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2021年03月22日

【マーケティング】『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』永井孝尚


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世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、現在開催中である「KADOKAWA春の読書フェア」の中でも人気の1冊。

当ブログでもレビュー済みである、永井孝尚さんの『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』の続編に当たる作品で、特に「マーケティング本」に特化しているのが特徴です。

アマゾンの内容紹介から一部引用。
「マーケティングを知っているのと知らないのでは『素手でモビルスーツと戦う』のと同じである」
元IBMで日本のマーケティングマネジャー第1期生として活躍してきた著者がマーケティング力が上がる50冊を厳選し企業事例を交えながら解説する。
レビットやコトラーといったマーケティングの古典・定番書はもちろん、サブスクリプションやサービスマーケティングといった最新マーケティング理論まで紹介。

中古に送料を加算するとほぼ定価並みとなりますから、このKindle版が900円弱お買い得となります!






Marketing Map / miss_rogue


【ポイント】

■1.ブランド愛好者よりも「ブランドに興味がない人」に注目する
 アップルとハーレーダビッドソンは熱狂的顧客が多いと思われている。しかし事実は違う。
 パソコンの反復購買率(同じブランドを再購入する比率)はシェア1位のデル71%、HP52%、アップル55%。市場シェアを考えるとアップルは健闘しているが、これは他社パソコンとの互換性がないことで説明できる。熱狂的顧客の影響は見られない。
 では、ハーレーの所有者を分析してみよう。
 熱狂的ハーレーライダーは全体の10%。売上は全体のわずか3.5%にとどまる。低所得で収入を部品に注ぎ込み、しかもバイクを買い替えないので売上貢献度は低い。(中略)
 ハーレーもアップルも、熱狂的信者は少数派だ。実は売上で最重要なのは、ブランドのことをあまり深く考えずに買い、売上に大きく貢献してくれる人たちなのである。

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ブランディングの科学 誰も知らないマーケテイングの法則11


■2.「探索」と「深化」を両立させる
 長い歴史の中で、新規事業に転身し続けて成長してきた老舗企業は多い。明治初期創業の任天堂は花札を製造していたし、1911年創業のIBMは肉秤を製造していた。
 しかし新規事業と既存事業ではやり方が異なる。
 新規事業では、未知の新分野への探索が必要だ。一方で既存事業では、効率を追求して組織能力を活用する深化が必要だ。
 老舗企業には、探索と深化を両立する両利きの経営ができるリーダーがいたのだ。
 現実には探索と深化は両立が難しい。探索はリスクが高いので、試行錯誤を通じ失敗から学ぶことが必要だ。一方で深化では確実に効率を追求することが必要だ。短期的には深化のほうが確実である。だから成功した企業ほど深化ばかりやりがちだが、変化に直面した途端に破綻する。これがサクセストラップ(成功の罠)だ。

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両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く


■3.満足させようとすると、客は満足しない
 サービスには、提供側が客を満足させようとするほど客は満足しなくなるというパラドクス(逆説)がある。提供側が「客を喜ばそう」と頑張ると、客は「この人は私を喜ばそうとしている」と受け止め、この瞬間に上下関係が生まれる。客の立場は上になり、提供者は立場が弱くなる。そして、客は下の立場からのサービスの価値を低く感じてしまう。(中略)
 フレンチやスタバが意味不明な言葉を散りばめるのも、「我々のサービスはすぐにわからないほどすごいんだぞ」と伝えるためなのだ。
 このような高級なサービスは「相手のかゆいところまで察し、徹底的に尽くす」という発想からは生まれない。なぜかというとサービスは闘いだからなのだ。

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「闘争」としてのサービス


■4.合理的に考えるようになった消費者は騙せない
 マーケターがよく使う手法に、おとり効果がある。レストランで800円コースと1200円コースがあると、多くの人は800円コースを選ぶ。そこへ2000円コースを投入すると、1200円コースが選ばれるようになる。2000円コースはあまり選ばれないが、1200円コースを選ばせるためのおとりなのだ。
 しかしこのおとり効果は、ネット時代では効果を失っている。
 ある研究者はオンラインショッピングと同様に、さまざまな価格情報や消費者レビューを見せた上で、この実験をした。すると、おとり効果は跡形もなく消え去った。
 スマホを駆使する現代の消費者は、マーケターが思うようには簡単に操られないのだ。

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ウソはバレる―――「定説」が通用しない時代の新しいマーケティング


■5.未来は「指数関数的な世界」の延長線上にある
 指数関数的な世界では時間経過とともに価格性能比が飛躍的に上がり、限界費用はゼロに近づく。この未来を見越し、ドンピシャのタイミングで妙手を打つビジネスが成功する。
 ユーチューブは、2005年にピザ販売店と日本食レストランの2階にある小さなオフィスで創業した。当時の非力なコンピュータや通信回線では動画を扱うのは大きな負荷だったし、動画配信を支えるサーバーや回線コストは金食い虫で、しかも収益化のメドも立っていなかった。しかし、翌年2006年にグーグルは約1700億円でユーチューブを買収。その後サーバーや回線の性能が飛躍的に向上し、動画は当たり前に使えるようになった。いまやユーチューブはグーグルの大きな収益源だ。

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限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭


【感想】

◆前作同様、非常に濃厚な作品でした。

ブックガイドにも、ひな型等を簡単にサラッと紹介するものと、1冊ずつ掘り下げるものがありますが、本書はどちらかというと後者に近いかと。

ただ、それを50冊ものボリュームで行うのですから、読み応えもかなりありました。

特に本書は「マーケティング本」という、特定のジャンルの作品からセレクトしたものですから、たとえ1冊ずつの掘り下げ具合は前作と同じレベルだったとしても、全体としての深さは前作以上かも。

もちろん前作同様、単に対象作品の中身を紹介するだけでなく、著者の永井さんの体験や事例等も織り込まれています。

もはや本書1冊読むだけで、マーケティング全体を分かったような気になれること必至でしょう(でも、ちゃんと各作品にも当たるべしw)。


◆さて、このようにマーケティングを広く深く取り扱っている関係上、その内容も、マーケティングの王道から最近の新しい説までさまざまです。

特に興味深かったのが、ある意味、従来の説と異なるものがいくつか見られたこと。

たとえば上記ポイントの1番目の「熱狂的信者よりもライトユーザーが大事」というのは、個人的には目からウロコでした。

……ブランドロイヤリティはいったい何処へ(涙目)。

ちなみに本書では、この『ブランディングの科学』に続いて、その続編であるこの作品をも取り上げています。

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ブランディングの科学 [新市場開拓篇] エビデンスに基づいたブランド成長の新法則

こちらもやはり、従来の説を真っ向から否定していますので、興味のある方は、まず本書にて概要を把握してください。


◆同じく意外だったのが、上記ポイントの3番目の「サービスは闘い」という主張でした。

サービスなんですから顧客に至れり尽くせりであるべきかと思いきや、両者は「がっぷり四つ」に取り組むべき、とこの本は言います。

ただしこれは「勝ち負け」の話ではなく、「価値共創」であるとのこと。

特に高級サービスにおいて顕著なのですが、逆に両者がなれ合ってしまうと、その価値は崩壊するのだそうです(詳細は本書にてご確認を)。


◆また、もう1つ「目からウロコ」だったのが、上記ポイントの4番目にある「おとり効果」が効かなくなったというお話。

これはいわゆる「松竹梅の法則」と言われるものなのですが、「ネット時代では効果を失っている」のですか……。
 いまはレビューサイトなどで実体験に基づいた性能・機能・スペックなどの事実がきちんと整理された状態で入手できる。世の中の情報量は増え続けているが、私たちは対応できている。結果、新しい意思決定パターンが生まれた。
 情緒的に考えず、合理的に考えて買うようになったのだ。
さらには、やはりネット等によって正確な情報が簡単に入手できるようになった結果、顧客ロイヤリティは失われつつあるのだそうです。

何と言うか、ネットの普及によって、今までのマーケティング理論が通用しなくなっているんですね。

この『ウソはバレる』という作品、Kindle版がないのが残念ですが、いずれ読んでみなくては……。

そしてネット同様、技術の革新によって、状況が代わってしまうことを実感するのが、上記ポイントの5番目のお話。

この『限界費用ゼロ社会』という作品は、何度か目にしていましたが、こちらも読んでおくべき1冊でした。


◆さて、最後に前作同様、本作でも本書に登場する作品のうち、当ブログで取り上げたものを挙げておきます。

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アイデアのつくり方

参考記事:「アイデアのつくり方」 ジェームス・W・ヤング (著):マインドマップ的読書感想文(2006年04月14日)

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コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則

参考記事:【骨太】『コトラーのマーケティング3.0 ソーシャル・メディア時代の新法則 』:マインドマップ的読書感想文(2010年09月08日)

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急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)

参考記事:【ティッピング・ポイント】「急に売れ始めるにはワケがある」マルコム・グラッドウェル:マインドマップ的読書感想文(2007年07月18日)

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アイデアのちから

参考記事:【オススメ】「アイデアのちから」が予想以上に面白かった件:マインドマップ的読書感想文(2008年11月25日)

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なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学

参考記事:【スゴ本!】「なぜこの店で買ってしまうのか―ショッピングの科学」パコ・アンダーヒル:マインドマップ的読書感想文(2007年10月09日)

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FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

参考記事:【思い込み?】『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロンランド:マインドマップ的読書感想文(2019年01月02日)

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統計学が最強の学問である

参考記事:【データ分析】『統計学が最強の学問である』西内 啓:マインドマップ的読書感想文(2013年01月27日)

もちろん、本書1冊読むだけで、そのエッセンスは十分知りえますから、この機会にぜひご一読を。


マーケティングの新旧理論を幅広く学べる1冊です!

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世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた
第1章 戦略
第2章 ブランドと価値
第3章 サービス・マーケティング
第4章 マーケティング・コミュニケーション
第5章 チャネルと販売
第6章 市場と顧客


【関連記事】

【名著満載!】『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』永井孝尚:マインドマップ的読書感想文(2019年04月25日)

【マーケティング】『売ってはいけない 売らなくても儲かる仕組みを科学する』永井孝尚:マインドマップ的読書感想文(2019年10月18日)

【仮説検証】『売れる仕組みをどう作るか トルネード式 仮説検証(PDCA)』永井孝尚(2019年02月11日)


【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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科学哲学への招待 (ちくま学芸文庫)

「科学哲学」という硬めのテーマの作品。

中古に送料を加えると定価を超えますから、Kindle版が700円以上お買い得です!


【編集後記2】

◆一昨日の「KADOKAWA春の読書フェア」の記事で人気が高かったのは、この辺の作品でした(順不同)。

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大人男子の「超」清潔感ハック

参考記事:【清潔感?】『大人男子の「超」清潔感ハック』宮永えいと(2020年12月13日)

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iPadクリエイティブ

B08M5NWSTN
世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた

B08M5PBDNX
40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法

参考記事:【ロジカルシンキング】『40歳でGAFAの部長に転職した僕が20代で学んだ思考法』寺澤伸洋(2020年11月15日)

宜しければご参考まで!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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