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2022年02月23日

【新たな学び?】『Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」』柳川範之,為末 大


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Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「冬のKindle本ポイントキャンペーン」でも人気の1冊。

当ブログでも何冊か著作をレビューしている柳川範之さんが、自己啓発系の著者としても知られる為末 大さんとタッグを組まれた異色の作品です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
過去の学びや蓄積を最大限に活かす
新しい成長の技術
アンラーンとは、「学ばない」ことではありません。
過去の学びから、クセやパターン、思い込みをなくすことで、
新たに成長し続けられる状態に自分を整える技術です。

中古があまり値下がりしていませんから、このKindle版が500円強、お得な計算です!






Adam Grant Learning is how you evolve. Unlearning is how you keep up as the world evolves / symphony of love


【ポイント】

■1.パターン化したやり方をいったん忘れる
 たとえば、ほとんどの体操の選手には「つま先を伸ばす」というクセがあります。これは、体操競技においてきれいな演技に見せるためには、「空中でつま先まできちんと伸ばすことが大事だ」とさんざん教わって、そのための努力を重ねるからです。(中略)
 ところが、同じ選手が次にハードル競技を始めるとします。ハードルでは先ほどとは反対に「つま先を伸ばすことはよくない」と教わります。このとき、ハードルが上達できるかどうかは無意識でできるようになった「つま先を伸ばす」というクセをいったん忘れることができるかどうかにかかっています。そして、クセを取り払った上で、今度は「意識的につま先を立ててジャンプする」という練習を「無意識レベル」になるまで繰り返す必要があります。
 こんなふうに「パターン化したやり方をいったん忘れる」というステップが、アンラーンです。


■2.小さなアンラーンを習慣化するための8つのヒント
(1)日頃から、「これは、今の会社(環境)じゃなくても通用するだろうか?」と自問自答しておく。
(2)今の仕事に就こうと思った理由を改めて自分に問う。その理由に対して情熱を傾ける。
(3)中学生をはじめとする専門外・業界外の人に、仕事や熱中していることを説明する。その「伝わらなさ」から「自分のクセ」を発見する。
(4)多様な年齢、仕事、国籍、環境の人たちの中に身を置いて、「自分にとっての当たり前」と「他人にとっての当たり前」の違いに気づく。
(5)周囲の身近な人に、「あなた」について尋ねてみる。自己認識と周囲からの評価との違いを受け入れる。
(6)あえて情報量をセーブして動作や仕事を言語化することで「本質」にフォーカスする。
(7)本業とはなるべく遠い副業をして、本業だけに通用する「当たり前」に気づく。
(8)「いかになじむか」ではなく「いかに違和感を忘れないか」を大事にする。

(詳細は本書を)


■3.クセに関わるアンラーンが難しい理由
 つまり、クセに関わるアンラーンにおいては、「アンラーンすべきクセに、自分では気づけない」ということがまずあって、さらに誰もが高い確率で「他人からのアドバイスを素直に取り入れられないクセを持っている」という2つの難しさがあるのです。
 何かアドバイスを受けた際には、「自分が正しい/相手が間違っている」「自分が普通/相手がおかしい」と反射的に考えてしまうのではなく、まずは素直に受け止めるように努めてください。
 もちろん、冷静に検討した上で的外れだと感じたならば、気にする必要はありません。ただ、素直に受け止められなかったり、反発心や嫌悪感などが生じたりして冷静に検討できない場合には、「思考のクセ」が作用してしまっていると考えなければなりません。


■4.自分自身を再定義する
 たとえば引退したアスリートに話を聞くと、
「自分は陸上しかやってこなかった」
 などと言います。
 ところがその内容を丁寧に分解していくと、「目標を立て戦略を練り努力をし、失敗をしたら反省をし、修正する」ということを繰り返してきたことが分かります。
 つまりそれを単に「陸上競技」と定義するのではなく、「目標を立てて努力して、失敗から学んでよりよく改善していく」という定義に更新することができます。
 自分自身を定義している言葉は、時代とともに変えていかなければなりません。
まったく別の表現にする必要はありません。本質的な部分は変わるものでもありません。ただし、きちんと「今」と「これから」に合わせること、そのときに元の定義にこだわり過ぎないで勇気を持って「ずらしてみる」ことが大切です。


■5.チャンスは「余白がある人」のところに訪れる
 チャンスがチャンスであることに気づくためには、頭の中をある程度「余白のある」状態にしておく必要があります。発想や思考スタイルがカチンコチンに凝り固まって詰め込まれていると、今あるものに役に立つ物事にしか関心が向かないので、チャンスを素通りしてしまう。そこにある可能性に気づくことができない状態になります。
 一方で、完全に「これがチャンスだ!」と旗まで立っているような状態だとしても、それを選びとる余白がないというケースもあります。
 きっとアンラーンは、改めて自分を見つめ直し、自分に余白をつくり直す機会なのだと思います。生きていると、継続と計画と課題だらけです。「将来どうなるか」を常に予測しながら目の前の課題の解決方法を考えて、きちんと計画を立てていくことが求められています。
 さらに本質的な話をすれば、人間というのはそもそも、余白をつくるのが苦手な生き物なんだとも思います。だからこそ、いったん努めて余白をつくり、自分のクセを除いてあるがままの状態になってみると、より本来の自分に近い姿が見えてくるはずです。


【感想】

◆なかなかに興味深い内容の作品でした。

冒頭でも触れられているように、タイトルにある「アンラーン」とは、「学ばない」ことではありません。

では具体的にはどういうものなのか、について述べているのが、第1章から抜き出した上記ポイントの1番目。

これは為末さんらしい「スポーツ」の例ですが、ビジネスにおける具体例も、本書では「プレゼン」を題材にして挙げられています。

つまり、1度上手くいったプレゼンのやり方をパターン化しても、毎回それが最適解とは限りませんし、本来、議題や相手、マーケットによっても変えなくてはなりません。
 このときに必要となるのが、先ほどの「つま先を伸ばす」というクセへの気づきと、「つま先を曲げる」という新しい方法の習得です。
 プレゼンの中で無意識的にしていることを意識的に認識し直し、その上で修正する。これがアンラーンです。
なるほど、納得。


◆続く第2章は、その「アンラーン」の実践について言及が。

そこで触れておきたかったのが、上記ポイントの2番目にある「小さなアンラーンを習慣化するための8つのヒント」です。

本書ではこの8つのヒントそれぞれについて、解説がなされているのですが、長くなってしまうので本エントリーでは項目のみで。

この中で、私たちビジネスパーソンが特に留意しておきたいのが、(1)の「『これは、今の会社じゃなくても通用するだろうか?』と自問自答しておく」ではないでしょうか。

本書では出てこないものの、「外に出ても通用するスキル」のことは、俗に「ポータブルスキル」と呼ばれており、過去何冊かの作品でも登場しています。

たとえばこの本ですとか。

4046041897
「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方

参考記事:「いつでも転職できる」を武器にする(2019年05月03日)


◆一方第3章のテーマは「アンラーンを阻む7つの壁と、乗り越え方」。

ここでもその「7つの壁」を列挙したかったのですが、続けて箇条書きはどうなの、と思いとりあえず自重しました。

ちなみに上記ポイントの3番目は、「壁(4) 『自分のやり方でやりたい』『他人には分からない』」からのもの。

何かをする上で、無意識に行うようでしたら、それは「クセ」の可能性が高いですし、「クセ」であればあるほど「自分では気づけない」上に、「他人からのアドバイスを取り入れられない」ようです。

そこで本書では、これら「7つの壁」を踏まえたうえで、それを乗り越えるヒントを3つほど提唱。

その中の1つが、上記ポイントの4番目の「自分自身を再定義する」です。

これはある意味、いったん自分を「抽象化」して、新たな分野で別の定義として「具体化」することかな、と。


◆なお、上記ポイントの5番目は、第4章の「『アンラーン』を人生とキャリアの武器にする方法」からのもの。

「アンラーン」する前の、固定化された思考では、こういった「チャンス」にも気づきにくいということですね。

それこそ有名なこの動画でも「例のモノに気がつかない」人が半分いたりしますから。



なお、最後の「あとがきにかえて」では、著者お2人の結構長めの対談も収録。

さらに巻末付録では、本書内で登場した箇条書き部分を再度紹介しています(上記ポイントの2番目の「8つのヒント」含む)。


新たに成長するための「学びの技術」がここに!

B09P2YDS4Q
Unlearn(アンラーン) 人生100年時代の新しい「学び」
はじめに 大人にこそ不可欠な「新しい学び」――アンラーン
第1章 学びの質を高める方法――「アンラーン」とは何か?
第2章 実践 アンラーンーー自分を「新しく学べる状態」に整える方法
第3章 アンラーンを阻む7つの壁と、乗り越え方
第4章「アンラーン」を人生とキャリアの武器にする方法


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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