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2022年04月18日

【数字?】『The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと』サンヌ・ブラウ


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The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「サンマーク出版50周年セール」でも個人的に気になっていた1冊。

当ブログでも人気の高い数字ネタということで、さっそく読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
★コロナ・経済・政治・ビジネス……数字が溢れる今、「超重要」と各国話題!
★オランダ、ベストセラー教養書! ドイツ、イギリス、ギリシャ、アラブ圏……世界に拡大中!
★「今、最も読むべき一冊」と世界中の識者が絶賛!

中古は値崩れ気味ですが、送料を踏まえるとこちらのKindle版が300円以上お得となります!





Image from page 49 of "Mortality of the British army : at home and abroad, and during the Russian war, as compared with the mortality of the civil population in England ; illustrated by tables and diagrams" (1858) / Internet Archive Book Images


【ポイント】

■1.「死亡者数」を一瞬でわからせる方法
 彼女がもっとも訴えたかったのは、多くの兵士が予防できる原因で死んでいることだった。負傷による感染症や、病院内の伝染病は、衛生状況を改善すればすべて防ぐことができる。
 たとえ平時であっても、陸軍病院の死亡率は、一般の病院と比べてはるかに高かった(兵士は平時であっても陸軍病院で治療を受ける)。実に2倍の死亡率だ。ナイチンゲールの考えでは、「年間1100人の兵士をソールズベリー高原の軍事演習場に連れ出し、ただ撃ち殺すのと同じこと」だった。
 たしかに恐ろしい数字だが、それでもナイチンゲールは、数百ページにおよぶレポートの中でこの数字が埋もれてしまうことを心配していた。そこで考えたのが、カラーのグラフや図表を使って数字を目立たせる方法だ。
 なかでもいちばん有名になったのは、クリミア戦争の2年間を比較する2つの図だ。図の扇形の1切れが、1か月の兵士の死者数を表している。この図を見れば、予防できる原因で亡くなった兵士の数などが一目でわかるようになっている。


■2.世界の飢えは「増えて」いるし「減って」いる
 たとえば「貧困」を計測する数字は、貧困をどう定義するかによって大きく変わる。国連食糧農業機関(FAO)の定義によると、日常的に十分な量のカロリーを摂取できないなら、その人物は「栄養不足」ということになる。(中略)
 2012年、FAO自身が計算方法を変えてみたところ、「飢え」の定義によって最終的な数字が大きく変わることが明らかになった。ある計算方法では、世界の飢餓率は年々上昇しているが、別の方法では逆に下降していたのだ。
 それに加えて、表す数字が「飢えに苦しむ人の絶対数」か、それとも「全世界の人口に占める割合か」を選ぶ必要もある。すべての個人を大切にするという姿勢なら、絶対数のほうが理にかなっていると思うだろう。しかし、人口の大半が十分に栄養を摂っていることを重視するなら、パーセンテージの数字のほうが便利だ。
 これは倫理の問題であり、統計学は関係ない。


■3.科学的エビデンスが「少人数」から導かれる
 カディは同僚たちと共同で、体の姿勢と心理状態の関係について実験を行った。すると、力強いポーズ(足をテーブルに乗せる、両手を広げる、など)をとると、心理状態にも大きな影響があることがわかった。
 被験者は、力強いポーズをとると自分が強くなったように感じるだけでなく、実際に生理的な変化も起こった。支配性のホルモンであるテストステロンが増加し、ストレスホルモンのコルチゾールが減少したのだ。この実験を発表したカディのTEDトークは大きな評判を呼び、彼女の著作もベストセラーになった。
 しかし、研究をよく見てみると、ごく少ないサンプルで実験が行われたことがわかる。実験の参加者はわずか42人だった。他の研究者が、200人の被験者でカディの実験を再現したところ、カディほどの大きな違いは認められなかった。たしかに自分が強くなったような気分の変化はあったが、ホルモンの値は特に変わらなかったのだ。


■4.「調査」はするだけで誠実に見える
 タバコ大手の狙いは、タバコは健康にいいという情報を広めることではなかった。彼らにとっては、タバコの健康被害に少しでも疑いを持たせるだけで十分だった。そこで彼らはタバコ業界調査委員会(後にタバコ調査協議会)を結成し、あのオーク・ルームの会合以来、タバコの害を伝える科学的な研究の信頼性を損なうことに全力を注いできた。(中略)
 彼らが費やしたお金は、表向きは「タバコと健康」に関する研究への補助金ということになっていたが、その通りになることはめったにない。
 ロバート・プロクターはこう書いている。「真の目的は、タバコが健康に悪い証拠を見つけないことだ。そのうえで、『大金を費やしてタバコと健康の関係を調査してきたが、タバコが健康に悪いという証拠は見つからなかった』と主張する」
 プロクターが調査した大量のプレスリリースには、判で押したように「さらなる調査が必要」という言葉が並んでいる。
 あるタバコ業界の大物の言葉を借りれば、「調査は永遠に続けなければならない」ということだ。


■5.現実を反映するはずの数字が、現実を創り出す
 アメリカのデータによると、貧しい黒人の若い男性と犯罪性の間には明確な相関関係があるという。そこでこのアルゴリズムにもとづき、警察は「貧しい黒人の若い男性」という描写にあてはまる地域や人物を重点的に警戒する。
 その結果が、人種によって捜査対象を選別する「レイシャル・プロファイリング」であり、ただ黒人だというだけで、多くの無実の人が逮捕される事態につながった。そして、ある特定のグループの逮捕者が増えると、その数が自動的に統計に反映される。
 一方で裕福な白人の犯罪者は、ただ犯罪者の特徴にあてはまらないという理由で見逃されてしまうかもしれない。つまり、黒人の犯罪者は実際より多く、そして白人の犯罪者は実際より少なく統計に反映される。その結果、肌の色と犯罪性の相関関係がさらに強まることになるのだ。


【感想】

◆なかなか興味深い内容の作品でした。

もちろん、数字を扱うということで、その効果をうたっているのは当然なのですが、扱う人の意図によって、善にも悪にもなる、というのが本書で一番重要な部分ではないか、と。

まずは「善」ということで、第1章から抜き出したのが、世間的にもおなじみであるナイチンゲールの活躍です。

クリミア戦争時の野戦病院に派遣された彼女は、その不衛生ぶりに驚き、問題点を具体的に指摘する850ページにも及ぶレポートを執筆。

その中に含まれていたのが、本記事のサムネイルにもある扇形のグラフです。
「中心から青の部分は、予防できる、あるいは緩和できる感染症による死亡を表す。中心から赤の部分は負傷による死亡を表し、中心から黒の部分はその他すべての原因による死亡を表す」
のだそう。

サムネイルと違い、実際に色付けされているグラフが収録されている記事がありましたので、そちらをご覧ください。

Reworking Florence Nightingales “Diagram of the Causes of Mortality in the Army in the East” with SAP Lumira | SAP Blogs


◆続く第2章では「数字はご都合主義」というタイトルどおり、善悪とは違うものの、数字は見方によって違うよ、というお話が登場します。

上記ポイントの2番目の「飢え」もその1つ。

定義いかんによって、増えたり減ったりするのは、しょうがないようです。

またGDPも、その前身では「国家の収入」をあらわすものであったため、軍事支出は含まれていませんでした。

ところが当時、アメリカ政府は軍にお金を使いたかったがゆえに、現状のGDP(「国内総生産」)という考え方を採用。

……まぁどこかの国も、統計をコロコロ変えるのは、お手の物ですから、ひとのことは言えませんが。


◆一方、「ちょい悪」ともいえるのが、第3章の「サンプリングの罠」。

こちらはある程度意図的に、調査対象を任意のグループにしたり、サンプル数を少なめにして数字をカウントすることで、望む結果を得るパターンになります。

たとえば、内容的に引用するのがはばかられたので割愛したのが、私も名前は聞いたことのあったキンゼイレポート(詳細は本書を)。

キンゼイ報告 - Wikipedia

また、共同研究者が後に研究結果に疑問を呈すこととなった、上記ポイントの3番目の「パワーポーズ」については、当ブログでもエイミー・カディ博士の著作をご紹介済みでした。

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〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る (早川書房)

参考記事:【成功法則】『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』エイミー・カディ(2016年07月31日)

私もその件を知ってから、関連記事等で触れないようにしていたのですが、未だに著作でこの「パワーポーズ」を紹介される著者さんがいるのは、いかがなものかと思います……。


◆さらに第4章のテーマは「因果関係」と「相関関係」。

テーマ自体は類書でもおなじみなのですが、本書におけるその舞台の1つが「タバコ業界」です。

これはもう、思いっきり「悪」!

今でこそタバコの害は半ば常識となっていますが、その説やもととなる研究結果が発表された当時、タバコ業界は共同で反旗を翻すべく、会合(上記引用部分内にある「オーク・ルームの会合」)を開きました。

その後の彼らのさまざまな「戦術」が色々紹介されているのですが、なるほど「モノは言いよう」。

「単なる偶然」はさておき、「肺がんを発症しているから、ストレスでタバコを吸いたくなるのでは?」という説には、思わずツッコミたくなりました。

そしてなんと、結構有名なこの本の著者であるダレル・ハフは、タバコ業界の「御用学者」だったという……。

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統計でウソをつく法 (ブルーバックス)


◆また、第5章では「ビッグデータ」についても言及。

購入履歴や行動範囲が、データとして活用されていることは広く知られつつありますが、書類に書いた文字も、分析の対象になりうるとは驚きです。
2013年、ゼストファイナンスのダグラス・メリルは、「すべて大文字(あるいはすべて小文字)で書かれた申込書は、きちんと返済しない可能性があると判断する材料になる」 と発言した。
……自分、字が汚いんですけど、それはセーフっすか??

さらには、格差が広がりそうなお話が、上記ポイントの5番目。

元々はそこまで違いがなかった層でも、AIで「犯罪を犯す可能性が高い」と判断されると、ますます相関関係が強まってしまいます。

この辺、データ活用の最適化を進めていくと、致し方ないのかもしれませんが、感情的には納得しがたいワタクシでした。


数字リテラシーを向上させる1冊!

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The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと
1章 数字は「人」を動かす
2章 数字はご都合主義
3章 サンプリングの罠
4章 「コウノトリ」と「赤ちゃん」の不思議な関係
5章 「ビッグデータ」は疑わしい
6章 数字はときに感情的


【関連記事】

【成功法則】『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』エイミー・カディ(2016年07月31日)

「まっとうな経済学」ティム・ハーフォード(2006年10月23日)

【なぜか激安?】『武器化する嘘 ──情報に仕掛けられた罠』ダニエル・J・レヴィティン(2017年08月04日)

【因果関係?】『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』伊藤公一朗(2017年07月16日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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いつもの料理を感動レベルにおいしくしたのは、たった1つのコツでした。

人気ユーチューバー・クキパパさんのレシピ本は、Kindle版が1000円以上お買い得。

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キミは、「怒る」以外の方法を知らないだけなんだ

ちょっと変わったアンガーマネジメント本(?)は、Kindle版が700円強、お得な計算です!


【編集後記】

◆一昨日の「サンマーク出版50周年セール」の記事で人気が集まっていたのは、この辺の作品でした(順不同)。

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品格の教科書

B09M66NNPW
The Number Bias 数字を見たときにぜひ考えてほしいこと

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科学的に幸せになれる脳磨き

参考記事:【科学的自己啓発書?】『科学的に幸せになれる脳磨き』岩崎一郎(2020年10月23日)

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News Diet

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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