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2022年05月18日

【生産性?】『日本的「勤勉」のワナ まじめに働いてもなぜ報われないのか』柴田昌治


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日本的「勤勉」のワナ まじめに働いてもなぜ報われないのか (朝日新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも大人気だった1冊。

日本の給料の低さや、その一因でもある生産性の低さに切り込んだ意欲作です。

Kindle版の方のアマゾンの内容紹介から。
給料が上がらない日本の現状に「報われなさ」を感じている人たちに向けて、約30年にわたってのべ1000社近くの日本企業の変革をサポートしてきた組織風土改革の第一人者が、労働生産性が上がる「正しい働き方」を提示する。

中古が定価を上回っていますから、約「12%OFF」であるKindle版の方がお買い得です!







working hard / Ray B's world


【ポイント】

■1.「職務に忠実で勤勉」なのが停滞の原因
 今、私たちにいちばん必要とされているのが「創造性」です。しかし、それが当たり前になっていないところにこそ、問題があるのです。
 なぜ創造性というものが当たり前になっていないのか。それは、みんなの力を合わせてものづくりに励む、という経済の高度成長を支えてきた旧来の考え方ややり方、いうなれば、ある種の文化が今もそのまま残っているところに問題が潜んでいます。
 日本人はまじめで勤勉です。この性格は経済の高度成長には間違いなく大きく寄与してきました。しかし、そこに問題が隠されている、ということです。
 つまり、「日本経済の高度成長を支えてきた、日本人が持つ職務に忠実な勤勉さこそが、今の停滞の主因になっている」というのが、約30年にわたって日本企業の変革の現場に身を置いてきた私がたどり着いた結論なのです。


■2.「体育会系人材」が好まれる日本
 体育会系と称される人たちは、基本的に礼儀正しく規律を重んじひたむきに動く人たちです。言い換えれば、指導者や上司の指示には無条件に従う忠誠を美徳として身につけている人たちとも言えます。
 日本経済が高度成長を遂げていたころであれば、その姿勢がとても有効に作用したのです。ですから、創造性が必要な時代であると認識され始めた最近まで、規律正しく指示にきちんと従う傾向の強い体育会系の就活生を、日本企業の多くは好んで採用してきました。
 そんな事情もあり、いまだに日本の主要な会社では、体育会系の人材が組織の中枢を占めていることが多いのが現状です。


■3.日本の会社の本質的で致命的な問題点「枠内思考」
「予定調和」というのは、そもそも最初から確定している結論に向かって、そこから逆算した道筋をただ辿っていく仕事の進め方です。そこにいる人間は無意識のうちに予定された結果を念頭に置き、つまり、予定された結果を前提に業務を処理します。
 そのような状態を、私は「結論が『動かせない前提』という猩鉢瓩箸覆辰討い襦廚班集修靴討い泙后この場合、業務は猩鉢瓩糧楼蓮米の中にある想定) で処理すれば済むので、自分の頭でものごとの本質を深く考え抜くといった必要は基本的にありません。
「前例踏襲」も同じです。前例という過去の経験を猩鉢瓩箸靴董△修譴鬚覆召辰討海箸鮨覆瓩譴个いい里任垢ら、そこでも新しい発想や頭を使って考えることは必要ないのです。
 不動の前提を猩鉢瓩箸掘△修劉猩鉢瓩糧楼呂廼般海鮟萢するのは効率的で、気持ちの上でも、頭を使わないという意味でも、楽なのです。この楽で効率的な思考を「枠内思考」と呼んでいます。


■4.枠にはまるのではなく、軸を共有する
猩鉢瓩砲呂泙襪箸蓮↓猩鉢瓩箸いΨ燭鬚呂瓩蕕譴疹態ですから、すべての行動に規制がかかります。中身ではなく、外見、つまり見た目が同じであることを要求されているからです。
 これに対して、犲喚瓩魘νした金太郎あめとは、何なのか。この場合の犲喚瓩箸浪未燭靴堂燭覆里。実は、これを言語化するのは簡単ではありません。
 しかし、あえて一言で言えば、「牋嫐や目的、価値瓩鮃佑抜く姿勢」が犲喚瓩任后  そこには、「自分が正しいと思うことは、仮に上司が反対するようなことがあっても、可能な限り実現のための努力をする」といった価値観があるように思います。
 その裏には、「何が大切なことなのか」をしっかりと考える、という基本姿勢があります。自分の意見というものを持っている、ということです。
犲喚瓩蓮一般的な意味から言えば、回転するものの中心となる棒のことです。
 そういう意味で、回転するものの中心となる思考姿勢のことを、私は犲喚瓩噺討鵑任い泙后つまり、犲喚瓩気╋νしていれば、犲喚瓩里泙錣蠅麓由に動き回れる、というわけです。


■5.過剰品質を徹底して避ける
 たとえば、「社内資料などをつくるとき、必要最低限入れておかねばならない要素とは何か」を見直します。第3章でも述べましたが、60パーセントの精度でもやっていけるものを70パーセント、80パーセントの精度に仕上げようとすると、倍以上の時間がかかったりするわけです。
 でも、部下が立派な資料をつくってきたとすると、それにどのくらいの工数をかけたかには関係なく、そのでき映えのほうを褒めたり評価したりする上司が多いのです。
 それは、「何のために何をやっているのか」、つまり、牋嫐や目的、価値瓩十分には考えられていないからだろうと思います。
 その資料をつくった目的はそもそも何で、どのくらいの精度であればその目的は達成できるのか、そのために使う時間は何分くらいが適切なのか、が大切なのです。
 つまり、現状のビジネスモデルを回すだけなら、何としてでも過剰品質を徹底して避ける、ということです。


【感想】

◆ロジック的には、納得感が高い作品でした。

そもそも現在の日本の抱える問題点については、初っ端の序章でコンパクトに指摘しています。

そこから引用したのが、上記ポイントの1番目。

かつては日本のお得意技であった「いいものを安く」は、今やアジア諸国の十八番です。

かといって、「まじめで勤勉」だけでのし上がってきたわが国に、「創造性」をはぐくむ土壌はありません。

また、「まじめで勤勉」ということは、「上から言われたことを忠実に遂行する」スキルばかり高まり、結果「思考停止」にもなりやすいという……。


◆そしてその典型層が、上記ポイントの2番目で触れている「体育会系人材」です。

今は知りませんが、少なくとも私が新卒時の時でも、大学の体育会に所属していた人たちは、業界を問わず引く手あまたであり、本書の第1章では、こうした日本の「勤勉さ」を尊重してきた歴史を振り返っています。

なるほど、戦国時代と異なり、長く平和が続いた江戸時代においては、社会を安定させることが重視され、「忠義」や「序列感覚」が大切にされた、というのも納得。

それが連なって、現在の「体育会系」に受け継がれているワケです。

その結果、考え方が「予定調和」や「前例踏襲」に凝り固まっている、と指摘しているのが、第2章から抜き出した上記ポイントの3番目。

本書ではこれを「枠内思考」と呼び、そこから脱却するよう呼びかけています。

実際、私が会社員やっていた頃も、各部の部長さんたちは、基本的に自分の部の事しか頭になく、全社的に見た場合にその部を縮小させた方が良い場合でも、そのような考え方は決してできないように見えました(当たり前といえば当たり前でしたが)。


◆逆に、枠にはまらず、自分で考えるのが「軸思考」。

第3章から引用した、上記ポイントの4番目における「牋嫐や目的、価値瓩鮃佑抜く姿勢」が該当します。

ただ、この「軸」は、各社各人それぞれで違うため、この第3章ではさまざまな「軸についての仮説」を提唱。

たとえば「失敗するな」というタテマエは「枠」として機能してしまいますが、それを「失敗から徹底的に学ぼう」という風に替える等。

また、この章で興味深かったのが、指示を出す際に、「『確定した結論』ではなく、『拓かれた仮説』にしておく」というお話でした。
この「拓かれた」という表現には牾拓瓩箸いΠ嫐を込めています。
 この「拓かれた仮説」というのは、未確定にしておくことで、関心を持つ人の意見を織り込める可能性を引き出しうる結論、のことです。
つまり、最初から確定したものとして結論が設定されていると、人は受け身になりがちですが、これを「仮説」とすることで、前向きにかかわらせようというワケです。


◆さらにこの「拓く」という行為を深掘りしているのが、本書の第4章。

ただし「思考停止」でもできる仕事と違い、「拓かれた仮説」や「拓く問い」と向き合うには、それなりの時間が必要です。

そこで指摘されていたのが、上記ポイントの5番目の「過剰品質」の問題でした。

私もムスコが、定期試験用に学習したことをWORDにまとめているのをホメた事がありましたが、まとめるのはあくまで作業であって、それを覚えたり活用できるのとは別の話です。

本当であれば、こういった作業時間を削って、本当の勉強に注力させるべきだったことを、本書のこの部分を読んで思い出した次第。

アマゾンでも「社内会議はパワポ禁止」らしいですし、こうした「無駄」とも言える部分を削って、「拓く」ミーティングや問いに注力していただきたいと思います。


生産性と創造性を高めるために読むべし!

4022951737
日本的「勤勉」のワナ まじめに働いてもなぜ報われないのか (朝日新書)
序 章 日本の労働生産性が伸びない理由
第1章 「勤勉」はなぜ、日本人の美徳となったのか
第2章 勤勉さが生み出す無自覚の「思考停止」
第3章 自分で判断する力を育む「軸思考」
第4章 新たな価値を生み出していく「拓く場」


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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