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2022年03月30日

【統計学?】『超文系人間のための 統計学トレーニング 「数学を読む力」が身につく25問』斎藤広達


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超文系人間のための 統計学トレーニング 「数学を読む力」が身につく25問 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日ではなく、月中にお送りした未読本記事にて、注目を集めていた作品。

その時点でKindle化されていなかったので、保留にしていたところ、いつの間にかKindle版が出ていました。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
様々なデータ、会社の売上や目標、日々の家計から国家予算まで……我々の身近にあふれるさまざまな「数字」。その意味を正しく把握し、自分事として把握するためのスキルが「統計学」だ。
本書は数字に苦手意識のある文系ビジネスパーソンを対象に、問題形式で楽しみながら統計学が身につくトレーニングブック。使うのは基本「四則演算」のみ。身近なケースを元に、「どんなときに、どう統計学を使えばいいか」がわかる。

相変わらず中古価格が定価を大幅に超えていますから、「22%OFF」のKindle版がお買い得です!





p42 Statistics / gamemorph


【ポイント】

■1.「@変換」で仮説を導き出す
 私がぜひ「クセ」にしてほしいと思っている平均計算があります。それは「1人当たりの平均値を出してみる」こと。これを「@変換」と呼びます。(中略)
 頭の回転の速いコンサルタントは、数字を見た瞬間に、条件反射的にこの@変換をしているものです。
 たとえば、クライアントの会社の売上が50億円で社員100名だとしたら、とっさに1人当たり5000万円の売上だと計算します。そして、もしその業界の平均値がそれよりも上ならば、人員に余剰感があるのではないか、業務の効率化が進んでいないのではないか、と問題点の当たりをつける。そうして、より細かい数字を精査して、問題の真因を探っていく。
 クライアントから「よくそんな短時間で問題点を見抜けますね」と言われることがあります。もちろん、事前にリサーチもしているのですが、実はざっくりとした@変換をするだけで、仮説を導き出していることも意外と多いのです。


■2.期待値を割り出して判断する
 サイコロを振って、出た目に1万円をかけた金額がもらえるギャンブルがあるとします。1が出れば1万円。2が出れば2万円。6が出れば6万円です。
 サイコロは機械によって振られるので、イカサマはできないこととします。サイコロの目が出る確率はそれぞれ6分の1。期待値の計算はこうなります。
1/6×1万円+1/6×2万円+1/6×3万円+1/6×4万円+1/6×5万円+1/6×6万円=3.5万円
 1/6×1万円が「1が出た場合」、1/6×2万円が「2が出た場合」を表します。それらの数字を全部足していくことで、期待値が割り出せます。
 ここでの期待値は「3.5万円」、すなわち3万5000円となりました。
 つまり、もしこのギャンブルの参加費が3万円だったら、やり続けることで確実に儲けることができるということになります(途中で手持ちのお金が続かなくなれば別ですが)。一方、参加費が3万6000円だとしたら、最初のうちは儲かっても、続ければ続けるほど損をすることになります。


■3.仕事に使える「555ファネル」の話
 たとえば、まずはメールにて100社の顧客に新商品の案内を送ったところ20社から関心があるとの返事をもらった。その人たちのところを訪問し、詳細な説明をしたところ、10社が社内稟議にかけてくれた。さらにクロージングを行ったところ、5社で採用が決まった。この場合「100社→20社→10社→5社」というファネルになります。(中略)
 このファネルを明確化すると、営業がギャンブルから「科学」になります。
 たとえば、先ほどのように「100社→20社→10社→5社」というファネルのビジネスなら、「20件の顧客にアプローチすると、1件成約する」という計算になります。もし、「あと10件注文を取ってこい!」という指示があったら、逆算して200件の顧客にアプローチすればいいということがわかります。


■4.正規分布に基づけば「反対者」は必ず現れる
「2:6:2の法則」というものを聞いたことがあるでしょうか。どんな組織も、2割の優秀な人と、6割の普通の人、2割のあまりできない人で構成されるというもので、いくら優秀な人ばかりを集めたとしても、結局、この数字に落ち着くというものです。統計学的な分析に基づくものではなく、あくまで経験則から出てきたもののようです。
 正規分布に基づいて考えると、この割合が「優秀な人16%、普通の人68%、あまりできない人16%」となります。「2:6:2」と比較的近い数字であり、やはり組織も正規分布の法則に従っているように思えます。(中略)
 私は企業再生コンサルタントとして、危機に陥った企業の現場に入り、その再生のお手伝いをするという仕事をこれまで何度も行ってきました。突然やってきた外部の人間に対して、協力的な人もいれば強い反発を示す人もいますが、多くの人は「中立=様子見」です。
 その比率もまた、この正規分布に近いと感じます。つまり、賛成が16%、反対が16%、中立が68%。改革は、圧倒的多数である中立の人たちをいかに賛成者側に巻き込んでいくかで決まると言っても過言ではありません。


■5.マッチングアプリで出会った方が人間関係がうまくいきやすい?
 たとえば、昨今の若者は気軽にマッチングアプリを使っています。それに眉をひそめる人も多いことでしょう。
 しかし、統計学的に考えると、マッチングアプリで出会った人同士のほうが人間関係がうまくいく可能性が高いのです。
 かつては出会いの機会は同じ学校や職場にいる人や、あるいは合コンなどで知り合った人に限られ、サンプル数としてはせいぜい数十人といったところでしょう。その限られたサンプルの中から、自分にマッチする相手を探さねばならなかったわけです。
 一方、マッチングアプリの登録者は数十万人から数百万人にも及びます。趣味や性格などから自分に合うと思われる相手を選別もしてくれます。本当に自分に合った人と出会える確率は、マッチングアプリのほうが格段に上ではないでしょうか。
 すると、婚活なども含め、「身近な人の中から相手を見つけるほうがリスクが高い」というのが常識になる時代が来るかもしれません。


【感想】

◆なかなか興味深い内容の作品でした。

タイトルにもあるように、全25問の質問と、それに対する回答、さらには解説が展開する仕様。

問い自体は、日々の生活やビジネス絡みであり、例を挙げるとこんな問題が並んでいます。
Q 法人に対して研修ビジネスを提供しているわが社。最近の業績落ち込みに対し、昔気質のA課長と何事にも合理的なB課長が営業方針を巡って対立している。「今の若いもんは足で稼ぐということを知らない。やっぱり顧客へのアプローチ数を倍にすべきだ」とはA課長。一方B課長は「提案後のクロージングの精度を上げるべき。教育とツールの導入でここを倍の成功率にすることが不可欠だ」との意見。果たしてどちらが正しいのか。
……当ブログの読者さんなら、どう答えますか?

ちなみにこれは、順番は前後しますが、上記ポイントの3番目の「555ファネル」の部分の問題。

「ファネル」とは漏斗(ろうと)の事で、「ステップごとに案件数が絞られていく様子が、入り口が広く徐々に狭くなっていく漏斗の形と似ているため、この名前が付けられている」のだそうです。

この考え方によれば、訪問数を倍にしても、クロージングの精度を倍にしても、結果は同じことに。

ただし、ある視点を加えると、どちらかが正しいことになるという……(ネタバレ自重)。


◆一方、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目の「@変換」は、身に着けておきたい考え方です。

ここでは「1人当たり」で話を進めましたが、これを「店舗面積」に置き換えて、店ごとの効率を比較したり、「時間当たり」に置き換えて、自家用車を持つ意義を考えたりもできる次第。

さらには一歩進んで、「フェルミ推定」にも用いているのですが、こちらは本書にてご確認ください。

また、同じ第1章の「中央値」や「平均値」のお話も押さえておきたいところです。

たとえ自身の年収が平均値より下であっても、必ずしも「負け組」とは限らない、という希望の持てるお話もお見逃しなく。


◆また、上記ポイントの2番目の「期待値」のお話は、第2章からのもの。

「期待値」といえば、当ブログでは以前レビューしたこの本でも登場していましたっけ。

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いま君に伝えたいお金の話

参考記事:【お金?】『いま君に伝えたいお金の話』村上世彰(2018年09月09日)

……確かに投資する際には「期待値」という考え方は大事でした。

ちなみに本書では、この「期待値」を広告キャンペーンに応用する問いが出されています。

テレビCMとネット広告のそれぞれに「期待値」を当てはめると、どういう結果になるのか(詳細は本書にて)。

さらには、それぞれの施策ごとの結果をシナリオとして描いて検討する「シナリオ・プランニング」というアプローチ法も、ぜひ取り入れてみてください。


◆続く第3章では、上記ポイントの4番目「正規分布」のお話が登場します。

なるほど、どんな施策であっても、たいていこのくらいの割合で反対(や賛成)が現れると考えれば、ヘタに動揺しなくても良さげかと。

ただし、この割合を大きく超えるようでしたら要注意ですし、また2割の反対者の中には、まれに2%ほどの「極端な反対者(や賛成者)」が存在することも覚悟しておかねばなりません。

また、俗にいう「Sカーブ」というのは、この正規分布を累積で表したものだとは知りませんでした。

新商品が市場に浸透するのも、この「Sカーブ」に従うのだと考えれば、登場当初が期待値以下でも、じっくり待てるというものです。


◆なお、最後のポイントのマッチングアプリのお話は、終章からのもの。

確かに諸条件をマッチさせた上での人間関係ですから、理論的にはリアルでの出会いよりも、より「マッチしている」というのもある意味必然かもしれません。

ただしその結果、好条件が揃っている人が「勝者総取り」と言いますか、一部のモテる人がモテまくる一方、そのおこぼれすら回ってこない人も出てきている気がするのですが……。

また、前後しますが第5章の「多変量解析」のお話は、ここで安易に引用しても分かりにくいと思いましたので割愛。

ただし、データサイエンティストに憧れている方なら、この章はぜひ熟読してください。


まさに「超文系」の私にとってもためになる1冊でした!

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超文系人間のための 統計学トレーニング 「数学を読む力」が身につく25問 (PHPビジネス新書)
序 章 統計学の力で「世界の秘密」を解き明かす
第1章 「四則演算」だけでもここまでわかる
第2章 世の中のすべては「確率」で動く
第3章 世界は「正規分布」でできている
第4章 「統計学的に正しい」データの扱い方
第5章 「多変量解析」は、データ社会を生き抜くための必須知識
終 章 「統計学的に考える」ということ


【関連記事】

【お金?】『いま君に伝えたいお金の話』村上世彰(2018年09月09日)

【データ分析】『それちょっと、数字で説明してくれる?と言われて困らない できる人のデータ・統計術』柏木吉基(2015年08月05日)

【オススメ】『競争優位で勝つ統計学---わずかな差を大きな勝利に変える方法』ジェフリー・マー(2012年05月04日)

【数字力】『ウソを見破る統計学』神永正博(2011年05月01日)

すぐに使える『ヤバい統計学』テクニック7選(2011年03月05日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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