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2021年05月13日

【思考術?】『全試験対応! わかる・書ける・受かる 超思考力』善方威


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全試験対応! わかる・書ける・受かる 超思考力


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、本日が最終日となる「GWキャンペーン」からの思考術本。

昨日の「前日ランキング」に入っていたのに気が付き、急いで読んでみた次第です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
開塾以来26年間結果を出し続ける、完全個別塾の最強の考え方を大公開!
中学入試、高校入試、大学入試、公立中高一貫校入試、推薦入試、AO入試でも効果絶大!
「え? こんな考え方があったの」?
と、目からウロコのメソッドが満載!

なお、今日中であれば、Kindle版が500円弱お得な計算です!





Thinking... / Spojeni


【ポイント】

■1.「それが正しかったら、何が起きるか?」考える
「それが正しかったら?」と考える。これが私が読者のみなさんに強くお勧めしたい『疑う力』(論理学では「背理法」とよばれるもの)です。
 たとえば先ほどの太陽光の話であれば「(それが正しかったら)太陽光の強い熱帯地域では新型コロナは流行しないだろう」「(それが正しかったら)太陽光の強い夏にはコロナ禍は終わるだろう。だとすれば新型コロナを世界中で警戒しているのはなぜだ」など、さまざまな疑問が浮かびます。こういった疑問が浮かんだ時点で、最低限その情報を広めることをやめる、という行動をとることが必要です。
 私が伝えたい『疑う力』は、言い換えると「自問自答する力」です。つまり、疑うのは他人ではなく、自分です。ですから、たんに相手を批判することではありませんし、情報の発言者へ向けられるものでもありません。本当にその情報が正しいのか、それを受け入れていいか、ということをつねに考えて、フィルタリングすることなのです。


■2.ベン図を広げた言い方に注意する
 たとえばドラマなどで、先生がある生徒を「万引き犯」として疑う場面があるとします。その子の親は先生に向かって、「先生は生徒を信用していないんですね!」と怒鳴る。しかし、これはおかしな言い方です。ベン図で考えれば、先生が信用していないのは「その子一人」ですから、他の「生徒一般」は関係ありません。「先生はうちの子を信用していないんですね!」が、正しい言い方です。
 しかし世のなかには、あえてこのようにベン図を広げた言い方をする人がいます。先ほどの例のように、ベン図を広げて話すことで「あの先生は生徒を信用しない人だ」というレッテルを張ることができるからです。私たちは、言葉を発するときにも受け取るときにも、「ベン図が広すぎないか」という意識を持つ必要があるのです。


■3.「抽象的な正しさ」にだまされない
「スピード感を持って、全力で対処していきます」
「みなさんの安全を守るために、一丸となって取り組みます」
「さまざまなご意見を受け、ご期待に応えられるよう努力してまいります」
 このような発言を聞くことは多いと思います。地位の高い人や有名人の発言であればなおさら、立派なことを言っているような気がしてくるものです。しかし、このような発言に、さほど中身はありません。ただたんに「一生懸命がんばります」と言っているだけです。(中略)
 しかし、このような抽象的な発言は、なぜ正しいことを言っているかのように聞こえるのでしょうか。それは聞いている私たちが批判する「とっかかり」がないからです。具体的ではないために、批判ができないのです。「全力で対処する」ことも「一丸となって取り組む」ことも「努力する」ことも、それ自体異論を挟む余地のないほど正しいことだからです。批判を避けるために、このような発言を意図的にしている人もいますから、注意が必要です。


■4.「怪しい言葉」は嘘の目印
「絶対に安全です」
「必ず実現させます」
「その点については、まったく問題ありません」
 このような力強い発言を、頼もしく感じてしまう方もいるかもしれません。しかし、これらの発言にはある問題が隠されています。何かわかりますか?
 このなかにある「絶対に」「必ず」「まったく〜ない」はすべて、「例外を認めない言い方」です。私はこれらを総称して「怪しい言葉」と名付けています。
 世のなかに「絶対」ということは、なかなかありません。それを「絶対と言い切ってしまうところ」、つまり例外を認めない部分に、私は危うさを感じるのです。たとえば機械の安全性を語るとき、「絶対」と言ってしまう。安全性に「絶対」はありえません。「絶対安全」と宣伝されてきたものがそうではなかった、という例は過去にいくらでもあります。


■5.因果関係が微妙なときは「〜をきっかけに」
 文章を書いていると、はっきりと因果関係があると言えない場合もでてきます。因果関係があると断定はできないけれどつながりがある、という場合です。
 そんなときは
「〜をきっかけに」
 という言葉が便利です。
 たとえば、「ウミガメの体内からプラスチックゴミが見つかったこと をきっかけに、プラスチックゴミを削減する運動につながった」、「その 冤罪 事件 をきっかけに、刑事訴訟法改正の機運が高まった」という文章です。「ウミガメの惨状」と「ゴミの減少」、「冤罪事件」と「刑事訴訟法改正」に明確な因果関係はないかもしれませんが、なんらかのつながりはあると考えられる場合に「〜をきっかけに」という言い方が使えます。


【感想】

◆全体を通して、なかなか興味深い内容の作品でした。

ただし、上記ポイントはその大半が第1章の「〈思考の前提〉「正しい思考」は「正確な情報」から 〜『疑う力』とは」からのものになります。

というのも、本書の半分ほどを占める第2章の「〈思考の道具〉「どのような問題」で「どのような考え方」をすべきか」は、文字通り「どのような問題」の具体例である、中学受験の問題と、その解答解説をベースにしているから。

問題文を引用するだけで、かなりのボリュームになる上、その解答や解説を載せないで、本書で著者の善方さんの提唱する「思考の道具」を紹介するのが非常に困難なので、割愛させてもらいました。

冒頭の内容紹介を読んで、本書を「受験」(特に中学受験)に活用したいと思われた方は、この第2章がキモなので、申し訳ないのですが……。

といいますか、ムスコが昨年まで中学受験の現役だったので、あれこれ勉強本を読んだりしましたが、そのほとんどが「算数」であり、本書のように「社会」や「国語」を取り扱っている作品はあまり見たことがありませんでした。

そういう意味でも、中学受験を控えたご家庭なら、本書は一読の価値はあると思います。


◆その点、第1章は社会人にとっても有益なもの。

たとえば上記ポイントの1番目で「先ほどの太陽光の話」とあるのは、コロナ禍における流言飛語の1つである「コロナは太陽光で死滅する」という噂のことです。

こういう話を見聞きした際に、SNSでその情報を拡散したり、他人に話す前に、「それが正しかったら、何が起きるか?」を自問自答していただきたいところ。

実はこの「疑う力」は、中学受験の問題にも有益であり、特に選択肢を消し込む際に力を発揮するとのことです。

本書では具体例として、成城中学や駒場東邦中学の問題を、この「疑う力」で解く過程を解説していますので、気になる方は本書にてご確認ください。


◆また上記ポイントの2番目の「ベン図」とは、いわゆるこんなベン図のことです。


Elitist T-shirt from Diesel Sweeties / dullhunk


ポイントの2番目のような例のほか、差別的な考えを持っている人は、たいていベン図を大きく広げた言い方をするのだとか(「女は・男は」「◯◯人は」「若者は・年寄りは」等)。

ネットでもよくそういう「物言い」する人がいますから、目にしたら疑ってかかるべし!

同じく上記ポイントの3番目の初っ端に出てくる発言例も、よく目にするもの。

いずれにせよ、こういう抽象的な発言に対しては、本来「何を」「いつまでに」「どのように」といった、具体的な説明を求めていく必要があります。

……政治家の場合、具体的な説明をしてくれることはあまりなさげですが。


◆一方、上記ポイントの4番目の「怪しい言葉」は、選択肢の消し込みとしておなじみのものでした。

特に「絶対」なんて言葉は要注意!

実生活においても、ひろゆき氏がこの本で、「足をすくわれやすい」として注意を促してましたっけ。

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論破力 (朝日新書)

参考記事:【はい、論破!?】『論破力』ひろゆき(西村博之)(2018年10月17日)

なお、上記ポイントの5番目だけは、本書の第3章の「思考のアウトプットにはコツがある」から抜き出しました。

実はこの章も、第2章同様、中学受験の問題と解答をベースにしているのですが、その章題どおり記述式問題の解答の際の「コツ」が述べられているのが特徴です。

このポイントの5番目の「〜をきっかけに」も、因果関係があるかどうかに自信がもてないときに便利だと、善方さんの塾の子どもたちにも好評なのだとか。


「目からウロコのメソッド」が満載の1冊です!

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全試験対応! わかる・書ける・受かる 超思考力
はじめに
第1章 〈思考の前提〉「正しい思考」は「正確な情報」から 〜『疑う力』とは
第2章 〈思考の道具〉「どのような問題」で「どのような考え方」をすべきか
第3章 思考のアウトプットにはコツがある
あとがき


【関連記事】

【はい、論破!?】『論破力』ひろゆき(西村博之)(2018年10月17日)

【思考術?】『対比思考 最もシンプルで万能な頭の使い方』小柴大輔(2020年12月01日)

【思考術】『愚直に、考え抜く。 世界一厄介な問題を解決する思考法』(2019年07月13日)

【思考術】『問題解決のジレンマ―イグノランスマネジメント:無知の力』細谷 功(2017年11月20日)

【問題解決】『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』安宅和人(2010年11月30日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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ヤクザライフ

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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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