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2022年05月03日

【リベラルアーツ?】『自由になるための技術 リベラルアーツ』山口周


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自由になるための技術 リベラルアーツ


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「講談社50%ポイント還元キャンペーン」から、個人的に読んでおきたかった1冊。

当ブログでもおなじみの山口周さんが、7人の識者の皆さんと対談した作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
リベラルアーツとは、「自由になるための手段」にほかならない。
自分たちを縛り付ける固定観念や常識から解き放たれ、自らの価値基準を持って行動するために。
いままでの正解が突破するヒントがここにある。
独立研究家・山口周が、哲学・歴史・美術・宗教など知の達人たちと、リベラルアーツの力を探る。

中古に送料を加算した金額よりも、このKindle版が700円以上お買い得となっています!






TEDxWooster-Peter Abramo: Entrepreneurship and the Liberal Arts / jonny goldstein


【ポイント】

■1.歴史によって養われる感性(中西輝政)
 これは何か危険だ、リスクがありそうだ、という予感は、過去の経験や知識に裏打ちされた感性として持ち得ることができるものです。特に組織を率いるリーダーには、そうした感性が求められます。そして、そのような意識されない感性とは、やはり歴史に親しむ中で醸成される教養やリーダーの文化として継承されていくものだと思います。
 国家にも企業にも言えることですが、感性が息づく生きた文化を大切に守り、次代のリーダーやメンバーと共有していくこと、しかもそれが時代にそぐわなくなれば潔く書き換えるという勇気を持ち合わせながら継承していくことが、継続的に発展し続ける組織の条件なのだと思います。日本におけるそのような生きた文化の継承は、特に戦後、弱まってしまったのではないかと危惧しています。


■2.考える力の差が結果を分ける(出口治明)
「おいしい料理とまずい料理のどちらを食べたいですか」と聞けば、皆さんおいしい料理と答えます。では「おいしい料理」とはどんな料理でしょうか。それは因数分解、つまり要素に分解してみるとわかります。おいしい料理を構成する要素は、「いろいろな材料」と「上手な調理法」であると説明すれば、皆さん納得できますよね。
 では人生はどうか。「おいしい人生」と「まずい人生」のどちらかを選ぶなら、皆さん「おいしい人生」を選びます。「おいしい人生」に必要なものは何かを料理のアナロジーで考えると、「いろいろな材料」は「さまざまな知識」に、「上手な調理法」は「自分の頭で考える力」と置き換えることができるでしょう。知識は材料ですが、材料を集めただけでは役に立ちません。どう組み合わせて調理すればおいしくなるのか、論理的に考える力があってこそ、おいしい料理、おいしい人生が完成する。おいしい人生はイノベーションと言い換えることもできますね。「さまざまな知識×論理的に考える力」がイノベーションを生み出すのです。


■3.イノベーションに必要なのは「未来」(橋爪大三郎)
足りないのは「未来」です。現在だけ見ていたら、できることは限られるでしょう。でも、もし未来が見えるなら、現在と未来の差をとることで、何が足りないかがわかってくる。足りなければつくればいい。そういうふうに未来を見ることがアメリカ人は得意で、日本人は得意ではないということでしょう。
 それはなぜかと言えば、アメリカには「神」がいるからです。人間は死ぬ。自分が死んだ後のことは知りようがないから、考えなくていい。人間しかいなければ、そういう現世主義的、近視眼的な考え方でも構わない。
 これに対して、神は死にません。天地創造のときからずっと地上のことを見ていて、これからも見続けていく。この視点があれば、まず歴史が書ける。つまり過去を持つことができる。そして現在だけでなく、未来も考えることができる。人間は死んでも神は死なず、こういう世界をつくろうとか、こういう出来事を起こそうとか、「予定」しているわけですから。


■4.坐るとわかってくる自分のこと(平井正修)
「自分のことはわかっています」と皆さん言いますが、ほとんどは「自分ってこういう性格」とか、「私ってこういう人間」という自分の思い込みです。仮に知り合い10人に「私はどんな人間か」と聞いてみたら、全員が違うことを言うでしょう。そのとき、どの自分が本物なのか。あの人の言う自分、自分の思う自分、どれが本当の自分なのか。「自分が思う自分が本物に決まっている」と言うかもしれませんが、「それならば、他人から評価されたり叱られたりしたときに、嬉しかったり落ち込んだりするのはなぜですか。もし自分というものが本当にわかっているなら、他人の評価に一喜一憂する必要がないはずですよね」と言うと、皆さん腑に落ちるようです。「だから坐るのです。自分は何者であるか、わかるために坐るのです」というふうに言っています。


■5.損得計算では解けない問題にどう向き合うか(菊澤研宗)
 中途半端に頭のいい人は、損得計算で解けない問題はないと考えがちです。また逆に、損得計算をしないですぐ主観的に価値判断をすることはもちろん危険です。(中略)
そのために、損得計算を極限まで行ない、世の中には論理的には解けない問題があることを知ってほしいのです。身近な例で言えば、年老いた親の延命治療をするか、しないかという医者からの事前の質問に直面することは誰にでもあり得ます。これは損得で決められる問題ではありません。あるいは、溺れている人を見たときに自らの命の危険を冒してまで助けるのかどうか。これも損得と価値がぶつかる問題です。
 そのときに、リーダーが最もしてはいけない行為は「そういった問題を見て見ぬふりをする」ことです。企業の不祥事にしてもそうで、人間性が問われる問題です。
 そうならないためには、損得計算では解けない問題にどう向き合うかを、あらかじめ経験しておくことが大切です。


【感想】

◆本書の冒頭の「はじめに」に、本書における「リベラルアーツ」の定義について、こんな風に述べられています。
日本語では「教養」と訳されることが多いのですが、本来意味するところは「犲由瓩砲覆襪燭瓩劉犲蠱吻瓠廚紡召覆蠅泙擦鵝8覆鯒り付ける固定観念や常識から解き放たれ、犲らに 由って畊佑┐覆ら、すなわち、自分自身の価値基準を持って動いていかなければ、新しい時代の価値は創り出せない。そんな時代を私たちは生きています。
そこで山口さんいわく「哲学、歴史、宗教、美術等の『知の達人』たちとともに、人類に蓄積された知を現代に照らし合わせて再考し、多様な視点を身につけるヒントを提示したいと思いますとのこと。

そしてそのメンバーが、下記目次の2章から8章に登場する7人の識者になります。

中西輝政 - Wikipedia

出口治明 - Wikipedia

橋爪大三郎 - Wikipedia

平井正修 | プロフィール・記事 【政経電論】

菊澤研宗 - Wikipedia

矢野 和男:研究開発:日立

ヤマザキマリ - Wikipedia

ちなみに最初と最後の章(第1章と終章)だけが、山口さん単独章であり、これらの部分や、他の各章でも山口さんの発言にハイライトを引きまくりました。

ただし本書は対談本ということで、識者の方を優先して、山口さんのパートはバッサリ割愛しております(すいません)。


◆まず上記ポイントの1番目は、第2章の中西輝政さんのお話から。

この章では章題どおり、「歴史」の重要性について語られています。

実際、割愛した部分でも
 イギリスのエリート社会では、ビジネス戦略の立案において歴史の知識が欠かせないと考えられていますし、アメリカでは外交官を養成するスクールや大学、軍の士官学校などでもリベラルアーツを重視し始めています。
とありました。

そう考えると、戦略立案や行動の選択、最終的な決断においては、「歴史」が重要視されていることは、間違いなさそうな。

また、山口さんもコンサル時代に、クライアントの「創業家出身の社長にバトンタッチする際、権力の暴走を防ぐためにどのような体制・プロセスを考えたら良いか提案してほしい」というリクエストに対して、過去の歴史を分析し、「権力の肥大化と暴走を招いた結果として短命に終わった王朝や体制を整理」して回答して、喜ばれたことがあったのだそうです。


◆続く上記ポイントの2番目は、第3章の出口治明さんのお話からのもの。

出口さんは過去の著作で「タテ(歴史)・ヨコ(他の国・業界)・算数(数字・エビデンス)」をうたってますが、本書でもテーマ的に当然触れられています。

ただ、今回は章題に則して「考える」お話をセレクトしました。

なお、考える力を鍛えるには、まずは「模倣」から入るのだとか。

具体的には、アダム・スミスやデカルトといった「優れた考える力を持った先人」が書いた古典を丁寧に読みこむのだそうです。

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方法序説 (岩波文庫)


◆一方、上記ポイントの3番目のお話は、第4章の橋爪大三郎さんのパートから引用しました。

第4章のテーマは宗教ということで、当ブログではあまり扱ってきませんでしたが、海外で仕事をなさる上では、少なくとも理解はしておく必要はありそうです。

ちなみに、丸ごと割愛した第8章のヤマザキマリさんとの対談でも、欧米が「罪の文化」であるのに対して、日本は「恥の文化」である例として、コロナで自粛要請しているのに、営業を続けているパチンコ店の店名公表の話がありました。

ヤマザキさんいわく
それをイタリア人に言ったらみんな大ウケしていました。彼らからすると、名前を明かされるということが社会的制裁として働くということがまったく理解できない
のだそうです。

この辺は、こうした違いを知らないと、ビジネスにも支障がでてきそうな。


◆また第5章から抜き出したのが、上記ポイントの4番目にある平井正修さんの坐禅のお話。

山口さんによると、自分のことがわかる、というのは、「セルフアウェアネス=自己認識」に他ならないのだそうです。

そして、マインドフルネスがアメリカでブームになったのも、「セルフアウェアネス」の重要性が認識されてきているから。

実際、スタンフォード大学のビジネススクールでは、教授陣が構成する評議会において「これからのビジネスリーダーの素養として、最も重要な要素は何か」というテーマで議論したところ、満場一致で「セルフアウェアネス」という結論に至ったとのこと。

……これはちょっと坐禅を組んでおかなくては(ミーハー)。

さらに上記ポイントの5番目は、第6章の菊澤研宗さんのお話から抜き出しました。

損得計算では解けない問題にどう向き合っておくべきかに関して、上記では割愛しましたが、本書では意外なトレーニング法(?)が紹介されていますので、ぜひそちらもご確認ください。


リベラルアーツが身近になる1冊!

B08XJYRZTW
自由になるための技術 リベラルアーツ
第1章 リベラルアーツはなぜ必要か
第2章 歴史と感性 対談:中西輝政
第3章 「論理的に考える力」が問われる時代に 対談:出口治明
第4章 グローバル社会を読み解くカギは宗教にある 対談:橋爪大三郎
第5章 人としてどう生きるか 対談:平井正修
第6章 組織の不条理を超えるために 対談:菊澤研宗
第7章 ポストコロナ社会における普遍的な価値とは 対談:矢野和男
第8章 パンデミック後に訪れるもの 対談:ヤマザキマリ
終 章 武器としてのリベラルアーツ


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【オススメ】『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』山口 周(2019年07月05日)

「ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」ダニエル・ピンク (著), 大前 研一 (翻訳)(2006年05月25日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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【編集後記】

◆一昨日の「講談社50%ポイント還元キャンペーン」の「人文・社会」分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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