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2006年08月03日

「心脳コントロール社会」小森陽一(著)


心脳コントロール社会
「心脳コントロール社会」小森陽一(著)

人気blogランキングいつも応援ありがとうございます!

【はじめに】

◆おはようございます。

2日連続で寝坊したsmoothデス(汗)。

お待ちいただいていた方、申し訳ございませんでした。


◆本日ご紹介するのは、何気に立ち寄った書店で思わず買ってしまった一冊。

そう言えばこばやしさんの記事で、潜在意識の片隅に何かあったのかもしれません。

こ、これも一種の心脳コントロール(汗)???


【目次】

第1章 商品化される心脳科学
第2章 心脳マーケティングの時代
第3章 ブッシュ政権の「心脳」操作
第4章 人間にとっての言語と心脳
第5章 「小泉劇場」の深層
第6章 脱・心脳コントロールへ


【気になった点など】

★「脳を操作する」テレビCM

◆本書で『「脳科学」の成果を利用して、「脳を操作する」技術の一例』として、一つのテレビコマーシャルが紹介されています。

それが、大塚製薬の栄養補助食品SOYJOY

ご覧になったことがある方も多いと思いますが、ご存じない方はサイトの動画をご覧になるとわかりやすいかと。

パターン1 「みのさんの生トーク(食事)編」

⇒短期的記憶・・・テロップの「ビズブレイク」

★「ビズ」は「クール・ビズ」「ウォーム・ビズ」等、その頃のキーワードの一つだった


⇒中期的記憶・・・みの氏の新番組「朝ズバ!」が始まる前の記憶を想起させようとしている

★「おもいっきりテレビ」で時代を築いたのに、早朝の報道番組を担当することになり話題


⇒長期的記憶・・・「みのもんた」という、一人のテレビタレントのサクセス・ストーリー

★みのもんた氏ほどテレビに出ていると、しっかりと長期記憶として定着させられている


(パターン2,3についても本書では解説されています(長くなるので省略))


◆ちなみに、商品名の「SOYJOY」

これは赤ちゃん言葉と同じで、二つの音節の繰り返しで構成されています。

こういう言葉を「オノマトペ」というのですが、これは

音を情報処理する大脳皮質側頭葉の前方と、人間としての声音の情報を処理する側頭葉の後方の両方をつかうため、脳がより活性化しやすい

とか。そこまでコントロールされているのか(汗)???


★政治的プロパガンダと心脳マーケティング

◆広告の世界だけでなく、政治の世界においても心脳マーケティングは用いられています。

フランク・ランツという、世論調査と政治戦略を専門とするマーケットリサーチャーの手法は、ある言葉の意味や概念ではなく、その言葉のイメージについて「快」と感じるか「不快」と感じるかの二者択一で徹底した調査をするもの。

そして政策意図に即して、「不快」は「快」に、「快」は「不快」に転換するという言葉の置き換えによって、「悪い事を良い事に置き換える」(良い事を悪い事に置き換える)のです。


◆実例を挙げてみてみましょう。

「Global Warming」(「地球温暖化」)・・・「切実だ!」「何とかしなくてはならない」(∴「不快」)

アメリカとしては、「京都議定書」から離脱したかったため、この問題を大げさにしたくありませんでした。

そこである時期から、共和党の議員をはじめとする政治家たちは、次のような単語を用いるようになりました。

「Climate Change」(「気候変動」)・・・「なんとなく気候がおかしい」(危機感が伴わないイベントに)

この場合、「不快」から「快」とまではいかなくとも「中間的」なイメージに切り替えることに成功しています。


◆同じようにアメリカのアフガニスタン攻撃で、本来「defense(self-defense)」と言うべきところを「War」という言葉を用いたこともそうです。

これは、アメリカでは「War」という言葉が、「何度も映画化され、良いイメージを伴う」『World War II』を連想させ、「快」として受け入れられていたから。


◆さらには、「9・11」の世界貿易センター・ツインビル跡地を「グランド・ゼロ」と呼んだのにも、深い意味がありました(詳しくは本書で)。


★小泉自民党の宣伝戦略

◆実はわが国においても、同じような手法が用いられています。

2005年9月の衆議院選挙において、自民党のPR戦略を担当したのが、PR会社の「プラップ・ジャパン」

自民党は選挙広報の方針全てを、この「プラップ・ジャパン」からの指導と助言に基づいて行いました。


◆その戦略は全てに思惑がありました。

・キャッチコピー「改革を止めるな。」

・「小泉首相の顔写真だけ変えた4年前の選挙ポスター」

・「郵政民営化法案」を否決されたことをガリレオガリレイになぞらえた演説

・衆議院総選挙を単純に「郵政民営化YESかNOか」の二者択一に絞り込んだこと


などなど。

最終的には国民に深く考えさせずに「快」か「不快」かを「動物の脳」で判断させたのが勝因だったようです。


◆この辺の経緯については、この本に詳しく載っているそうです(私は未読ですが)。

プロフェッショナル広報戦略
プロフェッショナル広報戦略

著者は、実際にこの選挙の広報をとりしきった世耕弘成参議院議員。


【読後の感想など】

◆本書の著者である小森陽一さんは、日本近代文学専攻で、現在は東大の大学院の教授を勤められています。

本書においても

私自身が深くかかわっている学問領域が、資本と国家が大衆を操作する道具に使われている現状に、責任をとらなければならないと思うからです。

と述べられていて、その怒り(?)の矛先の多くがブッシュ&小泉政権に向けられています。


◆なお、念のために申し上げておきますが、このブログでは政治的意図は全くなく、本書並びに本書のポイントとして抜き出した部分についても同様です。

やり方として「なるほどねー」と思ったまでの事でそれ以上でもそれ以下でもございません。


◆むしろ個人的には、ビジネスに絡めた部分がもうちょっと多いと嬉しかったかな、と。

心脳的にだますとかではなくて、「こういう製品・売り方は生理的に受け入れられません」という良くない例が挙げられていれば、自らについて振り返ることもできますしね。

なんたって、「人間の認知や認識の95%が意識されない領域で起きている」そうですし(汗)。


◆また、記事では触れられませんでしたが、「子供がなぜ同じ本の読み聞かせをせがむのか」といったお話は、ムスメを持つ親として参考になりました。

いえ、毎日のように同じ本読まされていて「いいかげん、飽きない(笑)?」と疑問に思っていたもので。


◆新書だけあって、これ一冊で全てカバーできているとは思ってませんが、この手の心脳マーケティングを知る上では、最初の1冊として宜しいのではないかと。

この分野に興味がある人にオススメ!

心脳コントロール社会
心脳コントロール社会


【編集後記】

◆ムスメのお絵かきの様子・・・。

9ce2ffe8.jpg











いつのまにか、ちゃんとクレヨン握っております。

描く絵については相変わらずアレなんですが(笑)。


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 ⇒『心脳コントロール社会』小森 陽一 (著)    http://www.bi...
『心脳コントロール社会』小森 陽一 (著)【ビジネス書評・ビジネス誌・ビジネステレビ ビジネスメルマガブログ:知識をチカラに!】at 2006年08月06日 12:40
                               
この記事へのコメント
               
こんにちは。

>そう言えばこばやしさんの記事で、潜在意識の片隅に何かあったのかもしれません。

やはり心脳マーケティングは効くという証拠かもしれません(笑)。

いずれにしても、潜在意識とか、あまり意識していない何気ないものって、重要なポイントですね。

そういうことを考えて狙っているマーケッターもいるでしょうし。ある意味、こわいですが。
Posted by こばやし at 2006年08月03日 11:04
               
コメント1番乗り!

なるほど〜、コントロールされてますね!
温暖化、深刻な問題にして欲しいですね。

ムスメさん、じきしょうこ画伯を抜きますね! (^^)

>半年でアクセス3倍とはすごいと思いますよ。

 そうなんスか?
 有り難うございます。 

>後は検索エンジン経由が増えるような記事の書き方やタイトルにするとか。

 SEOの事知識ゼロでして。。。
 smoothさんが前に紹介してくださっていた、WEB2.0を読むと良いのでしょうか?

 題名は、工夫してみます!

 教えて頂いて、ありがとうございます!(^^)


Posted by 齊籐 正明 at 2006年08月03日 12:30
               
ホント子供って何度も同じ本読みますよねぇ^^;

確かに面白いとこついてますね。ぽちっ
Posted by 笑顔整体の院長 at 2006年08月03日 13:41
               
心理学に興味がある者としてこれもすごく気になる本です。

>「人間の認知や認識の95%が意識されない領域で起きている」

そうなんですよね〜。残り5%でこんなにアクセクしてるのか、、、。「SOYJOY」も計算し尽しているなと思ったらやっぱりそうだったんだ。
でもasahiのバランスアップシリーズのほうが種類が豊富でおいしいと思いまーす。
http://www.asahi-fh.com/hc/products/balance_up.html
Posted by ビルダーナース at 2006年08月03日 15:22
               
smoothさん、こんにちは。

これもなかなか興味深いですね。
なんとなく、先週聞いてきた
田坂さんの「仕事の思想」思い出しました。


「顧客を操る」という考えはよくない。
最近はそういった本が増えているが…。


確かこんな趣旨の事をおっしゃってたような…。
…まさにこのことですかね(苦笑

自衛のために読んでいる、ということで(笑
Posted by Ater at 2006年08月03日 15:43
               
ぐわ〜!興味のど真ん中!大ストライクでした。たぶんカッテシマフ。しかし、カイかフカイかだけ。音の響き。感情。ん〜、人間なんて単純な物なのかも知れませんね。さすが。いい本にアンテナが止まりましたなぁ。
Posted by マーケティングぼうやのワクワクする商売日記 at 2006年08月03日 15:50
               
脳を操作するCMやオノマトペ

とても面白いなぁと感じました。

いつもありがとうございます

Posted by たなか@心レベル at 2006年08月03日 16:07
               
脳科学の本で面白いですね。
私もビジネスとの関連を勉強しております。
写真、パパ見てって感じでほのぼのとしたいい雰囲気が伝わってきます。^^)
Posted by マチスケ at 2006年08月03日 17:24
               
買ってしまった。(^_^;)
Posted by ぼうや at 2006年08月03日 19:09
               
smoothさんこんにちは。心とか脳とかいうマーケティング本はとりあえず食っとけというスタンスです。おもしろそうですね!
Posted by 週末起業サラリーマン at 2006年08月03日 19:24
               
興味のある本ですね。
これも読んでみます。

最近、目がおかしくなってきましたよ。(笑)
どうしても、1ページ目から
すべて読んでしまうので。
Posted by 栗原敏彰 at 2006年08月03日 21:35
               
こんにちは。

あの、映画館でコカコーラCMをしつこく見せることで売り上げをあげるような手段が、使われているということですね。

心配な世界ではあります。

クリック!
Posted by タツ at 2006年08月03日 22:24
               
おはようございます。
昼から、メディアの話。
まさに、マスメディアの世論形成云々の話。

具体例として、歴史的に振り返り・・・
戦争(たとえば、ヒトラーの話)のことをきいたり。
選挙のことも。

で、迷っていますね。この新書買うべきか?

心脳マーケティングという分厚い本さえ
隣に並んでいて、どうしようかと迷っている最中です。

参考にさせてもらいます。

追伸:コーポレートのPRとも大いに関係あると思うのですよね。
日本も、大変な世の中になりました。


Posted by sayuri at 2006年08月23日 08:16