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2021年02月27日

【ヒットの裏側?】『プロデュースの基本』木崎賢治


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プロデュースの基本 (インターナショナル新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、糸井重里さんや土井英司さんといった「プロデューサー」的な立場の方が、こぞって絶賛されている1冊。

帯にあるように、糸井さんは「社内で100冊配った」らしいですし、土井さんもメルマガで「こんなに読み応えのあるプロデュース論は、ちょっとなかったかもしれません」とまで言われている注目作です。

アマゾンの内容紹介から。
キュンとくる仕組みを数学的に分析。部分を見ることで、本質がわかることもある。ふつうの構成でいかに新しいものをつくるか。心が動いた瞬間に見えているものを記憶する。うまくいっているときほど何も考えない…沢田研二からBUMP OF CHICKENまで手がけた名音楽プロデューサーの「法則」、全て公開!

実は昨年暮れに新書だけが発売されていたのですが、やっと昨日Kindle版が配信されたということで、満を持して読んでみました!





"In My Zone...." 🎧🎤 / Ali Mannan


【ポイント】

■1.わざと逆に考えることを意識する
 みんなが期待していること、予想できることをどれだけ裏切れるかが、感動を与えられる原点だと思います。お笑いの人たちも似ていますね。予想される答えと逆の、意表を突くこと、裏切ることを言うと、みんな笑ってくれます。
 たとえば「また会いたい」という詩をいろんな人がつくって歌っていたら、「会いたくない」という詩をつくってみたくなります。でも「嫌いだから会いたくない」はふつうだから、「好きだからもう会いたくない」というふうにしないと意味がない。では、好きだから会いたくないというのはどういう状況、心情ならそうなるのかと考えていく。そうやって突き詰めていって、歌詞を考えるのが楽しいですね。
 ふつうの人は逆から見ることを心がけないと、おもしろい発想が出てこないんです。


■2.切羽詰まると見えてくるもの
 これは実際に若松さんから聞いた話です。
「次の曲のことをいろいろ考えながら、翌日の朝ごはんを買おうとコンビニに入ったの。すると流れていたBGMにピンときて、この曲調次のシングルにいいんじゃないかと思いついたんだよ。それから雑誌を立ち読みしていたら、牴謄ラー瓩判颪れた見出しが目に飛び込んできて、色をタイトルに入れるのもいいかもしれない、と思いついて次の曲のアイデアがまとまったんだよね」
 もし切羽詰まっていなければ、きっと素通りしていたはずですね。ただのBGMだったはずの曲が、こちらが「つくらなきゃ」と焦っていると、ふと求めているものと結びつくことがあるんです。
 どんなものでも考えれば結びつかないものはないんじゃないかな、と思います。切羽詰まっていると、そのふたつを結びつける接着剤みたいな要素をおそらく見つけやすくなるんでしょうね。
 結局、人間って本当に欲しいと思っていれば、それをちゃんと見つけられるんですよね。逆に言えば、欲しいと思っていなければ見逃してしまうものだと思います。


■3.今あるといいアーチスト像を考える
 槇原敬之くんがデビューしたときは、世の中は空前のバンドブームでした。ちょうど「いか天」(TBS系「三宅裕司のいかすバンド天国」) が流行っていたころで、僕らの周りでもデビューさせるためにバンドを探している人がたくさんいました。でも、だからこそ逆に、ピアノを弾きながら歌うソロシンガーというのはいいなと思ったんです。
 僕はその時代に流行っている音楽やアーティストじゃなくて「こういう人が今、世の中に現れたらおもしろいな」ということをよく考えます。
 たとえば、80年代に尾崎豊くんが出てきたわけですが、その10年後の90年代、尾崎くんみたいな感じの人がシリアスな顔つきでヒップホップをやっていたら、おもしろかったんじゃないかなとか。そう思っていると、そういう人に巡り会えることも多いから、いつもそんなことを考えていたいですね。


■4.その時代のメインストリームを捉える
 僕も「『勝手にしやがれ』は売れると思っていましたか」と聞かれたことがあります。思っていなかったとも言えるし、思っていたとも言えます。つくる前提としては、全部の曲をヒットさせるつもりでいるからです。
 でも、売れるかどうかなんて、本当にわからないですよね。ヒット曲の法則を見つけたいと思って、今日まで研究しながら制作してきましたけど、ヒットする確率をより高くしようと努力を続けるしかないと思っています。
 ただ、その時代時代のヒットゾーンというのは確かにあるんです。ポップミュージックのメインストリームはヒットチャート上に必ず見えていて、まずはそのど真ん中にいるアーティストを把握することが大事。そこと比較して、自分がプロデュースするアーティストの今の立ち位置がどこなのかを確認してから、やっぱりメインストリームの先を行くつもりで制作に入ります。


■5.何回も聴くといい曲になる
 先ほどの服のことで、ひとつ気づいたことがあるんです。似合わないと思っても5分も着ていればなんだか、だんだん慣れてきて、よく見えてきたんですが、これ、音楽も同じなんですよ。まず5分聴かせることができたら、いい曲だってわかってもらえる可能性がかなり大きくなる。イントロだけ聴いて飛ばされないようにするのはなかなか大変なことだけど、とにかく1回ちゃんと聴いてもらうことが大事なんです。
 なぜなら、繰り返し聴くことによって、その音楽を好き嫌いにかかわらず覚えてしまいます。CMで何度も聴いて覚えてしまった曲を、多くの人が好きになるのはそのためです。何かのきっかけで興味を持ってもらって、何回も聴かせることができれば、それはその人にとってきっといい曲になっていくはずなんです。


【感想】

◆お恥ずかしながら私は著者の木崎さんのことを、本書で著者デビューするまで存じ上げておりませんでした。

ところが木崎さんの関わった楽曲ならば、それこそ大昔から比較的最近まで、それこそ山のようにあるという。

本書の巻末にプロデュース作品年譜があるのですが、1971年から2020年まで、毎年最低でも5曲は手がけてらっしゃったようです。

しかもヒット曲も、古くはアグネス・チャンの「ひなげしの花」や、沢田研二さんの「勝手にしやがれ」「TOKIO」等々から、槇原敬之さんの「もう恋なんてしない」、BUMP OF CHICKENの「Butterflies」辺りまで盛り沢山。

日本の場合、それこそ小室哲哉さんやつんくさんが有名になるまで、「プロデューサー」という仕事すら知られてなかったと思うのですが、彼らと違い作詞・作曲として名前が出るわけではないので知名度が低いだけで、本当に多くの作品の誕生に関与されていたようです。


◆実際、上記ポイントの1番目にあるように、アーチストの楽曲の「方向性」を決める上で、重要なアドバイスをしたりされたことも多々。

山下久美子さんも、デビュー時点では、当初彼女の好きな「ブルース」で話を進めていたところ、真逆(?)な「ポップ」な路線に変えたりもしたそうです。

こうしたアイデアは、アーチストや楽曲製作者とじっくり話し合ってできるだけでなく、ふとした拍子から生まれることもあったとか。

たとえば上記ポイントの2番目にある「切羽詰まって見えてくるもの」も、その1つなのですが、これこそ考え抜いていたからこそ「降りてくる」モノだと思います。

また、BUMP OF CHICKENのプロデュースを始めた頃、何人かの人に「またこんないいバンド見つけられて、木さんはラッキーですね」みたいなことを言われたのだとか。

それに対して木崎さん曰く。
「違うんだよ。こういうバンドに巡り会いたいと具体的に頭のなかに描いていたから、出会ったときに見逃さなかったんだよ」
まさにその通り!


◆こうした「ヒットの法則」が特にまとめられているのが、本書の第4章です。

上記ポイントの3番目の「今あるといいアーチスト像を考える」というのも、ここから抜き出したもの。

たしかに「いか天」がブームの頃には、やたらとバンドがデビューしていましたから、槇原敬之さんのようなスタイルのアーチストが出てきたら、新鮮だったと思います。

……尾崎豊さんがヒップホップやってる姿はちょっと想像できませんがw

ただ、それとはある意味「逆」かもしれませんが、上記ポイントの4番目の「その時代のメインストリームを捉える」というのは、大事なことでしょう。

実際、メインストリームのど真ん中のアーチストと比較することで、手掛けるアーチストの立ち位置を確認する……という考え方は、エンタメだけでなく、商品開発でも言えることかと。


◆また、上記ポイントの5番目は、第5章の「クリエイティブなライフスタイル」からのもの。

音楽でもそうですけど、これこそ「単純接触効果」そのものですよね。

このように、本書のTIPSは考えようによっては、幅広い分野に応用できるものもありました。

ただし、そのことは木崎さんご自身が狙っているわけではなく、読み手に委ねられていますから、もちろん純粋に音楽ネタの作品として楽しむことも可能です。

とはいえ、ある程度年齢がいってないと、過去の楽曲を知らないでしょうから、「なるほど、あの曲はそうだったんだ!」とはなりにくいかも。

……私は「いい年」なので、十二分に楽しめましたがw


何かをプロデュースされる方なら必読の1冊!

4797680628
プロデュースの基本 (インターナショナル新書)
第1章 いいなと感じて、つくりたいと思ったら、分析して、答えを見つける
第2章「新しいもの」とは新しい組み合わせのこと
第3章 人と仕事するということ
第4章 ヒットを作るために僕がしていること
第5章 クリエイティブなライフスタイル


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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