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2021年04月18日

【思考術?】『思考の教室』戸田山和久


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思考の教室


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「語学・教育関連本キャンペーン」の中でも、個人的に読んでみたかった思考術本。

建前上、大学生向けに書かれているのですが、大人すぎる私が読んでも歯ごたえ満点の作品でした。

アマゾンの内容紹介から。
“じょうずに考える”ためには、どんな装置を使って、何をどのように勉強すればいいのか?「演繹」「帰納」をいっさい使わず身近な例を豊富にまじえ、まずは「論理的思考って何か」をヤ・サ・シ・ク説くぞ。続いて、「語彙力強化の秘伝」から、考えを効率的に伝えるための「文章設計のコツ」まで。さらには、「クリティカル・リーディング」から「ディベート術」まで。“考える”ためのすべてを網羅した「知の教典」、練習問題42問付き、これが決定版だ!

中古があまり値下がりしておらず、Kindle版が800円弱お買い得となります!






Visual Thinking Techniques / cambodia4kidsorg


【ポイント】

■1.サポートにより説得力が高まる
 さっきの例の「ぼく」は、自分はカキが好きじゃないってことを言いたい。しかし、たんにカキが苦手だと言ったのでは説得力がない。じっさい、「あ、そう。じゃ違うものを注文しよう」と言ってもらえるとはかぎらない。その前に「え、なんで?」と聞かれる。理由を聞かれるわけだ。(中略)
 サポートを与えることで、主張(カキは嫌い)の説得力が ちょっと アップする(あくまでも「ちょっと」だけ)。理由が主張を応援しているみたいな感じ。なので「サポート関係」と呼んだんだ。
 サポート関係とは、理由・根拠が判断・主張の説得力を高め、前提が帰結・結論の正しさあるいは確からしさを高める、そういう関係だ。まとめよう。
「論理的に考える・書く・話す」とは、つねに自分の思考・主張にサポートを与えることに気を配りながら、思考や文をつなげていくことである。


■2.「疑似論理的思考」とは?(抜粋)
●同語反復とその仲間たち
 前章で同語反復って何かを説明した。「水星の内側にもう1つ惑星がある。なぜなら、水星の内側にもう1つ惑星があるからだ」みたいに、サポート部分と主張とがまったく同じ文で表されているやつだ。
●主張の中身ではなく「人」を攻撃する
 論理的思考・議論では、サポートしたりツッコんだりは、本来、主張のなかみ(内容)に対しておこなわれるべきだ。ところが、主張のなかみではなく、それを主張している人にツッコミを入れることによって、主張そのものにツッコミを入れたと錯覚させることがしばしばおこなわれている。
●「わら人形」論法
 自分の主張をサポートするのに、自分と対立する主張をサポートする議論にツッコミを入れてやっつける、というやりかたをとることがある。(中略)
 最悪の場合、実際にはそんな考えの持ち主はいないよ、というような人をでっちあげて、その架空の人の考えを批判することで、自分の考えをサポートしてしまえ、ということになる。このときでっちあげられる人(そんな人はめったにいないのに)を「わら人形」という。
(詳細は本書を)


■3.まずは語彙を増やす
 英単語や古語と同じようにして、現代日本語の語彙を増やそうとしている人を、私は見たことがない。でも、英単語集でたとえばvalidは「妥当な」だと暗記したとして、「妥当な」ってどういう意味か知らなかったらどうする? それじゃvalidが出てくる英文の意味なんかわからない。グーグル翻訳使って日本語に直しても、その日本語がわからないんじゃどうしようもない。
 学生時代にアルバイトで塾の英語講師をやっていたことがある。そのとき、がんばってるのにぜんぜん英語ができるようにならない生徒が毎年ちょっとだけいた。彼らに共通しているのは、日本語の語彙が足りないということだった。そういう人にとっては英単語を暗記するのって、「「ホニャララ」は「はなもげら」」みたいな規則をただひたすら覚えることになるんで、そりゃ苦痛だろう。
 特に大人になってからも、日本語の語彙を増やそうと意識的に努力している人なんてほとんどいない。


■4.相手を納得させるための「プレーンな文体」の特徴
(a)1つひとつの文が文としてきちんとした形をしている。主語と述語がちゃんとある。文頭と文末がちゃんと対応している。
(b)1つひとつの文が短い。1つの文で1つのことが言われている。そうでない文を「ダラダラ文」 と言おう。ダラダラ文を生み出す要注意表現は練習問題(26)で紹介する。
(c)そのかわり、それぞれの文(や文のカタマリ)が文章の中でどういう役割を果たしているのかが明確になっている。「役割マーカー」がちゃんと使われている。
(d)1つひとつの文が一義的に読める。曖昧性や多義性がない。
(e)文章を飾り立て、情緒的な効果を高めるための「レトリック」 を含まない。レトリックとは、 比喩、反復、倒置、反語(皮肉)、誇張 など。ようするに ちょっと「ひねった」言い回し のことである。


■5.反論される隙があっても中身があることを主張する
 何も言っていない(それによって反論を避ける)のに、何かを言ったように偽装するやりかたを2つあげておこう。
 1つは、同義語や反対語を悪用することで、主張を何にでも当てはまるものにしてしまう、というものだ。(中略)
 第2の偽装方法。主張をいろんな仕方で解釈できる曖昧な言葉で表現することで、ほとんど何にでも当てはまるようにしてしまう。じつはこれをいちばん多用しているのは、政治家の答弁だ。(中略)
 キミたちは、こういう言葉遣いを身につけてはいけない。だから、勇気をもって反論の隙がちゃんとあるような主張をしなければならない。つまり、中身のあることを主張しなければならない。中身のあることを主張すると、反論される。それでいいのだ。その反論のほうが正しいにせよ、反論にさらにキミが反論できたにせよ、最初より正解に近づいたんだから。


【感想】

◆冒頭でも触れたように、かなり濃厚な作品でした。

まず、単純な思考術本だと思っていたら、その範囲が広いこと。

上記ポイントの1番目のように「根拠があるか否か」から始まって、ありそうでない場合の上記ポイント2の「疑似論理的思考」、さらには意図せず非論理的になるバイアス等々、第1部だけでも本数冊でカバーするようなバラエティぶりです。

さらには、ちょこちょこ「練習問題」が出てくるのですが、これが意外と難しくて、しかも全部で42問もあるという……。

なお、それぞれの問題について、巻末で解説がなされているのですが、それだけでもかなりページを割いています。

本来なら上記ポイントでも1問くらいは取り上げたかったのですが、問題だけでもそれなりの文字数があって、その解説も、となると、どう考えても無理でした。

おかげでとんでもない量のハイライトを引くハメになった次第。


◆というわけで、さっそく上記ポイントを見ていきますが、全部で11章もある関係上、全部の章をカバーはできません。

そんな中、第2章から抜き出したのが上記ポイントの1番目。

類書ではあまり目にしない「サポート(関係)」という言葉が、「論理的」な行為と結びつけて解説されていたので、他の部分との兼ね合いで抜き出してみました。

説明しなくとも、概念的には理解できるとは思うのですが、続くポイントの2番目も含め、本書では何度も出てくるので一応ご留意を。

本書では「サポート」の具体例として、「まだ観測されたことのない海王星の存在」を予測した、天文学者のルヴェリエの話が紹介されていました。

海王星の発見 - Wikipedia


◆一方、1つ飛んだ第4章から引用したのが、上記ポイントの2番目の「疑似論理的思考」。

割愛したものも含めて、そのほとんどが「詭弁」を扱った類書で目にしたことがあったのですが、初っ端にある「同語反復」というのは、当ブログでは初登場のよう。

ただこれって、いわゆる「進次郎構文」のことですよね?

類書に載っていても、あまりに説得力がなくて(?)私が今まで取り上げてこなかったのかもしれませんが(記憶になし)、このやり取りなどはパッと見違和感がありません。
質問:ハーバード大学の高名な経済学者ケネス・ガルブレイスは結局ノーベル経済学賞を受賞できませんでしたが、それはなぜですか?
答え:おそらくノーベル賞委員会が、ガルブレイスの業績は賞を与えるのに十分ではないと判断したからでしょう。
これなどは単なる「言い換え」に過ぎないのですが、実際にアメリカのある雑誌の質問コーナーにあったのだとか。

本書では、これに続いて「バイアス」の話が続くのですが、当ブログでは散々バイアス本を取り上げてきたので、今回は割愛。


◆ここまでが基礎編であり、以降は実践編と題して、思考の補助方法について言及していきます。

その初っ端が上記ポイントの3番目の「語彙」で、これは本書の第6章からのもの。

ここにあるように「語彙」が大事であることが理解できたら、実際に「語彙ノート」を作っていきます(詳細は本書を)。

さらにはその「語彙」を「構造化」する必要もあるのですが、その4つの技法についてもボリューム的に抜き出せませんでしたから、こちらも本書にてご確認ください。

また、私たちが目指すべき「プレーンな文体」を解説したのが、第8章から抜き出した上記ポイントの4番目。

ちなみに、ここにある「役割マーカー」とは、「つまり」「言い換えれば」「すなわち」等のような、「ここから先に書いてあるカタマリ(あるいはここまで書いてきたこと)は、文章全体の中でこういう役割を果たしていますよ」ということを示している」短い言葉のことです。


◆なお、第9章ではいわゆる「クリティカル・リーディング」を取り上げているのですが、「批判的に読む」という私の理解は間違っていました。

本書によると「クリティカル・リーディング」とは
いろんな仕方で基本パターンからズレてしまったサポ文(「主張を証拠でサポートする」型の文章)から基本パターンを再現する、あるいは基本パターンに戻すための読みかた(手続き)
なのだそう。

さらには「クリティカル・リーディング」が、「自分がもっているさまざまなバイアスから自由になって文章を読むために役立つ」ということも、初めて知りました(恥)。

また同じ第9章では、「皆で一緒に考える方法」についても指南されているのですが、そのためには「意見の対立」が必要なのだとか。

そこで注意したいのが上記ポイントの5番目にある「偽装」をしないことです。

確かに曖昧さがないと反論されそうですが、それを受けて立ってこそ議論も深まるというもの。

……現実世界では、第2の偽装方法にある「政治家の答弁」に、新聞やテレビでひんぱんに接することになるんですけどね(涙目)。

いずれにせよ、私は時間がなくてできませんでしたが、本書はぜひ「練習問題」を解きながら読んでいただけたら、と。


ワンランク上の思考術を身につけるために読むべし!

B08LNXL7LZ
思考の教室
序 章 「じょうずに考える」ってどういうことだろう?
機ヾ霑段——じょうずな思考の入口は、「論理」で開かれる
 第1章 そもそも「考える」ってどういうことかを考えてみるぞ
 第2章 これが、「論理的思考」の世界でいちばんシンプルな定義だ!
 第3章 サポートとツッコミについて、さらにツッコんでみよう 
 第4章 論理的思考のようで論理的でないベンベン、それは何かと尋ねたら……
 第5章 しかし、私たちのアタマは論理的思考に向いていない、という「不都合な真実」 

供ー汰編——生まれながらのアホさかげんを乗り越える3つのやりかた
 第6章 まずは、語彙を増やすことから始めよう
 第7章 ローテクな「紙とペン」こそ思考強化の最強の味方
 第8章 文章設計の方法
 第9章 「クリティカル・リーディング」と「実り豊かな議論」のために
 第10章 「集団思考」にお気をつけあそばせ
 第11章 最終手段「ガクモン的思考」の手ほどきをするぜ!
 終 章 新・ガクモンのすすめ


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【思考法】『実践型クリティカルシンキング』佐々木裕子(2014年07月01日)

あの芥川賞作家もびっくり 驚愕の『論理で人をだます法』(2012年02月14日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

B07GN6RGS9
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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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