2006年07月20日
「行動経済学」友野典男(著)
○ドアが3つあり、当たりは1つだけ
○ドアを1つ選ぶと、残りのドアのうち、ハズレの方が知らされる
○その時点で、最初の選択を変更するチャンスが与えられる
○アナタはドアの選択を変更しますか?
◆多くの人のこの問題に対する解答は、「選択を変えない」です。
「最初にAを選んでいて、Cがハズレだとわかった場合、AかBが当たる確率は1/2ずつだから、変更しても有利にならない」
なるほど。
でも違うんです・・・(汗)。
【目次】
第1章 経済学と心理学の復縁―行動経済学の誕生
第2章 人は限定合理的に行動する―合理的決定の難しさ
第3章 ヒューリスティクスとバイアス―「直感」のはたらき
第4章 プロスペクト理論(1)理論―リスクのもとでの判断
第5章 プロスペクト理論(2)応用―「持っているもの」へのこだわり
第6章 フレーミング効果と選好の形成―選好はうつろいやすい
第7章 近視眼的な心―時間選好
第8章 他者を顧みる心―社会的選好
第9章 理性と感情のダンス―行動経済学最前線
【気になった点など】
★行動経済学とは?
◆冒頭の問題の答えの前に、まず前提から(笑)。
「行動経済学」。
聞きなれない言葉ですよね(私だけ(汗)?)。
んーっと、わかったようなわからないような(笑)。人は実際にどのように行動するのか、なぜそうするのか、その行動の結果として何が生じるのかといったテーマに取り組む経済学であると言ってよい。つまり人間行動の実際、その原因、経済社会全体に及ぼす影響および人々の行動をコントロールすることを目的とする政策に関して、体系的に究明することを目指す経済学である。
★合理的に行動する?
◆お待ちかね(?)問題の解説です。
この例ですと「Aが当たる確率は1/3で、BまたはCが当たる確率は2/3」ですよね?
そして「Cがハズレ」であることがわかったわけですから、「Bが当たる確率が2/3になる」わけです。
・・・お分かりになりましたでしょうか???
本書ではわかりやすい図解(笑)が載っていますので、私の説明でわからなかった方はご覧下さい。
◆もうひとつ、確率の問題を。
信頼性が99%の検査で陽性と判定されたら、フツウは感染した確率が99%と考えるでしょう。ある致命的な感染症にかかる確率は1万分の1である。あなたがこの感染症にかかっているかどうか検査を受けたところ、結果は陽性であった。この検査の信頼性は99%である。実際にこの感染症にかかっている確率はどの程度であろうか?
しかしこれも、キチンと計算するとそうでもないのです。
ここで整理します。○感染する確率が1万分の1ということは、100万人あたり100人の感染者がいる
○検査の信頼性が99%ということは、100人の感染者のうち99人が陽性と判定される
○100万人あたり999,900人は感染していないが、この検査を受けるとこの中の1%の人は誤って陽性と判定される
○つまり、999,900人の非感染者のうち、9,999人は誤って陽性と判定される
A=「陽性と判定された人」=99+9,999人=10,098人
B=「感染していて陽性の人(本当に感染している人)」=99人
つまり実際に感染している確率はB/A=99人÷10,098人≒0.0098≒1%になります。
◆病気である確率は、その病気がどの程度の発生率であるかに依存するから、その基準率は無視できません。
それなのに、検査で陽性であるということは、まさにその病気にかかっていると考えてしまいがちです。
たとえ基準率を考慮したとしても、陽性であるという代表性のある事実だけが着目されて基準率は無視され、その結果、病気に感染していると過大に信じ込んでしまうワケです。
◆基準率を考える上で面白い記述が。
あ、あれ・・・(汗)?ある雑誌で見つけた記事にこういうのがあった。「日記をつけるのが成功の秘訣!」「会社の社長たちにインタビューしたところ、彼らの70%は毎日日記をつけていた」(中略)これを読んで「オレも今日から日記をつけよう!」と思った人がいるかもしれない。
では次は筆者の発見(創作?)だが、どうだろうか。「会社の社長たちにインタビューしたところ、彼らの90%が毎日歯を磨いていた。 (中略) 歯を磨くのが成功のもと!」。
★真ん中が選ばれる
◆シモンソンとトヴェルスキー(心理学者)は次のような実験を行いました。
○学生のグループからランダムに選んだ者に6ドルを与える
○後にその6ドルをそのまま持っていても良いし、クロスの高級ボールペンと交換してもよいと伝えた
○108人中、64%が6ドルを保持し、36%がボールペンと取り替えた
○次に第3の選択として、安物のボールペンを加えて、同じように交換の希望を募った
○すると、今度は52%が6ドルを保持し、46%が高級ボールペンと交換した(残りの2%は安物のボールペンを希望)
◆これはマーケティングの世界では良く知られている現象ですね。
難しい言葉でいうと「極端回避性」ですとか「妥協効果」と呼ばれるそうです。
うな重でも「松」「竹」「梅」とあったら、「竹」がよく売れるという(笑)。
【読後の感想など】
◆スイマセン、ある程度書いた割には、実はこれでも本書の内容の10%もフォローできておりません(汗)。
他にも「囚人のジレンマ」「美人投票ゲーム」「後知恵バイアス」「代表性のワナ」「ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)」「リンダ問題」「フレーミング効果」「貨幣錯覚」「時間解釈理論」「公共財ゲーム」「経済人と互酬人」「最後通牒ゲーム(最終提案ゲーム)」などなど超盛りだくさん(汗)!
新書でこれだけ厚い本(397ページ)は久しぶりでした(汗)。
◆しかも、本の中で数字出てきまくり(笑)。
とてもじゃないですが、速読なぞできません(汗)。
というか、冒頭から続く「5つの問題」を真面目に考えていたら、それだけで通勤の片道が終わってしまいましたよ(笑)。
◆正直、読んだ後も消化不良感がアリアリと残ってはいるんですが、冒頭の問題だけでなく、論理的だと思っていた自分が「意外と論理的でもなかった」ということがよくわかっただけでも収穫(?)でした。
実験に基づいて人間の行動を検証していくという作業が好きな方、又はこの辺の本が大好きという方は、お読みになっても良いかと。
ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
(参考記事:「ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する」スティーヴン・レヴィット&スティーヴン・ダブナー (著))
「みんなの意見」は案外正しい
(参考記事:★『「みんなの意見」は案外正しい』 ジェームズ・スロウィッキー (著))
経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには
(参考記事:「経済学的思考のセンス」大竹文雄(著))
知的好奇心をお持ちの方にオススメ!
こばやしさんも既に読まれていますよ!
行動経済学 経済は「感情」で動いている
【編集後記】
◆喋り始めたのが早かった割には、ウチのムスメは相変わらずワケわからないコト言ってます。
保育園に「中山先生」と言う方がいらっしゃるのですが、ムスメは何度言わせても「ナカマヤ先生」と言うのですよ(笑)。
◆ゆっくり、かつハッキリと
「ナァ、カァ、ヤァ、マァ、先生!」
と言いきかせても
「ナァ、カァ、マァ、ヤァ!」(汗)。
最近ではこっちまで「ナカマヤ先生」と言い出しかねないイキオイです(笑)。
ご声援ありがとうございました!
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書評を拝見してかなり盛り沢山ですね。こういった種類の本はフォトリー向きではないような。(^^;)
文系なのに、数学ですか?
信じられません(笑)。
ナカヤマより、ヤマナカの方が、発音しやすいかもしれません。
ちなみにウチのムスメは、
エレベーターが、
エベレーターになるんですけど、
何度言っても、違いが分からないようです。
「だから、ちゃんと言ってるジャン!!」
逆ギレされます。
行動経済学を知るには、良い一冊だと思います。
網羅されてますから。
行動経済学って、まだ、あまり知られてないんですかね。
じっくり読みたい一冊ですね!
私もテレビはビテレでした。長年。
幼少期って、結構そんな感じですよね?
たぶん・・・。
>齊藤さんが一番マトモだなんて、オシャレですね(ウソウソ)。
だっはっは!
彼らには、私もナカマと思われているようです。
私の昔のボスは、馬鹿な上司は人事評価で
真中をつけようとするといっていました。
判断回避なんでしょうね。
応援!
この前ちょっとだけ立ち読みしましたが、
結構引かれてます。
そして今日の記事でさらに・・(笑
しかし…まずは未読本の処理か^^;
心理学と確率って、面白い絡み方しますよね。
ところで、ご紹介の本つぼっぽいです。最初の問題でいきなり?だったのですが、理解できると楽しいです。数学はとかく公式で丸め込む習慣がありますが、なんでかを理解することは大切ですよね。
子供はいいそうですねぇ。
そのうちなおってくれるといいですね。ぽちっ
ご紹介の本、え?って感じでしたがよく読んでいるうちに面白いって感じました。
娘さんかわいいですね(^-^
頭がウニウニです。
行動心理学ではなく、経済学ですか。
おもしろい。
でももうちょびっと数字が少ないとうれしいかも。
お嬢さんもいつものようにかわいい〜
ナカ マヤさんかと思いました・・・
那珂 摩耶さんとかならありそうな名前ですよね?
1問目は解けましたよ〜♪
理科系人間なんで、
かじりついて解く性癖がありまして(汗
いや〜こういった感じ
マジツボなんです^^;
時間ばっかかかるんで、
ヤヴァイ感もぬぐえないですが(^^ゞ
読み飛ばすだけでしたら大丈夫でしょう(笑)。
私は問題解くのが好きなんで(笑)。
>ニタさん
数学、結構簡単に「優」が取れるんで選択しただけなんですが(笑)。
ニタさんのムスメさんはさすがに「ナカヤマ」と言えますよね(あたり前(笑))。
>こばやしさん
網羅されすぎで消化不良なんですが(涙)。
行動経済学は。経済というよりは、心理学に確かに近いですね。
>斉藤さん
最初の問題がスラスラ解ける人なら読まなくてもいいかも(笑)。
斉藤さんはお友達とやはり同一人種だと私は思いますけど(笑)。
人事評価も「絶対」なのか「相対」なのかで、かなり分かれますよね。
判断回避は日本人の特徴でもあるかと。
>Aterさん
未読本は、30冊位で初めて意味があるんです(?)。
私はピンポイントで買ってバカスカ読んでるので、絶対そんなにたまりませんが(笑)。
>「ヤバい経済学」とかハマった人なら楽しめると思います。
ただ、「だからどうすればいいの?」というアクションまでは踏み込んでませんが。
一生直らないとそれはそれで困ります(汗)。
でもそういう部分が子供の可愛らしさなんですけどね(笑)。
>たなかさん
この本、私が完全に消化するには1週間かかるかと(汗)。
でもブログで紹介するのは「面白いところ」中心です(笑)。
>ビルダーナースさん
ヨメにも最初の問題やらせたら、速攻間違えましたから、気になさらず(笑)。
ただ、数字は出まくりです。
「ナカ マヤ」。確かにいそう(笑)。
後、「ムシバイキン」というキャラを「ムシガイキン」といつも言ってます。
なんとなく、行動心理学に似ている気がします
ね。
(行動神学を熟知しているわけではありませんが
(汗;))
その行動心理学を数値化したようなものが、
行動経済学っぽいですね。
確率論、大好きです!!
すごいですね。
私も商業課でしたので簿記は
大好きでしたが、微分積分とかの数学
は大嫌いでした。
吉野先生たしかにプレゼンは
ピカイチでした。
ちなみに、この本は書店でちらっと見ました。ページ数が多く、生活に身近な例題が豊富で経済学入門者向け的な本だなと感じました。ある程度経済の知識があれば、かえって理解しづらい構成になっていると思います。この本とよく似た学問の分野でゲーム理論の解説書なんかのほうがより理解しやすいのではないでしょうか?ゲーム理論はけっこういい本があると思います。まあー行動経済学はココ最近のはやりの分野ですから、新書で出版したんでしょうけど・・・・。
えーっと、大学では「優」が取れる科目なら正直何でも良かった記憶が(笑)。
私は逆に「簿記」は「可」だったんですよ。
なのに何故税理士(汗)?
>マネーゲノム理論さん
いらっしゃいませー。
コメント感謝です。
私は経済学科であったにもかかわらず、一般的な経済学の本は、あまり読んでおりません(汗)。
よって、こういう初心者向け(?)の本の方が、普通に楽しめました。
ただ、この本もかなり数字でまくりなので、数字嫌いな方にはキツイかも(汗)。
今後ともよろしくお願いします。
トラックバックしようとしたのに何故か上手くいかなかったので、こちらに失礼させていただきます。。。
私は今、友野先生の授業を受講しています。
やっぱり感染症の問題なんかはみんな解けなかったですよ。受講者約50人中、学年2位の1人だけが回答したんですけど、結局ハズレで。説明されるとなるほどーって思えるんですけどね・・・。自力で解けないのが悔しいですよね。