まっても残念ながら振り込んだおカネが返ってくる可能性は低いですね。
(中略)
彼らは弁護士などに依頼するなどして行動を起こしている人以外にもたくさんの人を騙しているはずです。おカネには色や名前が付いていません。ですから一人の被害者が払ったおカネが必ずその人のところに返ってくるというわけではありません」
■加害者の手口から
●必要なもの
⇒「飛ばし携帯」「口座」「リスト(名簿)」
●上納金
⇒名簿を回してくれた「上の人」への「名簿使用料」のようなもの
⇒売上の10%〜20%が普通(最大で50%)
●名簿はシナリオとセット
⇒主婦相手で「旦那さんが〜」「息子さんが〜」
⇒06年前半までは「教員名簿」が流行り。
⇒他にも「医者」「市役所の職員名簿」など
⇒「訪問販売等で騙されて高いものを買った人のリスト」・・・事前に偽造の督促状を送っておいて『国税を装い「税金滞納していますよ」』
●関西は禁止
⇒そもそも名簿が絶対回ってこないのでやりようがない
⇒上からは「勝手にやるなら二度とケツ持たない」と言われている
⇒トークテンポが違う(トークテンポが崩されると振り込め詐欺はまるでダメ)
【読後の感想など】
◆単純な関西人気質の話だけに終始するかと思いきや、意外や意外、知らなかったことが多く、大変勉強になりました。
特に「騙されたお金はまず戻ってこない」ということ。
これは上記にもあるように、「たとえ犯人が捕まったとしても」、です。
まぁ、実行犯の上部に、名簿に合わせたシナリオを書いている「組織」があるわけですから、ある意味しょうがないですね。
◆それと、ちょっとネタバレ的になってしまうのであえて書きませんでしたが、詐欺グループがターゲットを定めたとして、そのターゲットが緊急時に連絡する家族の名前と連絡先を彼らが知りえていた場合、ターゲットに詐欺の電話をかけている時に、同時にその家族にも緊急の電話をかけて、相談や確認ができないようにするという事例もありました。
このようなケースの場合、通常の名簿ではそこまでの細かい情報はわかりません。
「緊急時の連絡先を1枚の紙に書く機会」とその提出先から情報が漏れたのではないか、と被害者の方と竹山さんたちは調査をするのですが・・・(詳しくは本書を(笑))。
◆ただ、加害者たちの屈託無く話す姿には、正直、憤りを感じました(汗)。
というか、テレビの特番とかでもそうなんですが、思いっきり自供しているのに捕まえなくていいんでしょうか(汗)?
唯一唸らされたのが、彼らのこんな発言。
ヨメが私の事を信じてくれていることを祈っております・・・って内緒でブログやってる私が言えた義理ではありませんが(汗)。「疑り深いヤツって、必ず「振り込め詐欺じゃないですか?」って言うんですよ。でも、そんな疑り深いヤツは、夫とか息子とかのことも信用していないんですよね。(中略)だから話にリアルさがあると、最後はあっさり騙される」
◆もうひとつ「東京では『聞くは一時の恥』、大阪では『聞かな損』」というのもなるほど、と思いました。
何かを「恥を忍んで」思い切って聞いた時は、自分としては「よくやった」と思っていたのですが、そもそも「恥を忍んで」と思っていること自体、メンツを気にしているってことですよね。
そう言えば、先日ご紹介した「頭のいい人が儲からない理由」でも著者の坂本さんが学生時代、ちり紙交換をしていて、アパートを一軒一軒ノックして回ろうとした際、「ここでノックできるかできないか、その差が人生を分ける。俺はノックできる人間になる」と決心するシーンがありました。
というわけで土井さんの本を予約する時は「紹介者:smooth」でお願いします(笑)!
ご声援ありがとうございました!
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なるほど、面白そうな本です。
そういえば、
画質が結構良いですね。
あと、
やっぱり、叫ばないと、ですね。
私も、気をつけないと。
名簿とシナリオがセットってのは
驚きましたね。
そこまで巧妙だったとは。
それにしても関西はそもそも対象外ってが
一番の理由じゃないですかね(笑)
土井さんの本、予約しました!
気質によるところだけではないんですね。
まあ、そういうところもあるのでしょうけど。
一回では広告の元は取れないけれど、
名前を変えてそのリストに
DMを打つと何度でも購入してくれる
そうで。(^^;
余り言っちゃいけませんが、
リストって思った以上に
悪用されてますよね。
>東京は聞くは一時の恥、大阪は聞かないと損
なるほど、わかりやすいです。関西人おそるべし!(笑)東北人も見習わなければなりません。
その組織にシナリオを書くスキルがあるなら、小冊子ライターなどでもやった方がリスクなく儲かりそうですが・・・。
サンプーチャン、ますます食べたい。
どこかしらそういう裏ルートがあるんでしょうね。
応援クリック!ぽちっ
私なんぞ、単純なんですぐ騙されそうなのでよくこういう本でも読んでおかないと!(汗)
自分のところにも架空請求が来たことあるのを思い出します。加害者って、自分たちのことは棚に上げて、「引っかかる方が悪い」くらいにしか思ってないんでしょうね。
朝竹山サンの夢を見た瑠璃デス(^^;(そしてこちらの記事を拝見したくなったという事は警告夢?汗)
大阪に転勤した友人が「小学校で『自分の身は自分で守る』と教えられてます」とメールをくれた時ドびっくりしました。
カンニング竹山って時点で
どうにも食指が動かないんですよね。
内容紹介を見る限りでは知ってることばかりですし。
というか多重債務の末の自己破産の手続きやらなんやらなら
もう何年も前に経験済みですし(;´д`)
もちろん私自身の債務ではないですよ。
この本のターゲットを把握しかねている前田です。
「聞かな損」。確かに関西人の傾向かもしれませんね。
先日子どもたちとなんばにいった際、子どもが「大阪はすごいなあ〜都会やなあ〜京都と全然ちゃうなあ」と驚いていました。
>どこにもくっつかないで、ツルリンと食べられちゃうと>いう摩訶不思議
こういう、おもちゃありますね。
不思議〜。