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2021年02月13日

【人心掌握】『田中角栄 上司の心得』小林吉弥


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田中角栄 上司の心得


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも意外と人気のあった1冊。

ご存知、故・田中角栄氏の「人心掌握」ぶりが、これでもか、とばかりに学べる作品です。

アマゾンの内容紹介から。
現代社会において我々は、誰もが部下を持つ「上司」である。
「上司の心得」のエキスパートである田中角栄元総理の言行より、やがて来る「コロナ後」の社会でも活用できる数多の心得を紹介。

中古がまだ値下がりしていませんから、「10%OFF」のKindle版がお得となります!






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【ポイント】

■1.常に相手の気持ちを忖度する
「秘書となってすぐ、オヤジさん(田中)から『これだけは絶対に守れ』と言われたことがあった。『カネを相手に渡す場合、くれてやるという姿勢は間違っても見せるな。カネは、じつは受け取る側が一番つらい、切ないのだ。そうした相手のメンツを重んじてやれなくて、どうする。むしろ、こちらが土下座するくらいの気持ちで、もらって頂くということだ。こうしたカネなら、初めて生きたカネになる』と。
 だから、あとからこんな声が届くことが多い。『角さんからのカネは、心の負担にならないからいいんだ』と。もとより、カネを渡したと口外することも一切ない。これで、助かったほうは人に知られて恥ずかしい思いをすることはない。常に、相手の気持ちを 忖度 する。『人間学博士』と言われたオヤジさんの真髄だな」(早坂茂三氏)


■2.多くの人を納得させる「必殺話術」5カ条
(1)何を話したいのか、まず話の冒頭で結論を示す。また、話のテーマは1つか、多くても2つくらいに絞る。(中略)
(2)とくにスピーチでは、聞き手との「一体感」を醸すことに全力を挙げよ、である。ここが最大のポイントでもある。また、独りよがりの話、自慢話は、じつは相手の中に何も残らない。
(3)たとえ話を、できるだけ織り込む。これにより聞き手に情景が浮かび、理解しやすいというメリットがある。また、「数字と歴史」を織り込むことが何より強力な説得力になるとは、先に記したとおりである。
(4)聞き手、話し相手への問いかけ、同意を得ることを心掛けよ。「角栄節」には、随所に「そうでしょう、皆さんッ」といった、猝笋いけ瓩入るのが特徴であった。
(5)声には、力を入れよ。蚊の鳴くような声では、スピーチ、商談など交渉事、個人的会話、いずれも説得力の足を引っ張ることになる。そのうえで、相手の目を真っ正面から見て話すことだ。


■3.叱るときは明るく、カラっと
 例えば、選挙が近づくと、すでに自ら情勢調査を済ませている田中は、苦戦気味の田中派若手議員に、よくこう一喝していた。
「おまえ、出会う有権者の気持ちが、いまどこにあるか分かっているのか。それも見抜けず、選挙に勝てると思っているのか。甘く見るな。一から(戦略を)やり直せッ」
 結果、選挙戦の劣勢を立て直して 挽回、当選を果たして田中のもとに挨拶にやってきたそうした議員に、自ら相手の手をギュッと握りながら、破顔一笑、こう言うのだった。
「おまえ、ナカナカだな。ワシの見込んだ男だけのことはある。これからは勉強、勉強だ。やがての大臣は間違いないぞ」
 絶妙のフォローと言える。ここでは、一喝されたショックの尾を引くものはなく、わだかまりのない上司と部下の関係が浮かび上がる。こうした形で、田中派は常に田中への求心力を中心に一枚岩の強さを発揮、「田中軍団」として自民党内の権力抗争で他派を寄せつけることがなかったということであった。


■4.誠心誠意で力になる
 ところが、である。選挙区に帰って間もなく、橋本は田中幹事長から一通の手紙が、地元の票を多く握る有力者のもとに届いていたことを知った。
 その手紙は墨痕鮮やかな田中の直筆で、巻紙の長さがなんと2メートル近くもあるものだった。これだけの文章を 綴ることは、片手間ではできない。田中の何事にも誠心誠意、全力投球という姿勢が 窺えたのであった。その手紙の要旨は、次のようなものであった。
「私の調査では、現時点で橋本龍太郎は当落線上から上がっていない。橋本は国会できりきり舞いしていたことで、地元には帰れなかった。党としては、党務で全力投球をした人間を落選させることはできない。私としては、なんとしても橋本を上げたい。貴殿の会社の事業所が選挙区にあるが、何とか協力をお願いしたい」
 この事実を知った犂況祺悪瓩任發△辰振極椶蓮口では冷たかったがここまでやってくれた田中を思い、「しばし涙に暮れた」と、のちに自ら告白している。


■5.悪いところは悪いと素直に謝れる
 田中はこの翌年2月に病に倒れ、事実上、政治生命を失うことになるが、倒れたあとの田村の改めての述懐が残っている。
「角さんの凄いところの1つは、あれだけ権力を持っていても、悪いところは悪いと素直になれるところだった。どんな議員に対しても、失礼があったり、相手が自分の接し方で傷ついたりしているのを知ると、まるでいたずらっ子のように、『ごめん』とやれることだった。強い人だっただけに、そうした素直さには誰もが参ってしまったものだ」
 人の素直さに、うしろ指を差す人はいない。前出の「詫び状」の項ともども、上司は部下に素直に接することで、支持の輪が広がることを心したい。
「負け」を素直に受け止め、そこから 這い上がってくる男には色気がある。色気は、人を呼び込む少なからずの要因となる。


【感想】

◆読む前から分かってはいましたが、改めて「田中角栄」という政治家の懐や器の大きさを実感させられた作品でした。

とにかく、他の政治家ではあまり聞いたことのないようなエピソードが満載。

時代が時代、と言われたらそうかもしれませんが、人の心をつかむことにかけては、歴代の総理大臣の中でもピカイチだったと思います。

一応、当ブログではこの本を大昔にご紹介しているのですが。

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田中角栄流「生き抜くための智恵」全伝授 (ロング新書)

参考記事:【人心掌握】『田中角栄流「生き抜くための智恵」全伝授』に学ぶ、7つの人心掌握術(2012年02月08日)

記憶が薄れかかっているとはいえ、エピソードのネタかぶりがほとんどないのにも驚きました。

「『相手の経歴』を調べて暗記する」みたいな、一般論的な話はかぶりとは言えませんし、上記レビューの中では、最初の「新幹線で当時の代議士と乗り合わせた」時の話ぐらいかと。


◆もっとも本書の場合は、「上司力」というテーマに沿わせているため、「親分力」というフレーズが何度も出てくるのが特徴です。

それが章題にもなっているのが、本書の第1章。

総理大臣以前に歴任した、郵政、大蔵、通産等の各大臣時代も含めて、官僚や田中派の議員たちと「親分」としていかに接したかが明かされています。

その「子分」の1人だった、後藤田正晴氏によると、田中氏は「部下に花を持たせる達人」だったのだとか。

たとえば、羽越豪雨の際には、要職についていないにもかかわらず、被害をもたらした2級河川を一級に昇格させて、国の管轄にした上で、予算を付けて大規模な治水工事を実施。

しかもこれを自らの発想とせずに、建設省役人の発想、手柄としたのだそうです。

さらには、上記ポイントの1番目にあるように、相手の気持ちまで慮ることも忘れません。

これがまた、部下のみならず、他党である社会党の同郷の代議士が落選した際には、内緒で生活費をその代議士が死ぬまで送っていたのだそうですから、恐るべし……。


◆一方第2章は、テーマが「交渉力」ということで、ある意味「人心掌握」とは色合いが違います。

登場するエピソードも、「日米繊維交渉」ですとか「日中国交正常化交渉」、さらには「北方領土返還交渉」等々の日本史に載るレベルのモノ。

この辺では田中氏の「親分力」よりも、普通に押しの強い「交渉力」を実感していただきたいところです。

なお、これらのお話もさることながら、大蔵大臣時代に切り抜けた「山一証券救済措置」のエピソードは秀逸でした。

何でもメインバンクの1つであった興銀の中山素平頭取と芝居を打って、最終的に日銀に融資させたのだそう(その後山一は、結局バブル後に倒産しちゃいましたが)。

ちなみに上記ポイントの2番目の「必殺話術」は、この章からなのですが、「人心掌握」寄りだったので、抜き出してみた次第です。


◆続く第3章は「人材育成」がテーマゆえ、自民党の議員たちとのお話が満載。

上記の後藤田氏のほか、竹下登氏、中曽根康弘氏、金丸信氏といった辺りが登場されています。

また、上記ポイントの3番目のように、名もなき若手議員に対する叱咤&フォローもさすがと言うべきか。

なお、この章では、いまをときめく石破茂さんが、田中氏に命じられて政治家に転身されたお話もありました。

……鳥取県知事をつとめていた関係で、県民葬となった石破氏のお父さんに、生前に葬儀委員長を頼まれていたからとはいえ、その約束を果たすべく「田中派葬」を行った田中氏に「おまえが親父さんの遺志を継がなくて誰が継ぐ」と口説かれたら、政治の道に入らざるを得ないですよね。


◆そして最後の第4章からは、上記ポイントの4番目と5番目を抜き出しました。

まずポイントの4番目の橋本龍太郎氏のエピソードでは、実はその前に、橋本氏の地元での「応援演説」を断りながらも、陰で尽くしていたというもの。

おかげで前回選挙では、定数5で4位だった橋本氏がこのときは見事トップ当選だったそうです。

またポイントの5番目に出てくる「田村」とは、田村元氏のことで、田中氏が「ごめん」とあやまったのは、こちらにある通称「マッチ箱事件」に際してのこと。

田中角栄 日本が酔いしれた親分力(23)事件後でも揺るがない姿勢 - 記事詳細|Infoseekニュース

田中氏にマッチ箱をぶつけ返した田村氏もすごいですけど、その後夜中に電話をかけて来て「昼間のことは許してくれ」と謝罪し、「寂しいから飲みに来てくれんか」と言える田中氏もすごいな、と。


稀代の「人たらし」である田中角栄氏に学べる1冊!

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田中角栄 上司の心得
第1章 「親分力」の磨き方
第2章 「交渉力の極意」
第3章 人材育成の奥義
第4章 「心理戦争」社会の勝者を目指す


【関連記事】

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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