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2020年10月30日

【ビジネスモデル】『日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に 東京大田区・弁当屋のすごい経営』菅原勇一郎


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日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に 東京大田区・弁当屋のすごい経営【電子特別版】 (扶桑社BOOKS)


【本の概要】

◆今日ご紹介数するのは、今月の「Kindle月替わりセール」において個人的に注目していた経営本。

セール記事を書いた時点で「絶対読もう!」と思っていたのに失念しており、何とかギリギリで間に合わせることができました。

アマゾンの内容紹介から。
\昼12時までに7万食を配達 原価率53%、廃棄率0.1%/
中小企業の課題ともいえる「スムーズな事業継承」、「1商品だけで8年で業績3倍増」をどのように成し遂げたのか。

値引率が「69%OFF」と高めなこともあって、このKindle版が700円以上お買い得となります!





Bento / jetalone


【ポイント】

■1.後継者を決めているなら、なるべく早く全権委任する
 事業承継の失敗事例でよく見聞きするのは、息子などの後継者になかなか会社を継がせないパターンです。長らく爐預け瓩鮨っているうちに後継者のモチベーションは下がり、「社長交代があるかもしれない」という社内の緊張感も薄れてしまう。
 そうこうしているうちに社長が病気になったり、元気がなくなって事業承継せざるを得ない時期がやってきますが、そのときには社長の人脈もすっかり古びてほとんど役に立たなくなっている。
 社長が元気なうちにバトンタッチして後継者と一緒に得意先や取引先を回って「まだ出来が悪いけれどよろしくお願いします」と顔をつないでおけば、生きた人脈がしっかり引き継げる。
 最初は従業員から文句が出るかもしれません。しかし、「俺が決めたことだから。新しい社長を盛り上げてやってくれ」と言い聞かせれば、従業員も早めに気持ちの切り替えができる。トップが元気なうちに事業承継したほうが、新しい体制への移行はスムーズに運ぶと思います。


■2.見込み数で遠距離車は出発して、後で調整する
 見込み数で出発する遠距離地区の弁当は、当然、余ったり、足りなかったりします。実際の注文数が確定した後、過不足分の調整はどうするのか。
 その分は遠距離地区よりも遅れて出発する中距離地区の配達車との間で調整するのが基本です。中距離地区の配達車が出発する段階には、注文数はほぼ決まっています。
 そこで遠距離地区の配達車と中距離地区の配達車が待ち合わせて、遠距離地区の配達車の余剰分を中距離地区の配達車に積み替えたり、あるいは遠距離地区の不足分を補います。
 同じように中距離地区の配達車の余剰分や不足分は大田区周辺の近距離地区の配達車に積み替えていく。こうすれば配達の時間のロスも最小限で済みます。遠距離地区から確実に弁当を配達しながら、近距離地区で弁当の調製を行うわけです。


■3.お弁当の食べ残しから見えるもの
 配達スタッフが足で稼いでくる各社の情報はマーケティングの上でも貴重です。
 弁当箱を回収する際に「今日のお弁当いかがでしたか?」と担当者に一声かければ、「○○が美味しいと評判だったよ」とか「今日は味付けが濃かったみたい」とか、「近頃、ちょっと揚げ物が多いね」とか、反応が返ってくる。
 毎日ではありませんが、紙ベースで「今日は皆さんにアンケートを取らせてください」とお願いすることもあります。「今日の弁当は?」というご感想から玉子屋の弁当へのご要望まで、直接、お客様の声を集めて、今後のメニュー改善につなげていく。
 実際に回収した弁当箱の食べ残し調査もしています。すると、担当者から聞き出した評判とアンケート結果と食べ残しの調査結果が、必ずしも一致しない。この「一致しない」ということがマーケティング的にとても重要だったりします。


■4.ロスを出さない仕組み
 ロスを出さない秘訣は当日のオペレーションにもあります。
 なぜ廃棄率が0.1%になるのかといえば、前日の見込み数に対して少なめに弁当をつくって、足りない分を後からプラスしてつくるからです。
 たとえば「明日は6万食出る」と読んだら、5万7000食分の材料を仕入れる。玉子屋は在庫を持たないので、夜中の0時に材料が届きます。
 未明に弁当づくりが始まって、午前9時30分までに5万7000食ができ上がるようなペースで弁当をつくる。
 一方、9時から始まった注文受け付けを10時30分に締め切ったら、最終的に6万1000食になったとしましょう。業者に連絡して4000食分の材料を追加注文すると、15〜30分で材料が届きます。
 調理して盛り付けしている間に、それまでに出払っている配達車が持ち出している弁当の数と不足している数を計算。遠距離、中距離、近距離の配達車同士で受け渡ししながら、最終的に追加分の4000食を積み込んだ調整車を出発させて、近距離地区の不足分を補います。すると結果的に12時までにすべての弁当が届けられる。


■5.開発中の弁当アプリ
 玉子屋と契約している会社の営業マンが「今日は玉子屋の弁当が食べたいな」と思ったら、スマホにインストールした「弁当アプリ」を開く。自分が今いるエリア、あるいはこれから営業に向かうエリアなどを指定すると、そのエリア内で玉子屋の弁当が置いてあるポイントが表示されて、昼12時までにはいくつの弁当があって、リアルタイムでいくつの弁当が残っているかといった情報が見られる。
 都合がいいポイントが見つかったら、そこに立ち寄って玉子屋の弁当を買う。この場合、注文ではなく現物売りなのでワンウェイ容器の弁当です。ただし、支払いはキャッシュレス。スマホのアプリ、もしくはSuicaのような電子マネーをレジにかざせば、ピッと自動的に引き落とされて支払い完了――。
 たとえばこんなイメージです。
 言ってみればタクシーの配車アプリに近いでしょうか。


【感想】

◆タイトルにもあるように、本書のテーマである、仕出し弁当を製造販売する「玉子屋」さんは、スタンフォード大学経営大学院のケーススタディに取り上げられたとのこと。

第4章にその経緯が書かれているのですが、三菱電機の社員でスタンフォードに留学されていた方が、かつて自分が食べていた玉子屋の弁当のことを授業の課題で取り上げたところ、それを読んだ教授が「ケーススタディにしたい」と言い出したのだそうです。

確かに、
・当時東京都心で1日5万食
・当日注文、当日配送で昼12時までに弁当が必ず届く
・廃棄率0.1%未満
・弁当の味もいい
となれば「それどんなビジネスモデル?」と興味がわいても不思議ではありません。

実はその辺の仕組みが詳しく書かれているのが本書の第2章で、今回はそこを中心にポイントを列挙してみました。


◆まず上記ポイントの2番目では、配送部分のキモが明かされています。

とにかく遠距離地区の車は、注文が確定するどころか、連絡もない8時くらいの段階で、見込み数の弁当を積んで出発。

実際に配るよりもはるかに早い時間から待機して、10時ごろから配り始めますから、結果的に「電話した直後」に配達されることもあるのだそうです。

そして、その後の過不足等の調整方法は、上記ポイントの2番目にあるとおり。

さらには、この遠距離車、中距離車、近距離車で対応できない場合に備えて、「調整車」という弁当の補足分を積んだ車も12台用意して、急な注文や連絡ミス等にも備えているのだとか。

なるほどこれなら、当日注文でも、当日12時までに配達できるのも納得です。


◆また、その当初の「見込み数」を割り出すのに役立つのが、上記ポイントの3番目にある「反応」や「食べ残し」。

玉子屋が、コンビニ弁当のような使い捨て容器ではなく、回収して洗浄し、再利用する容器(リターナブルの弁当箱)を用いているのには、このような理由もあるワケです。

ただし、引用部分の最後にもあるように、会社側の「担当者から聞き出した評判とアンケート結果と食べ残しの調査結果が、必ずしも一致しない」というのを読み解かなくてはなりません。

たとえば、「もっとヘルシーなメニューにして欲しい」という声は多いのだそう。

ところが
回収した弁当を調査すると、揚げ物やハンバーグの日は食べ残しがほとんどなくて、かえって和食の日は食べ残しが多かったり、食数が減ったりする
のですから、メニューを考える方もひと苦労ですよ。

いずれにせよ、回収する、という手間をかけるからこそ得られる情報なのですから、そこは他の弁当屋とは違うと言えるでしょう。


◆さらに上記ポイントの4番目の「少な目に作る」というオペレーションも秀逸です。

確かに見込みで少なめに作っておいて、確定数値に後から追加して合わせるのであれば、廃棄される弁当も理論的にはゼロになってしかるべき。

「廃棄率0.1%未満」という驚異的な数字(弁当屋の一般的なロス率は3%)になるのも当然でしょう。

ちなみに見込みで言うなら、台風の日は普段より5%くらいは注文が増える一方、交通機関が止まってしまうと逆に大きく減ってしまうのだとか。

近年は大型台風が連続で襲来してますし、今ならコロナのおかげでテレワークも多いでしょうから、ますます見込みは立てにくくなっていそうです。


◆なお、順番が逆になりましたが、上記ポイントの1番目は、第1章の「中小企業の事業承継は先代が元気なうちに」からのもの。

私の顧問先もそのほとんどが中小企業ですから、どこも2代目(や3代目)に代替わりしているのですが、事業承継のタイミングは、なかなかデリケートな問題だと思います。

それともう1つ、承継した後の、先代の立ち振る舞いも難しいところで、会長等になってからもやたらと口を出す人もいれば、逆に完全にノータッチになる人もいると言うか。

この辺はケースバイケースで、どれが正しいとは言えないものの、お客さんとの顔つなぎだけは最低限しといてもらわないと、後を継ぐ方は結構苦労すると思います。

一方、上記ポイントの5番目の弁当アプリは、第5章の「玉子屋の未来」から抜き出しましたが、現時点では未だリリースされてはいない模様。

ただ、方向性としてはアリだと思いますので、今後の展開に注目したいところです。


ビジネスモデル好きの方なら、要チェックな1冊!

B07KQQCHLT
日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に 東京大田区・弁当屋のすごい経営【電子特別版】 (扶桑社BOOKS)
第1章 中小企業の事業承継は先代が元気なうちに
第2章 数字で語る玉子屋
第3章 嫌いだった弁当屋を継いだ理由
第4章 社員の心に火を灯せ
第5章 玉子屋の未来


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【編集後記】

◆本日の「Kindle日替わりセール」から。

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羽生善治監修 初段の力がつく次の一手

羽生さんは、一般書も数多く書かれているのですが、あえての将棋本はKindle版の方がお買い得。

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圧倒的破壊力! 藤森流なんでも右四間飛車 (マイナビ将棋BOOKS)

もう1冊のガチな将棋本は、中古がほぼ定価並みのお値段ゆえ、Kindle版が900円弱お得。

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ネイティブ感覚 基本動詞使い分けブック アルク・ライブラリーシリーズ

いずれムスコに読ませようと私も買った英語本は、中古が定価を大きく超えているため、Kindle版が700円弱、お得な計算です!


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Posted by smoothfoxxx at 08:00
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