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2020年11月08日

【知覚力?】『知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法』神田房枝


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知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法


【本の概要】

◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事でも注目を集めていたビジネススキル本。

すでに日経新聞の広告でも取り上げられていますし、お読みになった方もいらっしゃるかもしれません。

アマゾンの内容紹介から。
目のつけどころがいい人は世界をどう観ているか? データ予測、意思決定、創造的思考……あらゆる知的生産の土台となる「見えないもの」を観る力――。メトロポリタン美術館、ボストン美術館で活躍し、イェール・ハーバード大で学んだ著者が明かす、全米100校で採用された知覚力トレーニング

中古が定価を大きく上回っていますから、「10%OFF」のKindle版がお買い得です!





Da Vinci Detective / rockcohen


【ポイント】

■1.知覚の差がビジネスの行く末を左右する
 ドラッカーは、コンピュータが市場で販売されはじめた当時の2種類の知覚を挙げています。「コンピュータを利用するのは大手企業でしかない。ビジネスチャンスは限定的だから参入はしない」という意思決定は、いわば「もはや半分水が満たされている」と解釈する人のものです。逆に、「一個人であっても、所得税を計算するために気軽にコンピュータを買うようになる。ここにはビジネスの可能性があるから参入しよう」という決断は、「グラスはまだ半分空である」という知覚から生まれるものです。
 知覚の差がビジネスの行く末を大きく左右する点は、現代においてもまったく変わりません。意思決定者がどんな知覚を持つかによって、巨大なビジネスチャンスにつながることもあれば、それを逃すこともあります。


■2.私たちが「異常」を見落とす理由
 もう1つの理由は、まさに人間の視覚認知は、眼だけではなく、脳との連携によって起こるものだからです。それゆえ、もし本人が「肺結節を探すこと」に集中していれば、たとえ眼では「●●●」(ネタバレ自重)のような予期せぬ情報をとらえていても、脳はそれをフィルターにかけてしまいます。つまり、「特定の目的を意識しながら何かを探している人」ほど、おかしなものが視野に入ってきても、それを知覚し損なう可能性が高まるわけです。そんな人も、もし「この画像のなかに●●●を探してください」とお願いされれば、即座に「●●●」を見つけられたはずです。
 とはいえ、「観ているつもりで見えていない」の罠にはまるのは医師だけではありません。何かを探したり、期待したりする検索モードの見方に支配されている人は、どんな状況であれ、似たような知覚的盲目に陥る可能性があるのです。


■3.ノーベル賞受賞者の9割以上が「アート愛好者」
 まずは衝撃的なデータを挙げましょう。ミシガン州立大学生理学部教授ロバート・ルート=バーンスタインらは、科学者が所属する集団のなかで、アートやクラフトの趣味を持っている人の割合を調査し、一般的な米国市民も含めて比較しまし た。アートを好む人の比率は、米国市民、米国科学アカデミー、王立協会、ノーベル賞受賞者と所属団体の格式が上がる順に高くなっており、ノーベル賞受賞者に至っては9割以上が美術を趣味としているという結果が出ています。アートに関心がある科学者のほうが、そうでない科学者よりも2.85倍高い確率でノーベル賞を受賞しているという驚くべき報告です。


■4.「周辺部での変化」を見落とさない
 『イノベーターのディレンマ』などで知られるハーバード大学ビジネススクール教授クレイトン・クリステンセンはかつて、「イノベーションはほとんどいつも周縁部から起こる」と語りました。注目すべきは、その事例として挙げられたのが、ティーンエイジャー向け市場を開拓したソニーの「ウォークマン」だったことでしょう。(中略)
 1970〜80年代、日本の自動車産業は米国・ヨーロッパを席巻し、セイコーはスイスの時計産業を脅かし、レクサスは短期間で米国高級車市場の王座につきました。そのようにして米国・西欧諸国に並ぶ第3の中心となった日本こそは、かつて「周縁部の脅威」を世界に見せつけた張本人だったのです。
 周縁部が決して見逃してはならない場所であることは、ビジネス競争がグローバル化し、あらゆる変化がスピーディに起こる今日でも変わりません。周縁部には未来の顧客ニーズや、環境やトレンドの変化のサインがいち早く到来するからです。


■5.なぜアップルの研修では、ピカソを観るのか?
「自分のメッセージを非常に簡潔に伝えることができるまで、繰り返し修正を経なければならない。それはアップルというブランドと私たちの活動すべてに一貫したアプローチであり、哲学である」
 ここからもわかるとおり、この社員研修では、アップルの企業理念である「 シンプルさ(simplicity)」を社員に行き渡らせるためのツールとして《牡牛》が選択されました。ひと口に「シンプルさ」と言っても、そこにはいろいろな含みがあり得るでしょう。しかし、感覚的情報が詰め込まれた《牡牛》の観察を組み込むことで、企業トップが胸に抱いている本当の「シンプルさ」の全体図が圧倒的に知覚しやすくなっています。 企業理念をただ口で説明するだけでは、なかなか社員を刺激できません。おそらくCEOのティム・クックがどれだけ熱い想いを込めて語ったとしても、《牡牛》ほどの役割は果たせないでしょう。それはアップルの哲学とピカソの《牡牛》とのあいだに、完璧なまでのアナロジーがつくれるからです。


【感想】

◆なかなか興味深い作品でした。

当ブログでも人気のあるデザインシンキングに近いものの、もうちょっとフラットというか、問題解決にこだわらないで、物をみることの重要性やそのスキルを学べると言ったところ。

それはたとえば、上記ポイントの2番目にある「検索モード」の弊害でも言えることでしょう。

ここで登場する「●●●」(これから読まれる方のために伏字にしました)は図でのお話なのですが、1つのものに焦点を合わせると見落としがち、というのは、この動画でもおなじみでした。



本書の著者の神田さんいわく「目的なく見る力」が価値を持ち始めたとのこと。

これは正直、一種のパラダイムシフトと言えるかもしれません。


◆また、こうしたモノの見方というのは、どう解釈するか、ということにもつながってきます。

よくあるのが「半分水の入ったコップ」で、それをビジネスに結び付けた指摘をしたのが、上記ポイントの1番目のドラッカー。

さらに神田さんが挙げたのが、携帯事業に参入した楽天の三木谷さんです。
「大手3キャリアが牛耳っているマーケットに、わざわざ入っていくなんて……」というのが、世間の大方の知覚ではないでしょうか。それにもかかわらず、彼は「グラスはまだ半分も空いている」という自身の知覚に従って、この事業へ舵を切ることを決断したわけです。さて、結果はどう出るのでしょうか。
楽天の方はまだ結論が出てないので何とも言えませんが、もう1つ興味深かったのが、破産寸前だったLEGO社を立て直したCEOのヨーゲン・カヌード・ストープのお話。

「LEGOブロックで遊ぶ子どもの85%は男子」というデータから、同社内では「女児は生まれつきブロックで遊びたがらない」と結論づけた人がほとんどでした。

しかしストープはそうは解釈せず、「LEGO社がまだ『ブロックで遊ぶ女児顧客を獲得する方法』を見つけ出せていないからだ」と解釈します。
 そこから徹底した市場リサーチと過去の製品見直しが行われ、女児向けに開発されたLEGOフレンズシリーズは大成功を収めました。
こうした「当たり前」というバイアスも、意外とそうではないのかもしれませんね。


◆一方、これまた意外だったのが、上記ポイントの3番目にある「アート愛好者」の割合です。

「ノーベル賞」と「アート」の関係を考えると、やはり何らかの「発見」をする観察力が「アート」によって育まれるのではないか、と思わざるを得ません。

また本書によると、経営者でもアート収集家は多く、たとえばユニクロの柳井さんは「世界トップアートコレクター」200人のうちの1人なのだそうです。

しかも、それも単なる道楽ではなく、アートに親しむことによって「中心」だけではなく「周辺部」にまで目が届くようになる……ということで、触れておきたいのが、上記ポイントの4番目。

ついつい見落としがちな「周辺部」に目を配らせられるようになるためにも、本書の第5章で「アートの観かた」をイチから学んでいただきたく。

ちなみに科学的に検証したところによると、絵に描かれた内容を理解するのにかかる時間は「4分8秒」なのだそうです。

……私自身、とても1枚の絵を観るのに、そこまで時間をかけたことなどないのですが(大汗)。


◆しかし実際に企業においても、絵画を用いた研修は導入されているのだそうです。

具体例として挙げられていたのが、上記ポイントの5番目のアップル。

ここで言うピカソの《牡牛》とは、見覚えのある方も多いであろう、こちらの絵です(アマゾンの画像を借りているため、リンクをクリックするとアマゾンに飛ぶので要注意!)。B005LN5IXK
特にアップルの場合は、「simplicity」という企業理念がありますから、思わず納得。

ただ、そういう関係がなくとも、「部屋のなかに名画を展示するだけで創造的思考にポジティブな影響がある」という実験結果もあるのだそうです。
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の絵を見たグループは、それと同等の特徴を持つ写真を見たグループに比べ、高いインスピレーションを得ることができ、製品デザインやブランドの命名という創造性が求められるビジネスタスクにおいて、クリエイティブなアイディアをより多く生むことができたそうです。
今まで「アートなんて」と心の底で思っていた部分もありましたが、本書を読んでかなり考えを改めなくては、と思った次第。


絵画を観ることで得られるスキルを知るべし!

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知覚力を磨く 絵画を観察するように世界を見る技法
はじめに 観ているつもりで、見えていない私たち
第1章 すべては知覚からはじまる
第2章 観察する
第3章 見えない世界を観る
第4章 何を観るか
第5章 どう観るか
第6章 知覚する組織へ
終章 さあ、曖昧な世界「答え」をつくろう
おわりに 太古に「未来」を知覚する


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【編集後記】

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Posted by smoothfoxxx at 10:00
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