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2021年07月24日

【バイアス?】『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』情報文化研究所(著),高橋昌一郎(監修)


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情報を正しく選択するための認知バイアス事典


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「Kindle本 夏のビッグセール」の中でも一番人気の1冊。

当ブログでは定番のテーマである「認知バイアス」を掘り下げた注目作です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
本書は3部構成になっています。
認知バイアスに分類される用語は数百以上存在しますが、意味や用法が曖昧であったり、重複しているものも多いものです。そこで論理学・認知科学・社会心理学3つの専門分野それぞれで必要不可欠な20項目を厳選し、合計60項目にまとめ、図版やイラストを交えて解説しています。

もともと値引率が「61%OFF」と高めだったため、Kindle版が900円弱お得な計算です!






On Bias / Dogtrax


【ポイント】

■1.国会でも話題になった「ご飯論法」
 藁人形論法という単語に聞き覚えのない方も、ご飯論法という言葉は聞いたことがあるのではないだろうか。
妻: 今日は帰りが遅かったわね。外でご飯食べてきたの?
夫: いや。ご飯は食べてないよ(飲んではきたけど)。
 ご飯を食べたかと聞かれて、飲酒(一般的には、簡単な食事も含まれるのが自然)を、「ご飯」とは異なるものと勝手にすり替えて、妻からの追及から逃れようとしている。
 夫は、嘘をつかずに本当のことを言わないようにしているのだ。仮に後で、「食べてない、って言ったじゃない」と批判されても、「食べてないと言ったのは、ご飯であって、ご飯以外のものを食べていないとは言っていない」と主張することができる。


■2.聞こえるはずのない声が聞こえる「マガーク効果」
 実験に使われたのは、ある音節(例:ガ、ガ……) を繰り返し発話している女性を録画した動画であり、後から音声だけ別のもの(例:バ、バ……) に吹き替えられていた。
 そして各参加者に、上記の「音声のみ」を聞かせた場合と、音声を映像つきで視聴させた場合とで、聞こえ方が変わるかどうかを調べた。
 その結果、まずは「音声のみ」を聞かせるとどの年齢群の参加者でもほとんどが正しく音声を聞き取れることが示された一方、音声とは口の動きが一致しない映像が付いた状態だと誤答率が高くなる(幼児59%、児童52%、成人92%)ことが示された。
 その際に多くの参加者が「実際に流された音声」とは異なる音声が聞こえたことを報告した。とりわけ、「ガ、ガ……」という口の動きをしている人の映像が「バ、バ……」という音声で吹き替えられた際、多くの参加者(幼児81%、児童64%、成人98%) が、「バ」とも「ガ」とも異なる第3の音韻「ダ」が聞こえたと報告している。


■3.存在しない記憶「フォルス・メモリ」
 ニュースを見ればわかるとおり、私たちの身の回りでは日々、さまざまな事故や事件が起きている。そうした事故現場をたまたま目にしてしまった、あるいは自分が巻きこまれてしまった、という場合、目撃した人の証言が重要な証拠となる場合がある。
 しかしながら、見聞きしたことの記憶がそのまま正確に保たれているとは限らない。なぜならば、後から与えられた情報によってまったく新しい記憶がつくられてしまうからである。こうした現象を指して記憶の汚染と呼ぶことがある。たとえば、うかつな警官から「あなたが見た青い車は、どちらへ去っていきましたか?」と質問されたとしよう。たとえ事実とは違っても、「自分は確かに“青い車”を見た」という記憶がつくり出されてしまうかもしれない。
 注意すべきは上記の例のような特殊な場合に限らない。
 膨大な情報に触れる現代人は、記憶の汚染の機会も、かつてないほど増えている可能性がある。


■4.自分の立場を重ねる「防衛的帰属仮説」
 たとえば、事件や事故などのネガティブな出来事の当事者(加害者・被害者)について評価をしようとするとき、私たちは自分と似た部分のある者に自らを重ね、そうでない者の責任を過大に評価する傾向がある。これを防衛的帰属仮説と呼ぶ。
 防衛的帰属仮説に関する実験では、偶然発生した自動車による交通事故が重大な結果をもたらしているほど、運転していた人に対してその責任が大きく帰属される傾向があることが指摘されている。このような現象が生じるのは、判断をした人々が、自分が被害者と同様の事態に陥った際のやりきれなさを回避しようとするからであると考えられている。
 軽い事故であれば、運が悪かったと自分を納得させることができるが、重大なものになればなるほど運転者の責任を追及する必要が出てくる。運の善し悪しで自分に大きな事故が降りかかってくると考えると私たちは不安を感じるため、運転者の責任を問うことでその不安を軽くするのである。


■5.被害者をバッシングしやすい「公正世界仮説」
 夜道を歩いていて性犯罪に遭った女性が、深夜に出歩いていたことや薄着であったことなどを理由に、被害者であるのにもかかわらず落ち度があると糾弾されるというのは珍しい話ではない。冷静に考えれば女性が深夜に出歩こうが薄着だろうが、犯罪に手を染める者がいなければそのような事件は起こらないのだから、犯人のみが責められるべきである。
 しかし、この例に限らず、被害者であるにもかかわらず周囲から責められるという事例は多く存在する。(中略)
 このように、「行動にふさわしい結果が、その人に降りかかる」という考え方公正世界仮説と呼ぶ。このバイアスに陥ると「いじめられる側にも問題がある」とか「感染症への 罹患 は自己責任」などと考えてしまうのである。
 このバイアスには不安が大きく関係している。
 悪いことをしていない人が理不尽に酷い目に遭うのだとしたら、いつか自分にも降りかかるかもしれない。そんな「世界の理不尽さ」と「自分も理不尽に傷つけられるかもしれない」という不安から逃れるため、人は公正世界仮説を信じるのである。


【感想】

◆いわゆる「認知バイアス」を数多く取り上げる、という形式の作品なのですが、過去当ブログでレビューした類書とは、いくつかの点で異なっていました。

まず一番の違いは、冒頭の内容紹介にもあるように「論理学・認知科学・社会心理学3つの専門分野」に分けられていること。

実際下記目次にもあるように、吃堯↓局堯↓敬瑤それぞれ「論理学的アプローチ」、「認知科学的アプローチ」、「社会科学的アプローチ」と章立てられており、それぞれ20項目ずつセレクトされています。

この手の「認知バイアス本」は普通、パラパラとどこから読んでも良いことが多いのですが、それをする場合でも、一応どのアプローチに属しているかは、意識した方が良さげかと。

また、もう1つの違いは、各認知バイアスごとの内容が充実していること。

項目のタイトルに続いて、「意味」として簡単な説明があり、「関連」と題した他の認知バイアスも掲載されています(Kindle版だとリンクになっていて、クリックでその認知バイアスに飛べる仕様)。

さらに項目の最後に、それぞれ「参考文献」も列挙されていますから、いちいち巻末まで飛ばなくても確認できるというありがたさ。

個人的には解説の図解は、いるもの(表やグラフ等)と、特にはいらないもの(ポンチ図等)がありましたけど、いるものがないよりは全部の項目にあった方がいい、と思っております。


◆さて、当ブログの読者さんであれば、有名どころの認知バイアスは、ひととおりご存知ではないでしょうか?

具体的には「藁人形論法」や、「確証バイアス」「バーナム効果」といった辺りなのですが。

そこで今回は、類書ではあまり見かけなかった(別の名称で収録されていたかもしれませんが)ものを優先して、上記でポイントとして抜き出しています。

たとえば「論理学的アプローチ」から引用したのが、上記ポイントの1番目の「ご飯論法」。

これなどは、翻訳本ではお目にかからない認知バイアスですが、諸外国にはないのでしょうかね?

厳密には「藁人形論法」の1つなのかもしれませんが、下記のようにWikipediaでも項目が設けられていますから、もはやその地位を確立したと言っていいのだと思います。

ご飯論法 - Wikipedia


◆また、類書ではまったく読んだ記憶がないのが、「認知科学的アプローチ」から抜き出した、上記ポイントの2番目の「マガーク効果」。

とりあえずこれだけ読んでも、何を言っているのかよく分からないと思います。

そこでご覧いただきたいたいのが、上記ポイントとは単語が違う、日本語バージョンに作り直したこちらの動画。



ネタバレになるのでどう聴こえたかはここでは書きませんが、私も確かに「マガーク効果」を感じることができました(YouTubeのコメント欄では聞こえなかった人もいるので、個人差はあるよう)。

同じく上記ポイントの3番目の「フォルス・メモリ」も「認知科学的アプローチ」から引用したもの。

ただ、こちらは以前、下記の作品で触れたことがありました。

4167901765
錯覚の科学 (文春文庫)

参考記事:『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

この本では「記憶の錯覚」として紹介されているのですが、このせいでヒラリー・クリントン女史は、オバマ元大統領との大統領候補の指名争いで破れてしまったくらいですから、結構シャレになりません。


◆一方、本書の第敬瑤任△襦崋匆餡奮愿アプローチ」には、おなじみの認知バイアスが多数収録されていました。

そんな中からセレクトしたのが、上記ポイントの4番目の「防衛的帰属仮説」と5番目の「公正世界仮説」です。

どちらも違う名称でご紹介したことがあったかもしれない(どちらもブログ内検索ではありませんでした)のですが、身の回りでもありがちな内容だったので、選んでみた次第。

前者はいわゆる「ポジショントーク」にも近いのですが、明らかな「身内」に甘い場合は、本書でも別項目を設けて「内集団バイアス」として解説されています(詳細は本書にて)。

また、後者はわが国では「あるある」過ぎて(とくに性被害やいじめ問題)、大きくうなずいたワタクシ。

かく言う自分も違った形で、バイアスに捕らわれている可能性はありますから、何事にも脊髄反射することなく判断したいと思いました。


認知バイアスへの理解が深まる1冊!

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情報を正しく選択するための認知バイアス事典
第吃認知バイアスへの論理学的アプローチ
 01二分法の誤謬
 02ソリテス・パラドックス
 03多義の誤謬 ほか

第局認知バイアスへの認知科学的アプローチ
 01ミュラー・リヤー錯視
 02ウサギとアヒル図形
 03ゴムの手錯覚 ほか

第敬認知バイアスへの社会科学的アプローチ
 01単純接触効果
 02感情移入ギャップ
 03ハロー効果 ほか


【関連記事】

『錯覚の科学』が想像以上に凄い件について(2014年08月19日)

【オススメ】『不合理だからすべてがうまくいく』ダン・アリエリー(2010年11月26日)

【バイアス】『MBA 心理戦術101 なぜ「できる人」の言うことを聞いてしまうのか』グロービス(2020年02月11日)

【行動経済学?】『不合理 誰もがまぬがれない思考の罠100』スチュアート・ サザーランド(2017年05月28日)

【認知バイアス】『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80』池谷裕二(2016年01月26日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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シンプルに結果を出す人の 5W1H思考

当ブログではウケそうな思考術本は、Kindle版が600円以上お得。

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人生は苦である、でも死んではいけない (講談社現代新書)

おなじみ岸見先生の新書は中古が値崩れしていますが、送料を足せばKindle版がお買い得となっています!


【編集後記2】

◆一昨日の「Kindle本 夏のビッグセール」のフォレスト出版分の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

B092441Z5F
情報を正しく選択するための認知バイアス事典

B08QTZTF2J
塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書

参考記事:【勉強法】『塾へ行かなくても成績が超アップ! 自宅学習の強化書』葉一(2020年12月24日)

B08FM8RX55
「問う力」が最強の思考ツールである

参考記事:【質問?】『「問う力」が最強の思考ツールである』井澤友郭,吉岡太郎(監修)(2020年12月21日)

B07DWT74FW
最高の結果を出すKPIマネジメント

参考記事:【KPI?】『最高の結果を出すKPIマネジメント』中尾隆一郎(2019年01月06日)

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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