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2006年05月13日

「CM化するニッポン」谷村 智康 (著)


「CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか」谷村 智康 (著)


人気blogランキングいつもご声援ありがとうございます!

【はじめに】

◆おはようございます。

ちょっと寝坊してあせっているsmoothデス(汗)。

朝、記事の投稿をお待ちいただいていた方(がもしいたら)、スイマセン!!




◆本日お届けするのは、先日の「お払い箱のビジネスモデル」の記事でサワリだけご紹介したこの本。

もともと赤っぴさんのこの記事(「CM化するニッポン〜なぜテレビが面白くなくなったのか/谷村智康/WAVE出版」)で拝見して知りました。

広告業界の裏側を知りたい方にはオススメ!


【目次】

第1章 テレビでブームはつくられる
 すべてのブームはつくられている
 テレビは広告を放送するビジネス
 進化する広告―タイアップ広告 ほか

第2章 マーケティングがあなたを狙っている
 あなたの関心が売られている
 「あなた」の情報管理は永遠に続く
 マスコミをコントロールする方法 ほか

第3章 テレビをほんとうに面白くするために
 限られたパイの奪い合い
 東京に情報が集中する理由
 テレビと携帯電話の電波をめぐる奪い合い ほか


【気になった点など】

★テレビCMのために捻じ曲げられたこと

◆知らずに過ごしている時は気にならないのですが、「実は・・・」という事実には驚かされました。

○かつてバレーボールは、サーブ権がある時のポイントしか得点にならなかったが、試合が白熱するとCMの放送予定が狂ってしまうので、テレビ業界は国際バレーボール連盟にかけあってサーブ権とは関係なく点数の入るラリーポイント制を導入させた(その結果日本チームが弱くなり、視聴率も低迷するようになった)

○プロ野球中継の視聴率が20%を超えていたころは、CM枠が高かったので、そのノルマを達成することは容易だった(「合計視聴率○○%で○○円」という「量」契約なので)が、現在のように低視聴率にあえぐことになると、イニングが変わっても延々とCMが放送せざるをえない(CMのせいでゲームがきちんと放送されずに、ますます視聴率が低下する⇒さらに多くのCM放送が必要になる、という悪循環)

○緊急ニュースのテロップは番組中に流されることはあっても、絶対にCM中に流れることはない(たとえ人命にかかわり、一分一秒を争う災害速報であっても)

見ていくと、どれもこれもCM至上主義であることがアリアリとわかりますね(汗)。


★新聞を使った広告手段

◆テレビと違って新聞は、厳しい「広告の掲載基準」を設定しています。

よって怪しい商品(「○○でガンは治る」「○○でみるみる痩せる」等)の広告はできないことになっています。

それでも裏ワザはあります。

「○○でガンは治る」という本を出版して、その本の広告という形態をとればいいのです。

(なお、先日の土井さんのセミナーでは、新聞広告における書籍広告の料金設定のお話もありました。ダブルでオイシイんですね(汗)。)

なお、出版された書籍は、効果的に買い占めることにより、書店のランキングに顔を出すことが可能です。

しかも、その結果だけを見た場合、人は簡単に「今、評判なんだ」と思ってしまいがち(汗)。

このように、怪しい商品や宗教でも広く認知させることができるのです。


★花王の合理的マーケティング

◆通常の企業では、マーケットに投入した費用とその効果について、正確なデータを持っていません(そもそもネット広告でもない限り、完全なひもづけは不可能ですが)。

しかし花王は違います。

過去の広告やPR、さらには店頭でのセールスプロモーション等のデータの蓄積により、大手の広告代理店や外資系代理店もかなわないレベルのマーケティングを行っています。


「まず商品を知ってもらうことに重点を置く」ですとか「認知はされているので、実際に使ってもらうことがキーだ」等の目的に応じて、いくらの予算が必要で、広告をどの程度どのメディアに載せればよいか

あるいは、広告ではなく、記事や番組となるようにPRにお金を回せばよいか、そして最大の効果が上がるためのメディアとセールスプロモーションの組み合わせはどうすればいいか等々を合理的に導き出すことができるのです。

そしてこれからは、花王が行っているような「科学的マーケティング」が主流になります。


★「地上波デジタル放送」の意義

◆ご存知のように2011年には、現在の地上波アナログ放送は、全てデジタルに切り替わります。

表向き(?)は映像が高画質ですとか、音声がサラウンドになるといったメリットが言われていますが、実際のところは、電波を非効率に使用している(同じ帯域で比較するなら、アナログ地上波1チャンネルに対し、ケータイ用テレビ放送なら13チャンネルの放送ができる)ために、国として携帯電話を優先したというのが本当のところ。


◆実は、どうせ帯域を明け渡すなら、地上波デジタル放送よりCS(通信衛星)を使って配信する方が簡単で安上がりです。

では、何で地上波デジタル放送という選択肢に落ち着いたのでしょうか?


◆その理由は「ローカル局の存続」というポイントにあります。

もしCS放送になってしまうと、キー局の番組をただ流しているだけのローカル局は不要になります。

当然ローカル局は猛反対。

さらに、ローカル局というのは、キー局の天下り先でもあるのです。

つまり、地上波デジタル放送とは既得権を守ろうとする斜陽産業の妥協の産物なのです。


【読後の感想など】

何となく知ってるけど系統立てて考えたことがなかった項目が盛りだくさんでした。

知ってる人には超常識かもしれませんが、少なくとも話の半分以上を知らなかった私としては、十分に楽しめたと言いますか。


◆例えば、キムタクが主演したフジテレビ系のドラマ、「エンジン」

私は一度も観たことがないので、よくわかってないのですが、「本格的レーシングドラマなのにレースシーンはわずかに3回」ですとか「初回の海外レースでは呆気なくリタイヤ」「残り2回はチームメイトとたった2台でマッチレース」という、ちょっとアレなドラマだったんですって(汗)?


◆もちろん、メインテーマはレースではないので、レースシーンがなくても別に問題ではありません。

でも、じゃー、何で「レースをしないレーサーが主人公なんだ?」という(笑)。

そもそもメインスポンサーであるトヨタが自社のイメージアップのために作らせたタイアップ番組だから、というのが理由なんですが、レースをしてしまうと、他のメーカーの車も映さざるを得ない(全部トヨタ車というのはあまりにも(汗))というジレンマ。

さらには、リニューアルした「富士スピードウェイ」(トヨタ傘下)の宣伝のため、全国をレースして回る代わりに何かと理由をつけて富士スピードウェイに通い続ける割には、着いてしまったらレースをしなくてはならない(レーサーならレースしろよ(爆)!)ので、子供たちを乗せてあっちこっちをウロウロして、サーキットにはなかなかたどり着けないというストーリーの連続(なんですか(汗)?)。

これがネタでなければ何なのか(汗)?(と番組を観たことがないワタクシが言ってみるテスト(笑))。


◆また、やたらとタレントを駆使してCMを作る日本の広告業界についても考えさせられました。

私が20年以上前にイギリスにホームステイしていた頃は、数ヶ月毎日テレビを観ていても、タレントでテレビCMに出ていたのは、アメックスのセベ・バレステロス(スペインのプロゴルファー)くらいでした。

一方、海外のCMには昔から面白いものが多いですよね。

こんなサイト(「世界おもしろCMランキング」・・・中里さんのブログで知りました(笑)。)を観るたび、そう思います。

著者の谷村さんはこう言ってます。

PR会社や広告代理店のレベルが低いため、日本企業は物づくりはうまくとも、その魅力を消費者に伝えることができず、ヨーロッパの企業のようにブランドを作ることができません。

なるほど、そうなのかも(汗)。

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか



【編集後記】

◆最近のムスメのお気に入りのマウスちゃんです。

サイズ的に丁度いいのか、ソファーに座りながら抱きかかえてテレビを観ています(笑)。

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この記事へのコメント
               
記事の投稿お待ちしていましたよ。
Posted by 屋宮久光 at 2006年05月13日 09:26
               
こんにちは。

ビジネス主義と公共性は、いろいろ論じられてますよね。

ただ、CM化していることが、テレビがおもしろくなくなった主たる原因かは、どうなんでしょうね。昔から、CMは、ありましたし。
Posted by こばやし at 2006年05月13日 09:59
               
CMっていろんな意味で影響は強いですよね。

放送する側にも、
視聴者にとってもですね。

安易なものも多いようなかんじですしねぇ^^;ぽちっ
Posted by 笑顔整体の院長 at 2006年05月13日 10:18
               
smoothさん、おはようございます!
龍司です(^^)

この本に注目されるとは
さすがsmoothさん!

私も以前読みまして
かな〜り、面白かったのを覚えてます(^^)

特に花王のマーケティング、
そして既存メディアの地上波デジタル放送で
HTMLと互換性のない規格を採用した点とか・・

私も同じ部分に注目しました

ところで、話はかわりますが
ナチュラルローソンのコメント
ありがとうございました(^^)

ナチュローっていうんですね(笑)

最近、つぼ八のことを
「つぼっぱ」と呼ぶ人が増えてきたり
本当に略称好きですよね(笑)
Posted by 龍司 @∞最前線 通信 at 2006年05月13日 13:35
               
ものすごく面白いですね!

ニューステロップ、地デジ、エンジン。どの記事も釘付けで読みました。

かなり感動です。

また読むのが楽しみです。

私は、歴史カテゴリなんです。
よくお気づきでしたね。(^_^;)
Posted by 齊藤 正明 at 2006年05月13日 16:03
               
smoothさんどうもです

この内容についてはオレも言いたい事だらけですよwww

お金のことしか考えない人が増えたのはテレビの影響ではないかと思います。

応援クリックしておきます〜
Posted by 34才失業パパ♪ at 2006年05月13日 18:27
               
smoothさんこんばんわ^^
今日は自宅で缶詰です(汗

がんばらねば・・・

応援クリックしていきます。
カテゴリー変えられたんですね^^;
Posted by 週末起業サラリーマン・・・hikaru at 2006年05月13日 21:08
               
>屋宮さん

大変お待たせしました(汗)。
土日は早く出る必要が無いので、朝起きるときのモチベーションが(汗)。

>こばやしさん

もちろん「可処分時間」に対して、コンテンツ(携帯やネットやゲーム、ビデオなど)が多くなったのが、相対的にテレビが面白くなくなった原因ではあると思います。

後はおそらく、昔は「いい番組」が「高い視聴率」をとっていたからではないかと。

番組のクオィティと視聴率に必ずしも相関関係がなければ、より視聴率に偏重するのは、「広告収入」で成り立っているテレビ業界としてはある意味当然かも。

>院長サマ

結局はGoogleも検索広告収入で成り立っているわけですしねー。


Posted by smooth@マインドマップでビジネス書評 at 2006年05月14日 02:12
               
>龍司さん

やはり龍司さんも読まれてましたか(笑)。

読みながら、「絶対龍司さんならハマってくれるだろうなー」と思ってましたよ。

私は、花王のマーケティングシステムがそんなにすごいとは全然知りませんでした(汗)。

あそこまでやれるならアナログ広告(ネット広告以外)では最高峰でしょうねー。

それと「ナチュロー」(笑)。
ググったら、ちゃんとそう言ってる人が多数いて安心しました(笑)。

「マック」と「マクド」の様に地域性があるのかもしれませんが。

>齋藤さん

単純に面白いですよ、この本(笑)。
金儲けとかとは関係無しに。

歴史カテはクリックして初めて知りました。
ブログは奥が深いデス・・・。
Posted by smooth@マインドマップでビジネス書評 at 2006年05月14日 02:21
               
>パパさん

そうですねー。
私も思うに、テレビを中心として、情報が伝播しすぎたような気がします。

以前だったら知らなくてもいい「高額商品」「ブランド」「贅沢な食事」が目の前にポン、と出されるわけですから。

その一方で、「本当の豊かさ」を教えるような「教育」がおざなりにされているのも気になりますね。

とりあえずパパさんには稼いでもらわないといけませんが(汗)。

>hikaruさん

週末も(こそ?)お忙しそうですねー。
お体に気をつけて。

カテは、最近セミナー記事も少ないんで、思い切って「読書」へ(笑)。

ただ、土井英司氏曰く俗に言う「本好き」は「ビジネス書好き」とは違うらしいです。
確かに初めて参入したカテゴリの割りには、そんなに人が来てくれてないような(汗)。
Posted by smooth@マインドマップでビジネス書評 at 2006年05月14日 02:26
               
昨日は遅くまで飲み今日は少々二日酔いぎみのため応援だけして帰ります。smoothさんイギリスにホームステイしていたんですね。
Posted by マチスケ at 2006年05月14日 07:08