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2022年06月30日

【仕事術】『超速で成果を出す アジャイル仕事術 プロフェッショナル2.0という働き方』坂田幸樹


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超速で成果を出す アジャイル仕事術 プロフェッショナル2.0という働き方


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった一冊。

いわゆるコンサルタント系の仕事術本なのですが、この手の本の中でも個人的ににしっくりくる内容でした。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
★ベストセラー『アーキテクト思考』共著者でグローバルで活躍する気鋭のコンサルタント初の単著!
★答えがない時代に、素早く成果を出す方法がわかる
★AIやロボットにも代替されないスキルが身につく
★組織に頼らなくても生きていける力が身につく
★世界中の誰とでもコラボレーションして成果を出せる力が身につく

中古価格が定価をはるかに上回っていますから、「10%OFF」のKindle版がオススメです!






Story map / visualpun.ch


【ポイント】

■1.心に留まったイベントをまとめて自分だけの教科書をつくる
 私自身が実践していることで、他の人にも推奨しているのは、「仕事で心に留まった出来事やイベントをメモパッドに箇条書きでまとめる」というものです。
 スマホアプリに記録する形でも構いませんが、メモパッドに手書きで書くことで後で見返しやすいだけでなく、記憶に残りやすいというメリットがあります。
 ここでのポイントは、出来事やイベント、そのときに感じたことを箇条書きで書くということです。(中略)
 成功したときや失敗したときのイベントを書き留めるだけで、これが溜まっていくと次第に自分だけの教科書ができ上がります。
 記入した後は、ときどき見返すだけで問題ありません。無理に抽象化したり、まとめ直したりする必要はありません。
「いつか見た景色」を思い出すことができれば、自然と自分だけの方法論として抽象化されて頭に残り、必要なときに取り出せるようになります。


■2.仕事時間を5分ごとの96コマに分解する
 私がお勧めするのは、一日を5分ごとの96コマに分解するというものです。1時間が12コマになるので、仮に8時間働く場合は図2‐6のように一日が96コマに分けられます。
 やり方はいたって簡単で、毎朝その日の予定を立てます。96コマすべてにタスクを割り当てる必要はなく、15分の作業であれば3コマを割り当てます。
 ただ、できるだけ細分化したほうが正確な分析ができるので、最大でも1つのタスクに対して6コマ(30分)としましょう。(中略)
 次は、一日の終わりに予定の横に実績を記入してみましょう。
 最初は、予定の精度も低いので予定通りに実行できるタスクは、それほど多くはないでしょう。
 しかし、これを毎日繰り返すことで、予定の精度が高くなり、同時に無駄なタスクが可視化できるようになります。
 私も若手の頃にこのトレーニングを積んだことで、作業効率が飛躍的に上がりました。


■3.現状を改善するのではなく、未来を創造する
 多くの企業が過去の分析をもとに3年間の中期経営計画をつくります。
 それ自体は悪いことではないのですが、3年間という短いスパンで考えると、既存の延長で計画を作成することになります。多くの企業で昨年対比数%成長という目標を作成しているのではないでしょうか。
 また、日本企業の特技の一つにPDCAというものがあります。PDCAによって改善を繰り返していくと、品質の高いものを、安く、早く提供することはできるようになりますが、前述の業界の淘汰に対しては、最も脆弱になってしまいます。(中略)
 既存の業界、既存の組織、既存の制度に対して最適化していくことはゴールが決まっているときや平時には有効ですが、VUCAの時代にはデメリットしかありません。
 過去をもとに改善していくと、いくら頑張っても2〜3年後の改善計画しか作成できません。思い切って10年後を構想してみましょう。


■4.平時に強い均質的なチーム、有事に強い多様性のあるチーム
 20世紀には日本企業がモノづくりで世界一になりましたが、その一番の要素は多様化していない均質な組織だったと言えます。同じ品質の良いものを早く低コストでつくるには、バラつきは邪魔になります。(中略)
 一方で、有事の際には多様性のあるチームが圧倒的に優位です。有事とは計画していなかったことが起きた場合ですが、均質的なチームは、このような事態に対処することには適していません。
 例えば、読者の組織では2020年に発生したコロナにどのように対処しましたか。
 均質的なチームでは、リモートワークでいかにして職場での勤務を再現するかを考えたのではないでしょうか。これは極端な例ですが、会議室での会議を忠実に再現して上長が威厳を保てるように、ウェブ会議で表示される参加者の画像のサイズや表示順を職位に合わせた企業もあるそうです。
 多様性のあるチームであれば、そもそも発言で威厳を保てない上長を会議に呼ばないという案や、生産性の低い会議自体をやめるという案が出るのではないでしょうか。


■5.情報の質より量を心がける
 ポイントは情報の質より量を心がけることです。質に意識がいくと共有される情報の取捨選択や抽象化といった作業が必要になります。単に共有するだけであれば、そのような作業が不要なので情報の量と鮮度を高められます。
 例えば、以前に私が経営に関与していたIT企業では、全ての情報は社内のSNSやメーリングリストで共有されていました。
 チームのビジョンが共有されていれば、個人が情報の取捨選択をすることができるため、情報過多に注意する必要はありません。
 また、共有される情報の量が増えていくと、情報は質に転化します。何の意味も持っていなかった情報がある日、自分のタスクの役に立つことがあります。そのためには、情報がリアルタイムに共有されていて、各メンバーの頭の中で情報のインデックスが貼ってある必要があります。


【感想】

◆そもそもタイトルにもある「アジャイル仕事術」とはいかなるものか?

まず、ソフトウェアの開発手法として「アジャイル開発」というものがあって、一言で言うと
「小さな単位で柔軟にシステムの実装とテストを繰り返すことで全体の開発期間を短縮する手法」
とのこと。

そしてこの「アジャイル開発」を仕事に応用したものが「アジャイル仕事術」であり、下記目次のChapter1から5までの「5つの力」から構成されています。

なお、著者の坂田さんは、表紙にお名前のある冨山和彦さん率いる経営競争基盤(IGPI)の共同経営者で、IGPIシンガポールの取締役CEOという肩書をお持ちの方。

このIGPIシンガポールには、さまざまな国籍や多用な専門領域(会計士、起業経験者等々)を持った人が入社してくるため、プロフェッショナルとして「アジャイル仕事術」を身につけることが必須なのだそうです。

本書は坂田さんが、IGPIシンガポール入社時のプロフェッショナル研修のエッセンスに加えて、日頃からプロフェッショナルとして意識していることをまとめたものになっているとのことで、なるほどその高いクオリティも当然と言えるかと。


◆さて、上記の「5つの力」の定義や構成内容について述べていくと、それだけで終わってしまうので、上記ポイントでは、各章ごとに私がハイライトを引いた中から、特に興味深かったものをご紹介。

まず第1章からは、上記ポイントの1番目の「自分だけの教科書をつくる」お話をセレクトしました。

実際、坂田さんの先輩コンサルタントや結果をだしている経営者は、皆それぞれに自分のオリジナルの教科書を持っていて、どんなときでも最適のフレームワークを持ち出していたのだそうです。

本書では具体的にその箇条書き(「納期に遅れてしまった報告書の提出」について)が列挙されていますので、ご参考まで。

確かにこのようにまとめておけば、後から思い出しやすい、というのも納得です。


◆続く第2章は「俊敏力」ということで、典型的なTIPSとして挙げられていたのが「メールやメッセージを15分以内に返信することを習慣化する」というもの。

この件に関しては、メールを読むこと自体を1日に数回と定めるような仕事術本も結構あるので、一概には是非を問いにくいのですが、「素早くアウトプットしてフィードバックをもとに更新する」という「アジャイル仕事術」の性格からして、この方向性となっているようです。

なお、この章から抜き出した上記ポイントの2番目の「仕事時間を5分ごとの96コマに分解する」というTIPSは、時間分割の単位としては、多分過去最小ではないか、と。

さらに、その結果まで記入する、というやり方は、実践するのがかなりシビアだと思います。

何度かお話しているように、私もこの本を読んだ際に「時間簿」なるものを付けてみましたが、途中で挫折した黒歴史が……。

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残業をゼロにする「ビジネス時間簿」 (祥伝社新書135)

参考記事:【時間術】『残業をゼロにする「ビジネス時間簿」』あらかわ菜美(2008年12月03日)


◆一方、第3章から抜き出した上記ポイントの3番目の「10年後を構想する」というTIPSは、手間はかからない一方、頭はフル活動せざるをえません。

この「10年後の未来」を考えるために必要なのが、「引き算思考」です。

つまり、PDCAによる改善を繰り返しても、単に「いまあるものをより良くするため」の「足し算思考」になるのに過ぎないのに対して、ゼロベースで構想するということ。

具体的に本書では、このような引き算思考の例が挙げられていました。
・満員の通勤電車で押しつぶされているのなら、全く移動しないためにはどうすればいいかを考えてみる
・上司から何のフィードバックも得られない無駄な会議に辟易しているのなら、会議をなくすにはどうすればいいか考えてみる。もしくは上司がいない世界を想像してみる
これはちょっとしたパラダイムシフトが必要かもしれませんね。


◆また、第4章の「連携力」から引用したのが、上記ポイントの4番目。

コロナ禍の今は「有事」と言えますから、確かに多様性のあるチームの方が結果を出せそうです。

逆に、私も話として聞いた事はありましたが、ウェブ会議での「参加者の画像のサイズや表示順」なんてものにこだわっていて、どんな意味があるのやら……。

さらに最後のポイントの5番目は、第5章からのもの。

「情報の質より量を心がける」というと「質は何でもいいのか?」と誤解されそうですが、情報の「量」と「鮮度」にこだわっていくと、「量」が「質」に転化する次第です。

なお、今回はボリュームの関係で割愛してしまいましたが、本書は坂田さんの経験談が豊富に収録されていて、それもまた理解に役立ちました。

そちらもぜひ本書にてご確認いただきたく。


ワンランク上の仕事術本としてオススメの1冊!

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超速で成果を出す アジャイル仕事術 プロフェッショナル2.0という働き方
はじめに 答えのない時代にどう成果を出すか?
Chapter1 構想力 独自の未来を構想する
Chapter2 俊敏力 素早くアウトプットを出す
Chapter3 適応力 環境に柔軟に対応する
Chapter4 連携力 特性の異なる人と協働する
Chapter5 共創力 コラボレーションして価値を生む
おわりに アジャイル仕事術を身につけて日本を変えよう


【関連記事】

【時間管理術】『アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門』Staffan Noeteberg(著), 渋川よしき,渋川あき(翻訳)(2010年12月19日)

【時間術】『残業をゼロにする「ビジネス時間簿」』あらかわ菜美(2008年12月03日)

【オススメ!】『コンサル一年目が学ぶこと』大石哲之(2014年07月30日)

【仕事術】『7つのゼロ思考 外資系コンサルタントも知らない「異次元スピード仕事術」』中村一也(2016年09月06日)

【スゴ本】『プロフェッショナルコンサルティング』波頭 亮,冨山和彦(2011年05月31日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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