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2021年08月20日

【未来予測】『2030年に勝ち残る日本企業』山本康正


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2030年に勝ち残る日本企業 (PHPビジネス新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも人気の高かったトレンド予測本。

京大卒後、東大大学院〜ハーバード大学院〜グーグル入社というハイスペックな経歴を持つ山本康正さんが、14の業界の「これから」について語ってくださっています。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書では、日本の主要な業界における3つのメガトレンドの影響を深掘りし、具体的に、「どのような企業が、どんなサービスを手がけているのか」「これから先、日本企業が生き残るためには、どのような対応や施策を行なえばよいのか」について、お話ししていきます。できる限り、日本企業の取り組みや事例も紹介しています。単に危機感を煽るような未来予測ではなく、グローバルなトレンドに乗って事業を成長させるための方策も示すことを目的としています。

なお、上記未読本記事の時点では用意がなかったKindle版が、「11%OFF」とお買い得です!






amazon echo / cinz


【ポイント】

■1.リアル店舗の国内の雄「無印良品」
 国内の小売事業者で参考になるのが、「無印良品」を展開する良品計画です。
 同社は、食品、筆記用具、アパレル、住宅、インテリア、最近ではホテル運営など、生活に関するありとあらゆる商品やサービスを扱っています。そして、「MUJI passport」というアプリを使って、オンラインとオフラインの融合、ハイブリッド化をうまく進めています。
 例えば、インテリアの相談予約もアプリから簡便に申し込むことができます。アプリで購入した商品を、最寄りの店舗に配送してもらって受け取ることも可能です。
 ウォルマートと同じく、顧客が「あったらいいな」「あると便利だな」と思うサービスを、オンラインとオフラインの壁を気にすることなく展開していくという、明確なビジョンや戦略が伝わってきます。


■2.ロボタクシーが一般化し、自家用車が売れなくなる
 自動運転技術がレベルアップし、自動運転車が普及すると、自家用車が売れなくなります。先述のように深圳ではすでに走っていますが、自動運転の「ロボタクシー」が一般化し、安い運賃で便利に使えるようになるからです。
 人間のドライバーが乗客を乗せるタクシーの場合、運賃の約7割が人件費だと言われています。ということは、ロボットが自動でタクシーを運転すれば、この人件費が削減されて、これまで700円ほどしていた初乗り運賃が200円ほどにまで下がります。
 スマホアプリで簡便に車両を呼べ、決済ももちろんアプリ内で完結。ドライバーがいないことで圧倒的に運用コストが下がり、運賃は格安。そうなれば、多くの人は自家用車を持たず、ロボタクシーを使うようになるでしょう。


■3.ウェラブル端末を活用した保険でWin-Winに
 保険に加入している人であればわかると思いますが、加入した時点で「保険に加入しているから何かあっても大丈夫だろう」という気持ちになり、健康にあまり気を使わなくなる傾向があります。その結果、気をつけている場合に比べて病気に罹患する加入者が増え、不必要に保険会社の負担が増えるのです。
 ウェアラブル端末によってリアルタイムのバイタルデータが取得できれば、保険加入前はもちろん、加入後も、加入者が定期的に運動をしているかどうかなどを把握できます。運動を継続的に行ない、健康をキープしている加入者は保険料を安くする、というようなサービスを打ち出すことによって、加入者の健康を促進することもできます。
 保険会社は保険金の支払いを抑えられ、加入者は保険料が安くなり、健康にもなる。どちらにとっても得です。


■4.スマートスピーカーの性能はAIの性能に左右される
 スマートスピーカーは、アップルや日本企業も含め、他のテクノロジー企業もさまざまな製品を出していますが、事実上、アマゾンとグーグルの一騎打ちとなっています。まるで、携帯電話のOSがアップルとグーグルで一騎打ちになっている状況に似ています。他の企業のスマートスピーカーは、この両社と比べると、反応が鈍かったり、正しく音声を聞き取れなかったりして、AIの性能が低いと感じます。
 スマートスピーカーの性能はAIの性能そのものです。そのため、AIの開発実績があり、かつクラウドを自社で持っているアマゾンとグーグルが抜け出しているのです。
 皆さんの使っているスマートスピーカーは、基本的には、話しかけた音声データをいったんクラウドに送信して、音声を文字に直し、文字の意味を理解してから、回答を出し、そして、スピーカーに送り直して音声として聞けるようにしています。中には端末上でできる処理もありますが、基本的には、クラウドでの処理と、インターネットから取得できる情報の処理がとても重要なのです。


■5.本物の肉に代わる「代替肉」がトレンドに
 代替肉の主原料は大豆なので、生育に時間のかかる本物の肉に比べ、はるかに安いコストで製造できます。
 ただ安いだけではありません。私も実際に食べたことがありますが、味も本物の肉と遜色なく美味しい。食感も本物の肉そのもので、言われなければ代替肉とは気づかないほどのクオリティのものもあります。
 人体に有害な添加物も入っていませんし、栄養的に見ても、植物性ではありますが、タンパク質であることは本物の肉と同じです。食中毒のリスクが本物の肉よりもはるかに低いというメリットもあります。(中略)
 本物の肉と栄養価が変わらず、それでいながら安価な代替肉を食べることで、健康になる。そして、活き活きと働くことができ、収入もアップしていく。こうしたことに、代替肉は寄与する可能性があります。


【感想】

◆ボリュームの関係で割愛してしまったのですが、冒頭の内容紹介で言う「3つのメガトレンド」とは、以下になります。
(1)データを制するものが未来を制す
(2)業界の壁を越える(コングロマリット化)
(3)ハード/ソフトではなく体験が軸になる
そして、14の業界とは、下記目次に挙げたとおり。

各章1つの業界に関して、このメガトレンドを踏まえた上で、海外(主にアメリカ)の企業の取り組みを見て、それに対する我が国の企業の現状と今後の展開すべき未来を解説したのが本書ということになります。

ちなみに本書は、やたらと「GAFA」を引き合いに出している(合計51個所ありました)のですが、このうちFacebookの出番はほとんどありませんでした(2か所のみ)。

むしろマイクロソフトの方が14回も登場しているのは、実際にプロダクトがあるのと、クラウドサービス(Azure)があるのが大きいようです。


◆さて、こうした14業界から上記ポイントでは私が勝手に5つ選んで、ハイライトを引いた部分から気になったものをご紹介した次第。

「どの業界が大事」「どの話が重要」という俯瞰した視点ではないので、それはあらかじめご了承ください。

もちろん読者の皆さんにとっては、ご自分がお勤めの業界の話が一番読みたいでしょうし、また逆に自分の業界であれば、このくらいのお話は「常識レベル」かもしれません。

本書の巻末の「おわりに」でも、著者の山本さんはこのように言われています。
 一方で、本書で紹介した内容は、外資系のテクノロジー企業のエンジニアであれば、誰もが当たり前に知っている情報でもあります。つまり、本書を読んで感心した方は、言葉を選ばずに言えば、グローバルな競争の観点からすると情報のキャッチアップが遅れている、ということになります。
そういう意味でも、少なくともこの14業界にお勤めの方なら、自分が遅れていないかチェックする必要はあるかと。


◆私自身は知らない話や気が付かなかった施策が多く、たとえば上記ポイントの1番目の無印良品が、そこまで評価に値する企業経営をしているとは全然知りませんでした。

むしろ実際にサイトから買ったり、リアルでセルフレジを初めて体験したユニクロの方が進んでいると思っていたくらい。

もっとも、この無印のお話は第1章の「小売」からのもので、実はユニクロは第13章の「アパレル」の方でかなりのページを割かれていますから、やはり平均的な企業よりはかなり進んでいると言えるでしょう。

続く第2章の「自動車」では、まずEV(電気自動車)や自動運転の話がなされており、未来はこの方向に間違いなく進むようです。

そしてそれを踏まえた上で出てくるのが、上記ポイントの2番目のロボタクシー。

自動運転については、類書で最後の段階である「レベル5」を実現するのはかなり難しい(技術的より倫理的な理由で)と読んだ記憶があるのですが、本当にロボタクシーが普及する時代が来たら、なるほど新車の売上は激減すると思います。

……顧問先の大手自動車メーカーの下請けは、ロボタクシー以前にEV全盛の時点でまず大変なのですが。


◆また、上記ポイントの3番目は、第3章の「ヘルスケア・保険」からのもの。

なるほどこういう端末を前提とした保険ならば、契約後の状況の変化にも対応できるワケですね。

なお、実際にアマゾンは保険業界への参入を表明しているそうで、山本さんは「まだアナウンスしていないアップルも、虎視眈々と狙っている」と予想。
仮にアップルが参入したら、自社の保険を一人でも多くのユーザーに広めるために、アップルウォッチを無料でプレゼントするプロモーションを展開するかもしれません。その次の段階として、「体重が〇キロ減ったら、保険料が〇円安くなる」「アップル ミュージック(Apple Music)が今月は無料になる」といったサービスを展開していくと予測しています。
それは若者でも、学生のうちから保険に入りたくなります罠!

そのアップルでも後塵を拝しているのが、上記ポイントの4番目のスマートスピーカー。

これは第5章の「家電」から抜き出したものですが、クラウドを持っているアマゾンとグーグルには敵わないようです。


◆さて、本書は14も章があるのに、律儀に前半から選んでいったところ、ここまででまだ最初の5章しかカバーできていないので、ちょっと飛んだ第9章の「食品」から抜き出したのが、上記ポイントの5番目の「代替肉」。

私自身食べたことがないので何とも言えないのですが、「本物の肉と遜色なく美味しい」とは知りませんでした。

さらに家畜を減らすことで、地球温暖化を防ぐことに貢献できるとのこと。

山本さんは「日本人の食のこだわり」ゆえに、より質が高い代替肉を開発できる、と期待しているそうですから、これからに注目です。

なお残りの章の中では、上記でも触れた第13章の「アパレル」は、ハイライトを引きまくったのですが、下記関連記事でも掘り下げているので、そちらもご覧ください。

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2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日

参考記事:【オススメ】『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』福田 稔(2020年02月25日)


これからの各業界が進むべき道がここに!

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2030年に勝ち残る日本企業 (PHPビジネス新書)
第1章 小売――ECの覇者「アマゾン」に日本市場は席巻されてしまうのか?
第2章 自動車――日本を支える産業は「破壊」を免れるか?
第3章 ヘルスケア・保険――日本人のバイタルデータはGAFAに奪われてしまうのか?
第4章 金融――従来のビジネスモデルが破壊された先にあるのは?
第5章 家電――「スマートホームのOS」を握るアマゾン・グーグルとどう向き合うか?
第6章 メディア――日本の動画配信サービスはネットフリックスに対抗できるのか?
第7章 ゲーム――世界に誇る日本の「任天堂」がとるべき道とは?
第8章 農業――GAFAは未参入。市場を制覇するのは誰か?
第9章 食品――日本らしい「こだわり」を持って代替肉のトレンドに乗れ!
第10章 建設――優れた技術を誇る日本企業が世界のイニシアチブをとるには?
第11章 不動産――日本の不動産事業に「黒船」が乗り出す日は来るのか?
第12章 エネルギー――日本は化石燃料からクリーンエネルギーに転換できるか?
第13章 アパレル――ファーストリテイリングが時価総額世界一になった理由とは?
第14章 総合商社――GAFAに対抗し得る日本独特の業態。飛躍へのカギは?


【関連記事】

【DX?】『アフターデジタル2 UXと自由』藤井保文(2020年12月12日)

【オススメ】『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』福田 稔(2020年02月25日)

【買い物行動】『2025年、人は「買い物」をしなくなる』望月智之(2020年03月05日)

【Amazon流?】『amazonの絶対思考 常に、「普通という基準」を作り変える』星 健一(2020年09月06日)

【ビジネスモデル】『成功企業に潜む ビジネスモデルのルール――見えないところに競争力の秘密がある』山田英夫(2017年11月28日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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