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2021年01月17日

【自己演出】『あなたはなぜ誤解されるのか~「私」を演出する技術』竹内一郎


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あなたはなぜ誤解されるのか~「私」を演出する技術 (新潮新書)


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、昨日発売されたばかりの新書。

かつて一世を風靡した『人は見た目が9割』の著者である竹内一郎さんが、「自己演出」について言及されている作品です。

アマゾンの内容紹介から。
「あの人、一言多いんだよな」「あの癖、イライラする」等々、他人の「残念な面」に私たちは敏感だ。あの振る舞いを直せばもっと良くなるだろうに――しかしここで我が身を振り返ってふと気づく。あれ? 私もそんな風に見られ、誤解されているんじゃないか……自分の「残念な面」をどう変えていくか。不可欠なのは「私」を演出する技術なのだ。『人は見た目が9割』の著者が自己プロデュースの極意を伝授する。

新潮新書ということで、残念ながらKindle版の値引はない点が惜しまれますが、いろいろ勉強になりました!






Face Off / Eliza Stoneshield


【ポイント】

■1.優等生は人を楽しませる役割に徹する
 学生時代は勉強もできたし、仕事でも成果を挙げてきた、子供も世間体のよい学校に行っている、という人にも落とし穴がある。自分では当たり前のことを話しているつもりでも、周囲には自慢話に聞こえてしまうのである。(中略)
 家族も兄弟も、職場の仲間も、皆その人を疎んじている。あなたと吞んでいても、自慢話か説教を聞かされている感じで、酒がおいしくない、と。
 私の年齢になると、できない人の立場に立てない人がたくさんいることに気付く。成果を上げた人に限って、孤独な晩年が襲ってくる。
 優等生は「聞かされている方が楽しくない話はしない人」という役を演じるつもりになるとよい。優等生的な人生を歩んできた人は、「相手を楽しませるホスト」が今の立場なのだ、というくらいに自分の役を設定したほうがよい。自分が楽しい思いは十分にしてきたのだから、今は人を楽しませる役割なのだと割り切るのである。相手を立てるだけの余裕がある人間なのだ、と思ってもよい。


■2.「役割」だと割り切れば気が楽になる
 最近は、学校の先生でも一度管理職になった後に、教えるだけの平教師に戻る人も少なくない。教えることが好きで先生になった人には、管理職に向かない人もいる。年齢が上がるにつれ一度は人並みに管理職の試験を受けたとしても、である。
 管理職としての仕事が上手くできないことは、その先生を全否定したことにはならない。管理職という「役割」に不向きだっただけである。失恋も同じだ。この人の彼氏、彼女としては不適格だった、ご縁がなかったということに過ぎない。別の相手役がどこかにいるはずだ。
 考え方1つで、仕事や人間関係の悩みが、随分楽になりはしないだろうか。(中略)
「ある局面のロールを否定されただけで、私のすべてを否定されたのではない」と思えば、気分転換も楽である。私自身も「RPG」と考えることで、気持ちの切り替えが早くなった。


■3.ネットでは「味方千人、敵千人」という覚悟を持つ
 社会に向かって何かを発信する場合、「味方千人、敵千人」だと思うとよい。そのうえで味方を一人ずつ増やす工夫を忘れないようにすることが大切だ。敵ができることを過度に恐れず、しかし敵を増やすことをできるだけ避ける。
 SNSなどでも、不用意にぞんざいな言葉遣いをする人だと思われないようにするとよい。意味もなく敵を一人増やすこともない。自分としては「当たり前」のことを言っているつもりでも、誤解されることもある。「敵千人」と思っていると、節度を保ちやすい。目の前に見えていなくても「敵千人」を意識していると、態度に覚悟ができてくる。
 SNSでは「いいね」などのプラス評価をたくさん貰った方が嬉しいし、フォロワーが増えていくのも嬉しい。自己承認欲求が満たされることが第一である。問題は、短期間に「いいね」を増やしたがったり、「あなたよりフォロワー多いし」などと優越感を求めたりするようになると、いびつな発信をしてしまいやすい点だ。


■4.感情表現の大きさは眉毛の動きに比例する
 俳優の養成所で教えると、日本人が眉毛の動きに無頓着であることに気付かされる。
 俳優になりたいぐらいだから、子供のころから映画やテレビドラマは人より見ているはずだが、俳優の眉毛の動きまで注視してきた人は少ないようだ。世界的に見ると表情の少ない東洋人の中でも、とりわけ日本人の眉毛は動かないから気にならないのだろう。(中略)
 感情表現の大きさは、眉毛の動きと比例関係にあるように思う。とりわけ、コメディ俳優の眉の動きを注意して見ていただければ、納得してくださる方も多いはずだ。
 ウォルト・ディズニーが1920年代にミッキーマウスのアニメーションを創ったとき、ミッキーに眉毛はなかった。ところが1930年代のミッキーには眉毛がある。子供が喜ぶアニメーションには主人公の感情表現は不可欠である。目と口とアクションの感情表現だけでは、どうしても足りないと考えたウォルト・ディズニーが、本来動物にはないはずの眉毛を「発明」したのだろう。感情表現には、それほど眉毛が大切なのである。動物に眉毛を付けるという発想は、天才の領域である。


■5.棒読みはすべてに不利である
 教育の現場にいて困るのは、「棒読み」でしゃべる若者が増えたことである。子供の頃から、LINEで友人とコミュニケーションをしているから、言葉には「抑揚」が大切という感覚が身に付いていない。(中略)
 最近は、日本の大学にも留学生が増えた。外国人は文法から学ぶので、文節の切れ目がはっきりしていない棒読みの日本語が理解しにくい。私たちがアメリカ映画を観て、単語の切れ目がわからないのと同じ原理である。同じ教室に、先ず「話し言葉」で日本語を学んだ棒読みで話す学生と、先ず「文法」から日本語を学んだ留学生が混ざっている場合、抑揚を強めに付けた方が、両方の学生にとって理解しやすい。こういう理由で、大学では学生に朗読をやって貰う。「面倒なことをやる先生だな」という反応もないわけではないが、「抑揚の大切さに気が付いた」という反応もある


【感想】

◆冒頭で挙げた『人は見た目が9割』同様、主に「非言語コミュニケーション」について論じた作品でした。

これにはもちろん「見た目」のみならず、声や態度、仕草等も含まれるわけで、それらを含めた上での「自己演出」を考えるというもの。

実はこうした演出は、役者であれば「演出家」が直してくれますが、一般の方だと周りが教えてくれることはまれです。

そこで取り入れたいのが、序章から抜き出した上記ポイントの1番目の「役割」という考え方。

実は相手が自分に望む「役割」を演じることができれば、相手の満足度は上がるワケで、これは役者が演じるのと同じことです。


◆そしてこの考え方を掘り下げているのが、本書の第1章の「人生は舞台、人はみな役者」。

小見出しの中にも「人生はロール・プレイング・ゲームと心得る」というのがあるのですが、実際私たちも、「会社」や「家」や「ネット上」で、それぞれの役割を演じています。

それゆえ、その「役割」が自分に不向きなこともある場合を指摘しているのが、上記ポイントの2番目。

たとえば職人肌の人にとって、管理職という「役割」は自分に不向きなケースも多いことでしょう。

さらには仕事のみならず、人間関係も同様であり、結局「ある局面のロールを否定されただけで、私のすべてを否定されたのではない」と考えることができれば、気が楽になります。

また、割愛したお話でなるほど、と思ったのが、たとえ仕事の「役割」がつらいものだとしても、趣味に自分の好きな「役割」(バンドの「ギター」等)を演じられれば、ストレス解消になるというもの。

確かに「推し活」をしている方は、生き生きとしていますしね。

人生&社会を変える!すごいぞ!“推し活”パワー|NHKあさイチ


◆また、1つとんだ第3章では、自分の演出方法がテーマです。

上記ポイントの3番目はここからのものなのですが、「敵千人」は同意としても「味方千人」は、気が大きくなってしまうので、発言前には意識しない方がいいような……?

ただ、実際には自分を非難してくる「ノイジー・マイノリティ」よりも、そうは思わない「サイレント・マジョリティ」の方が人数は多いでしょうから、万が一炎上しても、必要以上に落ち込む必要はないのですが。

さらに、この章で興味深かったのが「嫌われ言葉」という「それを口にすると人が離れていく」という言葉です。

具体的には、上司が部下に言う「前に教えたよね」や、寝てない自慢等。

ほかにも「ここだけの話」というのも、「信用できない人」というレッテルを貼られるので、注意したいところです。


◆続く第4章は、表情がテーマということで、思いっきり具体的なTIPSが多々。

上記ポイントの4番目の「眉毛の動き」は、昨今のマスク装備がデフォルトの状態だと、今まで以上に重要なものとなると思います。

ちなみに私は、顔の他の部分を動かさずに、眉毛を左右別々に上げ下げできますが、ウチのヨメがそれを真似ると、顔全体で何とかしようとするのか、口まで片方に寄ってしまうので、できる人とできない人がいる模様。

この章では他にも「笑顔」の作り方や、眉間のしわに気を付けるお話が参考になりました。

さらに第5章は「声」がテーマで、上記ポイントの5番目もそこからのもの。

確かにムスコを見ていても、クラスメイトとのコミュニケーションの多くがLINEであり、私の少年時代に比べてコミュニケーションの「量」自体は増えても、リアルの割合は極端に減っているかもしれません。

いずれにせよ、「棒読み」は感情が伴わない印象を受けるので、極力避けた方が良いでしょうね。


他人からの印象を良くしたい方なら、要チェックで!

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あなたはなぜ誤解されるのか~「私」を演出する技術 (新潮新書)
序 章 誤解を減らすには演出家が必要だ
第1章 人生は舞台、人はみな役者
第2章 中身を磨くには、先ず「見た目」から
第3章 「私」を俯瞰して演出を考える
第4章 表情も給料のうち
第5章 人は声に寄って来る
第6章 仕草の欠点は誰も教えてくれない


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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