2006年07月23日
「ネットがテレビを飲み込む日」池田信夫、西和彦、他著
ネットがテレビを飲み込む日―Sinking of TV
いつも応援ありがとうございます!
【はじめに】
◆おはようございます。
昨夜から家族3人で寝ているsmoothデス。
今までムスメの夜泣きを理由に、私だけ別室でヌクヌクと(笑)惰眠をむさぼるフリをしてネットをやっておりましたが、これも今後は難しくなるかと(涙)。
◆というわけで。
本日ご紹介するのは「ネットとテレビ」のビミョウな関係について深く掘り下げた一冊。
裏表紙にある
というフレーズが思いっきりキモなわけで・・・。電波でテレビを見なくても、いまやネットからテレビを見ることはできる!
これを阻んでいるのは、旧態依然とした規制と既得勢力の壁だ。
【目次】
INTRODUCTION ネットではどうしてテレビが見られないのか
00 ネットがテレビを飲み込む、その理由 (池田信夫)
01 放送は通信の技術革新を受け入れよ (山田肇)
02 テレビに明日はあるか (池田信夫)
03 著作権は通信と放送の融合を阻害する悪役なのか (林紘一郎)
04 マスメディアとジャーナリズムはどう変わるか (原淳二郎)
05 エレクトロニクスメディアの世代交代を考える (西和彦)
06 座談会 通信と放送の融合は何を変えていくか
【気になった点など】
★著作権法の問題
かんたんにまとめます・・・。
●テレビで番組を「放送」する場合、「放送事業者」は、自ら制作した番組の著作権者となるほか、番組を放送しただけでも「著作隣接権」が付与される。
また、番組で使用した商業用レコード等は、許諾を受けずに利用して、後日2次使用料を払えばよい。
さらに事前許諾を必要とする場合でも、JASRAC(日本音楽著作権協会)をはじめ各種の団体と包括契約を結んでいるので、個別の処理は不要。
●CATVは「放送」とは別の事業であるが、著作権法上は「有線放送」として「放送」に近い扱いが定義されている。
包括契約がカバーする範囲が広いことも「放送」に近い。
●一方、「テレビ番組をネットで流す」行為は、著作権上は「自動公衆送信」となり、著作権者から個別に事前に許諾をとらなければならない。
ゆえに、ネット配信事業が最初に突き当たる壁は、放送法や電気通信法という業法よりもむしろ著作権法である。
●ちなみに、ここでいうところの「ネットでの配信」は、テレビとの同時送信(テレビは「放送」)を念頭においており、異なった時間での配信(「異時再送信」)は、法的に全く検討されてもいない。
◆うーん、この部分は結構キモなんですが、まとめるの大変ですね(汗)。
★音楽配信にみる技術進歩とその対応
◆ブロードバンド網を利用して放送を送ることについては、現状の技術的には何も問題はありません。
ただ、(著作権問題は別にしても)それを歓迎しているのはあくまで通信業界であって、実現するかいなかは、放送業界次第。
もちろん従来と同じように、電波を用いてテレビ・ラジオを放送することも可能です。
ただし、そのような「技術進歩」に反する動きは、将来に禍根を残す可能性もあります。
◆例えば一時期、アメリカで一世を風靡した「ナップスター」。
これはネットワークを介して音楽を交換するサービスで、爆発的に普及しましたが、レコード会社からの訴えによりサービスは停止させられました。
◆この一件から、レコード会社は違法コピーができないようCDにコピー防止ソフトを組み込みました。
一方、アップルは、音楽のネット配信はチャンスだと気づいて、それを一大ビジネスに仕立て上げました。
時代がどちらに微笑んだかは、ご存知の通り。
★座談会より
◆本書の最後に、執筆者全員による座談会があって、これがまた面白いワケでして(笑)。
気になった発言を断片的(ですから話はつながってません)にピックアップ!
■西和彦氏
携帯電話は、コードレスでポータブルというすごい付加価値をユーザーに対して新たに提供しました。ではテレビはどうでしょうか。テレビがデジタル、テレビがハイビジョンになることによって、ユーザーに提供できる新たな付加価値とは何なのかということが、いま一番問われている。
決めるのは、短期的には放送局かもしれないけれど、長期的にそれを決めるのはユーザーです。だからユーザー的な付加価値としてみたときにその付加価値は本当は何なのかというところをみんな探している―。
■池田信夫氏
ある程度、僕はウェブ独特の制作コンテンツは出てくると思います。さっきのYouTubeみたいに。
ロングテール理論でいうと、まさにヘッドにあるのはハリウッドのように、非常に高コストで、全世界単位で何千万、何億人に見せるコンテンツです。それはそれで、ハリウッドで年間につくられる映画は180本ぐらいですから、少ないわけです。数は少なくても、ものすごくお金をかけてつくり込んだものもあるけれど、逆にその裾野はどんどん広くなっていくわけですから、さっきのアマチュアビデオみたいなものももっと出てくるだろうと思うんです。
■山田肇氏
例えばそれこそ阪神タイガースの試合を関西出身の東京の人が見たいけれど、でも見られないという人がいっぱいいるじゃないですか。そういう人たちに阪神タイガースの試合を中継するテレビをインターネット経由で送ってあげれば、それが1試合につき500円の視聴料だって、見る人は山ほどいるわけですよ。
【読後の感想など】
◆またまた記事としては消化不足でスイマセン(汗)。
読んでる本人は納得しまくりなんですが、個別に記事としてテキスト書いてると、丸写ししないとわからないようなお話が結構多くて(汗)。
本書を読むと
「新聞社と放送局の関係・歴史」「映画界とテレビ業界の関係」「新聞社とラジオ局の関係」「テレビのキー局と系列局の関係」「日本とハリウッドの規制」「NHKのアーカイブ」といった点について、かなり詳しく学ぶことができます。
・・・って、ほとんど記事としては書いてないんですが(笑)。
◆勝手に総括すると、
●ネットがテレビを凌駕していくのは時間の問題である
●それは歴史が証明(「映画⇒テレビ」でも明らか)していることでもある
●ただし諸外国とは違った「法規制」や「既得権者の存在」もあり、そうスンナリとは行かないだろう
●また、各メディアが完全になくなるということは考えにくく、住み分けができていくだろう
と言ったところかと。
◆それと、このブログでもたまに出てくる「アービトラージ」という考え方。
現代のように情報が平準化している状態ですと、基本的に利益のサヤはあっという間に埋まってしまいます。
ただし、そこに法規制のようなものがあると、話は別。
簡単に埋まることの無い利益のサヤの関連ビジネスは、もし参入できたら一定期間の儲けは考えられますね。
いずれにせよ「先がない」という意味では、あまり建設的なお話ではないですが(笑)。
◆ちなみに、同じ出版社から出ているこの本に、「通信と放送の融合」のお話は、簡潔にまとめられていますので、ご参考まで。
お払い箱のビジネスモデル
今後のメディア戦略を考えたい人にオススメ!
ネットがテレビを飲み込む日―Sinking of TV
【編集後記】
◆というワケで、当分の間、週末のレス・コメントはお休みさせていただきます(汗)。
その代わり、お越し頂いた方でブログランキング参加されている方は、集中砲火させて頂きますのでよろしくお願いします!
・・・また暑くなって、ムスメが夜泣き始めたら、夫婦別室に戻るかもしれませんが(笑)。
ご声援ありがとうございました!
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でも、家族との時間も良いですね。
ネットテレビの今後、楽しみです。
>今の日本政府もある意味「言いなり」ですよね(汗)。でも「反乱」は難しいような・・・?
やはり、防衛をアメリカに肩代わりしてもらっているので、違う意見を言えない状況なのだろうと思います。
過渡期ですね。
そういう意味では、○○2.0とかは、おもしろいですが。
実現してしまえば、それが当たり前になるというのは、今までの歴史などからわかりますね。
どうなるかは、なかなかわかりませんけど。
過渡期ですね。
そういう意味では、○○2.0とかは、おもしろいですが。
実現してしまえば、それが当たり前になるというのは、今までの歴史などからわかりますね。
どうなるかは、なかなかわかりませんけど。
「テレビ」と「ネット」の関係は、日本の法律的に根深い問題かと思います。
というか、新しい法律を作らねば対処できないのではないでしょうか?
「放送事業者」という概念自体が昔の産物のようなものかと思いますね。
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これはほんとそうですよね。
今でもかなりの人がネット配信のテレビ見てるようですしねぇ。ぽちっ
まだまだ、いろいろな解決をしないと浸透しないと思いますが、将来そうなるでしょうね。
新しいビジネスとして参入してくるところも出てきそうですし楽しみです。
Gyaoとかはたまにみます(^-^;)
ありがとうございます(^-^)